話がしたいよ:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2018年3月以降
リリース:2018年11月14日 「話がしたいよ/シリウス/Spica」 M-01
ライブ初披露:2018年10月19日 テレビ朝日系「ミュージックステーション 2時間SP」
「話がしたいよ」はBUMP OF CHICKENが2018年11月に発表したシングル曲です。
過密スケジュールに体力をなくしたボーカル・ギターの藤原基央さんの心模様が”バス停に座った視点”から見た景色で書かれています。
この記事では「話がしたいよ」の歌詞の意味や制作エピソードについて解説します。
怒涛のタイアップオファーと藤原の体力消耗
2018年2月11日さいたまスーパーアリーナ公演 embedded from Twitter@boc_chama
2017年9月〜2018年3月までPATHFINDER (全国29公演) を開催していたBUMP OF CHICKEN。その裏では複数のタイアップのオファーが来ていました。
・TVアニメ『重神機パンドーラ』ED曲「Spica」
・ソーシャルゲーム『妖怪ウォッチワールド』CM曲「望遠のマーチ」
これら3曲の作曲・制作をツアー終盤のライブと並行して行っているところに、新たに3曲書き下ろしのオファーが来ます。そのうち1曲が川村元気氏プロデュースの『億男』主題歌です。
楽器を鳴らすレコーディングと違い、曲を生み出す「作曲」は非常にセンシティブな行為で精神的、体力的に消費を伴うものでした。
その結果、藤原基央さんの体力は消耗しました。
疲れている状態をそのまま詞にした曲
ツアー終了後、曲作りのスタジオに入っても曲が生み出せない藤原さん。
客観的に体力切れだと認知し「今だからこそ書ける曲」として生まれたのが「話がしたいよ」です。
藤原 – わりと過密スケジュールだったので、すげえ疲れて。”シリウス” “Spica” 書いて、”望遠のマーチ” 完成させて、『疲れたなぁ…』っていうのがそのまんま曲になった(笑)
引用:ROCKIN’ ON JAPAN 2019年7月号
藤原さんはこれまでにも「疲れている時に書いた曲」「力の抜けた状態で書いた曲」を書いています。どれもミディアムナンバーなのは面白い傾向ですね。
バス停のベンチから見えた景色とは
「話がしたいよ」の歌詞には「バス」「ベンチ」「ガム」「信号機」といった生活感のある情景が書かれています。
藤原 – その体力切れの状態で、素潜りするのはやめてとりあえず『ちょっと待って』って言って、僕はベンチに座ったんですよ。それがきっと”話がしたいよ”におけるバス停だったんだと思うんです。
引用:CUT 2018年11月号
藤原さんの精神状態をオン/オフで表すと、オンの状態が「バス」に乗っている状態で、いつ来るかわからないバスを待っている状態(オフモード)がバス停に座る藤原さんのように感じます。
<だめだよと いいよとを 往復する信号機>はまさに藤原さんの心理状態を表しています。最後にバスが停まってドアが開くところ、バスに乗ったのか乗らないのかわからないまま終わっているところが詩的ですね。
「メロディーフラッグ」という曲の<疲れたら ちょっとさ そこに座って話そうか>という詞の一説を思い出します。藤原さんにとってひと休みすることは「腰を掛ける」イメージなんでしょうか。
CDジャケットとボイジャー1号
25th Single「話がしたいよ/シリウス/Spica」(2018年11月14日発売)
CDジャケットの写真は無人宇宙探査機ボイジャー1号が最後に送信した写真です。ボイジャーから見た地球と言われています。
デモテープのボーカルとギターを収録
「話がしたいよ」の音源にはデモテープ制作時のテイクが使用されています。ボーカルと2番のエレキギターのリフです。
藤原 – 2番から入ってくるエレキギターのフレーズも、俺がデモで弾いたやつをそのまんま使ってます。歌もギターも、『はあ、疲れたなあ…』って言って曲書いて、そのモードで歌ってるし、そのモードで弾いてるし。それが出てるんだよなあ。
引用:ROCKIN’ ON JAPAN 2019年7月号
曲の内容の状態でのボーカルテイクが反映されています。デモ制作段階から手を抜かず、何事にも本気で取り組んでいる制作姿勢が伺えますね。
「イノセント」(2010年)間奏のシンセサイザー
「ほんとのほんと」(2012年)ボーカルテイク
「Spica」ボーカルテイク
「話がしたいよ」ボーカルテイク
「話がしたいよ」2番からのエレキギターのリフ
本番用として録音したテイクと比較して、デモテイクを選んだはずなので本番用のテイクも聴いてみたいですね。
Fender Jazz Masterを使用する増川弘明
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ギタリストの増川弘明さんはFende Jazz Masterを使用している写真が残っています。同時期に3カポでGsus4コードを押さえる曲は「話がしたいよ」しかないため同曲だと判ります。撮影自体は夏以前のもので、instagramの投稿はリリース直前の10月に行われました。
映画館にいるつもりでマスタリングしてます。 pic.twitter.com/N7Hgvtt8tB
— YASMAN MAEDA (@yasmanmaeda) 2018年8月7日
マスタリングエンジニアの前田氏のツイートから2018年8月8日にはレコーディングが完了しマスタリング段階に入っていることがわかります。
MV撮影場所・ロケ地・バス停
バス停:イメージスタジオ109前
撮影スタジオ:イメージスタジオ109 目黒スタジオ
建築家安藤忠雄氏の作品である「光の教会」をモチーフにしたセットが組まれています。
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増川さんの奥に映る機材置き場から目黒スタジオ内の「M2 Studio」というスタジオが使用されていることがわかります。
屋上:HOXTON STUDIO(碑文谷ばんらいマンション)
embedded from HOXTON Studio
ライブ演奏記録
2018年10月19日に「ミュージックステーション 2時間SP」で初披露されました。(・・・が、藤原基央さんのボーカルこそ生歌であるものの楽器の音は全てアテフリでした。リハーサル時間や音響演出の都合上仕方のないことかもしれません)。
同年12月の「COUNTDOWN JAPAN 18/19」では生演奏で披露されています!
以上、「話がしたいよ」の解説でした。新ツアー「aurora ark」での披露が楽しみですね。