楽曲解説:太陽 vol.1 – ドアノブに触れる曲 – *3/9更新

4th Album「ユグドラシル」収録 / M-12
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2003年秋〜2004年春

『太陽』は4枚目のアルバム「ユグドラシル」に収録されているアルバム曲です。スローテンポかつ無機質なアルペジオとリズム隊が印象的なスルメ曲です。

「太陽」という明るいモチーフと陰湿でクセになる暗いサウンドのギャップを感じさせる、BUMP OF CHICKENらしい曲です。今回はこの曲の藤原さんによる解釈、レコーディング背景を紹介します。




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「ドアノブに触れる」ということ 

ほんとうの意味で触れる、ということがどれだけ怖いことか。触れられる、ということがどれだけ怖いことか。そこで何かを決意している曲です”  -藤原-

藤原さんはこの曲を「デフォルメの曲」と表現しています。それまで藤原さんの歌詞は、「勇気」「大切なもの」「孤独」といった曲ごとのテーマをなるべくわかりやすい表現で書かれていました。しかし”太陽”のから、現実世界、人間関係、自分と心の関係といった詞の対象をモノに例えたり、モチーフとして抽象的な表現を用い始めるようになります。

現在の歌詞では頻繁に登場する「君」、「僕」、「二人」、「痛み」、「想い」といった抽象的表現、汎用性のある表現へ移行する一つのきっかけとなった曲です。

その決意のきっかけになるのが〈ドアノブ〉なんでしょうね。自分の意図していないところで、ひょっとしたら取れてしまうかもしれない。そういう一種の災害的な要素も時には入ってくるという、そういう歌ですね -藤原-

有名かもしれませんが、BUMP OF CHICKENの楽曲には「部屋」というモチーフが多く登場します。

“真夜中 鍵掛けた部屋” – リリィ

“この世で一番硬い壁で 囲った部屋” – プレゼント

“涙で濡れた部屋” – ラフメイカー

“この部屋は大丈夫” – embrace

“出せない悲鳴が真夜中騒いで 四角い部屋で迷子になったら” – トーチ

藤原さんの言う「部屋」とはその人の絶対領域(=心の内側)として使用されることが多いと思います。インタビューでは続けて「何かが起きて、どうするのか」、「本当の意味で自分を外に向かせる歌」、「部屋から出るということはこういうこと」と補足しています。

つまり部屋から出ようと思いながらも躊躇してしまう様子、実際に起こるかわからない不安を前にためらってしまう様子を「ドアノブが取れてしまいそう」と表現し、自分の意思にせよ、意思でないにせよ関わらず「(ドアを開けて)部屋から出る」ということを歌っています。

部屋の中にまだいる状態を歌った曲が『太陽』、部屋から外に出た時の曲が『オンリーロンリーグローリー』です。藤原さん曰く、両曲とも「それで、どうするのか」という問いかけの唄なのです。

『オンリーロンリーグローリー』の曲の解説の中で、”この曲を書こうとして、シングル曲と『乗車権』を除く、『太陽』や『ギルド』といったアルバム曲が出来た”と語っていることからも、それぞれの曲の位置関係がわかると思います。




Aメロのリズム隊は”心臓の音”

-直井- たとえばAメロで、ドラムとベースがまったくぴったり合ってるのは、俺にとってやっぱ心臓の音だったし。そういうのがやたら要素として入って来た曲 

ベースの直井さんとドラムの升さんは心臓の音をリズムで表現しました。直井さんにとって特に歌詞が響いて来た曲で、弾いている時も”大声で話しかけてくる”曲だったとインタビューで述べています。


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ライブ演奏記録

MY PEGASUSでは一度だけ演奏された

ユグドラシル発売後のツアーとなったMY PEGASUSでは、たった一度、大阪公演(2004年10月12日 at なんばHATCH)のみ演奏されました。全40公演を超えるライブの中で、なぜたった一度、それもツアー中盤で演奏されたのかは不明です。

次のツアーrun rabbit runではレギュラーセットリストとして全公演で演奏されましたが、初日の札幌公演(2006年1月12日 at ZEPP SAPPORO)では”初めて演奏する曲”と藤原3が間違ったMCをするなど、演奏した本人達も完全に忘れていました(ちなみに翌日マネージャーからの指摘を受け、藤原さんは訂正MCを行いました)。

2015年夏に行われたBUMP OF CHICKEN Special Live 2015では、およそ9年ぶりに演奏されています。

間奏で藤原がギターソロを演奏 (run rabbit run)

藤原さんはレスポールSP、増川さんはレスポールを使用しています。当時のギターマガジンやGIGSにアコースティックギターで演奏されたという記述が書いてあるが、これは誤りである。(なぜなら私がライブで確認しているから。)

run rabbit run
照明は太陽をイメージさせる橙色で、藤原さんはAメロをポケットに片手を入れ、片手をマイクを握りながら歌っていました。増川さんはAメロの16分音符のアルペジオを演奏し、ディレイのSEが同期で流れていました。Bメロになると藤原さんはクリーンでストローク、増川さんはピックを離して指アルペジオ。2番以降のサビは藤原さん・増川さんともに歪みのストローク。間奏では藤原さんがアレンジギターソロ(歪みでチョーキング)をしています。この時の演奏は、歪み中心のかなりロックなサウンドとなっていました。

Special Live 2015
Aメロでは増川さんはアルペジオではなく、ディレイパートを演奏。2006年の時とは逆にアルペジオがSEで流されています。2番以降のサビでも増川さんはハイポジションのディレイリフを演奏しており、2006年に比べサウンドに奥行きが出てました。尚、この時の模様は2016年発売のアルバムButterfliesの特典Blu-rayに収録されています。

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以上、太陽について紹介しました。もしこれから太陽を聞くときは、藤原さんの詩の解釈、制作背景などを思い出して聴いてみると新しい聴き方ができると思います。