メンバー vol.4 – 作曲から音源化までの流れ-レコーディング(前編)

 
(追記)全部の流れを書きましたが、文量が多くなってしまったので前編・後編記事を分ける予定です。

1996年の結成以来、数々の名曲を発表しているBUMP OF CHICKEN。初めての日本語で書いた「ガラスのブルース」から最新リリース曲「アンサー」まで118曲*もの楽曲が公式にリリースされてきました。(*デモテープ、隠しトラック、smile限定版含まず)

今回はBUMP OF CHICKENの楽曲が私たちの手元に届くまでの流れを見ていきましょう。

バンプの楽曲ができる流れ

藤原基央による作曲

藤原版・デモテープ制作

バンド版・デモテープ制作

プリプロダクション(プリプロ)制作

本番レコーディング

ポストプロダクション(ポスプロ)作業

CDプレス・リリース




藤原の作曲方法

作曲パターン

藤原さんによる作曲方法は以下のパターンがあります。

①詞から先に出来たもの
ray

②曲から先に出来たもの
天体観測、ロストマン、オンリーロンリーグローリー、イノセント

③詞と曲、別々のアイデアを組み合わせるもの
プラネタリウム、花の名

④歌詞とメロディが同時に出る(考える)もの
車輪の唄、R.I.P、友達の唄、ゼロ

⑤その他
リズムから作ったもの(メーデー)、音遊びで作ったもの(乗車権)

作曲場所

①自宅

楽曲の7〜8割が自宅で作曲されてきました。「ロストマン」の時は9ヶ月間作詞できず自宅で悩んだといい、「真っ赤な空を見ただろうか」は曲が書けず悩んでいた時に玄関を出た先で見た夕焼けからインスピレーションを得て書き上げました。また「ray」の歌詞はお風呂上がりに思い浮かび下着一枚の姿で鉛筆でノートに書いたと言います。

②自宅以外

「ギルド」は一口坂スタジオで弦の交換をしている時に思い浮かび、「くだらない唄」は東京から千葉へ帰る電車の中で書きました。「キャッチボール」や「Title of mine」は箱根の温泉宿や小屋で書いています。

③スタジオ(曲作りのためのスタジオ)

2008年の夏からスタジオで曲作りをするようになりました。小さな録音ブースに入り、一人でギターとペンを持ちながら曲を書きます。こうして「ゼロ」や「グッドラック」などができました。またブース以外にも「友達の唄」はスタジオ横の会議室で書いています。

藤原さん曰く、「詞とメロディの両方が出来上がって曲の完成」と呼ぶそうです。

*「藤原基央の作曲方法」という記事を別途掲載予定です




デモ音源(藤原単独)

Photo by Skley

曲を書き上げたらデモ音源をつくります。インタビューなどでは「デモテープ」と表現されていますが、記録するメディアはCD-Rだったり音声ファイルであり、カセットテープではありません。

この時のデモ音源には2つのタイプがあります。

①シーケンサーで打ち込むデモテープ
同じドアをくぐれたら、ロストマン、飴玉の唄、firefly

②アコースティックギターによる弾き語り
銀河鉄道

藤原所有のシーケンサーYAMAHA QY-70

シーケンサーはドラムやベース、ギターなどいろいろな音をデータ上で打ち込むことが出来る録音機材です。ここで作られるアレンジは細かく作り込む時や大まかに入れる時などその具合は曲によって異なります。「ロストマン」や「同じドアをくぐれたら」はシーケンサーで細部まで作り込まれました。

ギターと歌声だけのシンプルなデモテープを制作する場合もあり、「銀河鉄道」や「Hello, world!!」ではギター2本と歌声のみでデモ音源が用意されました。

ちなみにこのシーケンサーのデモ音源からいきなり本番レコーディングへ進めた楽曲もあります。「supernova」ではほぼ一発勝負のアレンジで録音が行われました。

藤原 – バッと出来て、バッとシーケンサーで打ち込んだ状態のものに俺が歌を入れて、みんなに渡して。本来なら、その時点でそれを一回持ち帰って、バンドでデモテープを録って、それでデモテープの音を参考にしつつ、本チャンのレコーディングに臨むという形を取るんですけども、今回はいきなり本チャンで録りました。

http://ent2.excite.co.jp/music/special/bump2/int_01.html

デモ音源を作ったら、スタジオで直井さん、増川さん、升さんの3人に聴かせたり、R.I.P以降ではmp3ファイルで各メンバーのパソコンへ送ったりしています。

直井さんは初めてmp3ファイルで新曲が聞いたとき、正直その”軽さ”に戸惑いがあったようですが、今ではmp3で曲が届くことが通常になっており、バンド内のシステムも時代とともに変わってきているんですね。

デモ音源(バンドバージョン)

藤原さんによるデモ音源を受け取ったメンバーたちは、それぞれ自分たちのパートのアレンジを決めていいきます。

シーケンサーでアレンジが決まっていた場合は、それを参考にて決めていきます。(たとえシーケンサーでアレンジが入っていても、単に藤原さんのコピーではなく、現実的な楽器で再現するための独自のアレンジを加えているそうです。)

アレンジが決まっていない場合には、各メンバーが曲・歌詞を解釈して「曲の求める音」を考えながら音を形にしてきます。この作業では藤原さんが参加する場合もありますが、Butterfliesでは藤原さん抜きの3人でアレンジし、終わったら藤原さんに聴かせて意見をもらうという流れをしていました。

曲の理想の姿を追い求めるバンプはこのデモ音源作りに時間をかけています。

「ギルド」や「車輪の唄」では、直井さんと升さんが考えたリズム隊のトラックを藤原さんに聴かせましたがOKをもらえず、曲に合うベースとドラムを試行錯誤しました。

「morning glow」ではアレンジが決まってもグルーヴ(音のノリやバンドの呼吸)がうまく表現できなかったため、デモ音源の段階で1年ほど寝かされました。逆に「イノセント」のシンセサイザーの音色は、デモのほうが本番のテイクよりも良かったのでCD音源に採用されました。

このことから、いかにバンプが「曲が求める音」を追求しようとしているかがわかりますね。デモの時から手を抜かず、楽曲の理想の姿を表現することに妥協ないバンドです。




続きは後編で

ここまでが藤原さんの作曲〜バンド音源制作の流れ(前編)になります。

BUMP OF CHICKENの楽曲がシングル・アルバム・カップリング曲のどれも人気が高い理由には、アレンジの豊富さが由来しています。音色、リズム、アレンジを1曲ずつの個性を引き出して、時間をかけて作り込むことで「似た曲がない」楽曲たちを生み出しています。その影には今回紹介した音源制作の流れがあるんですね。

こうしてデモ音源を制作したら次はプリプロ作業です。続きは次の記事(後編)で紹介します。

バンプの楽曲ができる流れ

藤原基央による作曲

藤原版・デモテープ制作

バンド版・デモテープ制作

プリプロダクション(プリプロ)制作 

本番レコーディング

ポストプロダクション(ポスプロ)作業

CDプレス・リリース