メンバーvol.11 – ライブでの同期SEとイヤモニの使用

みなさんイヤモニってご存知ですか?

名称を聞いたことがなくても、見たことある人は多いはず。そうです、アーティストが耳につけているイヤホンのようなアレです。

BUMP OF CHICKENの近年のライブでは、4人の楽器だけでは一部の楽曲のサウンドを再現することができないため、事前に録音したパートを同時に鳴らしたりしています。イヤモニは同期SEを使用する際に欠かせない機材です。今回はバンプのステージでのイヤモニと同期SEの使用について解説します。




イヤーモニターとは

embedded from instagram@bumpofchickenofficial

イヤーモニターとは、ライブ中に自分の楽器やメンバーの楽器をモニタリングするためのイヤホンのことです。カスタムIEM (Custom In Ear Monitor)とも略されます。

イヤーモニターの目的
1. 大会場で楽器の音をクリアにモニタリングするため
2. 同期SEと演奏を合わせるためにクリック音を聴くため




理由-1:大会場で楽器をモニタリング

1つ目の目的は大会場での楽器のモニタリングです。小さなライブハウスなどでは足元に設置されたモニタースピーカーで十分ですが、アリーナのような大会場での演奏は反響音が大きく、楽器の音を正確に聴くために着用します。

*藤原の足元にある黒い台がモニタースピーカー。自分の楽器や他のメンバーの音をミックスして流している。藤原は自分のギターと升のドラムを大きめにし、直井と増川の楽器の音はそれよりも下げたミキシングをしている。embed from instagram@bumpofchickenofficial

理由-2:クリック音を鳴らし同期SEと演奏を合わせるため

2つ目の大きな役割は同期SEとリズムを合わせるためのクリック音を聴くためです。同期SEの例ではないですが、クリック音を流している参考動画としてロンドン五輪の開会式のパフォーマーのIEMデータがYouTubeに上がっています。

周りとのパフォーマンスを合わせるために、リズムキープのために規則的なクリック音を鳴らしリズムをガイディングしています。

またAKB、ジャニーズなどアイドル系のアーティストは演出監督が直接MCのタイミング、立ち位置や進行指示をしたりする場合もあります。下記参考動画はももクロさんのイヤーモニターの音声です。

BUMP OF CHICKENは今のところMCや進行指示などは受けていません。台本があるほどのMCではないので、まあそうでしょう(笑)




初のイヤモニはMY PEGASUSから

2004年10月28日 MY PEGASUS 大分Drum Tops楽屋にてイヤーモニターを音響スタッフの小林さんに着けてもらう藤原の図。 embedded from excite music

バンプの4人がイヤモニを着用しはじめたのは2004年のMY PEGASUSツアーからです。「ユグドラシル」は色々なフレーズのギターを重ねて録音したため、ライブではギター2人だけでは表現に限界がありました。

メンバー達はイヤーモニター導入を決断しMY PEGASUSで初めて着用します。ちなみに同年夏フェスのfire signは同期SEを使用しないバージョンで演奏され、MY PEGASUSからは同期SEありのバージョンで演奏されています。

特ラ機構への届け出

イヤモニは電波・無線の送受信を行うため、着用するアーティストは特定ラジオマイク運用調整機構(https://www.radiomic.org/)という総務省管轄下の一般社団法人に届け出をする必要があります。ざっくりいうと警察・消防・運輸無線等との混信を防ぐための調整機関です。

2004年7月28日、有限会社ロングフェローとして特定ラジオ運用調整機構に入会します。

※特定ラジオ運用調整機構新規会員紹介ページ スクリーンショット

イヤモニのきっかけについてはメディアに話が出ておりませんので推測ですが、保守的な思考を持つ4人は議論したと思います。最終的に「曲の求める音」を表現するというバンドの基本理念に則りイヤモニ着用の決断をしたはずです。




イヤモニの製作


FiTeaR

embedded from FiTeaR

メンバーはFiTEaRhttp://fitear.jp/music/index.htmlという会社でオリジナルIEMを製作しています(現在も使用しているかは不明である)耳の形は指紋と同じように人間ひとりひとり異なるので、自分の耳にフィットするものを作る必要があります。

FiTeaRさんを調べてみるとBUMP OF CHICKENだけでなくFUKASEさん(SEKAI NO OWARI)、福山雅治さん、星野源さん etc…もはやイヤモニ業界独占なのではないかというくらい色々なアーティストのIEMを作製しているんですね。

ちなみにBUMP OF CHICKENのうち藤原基央さん、増川弘明さん、直井由文さんの3名はFiTeaR製ですが、升さんだけは記載がなく不明です。


クリック音に対する考え

embedded from Twitter@boc_chama

メディアなどで特段同期SEやクリック音に対して言及することはありませんが、ラジオや同期SE使用の変遷などを見てBUMP OF CHICKENの考え方を知ることができます。

藤原さんは、メンバーでご飯を食べようという流れの中で升さんが個人練習のために食事に行かないことに対して不満を言っています。

藤原 – スタジオでみんなでね顔見合って演奏するっていうのが、飯の時間とかを通じてね、育まれてるわけですよ。それをお前はね、クリック聞いて練習してるわけですからね、じゃあお前のバンドのメンバーはクリックなんですかっていう話ですよ。アホか!(笑)

PONTSUKA!! 2012.04.08

これは「食事に行く時間も大事にしましょう」という話ですが、<じゃあお前のバンドのメンバーはクリックなんですか>のくだりは、「クリックよりもメンバーで顔見て呼吸を合わせましょう」という意味です。どんだけクリック音が耳から流れていても、結局はステージの4人で音を合わせるということが大事だとわかります。

ちなみに藤原さんはキレッキレです。個人的には近年の藤原さんはPONTSUKA!!では「よそいきモード」な感じですが、升さんに対して「お前」とか「馬鹿」「アホ」と言っているので本音だなと思いました(笑いながらの会話で、直井さんと増川さんは大爆笑しています)。

あえてイヤモニを外す時も

embedded from instagram@bumpofchickenofficial

上記のような理由からクリック音よりもバンドのグルーヴ感を重視する藤原さん。同期SEを使わない曲などを演奏する際は、イヤモニを外して足元のモニターやメンバーと視線を合わせるといったアナログな方法で楽曲を合わせることが多々あります。

個人的な経験では多いのはやはり初期の楽曲です。特にガラスのブルース、Danny、くだらない唄、あとは真っ赤な空を見ただろうかを演奏する時はイヤモニを耳から外すのを多く見ます。




同期SE使用曲

ここからはかなりマニアックな話になります。長いので別記事にまとめるかもしれません。

jupiterまでの楽曲では同期SEを流す楽曲はありません。ユグドラシルから半分くらいの曲で使用するようになり、以後新曲の7-8割は同期SE曲となってます。

同期SE使用楽曲一覧
fire sign
オンリーロンリーグローリー
車輪の唄
ギルド
embrace *MY PEGASUSのみ可能性あり
太陽
プラネタリウム
カルマ
supernova
涙のふるさと
メーデー
花の名
ハンマーソングと痛みの塔
時空かくれんぼ
飴玉の唄
かさぶたぶたぶ *可能性あり
ひとりごと
プレゼント
R.I.P.
HAPPY
魔法の料理〜君から君へ〜
宇宙飛行士への手紙
ゼロ
友達の唄
分別奮闘記
グッドラック
イノセント
Merry Christmas
Smile
angel fall
firefly
虹を待つ人
ray
サザンクロス
white note
(please) forgive
You were here
パレード
Hello, world!!
morning glow
ファイター
コロニー
宝石になった日
流星群
GO
Butterfly
アリア
アンサー
記念撮影
pinkie
pathfinder

中には当初同期SEを使用していたのにある時から使用をやめて4人のバンドサウンドだけになった曲もあります。

同期SE→同期SE非使用 変更曲
カルマ
ギルド

ギルドは2004〜2008年、カルマは2006〜2008年まで同期SE使用していました。ギルドの2005年夏フェスver.ではツルハシをイメージした金属音の導入から曲が始まりましたが、2011年のGOOD GLIDER TOURからクリックも流さない4人だけの純粋なバンドサウンドになりました。

カルマはサビのチューブラベル(鐘)の音などで使用されていましたが、同様にGOOD GLIDER TOURからは4人のみの音になっています。

同期SE 内容変更曲
車輪の唄 (BPMを遅く)
太陽(パート変え)

車輪の唄は2004年MY PEGASUS沖縄公演まで原曲通りのBPMでクリックが流れていましたが、ツアーファイナルの幕張メッセまでの間に藤原さんの発案で「もっとドッシリやろう」となりBPMを遅くしました。またシングルカットに合わせてコーラスが追加されましたが、それも幕張公演では同期SEに反映されています。

太陽は2004年、2006年の時は増川さんは16分音符のアルペジオをメインに弾いていましたが2015年のSpecial Liveでは付点8分音符のディレイを使ったリフにパートが変わっています。それに合わせて以前弾いていた16分音符のアルペジオは同期SEで流れるようになりました。

以上、かなりマニアックになりましたがBUMP OF CHICKENの同期SEとイヤーモニターについて解説しました。ライブを見るときに「あ、今イヤモニつけてる!」とか「外した!」などもこういった背景があることを知っていると2倍楽しめるかもしれません。ご拝読ありがとうございました。