コラム直井由文

コラム:直井由文の不倫と活動休止について思うことを綴る

コラム

9月25日、BUMP OF CHICKENの藤原基央さん、増川弘明さん、升秀夫さんの3人は連名でコメントを出し、直井由文さんの一時活動休止、直井さんを除く3人でのバンド活動継続を発表しました。直井(チャマ)さんの不倫報道に端を発した一連の騒動について、ずっとBUMP OF CHICKENを見てきた筆者として思うことを書きます。

 

(以下、敬語を省きます)



なぜ直井の行動が問題視されるのか

不倫には2種類あると思っている。

  1. 当人同士が不倫と理解しているもの
  2. どちらかが結婚を隠して結果的に不倫しているもの

どちらも結婚をしている側の家族を裏切っていることに違いないが、正直1に関しては「大人なんだから、当人同士ヨロシクやってくれ」という感じである。第三者であるマスメディアや私達が正義を振りかざしてあれこれ言うべきではない。

しかし直井の不倫は2のパターンだった。妻子持ちである事実を隠してA子さんと交際し、相手の心を傷付けた。ここに正義はない。

 

家族を守るための「嘘」が誰かを傷つけるための「嘘」になったこと

BUMP OF CHICKENの楽曲は老若男女問わず心に響くものだ。一方でメンバーの顔立ちや4人の仲の良さに魅力を感じ、それを切り口としてリスナーになった層がいることも事実である。とりわけインディーズ時代は女性のファンが多く、当時からライブハウスでアイドル的な歓声が上がり、出待ちするファンも多かった。

 

やがてBUMP OF CHICKENは日本を代表するアーティストになり、自分達や家族を守るために徹底的な秘密主義とプライベートを守るようになった。結婚、嫁、子供の存在を公表しない、それは理解できる。しかし家族を守るための「嘘」が、結果的にそれがA子さんを傷付けるための「嘘」となってしまった事が問題なのである。

誰かを守るためのバンドが人の心を傷付けたという事

前述の通り、当人同士が納得している不倫なら「ヨロシクやってくれ」で済んだかもしれない。しかしA子さんは傷を負ってしまった。

 

A子さんは直井と破局後、自己嫌悪と直井の妻への申し訳なさから不眠の日が続き円形脱毛症になってしまったという。夢では、会ったこともない彼の奥さんが出てきて、『なんで』『どうして』と私は詰め寄られていました。今でもバンプの歌がお店などで流れているのを聴くと、当時のことを思い出してしまいます。

引用元:「週刊文春オンライン

 

BUMP OF CHICKENの楽曲が流れると心を痛めてしまうというトラウマを植え付けてしまったことはあまりにも悲痛な事実である。誰かを守ろうする音楽を奏でてきたBUMP OF CHICKENが誰かを傷付けてしまったということに、私はショックを受けた。



コメントから読み取るメンバーの感情

報道から1週間後、藤原と増川と升の3人は連名でコメントを発表し、当面の間は直井を除く3人でBUMP OF CHICKENの活動を継続することを発表した。文章からは3人の目まぐるしい感情ーーー怒り、悲しみ、自責の念を感じた。

 

我々メンバーとスタッフからは、直井へ活動休止を提示し、これを彼は、誤りに対して償い、自身の生き方を見つめ直し、日々助けてくださっていた人達の大切さを改めて学び更生するための機会として自ら捉え、受け入れました

引用:BUMP OF CHICKEN Official Website

 

驚いたのはメンバー3人から直井に対して活動休止を提示したことだった。だが同時にBUMP OF CHUCKENらしいとも言える。家族よりも長い時間を一緒に過ごしている身内だからこそ、あえて突き放しているように見える。

 

また「PONTSUKA!!」で藤原が涙ぐみながら語った言葉の数々にも悔しさが滲み出ていた。誰よりも怒っているし、誰よりも直井のことを信じている、そんな風に感じた。

 

※2021年3月追記 3人から直井に休止を提示したことは後述のNHK「おかえりモネ」の主題歌オファーがすでに決まっていたための可能性がある

3人での活動継続は「正解のない選択肢の中での最適解」

今後の事につきましては何度も話し合い、BUMP OF CHICKENとしての一切の活動を止めるべきなのではないかというところにまで及びましたが、応援してくださっている方々に対して、我々が担っていくべき責任は、今我々に出来る活動の全てを全力で続けていく事なのではないか、という考えから、当面の間、BUMP OF CHICKENは直井を除いたメンバー三人で活動していく、という結論に至りました。

引用:BUMP OF CHICKEN Official Website

 

3人でのBUMP OF CHICKENの活動を継続するということも、バンプらしさを感じた。1週間後には新曲「アカシア」を提供した「ポケットモンスター スペシャルMV『GOTCHA!』」の公開が迫っていたし、ひとつの大人の責任の取り方をだと思う。まだ未発表のタイアップもあると予想され、3人のプロモーション活動はきっちり行うという「正解のない選択肢の中での最適解」を選んだと言えるだろう。

 

※2021年3月追記 NHK朝ドラ「おかえりモネ」主題歌にBUMP OF CHICKEN「なないろ」が決定した。オファーは2020年夏頃であり、今回の騒動より前である

 

ただ、もしも藤原、増川、升の3人が「BUMP OF CHICKENの活動休止」を選んだならば、タイアップ先に違約金を払ってでも活動を止めたのではないだろうか。藤原はそういうスジを通すタイプの男だ。

今後の3人での活動はどうなるのか

おそらく形に残るCDやライブ活動は行わず、レコーディング済みの楽曲でタイアップが決定しているものがあればリリース、3人でのプロモーション活動ではないかと推測する。形に残さないようにするのは直井個人への配慮というよりも、ベーシストはバンド理念を理解できる者であるべきだという「BUMP OF CHICKEN」の純度を高めるためだ。

 

もし本当に「スジを通さなければならない=新録する必要がある」事情が出来たとしたら、藤原がベースラインを入れるかもしれない。

 

※2021年2月追記 公式Twitter(@boc_official_)に藤原がベースを弾く姿が確認された。そして3人でのMV撮影、NHKへの番組出演も決定した。4人での活動形態にこだわっていたのはリスナーである私の方だ。BUMP OF CHICKENは3人でも音楽を鳴らし続けるという覚悟を持っていた。

 

余談であるが「飴玉の唄」をデモ音源を録る際に、急性胃腸炎で入院した直井に変わりベースを仮レコーディングする藤原の写真が高橋日記で掲載された事がある。また18-19歳の時には増川が浪人中であったため、藤原、直井、升の3人でライブに出たこともある。

直井の復帰はいつか

前述の通り、誰かを守る音楽を奏でてきたBUMP OF CHICKENが誰かを傷付けたということ、藤原はこの事実を一番重く受け止めている。

 

直井が復帰して、これまでと同じように活動をしてBUMP OF CHICKENの楽曲が街で流れることでA子さんがまた傷ついてしまうのであれば、本質的な問題の解決にならない。

 

A子さんや直井の妻子が許さない限りBUMP OF CHICKENへの復帰は認めない、時間の問題ではない、藤原ならそうしそうである。早い段階で相手方に理解を得られれば結成25周年となる来年2月11日かもしれないし、あるいはもっと先かもしれない。

 

※2021年3月追記 NHK「おかえりモネ」主題歌のタイアップが決まった。同番組の主な視聴者層は女性であるため大人の事情(社会通念的な配慮)として直井復帰の目処が余計に立ちづらくなったと思う。

友人へ戻った4人がバンド仲間に戻れる日

直井がバンド活動から離れたとしてもメンバーは決して見捨てはしないだろう。もしかしたら頻繁に直井に会いに行っているかもしれない。

 

かつて藤原が16歳で高校中退して家に引きこもっていた時があった。その時はBUMP OF CHICKENのメンバーを含む地元の友人達が家を頻繁に訪れて、藤原の顔を見にきた。今回はその逆だ。

 

2004年「ユグドラシル」でBUMP OF CHICKENは前に進んだ。藤原は「同じドアをくぐれたら」のレコーディングでメンバーに対する手向けの曲として捧げ、バンドとしての覚悟を求め、メンバーはそれに応えた。直井にはどうかその時を思い出して、再びBUMP OF CHICKENの道を進んで欲しい。

 

最後に、リスナーとして、ファンとして前向きなことも書いておきたい。許されることではないが、重罪を犯したわけではない。人間はいくらでも失敗するし、一度の過ちで彼の音楽活動が終わる理由はない。直井のベースに勇気をもらってきたから、また彼のベースを聴きたい。単純にそれだけである。

 

今回の直井の活動休止は、BUMP OF CHICKENのベーシストは直井以外いない、それを全員が分かっているからこその厳しい決断を下したのだと思いたい。また4人の姿をステージで見れる日が来ることを願う。

 

 

※2021年6月7日 管理人追記
6月6日、直井由文さんのBUMP OF CHICKENベーシストとしての復帰が発表されました。「PONTSUKA!!」での神妙なトーンでの直井さんの謝罪が印象的でした。これからのチャマさんのベースに期待します。