10th Album『Iris』

BUMP OF CHICKEN「青の朔日」歌詞の意味と制作エピソード

10th Album『Iris』
アルバム「Iris」

「青の朔日」はBUMP OF CHICKENが2024年に発表したアルバム「Iris」収録曲です。

「青の朔日」はボーカル・藤原基央さんによって全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 “be there”」期間中に、タイアップ作品のために書き下ろされました。

歌詞について、真っ暗な世界の中でBUMP OF CHICKENの音楽を目印に見つけてくれるリスナーに対する強い気持ち、ステージで感じることを歌ったといいます。「青の朔日」の歌詞の意味、制作エピソードについて解説します。



「青の朔日」基本情報

アルバム「Iris」

作詞・作曲 藤原基央
編曲 BUMP OF CHICKEN & MOR
作曲時期 2023年4月下旬〜5月11日
収録作品 2024年9月4日 アルバム「Iris」
ライブ初披露 2024年9月7日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 “Sphery Rendezvous”」埼玉公演




「青の朔日」作曲背景

2023年4月下旬〜5月11日、ボーカル・藤原基央さんは「青の朔日」を作曲します。

全国ツアー「be there」期間中に書いた曲

2023年2〜5月、BUMP OF CHICKENはアリーナツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 “be there”」として全国各地でライブを行います。

2023年「be there」ツアートラック

そのツアー期間中、藤原さんは少しずつ「青の朔日」を書いていきます。

藤原 – ツアー中にちょっとずつ書いた曲だからさ。ワンコーラス書いてライヴに行って、戻ってきてまたワンコーラス書いてまたライブに行ってっていう繰り返しだったんだけど。

引用元:「MUSICA」2024年10月号

2023年5月3日の広島公演MCにて、藤原さんは以下のような発言をします。

藤原 – いま曲を作っています。この前スタジオ入って、1番のAメロ、Bメロあたりまでできました。(中略)13時にスタジオ入って、気づいたら21時になってもうこんな時間かってなってさ。

2023年5月3日 広島公演MCにて

東京に戻った2023年5月10日、藤原さんはスタジオに入り新曲の2コーラス目まで作曲し、翌日自宅で曲の続きを書き上げ「青の朔日」を完成させます。

BUMP OF CHICKEN初となる和歌山公演へ移動する前日のことでした。

2023年5月12日 和歌山県に移動して散策するBUMP OF CHICKENのメンバー。この前日に「青の朔日」が生まれている。(画像埋込元:@boc_chama

2日後の和歌山公演のMCにて、藤原さんは新曲を書いたことを会場のリスナーに明かします。

藤原 – 先一昨日か、ひとりでスタジオ入って2番まで書けたんだ。それで夜寝て次の日、だから一昨日か。俺ん家にいて、最近はやってないんだけど、俺ん家で曲が書ける気がしたんだ。それでギター弾いて歌って、曲ができました。

2023年5月13日 和歌山公演MCにて

このようにツアーの合間に少しずつ書き、各地の会場で報告しながら完成したのが「青の朔日」です。

「青の朔日」はタイアップ書き下ろし曲

「Iris」発売時、藤原基央によるコメント(画像埋込元:@boc_official_

2024年9月4日、「Iris」リリースに合わせて藤原基央さんは公式SNSでコメントを発表し、「青の朔日」について言及しています。

藤原 – 「青の朔日」も、とある作品の主題歌として書いたものです。そのうち発表になると思うから楽しみにしていてね。

しかし「青の朔日」のタイアップ作品は2026年現在も未発表のままです。作曲から3年経過してもタイアップ作品の情報が解禁されないことから、諸事情で公開が延期されている作品だと推測します。

藤原さんが「そのうち」と時期を指定していることから、もともと年内には予定していた作品だと思われます。

「青の朔日」歌詞の意味

be thereのステージ上で観客先を見つめる藤原基央(画像埋込元:音楽ナタリー様)

藤原 – “青の朔日”という曲は、そのツアーでステージに上がってる時に感じたことが歌詞になってるし、音にも出てるなっていう認識ですね。

引用元:「MUSICA」2024年10月号

「青の朔日」の歌詞は、全国ツアー”be there”のステージ上で感じたことが強く反映されているといいます。

藤原さんがステージで感じていることとは一体どんな思いなのでしょうか。

寂しさと強い気持ちが共存する2行

青の朔日 
これはきっと帰り道 夢の向こうに続く道
綻びた唄を纏えば 何も怖くない

引用元:「青の朔日」 (2024年) /BUMP OF CHICKEN

1番サビの2行について、藤原さんは〈ものすごい寂しい気持ちと、ものすごい心強い気持ち〉が同居している感覚だといいます。

ライブで全身全霊を込めて歌う中で、自分がどこにいるのか、どうやって来たのかわからなる瞬間がありつつ〈絶対来たかった場所である〉と確信を持つそうです。

藤原 – ここへの来方とかも覚えてないけど、ここは絶対来たかった場所で。でも横にはこいつらがいて、目の前にはあなたがいて、これは迷子ではなくてみたいな。(中略)そうとしか説明できないところで全力で歌っている感覚があって。それが表れた2行だと思いますね。

引用元:「ROCKIN’ON JAPAN」2024年10月号

この「帰り道」という感覚は「リボン」の頃から歌ってきていると藤原さんは補足しています。

藤原基央がステージ上で強く感じること

藤原基央 2019年9月 新木場コーストにて 引用:Twitter@boc_chama

藤原さんは全国各地を巡り、目リスナー1人ひとりに向かって歌っている現実が〈いつ終わるかわからない恐怖〉という感覚を覚えます。

青の朔日
明日が全てを失っても
あなたの鼓動だけは歌ってほしい

引用元:「青の朔日」 (2024年) /BUMP OF CHICKEN

藤原 – 明日世界が滅びるかもしれない、もう二度と会えないかもしれない恐怖見たいのなものがすげえあって。結局、人生ってそういう時間の連続でできているわけじゃないですか。

引用元:「MUSICA」2024年10月号

その刹那の時間の中で、BUMP OF CHICKENのライブを観にきてくれた人が目の前にいること、自分の音楽に手を伸ばしてくれてる人に対し強い感情を抱くといいます。

「Iris」発売時のインタビュー「MUSICA」2024年10月号

藤原さんは、リスナー1人ひとりにそれぞれの生活があり、自分たちの音楽も少しずつ忘れられてしまう残酷な事実を受け止めながら、それでも音楽を受け止めてくれる刹那の瞬間に大きなものを渡したいという感情を持ちます。

青の朔日
あなたのいる世界が続いてほしい
ならば私は戦える
たとえその時 側にいないとしても

引用元:「青の朔日」 (2024年) /BUMP OF CHICKEN

藤原 – ライブが終わったら、それぞれの生活に帰っていく、その時には側にいられないじゃないですか。ついていきたくても行けないじゃないですか ーーーというのが(中略)<たとえその時 側にいないとしても>ってことです。

引用元:「MUSICA」2024年10月号

藤原さんがさまざまな曲で触れている考え方〈始まれば終わりは必ずやってくる〉という摂理の中で、自分たちの音楽を信じて聴いてくれる人に対する気持ちの昂りが歌詞に込められています。

 

暗闇の中に目印があるイメージ

「青の朔日」の朔日(さくじつ)とは新月を意味します

藤原さんは新月を〈真っ暗な世界〉のモチーフとし、音楽という小さな明かりによって暗闇の中で見つけてもらった感覚、あるいは会いたい人を探すような感覚を表現したといいます。

藤原 – 真っ暗な世界の中で見つけてもらった感覚というか、あるいは真っ暗な中で会いたい人を探すような感覚というか。

引用元:音楽ナタリー

真っ暗の中で自分と相手を結びつけた接点は〈音楽〉であり、それは小さくて強い明かりでした。

藤原 – それ(明かり)を追いかけているみたいな感覚もあるし、それを松明のように灯してあたりを照らしているような気持ちになるときもある。ライブにおいてはその明かりを真ん中に、それを目印に待ち合わせて集合するような感じもある。

引用元:音楽ナタリー

この明かりのイメージは、「Iris」制作初期の曲「アカシア」「Flare」の時期のインタビューでも同様に語られています。

藤原 – 聴いてくれる人の存在は、洞窟を照らす松明のようなもので。あの時、僕が見ていた灯台や松明が、目の前にいるって思えたのが『aurora ark』だった。

引用元:「CUT」2021年1月号

「アカシア」は全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 “aurora ark”」の光景を見て、同様にリスナーへの強い感情がきっかけとなって生まれた楽曲です。

その後に書かれた「Flare」の一節〈いつか終わる小さな灯火〉も、オーディエンスの存在の意識の表れと語っています。

〈目印〉は「メロディーフラッグ」、〈松明〉は「トーチ」といった過去の楽曲でもモチーフとして使用されており、藤原さんの中に古くからあるイメージです。

ことに「Iris」期ではリスナーの存在が作曲の強い原動力になっており、「青の朔日」もリスナーの存在が歌詞の主題といえるでしょう。

 

「青の朔日」制作エピソード

「青の朔日」の制作に関してはインタビューで触れられておらず、情報は限定的です。ツアー終盤と並行して制作が行われたと話していることから、2023年5〜6月頃に制作が行われたと推定されます。

バンプ屈指の複雑なコード進行

「青の朔日」はBUMP OF CHICKEN屈指の複雑なコード進行でコードの転換も多い楽曲です。このことは藤原さん本人も完成時のライブMCで語っています。

藤原 – 本当は今ギター持って歌いたいけど、なんか結構コード難しくしちゃって俺まだ弾けねぇんだ(笑)自分で書いたのに。

2023年5月13日和歌山公演MCにて

「青の朔日」の一部に「透明飛行船」を彷彿とさせるコード進行があります。「透明飛行船」は”be there”で演奏されていた楽曲で、キーも押さえ方も異なりますが、他の楽曲にはないレアな進行のため無意識下の影響を感じさせた可能性があります。

尚、「青の朔日」はレギュラーチューニングのギターが用いられ、A〜BメロをD#キー、サビからCキーへと転調しています。どちらも結成28年目にして初めて使用されたキーです。

藤原基央が気に入っているギターフレーズ

藤原 – あとはギターのリフがめちゃくちゃ気に入っていて。そういえばこういうエモみたいなアンサンブル久しぶりだったなと。もうギターソロいらないって。間奏はこのフレーズ聴かせるだけでいい、みたいな。

引用元:「ROCKIN’ON JAPAN」2024年10月号

「Iris」発売時のインタビュー「ROCKIN’ON JAPAN」2024年10月号

藤原さんが気に入っているギターリフはこの1:43〜で弾かれているフレーズです。

*この動画はリリース当日にSNSにアップしたものです。ライブで判明しましたが、藤原さんと増川さんはレギュラーチューニングに3カポ装着して演奏(D#→Cキー)していました。

 

「青の朔日」ライブ演奏記録

演奏回数 10回  
初披露 2024年9月7日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 “Sphery Rendezvous”」埼玉公演
演奏ツアー
2024年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 “Sphery Rendezvous“」




BUMP OF CHICKENのライブで「青の朔日」の演奏回数は76回です。アルバム「Iris」のレコ発全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 “Sphery Rendezvous”」では、「邂逅」と日替わりセットリストとしてDAY1公演で演奏されました。

増川のライブでのギターの音作りへのこだわり

ギタリスト・増川弘明さんは、Sphery Rendezvousでの「青の朔日」の演奏に向けてギターサウンドをかなり作り込み、1曲の間に7つの音を切り替えていると明かしています。

ライブではレギュラーチューニングのGibson Les Paulに3フレットにカポタストを装着して演奏していました。

曲の途中でスネアの音を変えている升秀夫

「青の朔日」のライブ演奏で升秀夫さんは初めての挑戦に試みました。原曲のレコーディングではサンプリング音源と生ドラムの両方のリズムが入っており、曲の途中でスネアドラムのミュート器具を脱着して音を変えています

これはBUMP OF CHICKEN 28年の歴史において初めての取り組みだったといい、升秀夫さんのドラムの幅が広がる発明でした。

「青の朔日」ライブ映像作品

映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR Sphery Rendezvous at TOKYO DOME (2 blu-ray)」※限定生産(2024年11月25日金沢歌劇座公演)

「青の朔日」のライブ映像は限定生産盤の金沢DAY1公演に収録されています。

以上、BUMP OF CHICKEN「青の朔日」の歌詞の意味と制作エピソードについて解説しました。