「pinkie」はBUMP OF CHICKENのシングル『HAPPY』に収録されているカップリング曲です。
「桜」をテーマにして書かれた歌詞とストリングス&ピアノの入った清廉なバンドサウンドが魅力となっています。
この記事では「pinkie」の歌詞の意味と解釈、楽曲制作エピソードを解説します。
基本情報
pinkie:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2009年6月-2010年1月
録音時期:2009年6月-2010年1月
リリース:2010年4月14日 「HAPPY」 M-02
ライブ初披露:2017年9月16日 PATHFINDER at 千葉幕張メッセ
「桜」をテーマにして書いたカップリング曲
2009年、「pinkie」は「HAPPY」のカップリング曲として「桜」をテーマに書かれました。
藤原 – (プロデューサーから)「『HAPPY』のカップリングとして桜をテーマに曲を書いてくれ」というリクエストがあったんです。
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この頃、BUMP OF CHICKENのプロデューサー・MOR氏は藤原さんが曲作りに悩む姿を見かねて、いくつかのテーマを提示して作曲のきっかけをつくっていました。
テーマ “シングル曲”:「R.I.P.」
テーマ “四つ打ち”: 「宇宙飛行士への手紙」
テーマ “ジャカジャーン”:「 (please) forgive」
テーマ “クリスマス”: 「Merry Christmas」
藤原基央にとっての「桜」
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藤原さんはプロデューサーの「桜」というテーマの意図を「卒業の歌」だと解釈します。しかし曲を書く上では「桜」のもつイメージの意味や抽象的概念をもとに曲にしました。
藤原 – 「桜の歌」って、つまりは「卒業式の歌を書いてくれ」っていうことだったと思うんですけど、僕の中では“桜”というものの観念的な曲しか書けなくて。
「”桜”というものの観念的な曲」とはどういう意味でしょうか。
詞の中の時間的表現
藤原さんは「桜の観念」を「時間的なもの」と捉えていると思われます。
ここでいう「時間」とは「(時間的な)区切り」、「(時間的な)繰り返し」、「時間の経過(物事の変化)」の意味も含みます。
次は「pinkie」の歌詞の最初の一節です。
pinkie 0:10〜
未来の私が笑っていなくても あなたとの今を覚えててほしい
引用元:pinkie / 作詞作曲 藤原基央 (2010年)
BUMP OF CHICKENには非常に珍しいサビ始まりの楽曲。藤原さんのもっとも主張したいのは最初の一節、その次に最後に一節だと考えらえます。
pinkie 3:56〜
未来の私を思い出せたら あなたとの今を忘れなくていい
引用元:pinkie / 作詞作曲 藤原基央 (2010年)
「pinkie」には時間を連想させる「未来」「明日」「今」「今日」「過去」という言葉が登場します。
毎年咲く桜を「時間」「時点」の象徴として、過去から見た現在、現在から見た未来、未来から見た過去などの複雑な時間的視点で綴られています。
「pinkie」の意味は「小指」
楽曲タイトルの「pinkie」は英語で「小さい指 (=小指)」を意味します。
pinkie
noun [ C ] also pinky UK 【/ˈpɪŋ.ki/】 US /ˈpɪŋ.ki/
a little finger :
a pinkie ring
音や綴りが「ピンク(pink)」に似ていることからピンク色を連想させますが、英語圏ではピンク色に関する意味は全くありません。
藤原さんは桜の色「ピンク」と「pinkie」の音の類似を意図的に利用したタイトルをつけたと考えられます。
なぜ「小指」というタイトルをつけたのか?
SNSでは小指を「約束」の象徴だと解釈している方がいました。
「pinkie」ってタイトルはそもそも「ピンクっぽい→桜」と、英語のpinkie(=小指、転じて約束の意か)のダブル・ミーニングになっていて、この「約束」の正体(=藤原が描きたかったもの)が読み解く上での焦点になる。時系列の整理に惑わされると、そこを見失うことになる。
— イヌウエくん (@Inuue_nn) 2018年8月12日
誰かと約束をするとき、小指で指切りげんまんをしたりしますよね。歌詞にも「約束」という言葉が登場します。
pinkie 1:21〜
約束は誰かと作るもので 誰かが頑張り屋で
追い付けなくて離れて 自分だけがまだ待ってる
引用元:pinkie / 作詞作曲 藤原基央 (2010年)
「小指」という曲名では不可解ですが、「小指」=「約束」として捉えると歌詞の内容とも合う解釈だと思います。
藤原が得意とするコード縛りの楽曲
「pinkie」はコード縛りの楽曲です。Aメロ・Bメロ・サビを同じコード進行がループしています(Cメロ・大サビは覗く)。
同じ伴奏の繰り返しの中で違うメロディーを作るのは難しいですが、安定的で耳に慣れやすいという効果をもたらします。
(please) forgive
新境地を感じさせるバンドサウンド
「pinkie」の音楽面での特徴は以下に挙げられます。
- 重厚感のあるストリングのイントロ
- ストリングス主体の1コーラス目
- 清廉な印象のピッチカートとピアノの
- ベースがリズムの主体となる2コーラス目
イントロではチェロ、コントラバスなどの重厚感のある弦楽器で始まり、1コーラスをストリングス主体のオケで歌います。
間奏に入るバイオリン、ヴィオラのピッチカート(ミュートして撥弦する音)、ピアノ、シンセサイザーの音が清廉な音の印象を与えます。これらはそれまでにない楽器の構成でした。
こだわりの音作りで臨んだギターソロ
ユグドラシル〜orbital period期には出現頻度が少なくなっていたギターソロ。「R.I.P.」「HAPPY」などCOSMONAUT期ではソロが復活します。
藤原 – あれはもう、フルダウンピッキングで弾いてます。そうじゃなければ出ないニュアンス、っていうのがずっと頭の中にあったので。
開放弦を混ぜて弾いているため、中空的でピンポン跳ねるような印象を与えます。カルマのCメロの裏リフなどでも使用されている手法です。
「pinkie」ライブ演奏記録
2018年2月10日さいたまスーパーアリーナ公演 ハンドマイクで「pinkie」を歌う藤原 Image embedded from rockinon.com
演奏回数 | 30回 |
演奏頻度 | ★☆☆☆☆ |
初披露 | 2017年9月16日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」千葉県幕張メッセ |
最終演奏 | 2017年3月18日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」福岡県マリンメッセ福岡(振替公演) |
演奏ツアー | 2017年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」*全公演演奏 |
発表から7年半を経て初演奏!藤原がハンドマイクを持ち花道を歩き歌う!
「pinkie」は2017-2018年に開催された全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」で初めてライブ演奏されます。実にリリースから7年後の出来事でした。
初披露は2017年9月16日幕張メッセ公演。イントロが流れた瞬間に会場がざわめき、藤原さんがハンドマイクを持った瞬間にまたざわめき、花道を歩き始めた瞬間にまたまたざわめくというファンにとっては驚きの初披露となりました。
BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER 全公演セトリ
実はツアー1週間前からバレていた初披露
PATHFINDERの1週間前、増川さんのエフェクターの写真には「25.PINK…」とセットされたeventideのエフェクターが写っており「pinkie」が演奏されることが予想されていました。
藤原基央&増川弘明のツインリードギター
ギターソロでは増川弘明さんがメロディーパート、藤原さんがハモリパートを演奏しています。ギターソロとしてツインリードが披露されたのはこの曲と「プレゼント」(WILLPOLIS 2014 ver.) が挙げられます。
「pinkie」ライブ映像
映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER STUDIO COAST」 (会場限定販売) | |
映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」 |
「pinkie」はライブハウス公演、アリーナ公演の2種類の映像作品に収録されています。
以上、BUMP OF CHICKENの「pinkie」の歌詞の意味や楽曲解説を紹介しました。春の季節に似合う1曲だと思いますのでみなさんが聴くきっかけになればと思います。