楽曲解説:シリウス vol.2 スリルなプレイと2種類のギターの音

シリウス:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2017年12月
録音時期:2018年2月-3月
リリース:2018年9月24日 11th 配信限定シングル
      *2018年11月14日 25th Single CD
ライブ初披露:TBA
楽曲キー:半音下げA・C *転調曲

「シリウス」はBUMP OF CHICKENが2018年に発表したシングル曲です。2018年9月に配信限定シングルとして、11月にトリプルA面シングルとしてリリースされています。

バンプ特有の疾走感溢れるギターサウンドと曲中の転調が印象的な1曲です。この記事では「シリウス」の意味や制作エピソードを紹介します。



おおいぬ座の恒星シリウス

ハッブル望遠鏡から撮影したシリウスAとシリウスB embedded from wikipedia and acknowledged as CC

シリウスは(太陽を除いて)地球上から見える最も明るい恒星です。おおいぬ座を構成する恒星でシリウスAとシリウスBの連星になっています。その明るさから世界各地で古代から数々の伝説や伝承の対象となった星です。

2017年12月、PATHFINDERツアー中に作曲

2017年12月16日石川県産業展示館4号館公演のアンコールで「Merry Christmas」を歌う藤原基央。「シリウス」はこの時期に書かれた。embedded from instagram@bumpofchickenofficial

「シリウス」は全国29公演を廻った TOUR 2017-2018 PATHFINDER の期間中に作曲されました。

これまでツアー中に書いた曲とは違う温度で書かれた1曲

藤原さんは「firefly(2012年)の頃からツアー中に作曲も行うようになりました。

ツアー期間中に藤原基央が書いた曲firefly (2012年 *GOLD GLIDER TOUR)
You were here (2014年 *WILLPOLIS 2014)
アリア (2016年 *BFLY)
シリウス (2017年 *PATHFINDER)
Spica (2017年 *PATHFINDER)

それらの楽曲はツアー中に感じたものや熱量が多分に反映された内容でしたが、今回の「シリウス」ではツアーの影響は少なかったといいます。

藤原 – 今回の”シリウス”は、わりとそういう(ツアーの影響が反映されている)感じではなくて。転調あるし、こういうコード進行もないんです。ツアー中の生理には。

引用:ROCKIN’ ON JAPAN 2018.08

なぜ藤原さんはいつもと違う温度で曲を書いたのでしょうか。その理由はタイアップ先にありました。

アニメ『重神機パンドーラ』と「BUMP OF CHICKEN」の重なるテーマ

BUMP OF CHICKENがタイアップ曲を制作する際は、作品とバンプの2つが重なり合う部分をテーマに楽曲制作されます。(下図)

TVアニメ『重神機パンドーラ』のタイアップの話が出た際、藤原基央さんと製作総監督河森氏が設定資料をもとに打合せをしました。

藤原 – その (重神機パンドーラとBUMP OF CHICKENの)重なっている部分がわりと重めで。だから非常にロジカルな作業だったんですね。

引用:ROCKIN’ ON JAPAN 2018.08

藤原 – そこでお話いただいたのは量子力学とかの話だから正直難しかったんですけど(笑) 

引用:CUT 2019年7月号

かなり設定に凝った世界観のようで、その緻密な世界観が藤原さんの作曲姿勢にも影響を与えました。

『重神機パンドーラ』あらすじ

2031 年、「翔龍(シャンロン)クライシス」が起きたその日、レオン・ラウはまさにその中心にいた。枯渇する環境資源の代替として研究、開発された次世代エネルギー装置「量子リアクター」が暴走し未知なるエネルギーを撒き散らし爆発したのだ。それにより世界の環境は激変した。人類以外の生物や機械は独自の進化を遂げ…

引用:アニメハック

サジェスト検索をかけるとなかなか手厳しい評価のアニメでした。世界観の難しい設定だからこそ「シリウス」が緻密な構成が生まれました。



ツアーによる演奏力が活かされたレコーディング

2018年2月下旬、「シリウス」のレコーディング中と思われる升秀夫の図 embedded from Twitter@boc_chama

藤原さんが1人で制作したデモテープは大まかなドラムとベースのイメージだけが入った簡易なものでした。

ベーシストの直井由文さんやドラムの升秀夫さんはスタジオで藤原さんと意見交換し細かいアレンジを決めていきます。緻密な練習をするBUMP OF CHICKENの制作過程では珍しいパターンです。

直井 – その場で反応して、レコーディングしてくっていうのはなかったから、『じゃあそっち、チャマのアイデア活かして、こっちは藤くんのアイデア活かしてこうか』ってミックスしてくのが、すげえ楽しくて。

引用:ROCKIN’ ON JAPAN 2018.08

ベーシストの直井さん自身の本領発揮というか、肉体的に反応して作るベースラインは珍しいです。ツアーでの濃密な時間を過ごしたからこそ生まれる音は「シリウス」特有といえます。



TVアニメ版とリリース音源で差し替えたギターの音

イントロで使用されているギターリフの音はTVアニメ版とリリース音源(配信・CD)版で差し替えらています。

早速聴き比べてみましょう!

TVアニメ版:ギターリフ = 歪み

リリース音源版:クリーントーン(若干クランチ)

確かにリフの歪み具合が異なります。藤原さんはギターを差し替えた理由について次のように述べています。

藤原 – (歪んだ方が)音としてはかっこいいかもしれないけど、フレーズのリズム感とかエキサイトな部分が潰れちゃったせいで、表に出てこなくなるっていう。要するにごまかしが聞いてしまうって事なんですね。

引用:ROCKIN’ ON JAPAN 2018.08

クリーンに近づけば近づくほど、押弦する指の動き、撥弦角度、強弱などピッキングニュアンスがストレートに伝わりプレーヤーの技術が求められます。

クリーンでテクニカルな早いリフを弾く事は技術も度胸も必要です。緊張感のある、スリリングなプレイに差し替えられたという事は、より音楽的に高みを目指していることがわかります。

2018年2月下旬、「シリウス」のレコーディング作業中と思われる藤原基央 embedded from Twitter@boc_chama

ミサイルをよけるイメージのギター藤原はギターソロを弾いてるとき、ロボットがミサイルを避ける戦闘シーンのイメージを強く抱いた

aurora arkツアーでも演奏が予想されます。ライブで聴く「シリウス」は一体どんな曲になるのでしょうか。以上、「シリウス」の楽曲解説でした!