【楽曲解説】セントエルモの火

6th Album 「COSMONAUT」(2010年) 収録/
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2008年末

『セントエルモの火』は6枚目のアルバム「COSMONAUT」に収録されているアルバム曲です。この曲は2008年にボーカルの藤原基央がドラムの升秀夫を追いかけて富士山に登ったエピソードにもとに書いた曲です。メジャーデビュー後、(隠しトラックを除いて)初めてサビに英語詞が書かれた曲でもあります。この記事では二人のエピソードとレコーディング秘話について紹介します。


制作時期 -2008 年-

COSMONAUTでもっとも古い曲

2008年末、『HAPPY』と同時進行で書いた曲である。この2曲を書き終えたすぐ後に『66号線』を書き上げ、それまで3曲同時に新曲を聴かせられたことのなかったメンバーは驚きを隠せなかった。

藤原 “『HAPPY』と『セントエルモの火』どちらか忘れたんですけど、1曲できた時点でマネージャーに連絡したんです。「曲ができたからスタジオを取ってください」って。そしたら、予約がいっぱいですぐには取れないという返事が来て。俺は勝手に明日スタジオに入れるみたいな気でいたので、早くスタジオに入りたいという気持ちを抱えたままさらにもう1曲作ったんですね。それから、スタジオの予約は取れたんだけど、まだ1週間くらい時間があると。もう1曲書けるなと思って書いたのが『66号線』だったんです。だから、「3曲一気に書いてスタジオに持っていってやれ!」という気持ちがあったわけではなく、流れのままに書けたというか” (natalie)

直井 “最初に出来た3曲のうちのひとつなんです。つまり、この曲は今回のアルバムレコーディングでずっと一緒に過ごして来た曲なんだよね。だから録り終わったことが凄く寂しくて、ずっとバイトに行ってたのに、明日からは行かなくていい、みたいなのと同じポッカリ感があった”

“ずっとバイト行ってたのに、明日から行かなくていい”という表現は、”自分で辞めた”というよりも”行く必要がなくなった”というニュアンスのほうが強い。喫茶店やローソンの店員、幕張メッセ近くのレストランの厨房のアルバイトをしながら、メジャーデビューを果たしCDが売れ、バイトをする必要がなくなったという直井ならではの感覚かもしれない。

ピックで弾くアルペジオの縛り

orbital periodまで指弾きによるアルペジオによる作曲(『voyager』『花の名』『flyby』『arrows』など)が多かったため、この曲では最初から”ピック弾きのアルペジオ”という縛りをもって曲作りをはじめた。

藤原 “最近アルペジオって言うと結構3フィンガーが多くて。久々にピックで弾くアルペジオから曲を書いてみたんだよ。ハードロックバラードみたいなことになるとおもってたんで。3フィンガーは3フィンガーだけで相当完成された奏法だと思っていて。やっぱピック弾きでやるとアンサンブルしていきたくなる。それが楽しい。だからこの曲もアンサンブルされてるんです”

歌詞

升を追いかけて富士登山した時の曲

2008年の夏、藤原は升を追いかけて富士山を登った。升が富士山に登るという情報を聞いた藤原は、升本人に内緒で、スタッフとともに升の後を追いかけて頂上で驚かせようという企てを行った。気づかれないまま頂上へたどり着き、藤原は升の面前に現れた。きっと驚くだろうと思っていた藤原の予想に反し、升は「ああ、来てたんだ」とすごく落ち着いた回答で骨をくじかれた思いをしたという。このエピソードの途中、富士登山中の夜に飛行機を見たという。尚、COSMONAUTの『セントエルモの火』の歌詞カードページは、富士山が描かれている。

レコーディング秘話

なんとしても叩きたかった升

技術面でハードルが高かった曲で、特にドラムの升や増川は試行錯誤を繰り返した。

 “これはバンプ・オブ・チキンのドラマーとして、僕にとってはすごく大きな曲ですね。これを凄い演奏にしたいんだけどできない、っていうのがまずあって。この曲に向けて変わっていかなきゃいけない部分がすごくあった。今までのスタイルをやめてみるっていう決断をした曲というか・・・そういう決断をしてでも、このドラムを叩きたいなぁというのがあったから。そういう曲”

プレーのスタイルを変えるというのは、技術的にも精神的にも大きな勇気が必要なはずで、それを決断する升にとっては、やはりこの曲は大きな思い入れがある曲な事を伺わせる。

増川 “ギターも実は難しいんですよ。これまでも弾けると思って弾けなかった曲があるんですけど、これもそうで。この手の角度だと永久に弾けないのかな?とか、かなり考えましたね”

増川はユグドラシル以降、白玉(全音符)やかすかに聴こえるバッキングトラックなどのレコーディングに専念し、ライブでのパート演奏をメインとしているが、この曲で自身の課題について真摯に分析している。

ライブ演奏記録

ライブで披露されたことはない!

2016年現在、ライブで演奏された記録はない。これはおそらく、増川が間奏のリフを弾いていると間奏明けのアルペジオが弾けないためだと思われる。