楽曲解説:流星群 vol.1 携帯のメモと水彩絵の具のようなコードワーク

流星群
作詞作曲: 藤原基央
作曲時期:2015年8月
録音時期:2015年10月下旬
リリース:2016年2月10日「Butterflies」M-04
ライブ初披露:2016年4月09日 BFLY at 京セラドーム

「流星群」はBUMP OF CHICKENのアルバム『Butterflies』(2016年)に収録されている楽曲です。温かみのある指弾きのギターアルペジオと抽象的な歌詞が印象的なスローテンポの曲となっています。今回は流星群について解説・紹介します。




2015年夏、流星群を観る藤原

藤原 – 実際、流星群の日があったんですよね。何流星群かは忘れたけど……そんなことも影響しているのかな。これしかなかったんだよ、きっとタイトルは(笑)。アルバムの最後につけたし、そんなこともあって四の五の考えたりもしたんだけど、これ以外になかったんでこうなっちゃいましたね。

MUSICA 2016.03 

宇宙大好きバンドを自称するBUMP OF CHICKEN。流星群といった天体イベントごとに本人たちも観測しているのでしょうか。今年は月蝕や火星大接近がありましたが、そんな夜も未発表曲の歌詞に繋がっているのかもしれませんね。

Special Liveの後に作曲

2015年7月30日 インテックス大阪 BUMP OF CHICKEN Special Liveにてembraceを熱唱するvo. 藤原基央 https://pbs.twimg.com/media/CON4LgOUEAAI4Eu.jpg

Butterflies楽曲 作曲順
You were here(2014年6月)
     ↓
ファイター、パレード、Hello, world!!、コロニー(2014年末)
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Butterfly、大我慢大会、宝石になった日、GO、孤独の合唱(2015年4-7月)
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流星群(2015年8月)

『Butterflies』は前半(2014年6-12月)に作曲されたシングル曲群と、後半(2015年4-7月)に作曲されたアルバム曲群の2つに分類することができます(藤原の作曲時期でありレコーディング時期とは異なる)流星群は2015年夏のSpecial Liveの後に書かれた曲でした。

携帯のメモに残していた歌詞

出さなくたって大きな声 そこからここに響くよ
これほどに愛しい声を 醜いだなんて
あの雲の向こう側の全部が 君の中にあるんだよ
たとえ誰を傷つけても 君は君を守ってほしい

<たとえ誰を傷つけても 君は君を守ってほしい>の一節は、藤原さんの携帯に取っておいたメモから使われました。昔のインタビューで、「思い浮かんでもテープや携帯には録らない。忘れるくらいなら所詮それまでのメロディ」的なことをいっていましたが、歌詞については違うようで、適宜メモを取っているようです

携帯のメモから歌詞に使われた例
“あなたが花なら〜” (花の名) *スノースマイルの頃のメモ

<たとえ誰を傷つけても>・・・

<たとえ誰を傷つけても 君は君を守ってほしい>

“自分の身は自分で守るしかない”という意味であり、悪意に満ちた解釈をする人いないと思いますが、とてもセンシティブな歌詞に感じました (2008年の通り魔事件と「ギルド」の関係を藤原さんが知っているとしたら、尚更不思議に感じました)。携帯に残しておくほどの思いが込められた一節なんですね。




増川のギターレコーディングの取り組み

『Butteflies』のレコーディングでは増川さんのギターパートに変化がありました。

増川 – 今回、僕に関して言うと、(『Butterflies』の)他の曲でもいろいろとチャレンジさせてもらっているところがあったりして。(中略)この曲に関しては、ずっと流れている中心になっているようなフレーズを僕が弾いているんですけど

MUSICA 2016.03

ユグドラシル以降、サビ裏の歪んだ白玉や、メインのバッキングの裏で微かに聞こえるバッキングなど「目立たない」パートを担当していましたが「流星群」では”中心になっているようなフレーズ”をレコーディングします。


最初に聴いた時、サビ裏で鳴っている高音のリフのピッキングニュアンスが増川さんのものだと思いました。藤原さんが「ずっと流れているリフレインは僕がギターで弾いています」と話しているので、それ以外で”ずっと流れている”フレーズはにメインの指弾きのアルペジオの事かと思われます。増川さん、大躍進ですね。

関連記事:増川弘明 vol.2 – BUMP OF CHICKENのギタリストとしての歩み




”滲んだような” サウンド

ユグドラシル以降全般に言えますが、Butterfliesでは不必要に音を重ねるのではなく、必要最低限にシンプルなアレンジが顕著になっています。「流星群」ではコード弾きのバッキングを極端に減らし、アルペジオだけでコード感を表現しました。

藤原 – ベースと、ギターのアルペジオと、もう1本のギターのアルペジオで和音を表現して、っていうような感じでやっていきました。

MUSICA 2016. 03

藤原さん自身、”曖昧で滲んだような、水彩絵の具のようなイメージ”と表現しています。「花の名」「イノセント」「モーターサイクル(A-Bメロ)」にも同様のことが言えますね。

伝達ミスで生まれた壮大なクライマックス

大サビ後のクライマックスの場面、ドラムが激しくなり壮大な感じになります。升秀夫さんのドラムが表打ちになり、直井さんのベース、藤原さん、増川さんのギターもそれに合わせた8分音符で表現します。もとはこんなに長く演奏せず、最後の最後に表打ちになるだけと考えていました。

藤原 – 全部の楽器が最後、全部8回表打ちっていうのをまずやりたくて。そういうふうにまニュピレーターさんにお願いしたら、8小節分も全部の楽器が表打ちになっていて。半端ないな、と(笑)。

MUSICA 2016.03

このままメンバーに聴かせたところ、「かっこいいね!」と反応があったため直さずにこのデモの計画通りにレコーディングされました。




ライブ演奏記録


2016年7月、芝浦スタジオにて”流星群”のギターフレーズを確認する増川弘明。embedded from Twitter@boc_chama

ライブ使用機材

藤原基央 Gibson Les Paul Special (メイン) 
増川弘明 Gibson E-335

ライブでは2016年BFLYツアーとROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016、2017-2018年 PATHFINDERツアーで演奏されています。

PATHFINDERツアーではそれまで定番だった「ガラスのブルース」に代わり、アンコールの”締めの曲”としての大役を勤めています。ライブではアウトロ部分で藤原基央さんが即興の歌詞で歌い上げるのが特徴です。

以上、BUMP OF CHICKENの「流星群」について解釈や解説を紹介しました。ご拝読ありがとうございました。