楽曲解説:firefly vol.1 – ツアーと藤原の歌う「黄金の光」 –

23rd single「firefly」(2012年) 収録 M-01
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2012年5月19日以前(GOLD GLIDER TOUR 徳島公演の数日前)
レコーディング時期:2012年6月

fireflyは2012年に発売された通算23枚目のシングル曲です。タイトルの「firefly」とは英語で「蛍(ホタル)」を意味します。この曲は当時行なっていたアリーナツアーGOLD GLIDER TOUR 2012の期間中に藤原基央さんが書いた曲で、夢の飼い主などと同じくツアーの合間を縫ってレコーディングしたBUMP OF CHICKENの中でも珍しい曲です。

今回はfireflyの曲ができるまでのエピソードを紹介します。




ツアー中のメンバーの活動

Photo by ilmicrofono.oggiono

BUMP OF CHICKENはもともとライブを活動主体とするバンドでしたが、音楽シーンでの知名度が上がるにつれ制作活動がメインとなります。これはMr. Childrenやスピッツといったバンドも同じく、アーティストとしては自然の方向にあるようですね。

アリーナツアーでは日程の間隔が空きやすく、事務所側も収益性を高めるために土日に行うことが多いです。また最高のパフォーマンスを求めて休養日をしっかり設けるため、1週間に1~2回程度地方でライブを行うスタイルが多くなりました。

藤原 – 「ホームシップ衛星」のときはライブが週2回とかで、東京にいる時間が長くあったんですね。でも、当時はライブのことで頭がいっぱいで、曲を作ることが全くできなかったんです。

http://natalie.mu/music/pp/bumpofchicken08/page/3

2008年のホームシップ衛星ツアーまではツアー中に曲を書くことをしなかった藤原さんでしたが、2011-12年のGOOD GLIDER TOUR、GOLD GLIDER TOURの2本のツアー中に曲を書くことを目標にします。

藤原-  それで、ツアー中に曲を書くという目標を立てて。書ける、書けないは別にして、スタッフにお願いして、とにかくツアーの合間にスタジオに入ってみようと。 

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そしてツアー中の5月に藤原さんは「firefly」という曲を書きます。そして完成してすぐのライブのMCで藤原さんは観客に報告します。この時、本当は藤原さんはメンバーにも内緒にしてMCで発表しましたが、リハーサル中にスタッフが「あの新曲どうなったの?」と口を滑らしてしまったため、メンバーはライブ前には知っていました。

藤原 – 実は3日ぐらい前に曲が書けたんです。まだメンバーにも聴かせてないんですよ。  

2012.05.19 GOLD GLIDER TOUR at アスティとくしま




歌詞の解釈

“当然捕まえようとして 届きそうで届かなくて
追いかけていたら 物語になった”

“分かれ道もあって 真っ暗に囲まれて
微かな金色に 必死でついていった”

なんだか私には、これまでのライブ活動をしてきた自分たちの喜憂、過去から現在までを振り返っている歌詞に読み取れます。

ひたすら音楽が好きで、4人で音を出す楽しみを感じて千葉の小さいライブハウスで活動していたBUMP OF CHICKEN。藤原さんの引き抜きもあったり、進学や就職もあったり、もしかしたらBUMP OF CHICKENは続いていても、今のような国民的バンドでないかもしれません。

彼らがこれまで対バンしてきたバンドの数多くも、自ら音楽を退いた人、レコード会社との契約を打ち切られた人、メジャーデビューにまで届かなかった人、BUMP OF CHICKENは色々なバンドを見てきました。

この頃には親交の深かったSyrup 16g、BURGER NUDS、ジャイアントステップ、SUPER BUTTER DOGといった多くのバンドも解散してしまいます。

“色々と難しくて 続けること以外で
生きていること 確かめられない
報われないままでも 感じなくなっても
決して消えない 光を知ってる”

ここでの「光」は1番で示している通り「黄金の光」であり、「黄金」は文字どおり、GOLD GLIDER TOURにかけていますね。色々な人が去り、色々なものを犠牲にしてここまできたけれど、ひたすら「続ける」ことをしてきたBUMP OF CHICKEN。暗闇を駆け抜けてきた今、その眼前には多くの観客が広がる GOLD GLIDER TOURまでたどり着きます

これまでの自分達と仲間達、過去と今を歌った唄といえるのではないでしょうか。

アレンジの原型は藤原とMORが考えた

徳島公演ではまだメンバーに聴かせていなかった新曲は速やかにレコーディングされました。ツアー中の影響を受けたギターサウンドや曲のグルーブのアレンジは疾走感が特徴的です。

ギター

イントロのギターのアルペジオは「リードになるフレーズ」を求めて作られました。確かに印象的な、このアルペジオを聴けば一発でfireflyとわかるフレーズですね。

ドラム

ドラムのリズムは藤原さんとプロデューサーのMORさんが一緒になって考えました。fireflyは2拍目と4拍目にアクセントを入れるというコンセプトで組み立てています。Aメロのリムショットやタンバリンもプロデューサーのアイデアで入れられました。

藤原 – ドラムのアプローチはプロデューサーと一緒に考えて、僕はスネアの位置を工夫するみたいな。そういう遊びは「COSMONAUT」から結構やっていて。この曲はニーヨン(2拍目、4拍目にアクセントを置くこと)を使って遊んでみようとデモを作ってるときに思いましたね。

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コーラス

コーラスもプロデューサーのアイデアで生まれました。supernova、真っ赤な空を見ただろうか、宇宙飛行士の手紙、虹を待つ人もそうですが、「オーオーオー」や「ラーラー」を多声で歌うアンセム型のコーラスがこの頃増えています。

藤原 – プロデューサーからコーラスを入れてほしいって言われて。どういう意図だったかはわからないんですけど。で、数テイク歌って、結構早めにこのフレーズに決まりましたね。僕もすごく満足してて、全ての音が一丸となっている感じがあのコーラスで表現できたかなと思います。

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ベース

ベースもデモの段階で藤原さんが弾いています。以前高橋日記には直井さんが体調ダウンした日に代わりにベースをあれこれ弾いている藤原さんの写真がありましたが、曲によっては藤原さんが大まかなベースラインの設計も行なっています。

直井 – デモの段階で藤原くんの弾いた、いい感じのベースラインが入っていたので、それを軸に自分がこうしたいと思ったニュアンスを取り入れていきました。

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幻となったライブ初披露

Photo by Dusty J

こうして6月にレコーディングされたfireflyは、7月のツアーファイナル宮城公演で初披露しようと試みました。新曲をいち早く曲を届けたい、という気持ちをメンバーたちは強く持っており、これまでもリリース前の新曲を披露したことはありました。

音源リリース前にライブで披露された曲

ダイヤモンド
メロディーフラッグ
ベンチとコーヒー
embrace
プレゼント
グッドラック
ray

*音源リリース前にPVやメディアで一部公開されていた曲も含む

7月14日のツアーファイナル at 宮城のリハーサル中、メーデーの後にfireflyを演奏したメンバーは苦渋の決断をします。「完璧な形でライブで披露できない」ということで本番での演奏を取りやめました。

藤原 – 単純にライブに向けたアレンジをする時間がなかったというのが一番の理由ですね。でもね、最終日の仙台のリハのときにみんなで「せーの!」で合わせたんですよ。ちゃんと合わせたのはあのときが初めてで。めちゃくちゃ楽しかったです。

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ライブ演奏

こうして幻となったライブ初披露ですが、翌年8月に行われた「BUMP OF CHICKEN ベストアルバム発売記念ライブ at QVCマリンスタジアム」にて披露されます。ライブでは増川さんが弾くイントロのアルペジオが長いバージョンに変化しています。

以上、fireflyについて紹介しました。この曲を聴くときにこんなエピソードがあったと思うと新しい聴き方ができるかと思います。

インタビュー引用元
http://natalie.mu/music/pp/bumpofchicken08