楽曲解説:プレゼント・ Opening & Ending vol.1

1st Coupling Album「present from you」(2008年) 収録 M-13
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:1999年12月〜2000年1月

「プレゼント」は2008年に発売されたBUMP OF CHICKEN初のカップリングアルバム「present from you」に収録されているアルバム曲です。プレゼントは新曲ではなく「THE LIVING DEAD」に収録されている「Opening」と「Ending」という2曲の原型となった楽曲でした。




急いで作ったアルバム8曲に不安があった

1999年末〜2000年1月にかけて、バンプオブチキンの4人は2ndアルバム「THE LIVING DEAD」のレコーディングをしました。当時は升さん、増川さんの二人は大学生で大学の冬休みを制作期間に充てました。

このアルバムは短期間で録音したエピソードが有名で、曲を急いで書く必要に迫られた藤原さんは「K」や「Ever lasting lie」といった物語形式の作品を生み出すようになります。それは藤原さんにとって新しいチャレンジでした。しかし同時に、実体験からしか歌を作りたくなかった藤原さんの苦悩がありました。

決して出来上がった物語形式の作品に不満があったのではなく、それぞれの作品の中では物語と実体験が融合できたと述べています。一方、実体験に基づかない詞を書くこと、「自分」が登場しない詞を書くことに対して、詩人としての不安がありました。

– 詞の中に自身が登場しないことについて

藤原 – どうやら語り部は俺らしいんですけど。だからどの曲も僕は満足できるとこまで引っ張ってきたつもりなんですけど、どうも今一歩踏み込めないとこがあって。

そして、作品全体を踏み込んだ形にするために、アルバム8曲を1つの作品として繋ぐための曲を書くアイデアが浮かびます。

藤原 – ずっと漠然と「Opening」「Ending」をつけるだけでだいぶ違うんじゃねえかなって思ってたんですよ。

ROCK’IN ON JAPAN VOl.182

こうすることにより、バラバラの動機で生み出された8曲が繋がり「アルバム10曲で1つの曲」(メンバー談)という形態に昇華させることにします。

レコーディング最終日の朝、藤原が1曲書く

レコーディング最終日の朝、夜通しのレコーディングで疲労困憊のメンバー達とスタッフはその場で仮眠をとっていました。藤原さんは一人目を覚まし、その場にあったアコースティックギターを弾いて1曲書きます。それは「プレゼント」名付けられました。

プレゼントを「Opening」と「Ending」にする

藤原さんは「プレゼント」をそのまま録音せず、一部を切り取って「Opening」「Ending」というそれぞれ別のタイトルをつけてレコーディングします。それは2曲を表紙・背表紙のような役割を果たすことで、より1つの作品として近づけるための工夫でした。

藤原 – ド頭の部分をOpeningにしちゃって、一番うしろのおしりの部分をEndingにしてあって。それはだからボツにしたとかじゃなくて、オープニングとエンディングの役割としてそうなった、そいつが。

Musica 2008.06

せっかく作曲した(それもいい歌詞!)にも関わらず、クオリティの高い楽曲を惜しげも無く未発表にしてしまう。このような考え方からして並みのバンドではないです・・・。やはりインディーズシーンでバンプが際立っていた理由がわかる気がします(納得)

BUMP OF CHICKENほど、自分たちのオリジナル楽曲に対して真剣に考えるバンドはないお思います。その昔「18 years story」や「トランスライフ」など沢山あった英語詞の名曲を1st アルバムFLAME VEINで収録しなかったこと、「プレゼント」を未発表にしたこと、ユグドラシル以降の曲の求める音を優先すること、バンプの妥協しない音楽に対する姿勢は昔から変わっていません。

1音下げチューニングで録音されている

ちなみにこの2曲だけ1音下げチューニングで録られています。普段の半音下げチューニングよりも、もう半音低いチューニングです。これはキーの問題かもしれませんし、2008年のインタビューで「1音下げも気づかないほどの精神状態だった」とも述べています。

THE LIVING DEAD時代にライブでやろうとした

THE LIVING DEADでOpening ・Ending の2曲として発表されたプレゼント。リリースした後、藤原さんは「ライブでやりたい」と考えメンバーとリハーサルスタジオで演奏を試みたことがありました。

藤原 – 一度リハーサルで一緒に合わせたことがあって。そん時僕は歌詞カード家から持ってきてなかったので、歌はなかったんですけどね。そん時も今のアレンジみたいなものをやろうとしてた(笑)

Musica 2008.06

2番Aメロのギターとベースのリズムはバンプの楽曲では珍しい雰囲気ですね。当時聴いていた洋楽の影響を受けている気がします。こうして演奏を試みた「プレゼント」ですが、最終的にライブで披露されることはありませんでした。

・・・が!!!

Openingは演奏されたことがあるんです!!!




実はOpeningをライブで披露したことがある

NINJA PORKING ツアータオル(2003年)

2003年6月8日、NINJA POKINGツアーの青森クォーター公演で突然Openingが演奏されています。以下がその日のセットリストです。

2003.06.08 NINJA PORKING at 青森クォーター公演

01.sailing say
02.ノーヒットノーラン
03.彼女と星の椅子
04.ハルジオン
05.ホリデイ
06.ランプ
07.K
08.Ever lasting lie
09.リトルブレイバー
10.Opening
11.ダイヤモンド
12.グロリアスレボリューション
13.スノースマイル
14.ロストマン
15.ダンデライオン
– encore – 
16.ラフ・メイカー
17.DANNY
18.ガラスのブルース

少し補足をしますと、このツアーのセトリは日によってマイナーチェンジするものでしたが、基本的に リトルブレイバー → ダイヤモンド という部分の流れは固定でした。

①リトルブレイバー終わる
     ↓
②藤原、曲が終わってもギターを鳴らし続ける(ピロピロとアルペジオを鳴らす)
     ↓
③ダイヤモンドのLive版のイントロへ

6月8日の青森公演ではリトルブレイバーの演奏終了後、ギターを数回鳴らし、おもむろに「Opening」を歌い始めました(Twitterでこの日に参加された方から詳細を教えて頂きました。ありがとうございます。)

①リトルブレイバー終わる
     ↓
藤原、Openingをエレキで弾き語り
     ↓
③ダイヤモンドへ

私が確認する限り、Openingを演奏したのはあとにも先にもこれが最初で最後です(!)当時、藤原さんが弾き語りすること自体が珍しく、それもアンコールなどの特別ではないタイミングで演奏したのか、謎です。青森のみなさんはとても貴重な体験をされたと思います。

そしてお蔵入りへ

Openingとしてはライブでは初めて披露されたものの、結局プレゼントというフルバージョンの存在はお蔵入りになりました。

そして曲を書いてから8年の歳月が経った2008年、1st カップリングアルバム制作の話になり、ようやく「プレゼント」という曲が陽の目を見るようになります。続きは後編で・・・。

以上、プレゼント/Opening/Endingの楽曲解説 前編を紹介しました。




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