「ベンチとコーヒー」はBUMP OF CHICKENのアルバム『jupiter』に収録されている楽曲です。
「ベンチとコーヒー」はボーカル・藤原基央さんからベーシスト・直井由文(チャマ)さんへ誕生日プレゼントとして贈られた曲です。
藤原さんから直井さんへ渡した曲に込めた想いとは何か。「ベンチとコーヒー」の歌詞の意味と二人の仲良しエピソードを紹介します。
「ベンチとコーヒー」基本情報
3rd Album「jupiter」(2002年2月)
タイトル | ベンチとコーヒー |
収録時間 | 6分13秒 |
作詞・作曲 | 藤原基央 |
作曲時期 | 2001年12月 |
収録作品 | 2002年2月20日 アルバム『jupiter』 |
ライブ初披露 | 2002年1月30日 FM AICHI Presents『COLLABORATION 807』 |
藤原基央からチャマへの誕生日プレゼント
「jupiter」期のプロモーション写真 出典: tower.jp
幼稚園からの幼なじみで結成されたBUMP OF CHICKENの4人は仲が良い事で有名です。メンバーの誕生日にはパーティを開き、プレゼントを渡してお祝いしています。
2001年10月9日、チャマさんの誕生日にドラムの升秀夫さんはロボットのおもちゃ、ギターの増川弘明さんはセーターのプレゼントを贈ります。
12月に実際にあった1日を書いた曲
藤原さんは「自分にしかあげあれないもの」という発想で曲の制作にとりかかったものの、なかなか作れずに誕生日を過ぎてしまいました。2ヶ月が経過した12月のある日、実際にあった一日を唄にすることにします。
ベンチとコーヒー 0:17〜
青いベンチに座って
あったかいコーヒーを飲みました
これから昇る太陽が 東の空を染めました
引用元:ベンチとコーヒー / 藤原基央 (2002年)
藤原 – そういう1日が実際あったんですよ。「こんな歌を明日お前に渡せたらいいなぁ」っていう俺も、実際いて。必然的に誕生日プレゼントになったんだけど。誕生日、もう2ヶ月も前にすぎてて、「待っててね、待っててね」とかずっと言ってたんだけど。(中略)後悔のないものをプレゼントしたいって思ってたら、こういうものが出来上がって。自然の成り行き。チャマに誕生日プレゼントを書くぞ!とか思って書いた曲ではないです
「ベンチとコーヒー」を受け取ったチャマの反応
巣鴨の「ホワイトロードスタジオ」で、藤原さんは「遅れたけど、これ」といってチャマさんに手書きの歌詞カードを渡します。受け取ったチャマさんはしらけた風に顏を作りつつ、2階へあがり泣きました。
直井 – 曲をもらったのは初めてな訳じゃないですか。で、藤原の得意なもので。やっぱいろいろかんがえますよね。あと俺もやっぱ作る人間だから、初めてこの詞を見た時に革命的というかね(笑)、もう何回も何回も読み返して、藤くんより読んでんじゃねぇかっていうぐらい。やっぱね、藤くんの字っていうのは、すっごい良い字なんですよ。才能にあふれる字です。芸術的なんですよ。だから額に入れても映える!
チャマさんはこの時にもらった『ベンチとコーヒー』の藤原さん手書きの歌詞を額に入れて自宅で飾っています。
また”俺もやっぱ作る人間だから” という発言に直井さんの自負が伺い知れます。当時の直井さんは「ベストピクチャー」(作曲)「彼女と星の椅子」(作詞作曲)をバンドで発表しており、藤原さんに対する世間の評価を認めつつも、自分もBUMP OF CHICKENを大きくしているんだという対抗心が読み取れます。
チャマにとって特別な楽曲
直井 – うん、もう贔屓してますよ。宣言する(笑)。だから例えばTシャツを作る時も”ベンチとコーヒー”とか書いてあったり、PV作る時も『ベンチとコーヒーがいいなんじゃないかな』とか言ってみたり。
「R.I.P./Merry Christmas」(2009年) のインタビューで思い出に残るクリスマスプレゼントを聞かれて「ベンチとコーヒー」と答えていたチャマさん。今でも特別な1曲のようですね。
BUMP OF CHICKENの楽曲として
藤原 – パーソナルな曲を書く時に、独りよがりの世界で終わってしまう曲だったら、世に出す必要もないわけで、やっぱそういう曲を自分の曲のように聴いてくれるリスナーの人もいるわけで。『ちょっとこの思いでに遊びにこない?』みたいな感じで、ドアを開けてあげる必要があると思うんですよ。バンプオブチキンは、ライブで、皆の前で歌いたいバンドだから、演奏したいバンドだから、そういう風にはしたいっすね、最終的には。
藤原さんはスタッフに子供が生まれた時に「Stage of the ground」という曲を書きました。やはりその時も、「出発点は友人への贈り物だけれども、BUMP OF CHICKENの楽曲として歌いたい内容にした」と語っています。
升さんと増川さんは「ベンチとコーヒー」がチャマさんに贈られた曲だと知りつつも特別な意識をせず、通常の曲と同じ意識でレコーディングしたとインタビューで明かしています。
「ベンチとコーヒー」ライブ演奏記録
演奏回数 | 15回 |
演奏レア度 | ★☆☆☆☆ |
ライブ初披露 | 2002年1月30日 FM AICHI Presents『COLLABORATION 807』 |
最終演奏 | 2004年10月8日「MY PEGASUS」at ZEPP SENDAI |
演奏イベント | 2000年 FM AICHI Presents『COLLABORATION 807』 2002年 B.O.C Presents 「ポキレツ珍百科」*大阪公演のみ 2002年「POKISTA21」*全公演演奏 2014年「MY PEGASUS」*仙台1公演のみ |
BUMP OF CHICKENのライブで「ベンチとコーヒー」は15回演奏されています。実質1本のツアーのみ披露されておりライブでのレア度が高い楽曲です。
「jupiter」リリース前に演奏されていた
「メロディーフラッグ」同様、「jupiter」発売前にライブ演奏された曲のひとつです。2002年1~2月のくるりとの対バンイベントで初披露されました。
直井由文にメインボーカルを任せるサプライズ
2004年10月8日 マイペガサス 仙台公演 引用:excite.jp
ワンマンツアー「POKISTA21」で全公演演奏されてます。2004年10月8日「MY PEGASUS」仙台2日目の本編で1回のみ演奏されており、2020年現在これが最後の演奏となっています。その日はチャマさんの誕生日前ということで、サプライズとして本人に内緒で「彼女と星の椅子」を演奏したライブです。(「ベンチとコーヒー」は事前に練習しており、本編セットリストとして組み込まれていました)
ライブでのギター演奏
「ベンチとコーヒー」のライブバージョンではイントロのリードギターは藤原さんが演奏し、増川さんはAコード [xx067x]をバッキングしています。藤原さんの弾くイントロは、CD音源で2本使って録音されているパートを1本のギターで再現しています。
以上、ベンチとコーヒーについて紹介しました。二人に仲の良さを象徴するこの曲を、またいつかライブで聴ければいいですね。