楽曲解説:beautiful glider vol.1 – オーガニックサウンドと変則アルペジオ-

6th Album「COSMONAUT」 M-14
作詞作曲:藤原基央
作品発表:2010年12月15日
作曲時期:2010年夏〜秋?
レコーディング場所:一口坂スタジオ

beautiful gliderは6枚目のアルバム「COSMONAUT」に収録されているアルバム曲です。1曲目の三ツ星カルテット同様、変則チューニングのギターアルペジオによるイントロが印象的な曲です。三ツ星カルテットが歪みギターのサウンドであるのに対してbeautiful gliderはアコースティックギターとドラム、ベースによるオーガニックなサウンドの円熟したBUMP OF CHICKENの顔を見せる曲です。

順番でいうと、COSMONAUTの中では三ツ星カルテットに次いで2番目に新しい曲です。今回はこの曲の解釈、解説を交えて紹介していきます。




家で遊んで出来たフレーズ

beautiful gliderの特徴はやはり綺麗なイントロのアルペジオ(私も耳コピに苦労しました。。。)。ボーカルの藤原さんは自宅で触っていたらこのフレーズが浮かび、それに歌詞をつけて曲にしました。

家でギターで遊んでて、次の日スタジオ行って、「昨日弾いてたフレーズ録っちゃおう」って思って。で、それにバッキングもつけてベースも動かしてたら出来ちゃった曲 – 藤原 –

<MUSICA 2011.1 vol.45より引用>

藤原さんのギターの才能は本当に素晴らしいと思います。以前ギターマガジンでギタリストとしてのインタビューを受けていましたが、「僕はまず、ボーカリストである前にギタリストですからね」と語っていた通りギタープレイの引き出しの数がすごいと思います。

ギタリストとしての藤原さんについて、すぐ横で見ているメンバーも次のように賞賛しています。

藤くんはね、本当に楽しそうにギターを弾いてるんだよね。ギターキッズみたいに、ずっとギターを弾いてるの。そうやって楽しそうに弾いてたフレーズが曲になっていくのは、俺も見ていてとても嬉しいんです。 – 直井 – 

<MUSICA 2011.1 vol.45より引用>

これは特に、ギターがとてもうまい曲だなぁって思った。ギターもいいし、曲としてもすごくいいんですよね。 – 升 – 

<MUSICA 2011.1 vol.45より引用>

自分で普通に弾こうと思ったら全然弾けなくて。「どうしてだろう」って思ったら、実はチューニングが違ったんだよね。だから、やっぱり藤くんはいろんなところで新しいことをやってるんだなぁと改めて思った。- 増川 – 

<MUSICA 2011.1 vol.45より引用>

藤原基央と変則チューニング

増川さんが藤原さんにbeautiful gliderのアルペジオについて相談している時に同じ変則チューニングを用いた三ツ星カルテットを書きました。

今回beautiful gliderで使用しているのはオープンCチューニングというチューニング法にです(藤原さんはさらにそれを半音下げているので、正式にはオープンBチューニングと呼ぶのが正しいです)。基本的にBUMP OF CHICKENの楽曲は9割が半音下げで(それ自体変則チューニングなのですが)、変則チューニングの曲は以下のようになります。

Opening 全音下げチューニング

Ending 全音下げチューニング

asgard オープンE(♭)チューニング

midgard オープンE(♭) チューニング

beautiful glider オープンC(♭)チューニング

三ツ星カルテット オープンDチューニング

You were here オープンC(♭)チューニング

変則チューニングは通常のチューニングでは得られない特殊な響きを得られますが、弾きこなすには感性と技術が必要になります。適当に触っても綺麗な響きになる分、メロディアスなリフを構築していくことが難しいのです。変則チューニングでアルペジオを作ってしまう藤原さんの音楽センスがいかに卓越しているかがわかります。

beautiful gliderのサウンドづくり

藤原さんはこの曲はアコースティックギター1本で録ろうと決めてレコーディングに臨みました。そのため、おそらく増川さんはこの曲のレコーディングには参加していないと思います。それは決してembraceや同じドアをくぐれたらの時のような技術不足ではなく、それぞれの役割をはたしただけなので問題にはなりません。その代わり、藤原さんは増川さんにこの曲のギターの大半を任せています。

この曲は頑なにギターは1本だけって決めてて。最初にデモテープ録った時にアコギ1本だけだったんですけど、その感じがとても好きだったので。で、(本番テイクで)どれを使おうかなぁって思ってたんですけど、最初に握ったやつにすごくハマって。 – 藤原 –

<MUSICA 2011.1 vol.45より引用>

同じく直井さんもベースラインを入れる時、ギターを意識しながらフレーズを考えました。

ギターに対するベースの兼ね合いがすごくうまく出来た曲で。それが嬉しかったです。- 直井 – 

<MUSICA 2011.1 vol.45より引用>

このような藤原さんの音楽設計により、BUMP OF CHICKENの中でもとてもシンプルで無駄のない、かつ全体的にアコースティックの暖かみのある柔らかいサウンドが出来上がりました。

ライブでは増川さんがエレキギターでアルペジオを弾いていますが、いつかアコースティックステージで聴いて見たいですね。

以上、簡単ですがbeautiful gliderについて紹介しました。