メンバー vol.5 – 作曲から音源化までの流れ-レコーディング(後編)

メンバー vol.4 – 作曲から音源化までの流れ-レコーディング(前編)の続きの記事です。

前編では、藤原基央さんによる作曲からバンドによるデモ音源制作までを紹介しました。デモ音源の段階で「曲の求める」アレンジを施して曲全体の設計図を描き、次はプリプロダクションです。

今回の記事はプリプロダクション作業からリリースまでの流れを紹介します。

バンプの楽曲ができる流れ

藤原基央による作曲

藤原版・デモテープ制作

バンド版・デモテープ制作

プリプロダクション(プリプロ)制作

本番レコーディング

ポストプロダクション(ポスプロ)作業

CDプレス・リリース




プリプロ制作


バンドで録音したデモテープでおおまかなアレンジの設計図、音作りを決めたら、次はプリプロ制作です。

プリプロとはプリプロダクション(Pre-Production)の略でCDに収録するための本番レコーディングを想定して、全体のサウンドイメージを確認するために行う録音のことです。各自のパートの確認、音色の確認、全体のバランスを確認します。

同じ録音といっても、レコーディングとプリプロ制作では録音機材が異なるため音質が全く異なります。CDに収録されるような音質でレコーディングするには数十万〜数千万円単位の非常に高価な録音機材とそれを扱う専門スタッフの存在が不可欠で、アレンジやサウンドイメージを最終確認するためにプリプロが必要となるのです。

小ネタですが、「ほんとのほんと」(fireflyのカップリング曲)のボーカルテイクは本番レコーディングのものよりもプリプロ制作時のテイクの方が良いと判断し、CDにはプリプロのテイクが採用されています。藤原さんは例えプリプロでも一切手を抜かずに歌入れを行っているそうです。

「虹を待つ人」では、バンドのデモ音源を制作した時に良い感じだったのでプリプロダクションの工程を飛ばして、日にちを空けずに一発録りで本番レコーディングに臨みました。また「カルマ」のプリプロ音源が関係者からCD発売前に流出したこともあります。

本番レコーディング

録音テープ

BUMP OF CHICKENのレコーディングでは、マスター用テープとしてハーフインチのアナログテープを使用しています。


バンプのマスタリングを担当しているエンジニアの前田さんが録音機材についてSNSで発信しているのが参考になります。テープについて「いまも」や「15分で1万円以上する高価なもの」と書いており、他のアーティストに比べて高価なもの、さらにあえて古い型のものを意図的に使用していることがわかります。

インタビューでは語られませんが、録音機材に対しても理想の音質を追求するバンプの姿勢が伺い知れます。

レコーディングの流れ

①リズム隊(ベース+ドラム)を録音

②ウワモノ(ギター・シンセサイザーなど)を録音

③歌入れ

プリプロが終わったら、いよいよ本番レコーディングです。通常バンプのレコーディングはまずリズム隊(ベース+ドラム)の録音からです。ギターと歌のデモテイクを流しながら、それに合わせてリズム隊を録音します。




リズム隊

ドラムの升秀夫さんは自分のテイクに一切妥協せず、1日中(深夜まで!)納得のいくテイクが録れるまで叩き続けるそうです。

2007年3月13日に行われた「かさぶたぶたぶ」のドラムレコーディングは、本来1日の予定でしたが納得するテイクが録れなかったため、最終的に2日間かけて叩いたドラムを音源に採用しました。

ギター

リズム隊が終わったら次はギターの録音です。基本的にベーシックな演奏(コードなど)を増川さんと藤原さんの二人で演奏し、ギターリフやソロなどは藤原さん一人で演奏します。増川さんは歪みで小節の頭にジャーンと白玉(全音符のこと)を演奏したり、無音を消すための微かなギターを入れたりするなどの役割を果たしています。

増川さんはレコーディングする一方で、ライブに向けてギターのリフなどを藤原さんから教えてもらっています。

歌入れ

そして最後にメロディーとコーラスの歌入れをしてレコーディング終了です。ちなみに歌入れをした後に、タンバリンを入れたり、ストリングスを外注して入れたりするなど一定の追加アレンジは行なったりもするようです。

ポストプロダクション

レコーディングが終わった後に曲順決めTD(トラックダウン)ミキシングといった作業があります。

曲順はギリギリまで変更になることが多いらしく、6th アルバム「COSMONAUT」ではもともと「モーターサイクル」が1曲目だったり「beautiful glider」が1曲目だったりした時があったらしく、何度か検討して最終的に「三ツ星カルテット」が1曲目になりました。

ミキシングでは各楽器の音量を調整したり、リバーブ(エコー)をかけたり、音の感触・深さを微調整したりします。

音を混ぜるだけでは?と思う方もいるかと思いますが、プロのミキシングエンジニアがいるほど重要な作業です。これによって曲の印象がガラリと変わります。

ここ数年間はバンプのレコーディングのエンジニアさんが固定されているようです。
一人はサウンドエンジニアの牧野”Q”英嗣さん、もう一人はマスタリングエンジニアの
YASMAN MAEDAです。バンプ以外のアーティストも含めたレコーディングに関するツイートはとても参考になります。

ポスプロを外部に委託している間に、メンバーはジャケット写真の選定やPV撮影、メディア対応などをします。

3rd アルバム「jupiter」の時は何枚もの微妙に異なる木星の写真を並べ、4人でジャケットに採用する写真を選んでいました。こうして全てが完成したらCDをプレスして出荷します。

音源完成!

BUMP/Butterfries発売日ですね! みなさん是非聞いてくださいね! あしたのライブも楽しみです。

EIJI “Q” MAKINOさん(@eiji_q)がシェアした投稿 –

ようやくCDが出来上がりました!こんなに沢山の行程を経て、バンプの曲が私たちの手元に届くんですね。

バンプの楽曲ができる流れ

藤原基央による作曲

藤原版・デモテープ制作

バンド版・デモテープ制作

プリプロダクション(プリプロ)制作

本番レコーディング

ポストプロダクション(ポスプロ)作業

CDプレス・リリース

以上、前編・後編と2回に分けて、バンプの楽曲が生まれてから音源化されて私たちの手元に届くまでを説明していました。ものすごく長い記事になってしまいましたが、曲を聴く時にこういう流れを通って録音された音なんだなと思いを馳せるきっかけになれば嬉しいです。

Eye-catch photo by JacoTen