1st Album『FLAMEVEIN』インディーズ期歌詞・楽曲解説

楽曲解説:ナイフ vol.1 インディーズ期のリードソングと影響を受けた洋楽

flamevein1st Album『FLAMEVEIN』

ナイフ:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:1996-1997年
録音時期:1998年9月
録音場所:代々木/地下レコーディングスタジオ
リリース:1999年3月12日 「FLAME VEIN」
ライブ初披露:1997年以前

「ナイフ」はBUMP OF CHICKENの『FLAME VEIN (+1)』に収録されている楽曲です。

高校生から演奏されている数少ない日本語曲でインディーズ期を代表する1曲となってい明日。

 


 

この記事では「ナイフ」の制作エピソードや歌詞の意味、解釈などを解説します。



自主制作時代のリードソングのひとつ

「ナイフ」はインディーズ期におけるバンド渾身の1曲でした。

バンド初のツアー「Chicken’s Knife(1997年6月)、高校生で制作し1300本を売り上げたデモテープNO REASON(1997年10月) のタイトルになりリードソング的な立ち位置を務めます。

 

デモテープ BOC-001「NO REASON」(1997年10月)

 

「ナイフ」収録 デモテープ/自主音源・BOC-001「NO REASON」(1997年)
・7曲入りデモテープ* (1998年)
・1st CD「BUMP OF CHICKEN」(1998年)

 

『FLAME VEIN』に収録されている「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」「とっておきの唄」よりも演奏頻度が高く、対バン企画やイベントライブなど厳選された場面で演奏されています。

 

7曲入りデモテープ「1996年版」と「1998年版」の2種類が存在し収録曲は異なる。

歌詞に残るRadioheadの影響

ナイフ  0:39〜
僕が笑ってたあの日の夕焼け
隠したナイフでもう一度とりもどせ
PROVE YOURSELF

引用元:ナイフ / 作詞作曲 藤原基央 (1999年)

 

サビの歌詞 “PROVE YOURSELF”の一節はRadioheadの楽曲「Prove Yourself」からつけられました。藤原さんはインディーズ期のインタビューで”パクった”と公言しています。

公式YouTube Radiohead – Prove Yourself

Radioheadは藤原さんが10代の時によく聴いていました。

BUMP OF CHICKENとRadiohead

2019年3月、CHAMAさんのInstagramにRadioheadの「Million Dollar Question」を聴いているiTunesの画像がアップされました(24時間限定のストーリー)。

 

 

「Prove yourself」も「Million Dollar Question」も『Pablo Honey』(1993年)に収録されています。4人の思い出のアルバムなのでしょうか。

 

藤原基央さんと増川弘明さんは2人でRadioheadのライブ映像を鑑賞し、啓発されて夜中にスタジオに入り「キャッチボール」の作曲へと繋がりました。



関連記事:キャッチボール vol.1 増川のギターとバドミントンから生まれた曲

デモテープ版とCD版のアレンジ

 

基本的にほぼ同じです。

イントロ導入部、コーラスの付け方、リフ、ベースラインもほぼ1997年当時のものが『FLAME VEIN』に踏襲されています。サビ前の「Yes, it is」の発音や間奏中の「咳」も同じです。

 

細かな違い
・BPM(デモの方が早い)
・2番Aメロのリフの違い
・2番Aメロ終わりの “NO REASON” の伸ばし方(デモ版は伸ばさない)
・Cメロのギターリフ

 

高校時代に考えたアレンジを30代のメンバーが弾いていることに感慨深さを感じます。

 

特徴的な英語詞のCメロ

かつて英語詞曲を演奏していたBUMP OF CHICKEN。「ナイフ」にも一部その名残りが見られます。

 

ナイフ  0:39〜
KNIFE SHOWED ME THE WAY TO 「MY SELF」
KNIFE SHOWED ME THE WAY TO 「LIVE」
HOLD ON! I REMEMBER and REALIZE MY WISHES.

引用元:ナイフ / 作詞作曲 藤原基央 (1999年)

ライブでは藤原さん、直井さん、増川さんがコーラスの掛け合いをしています。

 

「NO REASON」歌詞カード(裏面)

 

英語詞が出てくる他の楽曲例
“Sir Destiny” – 「Ever lasting lie」
“Stage of the ground” – 「Stage of the ground」
“sailing day” – 「sailing day」
“Everybody, every body has a dream” – 「おるすばん」
“How far are you?” – 「セントエルモの火」

 

「アルエ」と同時期かそれ以降の作曲

※『FLAME VEIN』作曲順については別記事作成予定

藤原 –(1996年8月当時)英語のオリジナル曲と何曲かの日本語の曲をやってたんだけど。……”くだらない唄”があったかな。”アルエ”はギリギリなかったかも 

出典:BUMP OF CHICKEN ヒストリーブック

 

「アルエ」に言及して「ナイフ」には言及していないことから、若干「アルエ」の方が成立時期は早い可能性があります。遅くとも1997年6月〜10月の間には作曲されています。

アルエ vol.1 “ハートに巻いた包帯”の意味

「小さな頃の唄」「勇気の出る唄」「勇気の唄」

1st CD「BUMP OF CHICKEN」歌詞カード

「ナイフ」の歌詞には3種類の「唄」が登場します。

1. 小さな頃の唄
2. 勇気の出る唄
3. 勇気の唄

2、3は「リトルブレイバー」に繋がるように思います。※「リトルブレイバー」は「ナイフ」の後に作られています。

そして「リトルブレイバー」の歌詞に出てくる”とっておきの唄”は、1998年の「とっておきの唄」に繋がります。歌詞の中の”繋がり”、世界観の”繋がり”は藤原さんが好む仕掛けです。



ライブ演奏記録

演奏回数71回
演奏率22.8%
演奏頻度★★☆☆☆

※2000年以降の記録

 

インディーズ期〜jupiter期までは定番曲

他の『FLAME VEIN』の楽曲(「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」「とっておきの唄」)に比べて演奏率が高く、jupiter期までは毎回演奏されてきました.。

演奏率は2000〜2002年の3年間で75.0%です。

アドリブによるアレンジが豊富

アマチュア時代から演奏してきた楽曲ということもあり、ライブでのアドリブが多く披露されています。

2002.12.xx LOVE&PORKINツアーの頃のギターソロ

 

1回だけ披露されたアコースティックバージョン

「ナイフ」はアコースティックバージョンで演奏されたことがあります。

2000年4月14日の「THE LIVING DEAD 発売記念インストアライブ」ではアコースティックバージョンで演奏されました。藤原さんはアコースティックギター、増川さんはエレキギターを弾いています。

 

「20」で12年ぶりに演奏

2016年2月11日の20周年記念LIVE「20」で久しぶりに披露されました。MY PEGASUSのアンコール以来12年ぶりのことでした。

YouTube公式チャンネルのスポット映像でその様子が確認できます。

BUMP OF CHICKEN 結成20周年記念Special Live 「20」 (初回限定盤)[Blu-ray]

「20」での主な変更点・初めてCメロのリフを増川が演奏
・直井のサビのベースラインが各小節8拍目の繋ぎが取り除かれる
・藤原のアレンジソロ(ブルーススケール)

 

直井さんのベースは、サビの8拍目に繋ぎの音階が取り除かれより硬派なサウンドになっています。

藤原さんがギターソロはインディーズ期と同じブルーススケールでのアドリブになっています。

 

以上、「ナイフ」に関するエピソードでした。「ナイフ」を聴く上で新しい聴き方ができると思います。ありがとうございました。


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