カップリング曲直井由文

「彼女と星の椅子」チャマ17歳、初めてのオリジナル曲

カップリング曲

「彼女と星の椅子」はBUMP OF CHICKENのCD『ハルジオン』に収録されているカップリング曲です。

 

「彼女と星の椅子」はBUMP OF CHICKENの楽曲の中でも2曲しかないベーシスト・直井由文さんによる作曲です。

 

この記事では「彼女と星の椅子」の歌詞の意味と制作エピソードを解説していきます。



「彼女と星の椅子」基本情報

作詞・作曲藤原基央・直井由文
作曲時期1996-1997年
録音時期2001年
リリース2001年10月17日『ハルジオン』M-02
ライブ最終披露2017年10月9日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」静岡公演

 

「彼女と星の椅子」作曲エピソード

チャマ17歳、初めての作曲

1996〜97年、BUMP OF CHICKENのメンバーは地元・千葉県で練習をしながら、大会やライブハウスで音楽活動をしていました。

 

1996-1997年のBUMP OF CHICKEN
・直井由文・・・調理師専門学校
・藤原基央・・・フリーター(高校中退)
・増川弘明・・・佐倉高等学校
・升秀夫   ・・・佐倉高等学校

 

練習場所はベース担当の直井由文(チャマ)さんの実家・居酒屋「おおいわ」です。メンバーは定休日である毎週火曜日にガレージでバンド練習をしていました。

 

4人の中で一番帰りが遅いのは通っている調理師専門学校が遠かったチャマさんです。ある日、いつも通りガレージに最後にやってきたチャマさんは「藤くん、ちょっといい?」と得意気な顔で藤原さんを2階の自室に連れて行きます。

ベース2本で作られた世界観

チャマさんが聴かせたカセットテープは、歌のない2本のエレキベースが鳴っている音楽でした。歌が入っていると思った藤原さんはその斬新な音楽に衝撃を受けます。

 

直井 – 藤くんに、超恥ずかしいけど曲作ったから聴いてよっつって(笑)

藤原 – 聴き終えて、『いつはじまんの?』って

直井 – ははははは

出典:「ROCKIN’ ON JAPAN」 2008年06月号 vol.333

 

別のインタビューでも同じように答えています。

 

藤原 – よし!って思ったら、ブチって切れて(笑)『えっ!?まだ始まってないよ?歌もないし、メロも入ってないし』って

直井 – 俺は『よくできた!』って(笑)

MUSICA 2008.07

 

藤原さんにとってカセットを聴いた時のエピソードは切り離せないようです。この直井さんの録音したテープが形を変えて「彼女と星の椅子」の原型になりました。

 

MTR(マルチトラックレコーダー)最初期、デモテープ制作用に1人8,000円ずつ払って共同購入したMTRがあった。居酒屋「おおいわ」のガレージにてそれらしきものが確認できる。普段は藤原が保管し、直井はこの時に借りて録音していた。

 



CHAMAのパンク愛が詰まった曲

デモテープ「アルエ」のジャケット(イラスト:直井由文)

藤原さんと直井さんは「ベース2本の曲」をバンド用にアレンジしていきます。

 

藤原 – 当時は適当な英語でやってたんですけど。まずベースしか入ってなかったからコードをつけて・・・

出典:「MUSICA」 2008年7月号

「MUSICA」2008年7月号 カップリング全曲解説

藤原さんがギターをローコード(シャリーンっていう感じ)で演奏すると、直井さんは「そんなのヤだ!イメージと違う!」と拒否します。

 

直井さんはパンクサウンドに傾倒(藤原さん曰く”パンク坊や”だった)していて、ギターもパワーコードで演奏するなど、直井さんのイメージを大切にしながらバンドサウンドにアレンジしていきました。

 

次に藤原さんが英語で歌詞とメロディをつけていきます。

 

藤原 – で、これに歌つけてっていう風に言われて。おっしゃあ、歌うわっつって歌って。まあ当時は英語でやってたんで。英語っつってもめちゃくちゃ英語ですけど。

出典:「ROCKIN’ ON JAPAN」 2008年06月号 vol.333

 

ちなみにサビの <こんな損なことはないよ?>という歌詞の<こんな>はもともと<So far>という英語でした。

 



インディーズ前にライブで歌われていた原曲

「彼女と星の椅子」のプロトタイプは、BUMP OF CHICKENの楽曲としてライブハウスで歌われてきました。

 

インディーズ楽曲の作曲順推定図

 

「彼女と星の椅子」の原型は、BUMP OF CHICKENの楽曲の中でも古い「ナイフ」「アルエ」と同じ頃の楽曲です。

 

1stアルバム『FLAME VEIN』の「とっておきの唄」「ノーヒットノーラン」よりも古く、歌も英語詞曲のメロディを残しています。

 

チャマの『あの曲やろうよ!』で復活

 

「ハルジオン」(2001年10月)

次第に日本語の楽曲を中心に演奏され、結果的に封印された「彼女と星の椅子」の原曲。メジャーデビュー後、復活することになります。

 

2001年春〜夏、直井さん本人が「あの曲やろうよ!」と自作デモテープを持ってきます。テープにはきっちりと当時のメロディーが打ち込まれていました。

 

藤原 – この時のチャマの打ち込みがちゃんと、俺が当時歌ってたメロディが入ってて。ああ、覚えてくれたんだなってね、それが嬉しくてね

出典:「ROCKIN’ ON JAPAN」 2008年06月号 vol.333

 

当時の歌メロディーはそのままにベースラインは刷新されていました。

 

藤原 – ベースラインとかも、その当時のイケイケなものではない、別のイケイケのものに変わっていて。

MUSICA 2008.07 

 

日本語の「彼女と星の椅子」へ

復刻版のデモテープを持ってきて直井さんに対し、藤原さんは「直井さんが歌詞を書くなら」という条件でOKします。

 

「彼女と星の椅子」ライブ演奏記録

演奏回数28回
演奏頻度★★☆☆
初披露2002年1月26日 FM NORTH WAVE Presents 『NBQ』 ZEPP SAPPORO
最終演奏2018年10月9日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」静岡公演
演奏ツアー2002年  イベントライブ
2002年「POKISTA 21
2003年「NINJA PORKIN
2004年「MY PEGASUS
2017-2018年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」※直井弾き語り

「彼女と星の椅子」はライブで28回演奏されています。全国ツアー「POKISTA 21」「NINJA PORKIN」などで演奏され、バンドバージョンでの演奏は2004年を最後となっています。

 

BUMP OF CHICKENでも数少ない直井さんによる作曲という特性から、直井さんにまつわる日付でのサプライズ演奏が行われています。

サプライズ演奏① センターボーカル・直井由文

2004年10月8日、「MY PEGASUS」 ZEPP SENDAI公演のアンコールで「彼女と星の椅子」が演奏されました。

 

直井さんだけが演奏することを知らされていないサプライズ演奏で、さらに藤原さんに促された直井さんがセンターマイクで大サビを歌うという特別なステージとなりました。

 

アンコールで「彼女と星の椅子」演奏後

直井 – これは初めて作った曲です。ベースだけで作りました。藤くんには最初「何これ?」って言われた。

藤原 – だってベースだけだったんだもん。

直井 – 歌詞は藤くんと2人で作りました。

2004年10月8日「MY PEFASUS」ZEPP SENDAI公演 MC

サプライズ演奏② 直井由文ギター弾き語り

2017年10月9日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」 静岡公演では、直井さんから観客へのサプライズとして、ギター弾き語りで披露されました。

 

「彼女と星の椅子」ライブ映像

  • NHK BS-1「真夜中の王国」

 

以上、「彼女と星の椅子」の楽曲解説でした。

Eye-Catch Photo by Hernan Piñera

フォロー
The Chickens