楽曲解説:プレゼント・ Opening & Ending vol.2

1st Coupling Album「present from you」(2008年) 収録 M-13
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:1999年12月〜2000年1月

前回の記事ではTHE LIVING DEADでのレコーディングや、「プレゼント」が「Opening」「Ending」になったワケをご紹介しました。今回は8年の時が達「present from you」に収録されることになった経緯と、歌詞の解釈などを紹介します。




バンド初のカップリングアルバムをリリース


2008年6月、BUMP OF CHICKEN初のカップリングアルバム「present from you」をリリースしました。メンバーは昔からカップリング集を出したいと思っていたそうです。

升 – そうやって、ライブでもカップリングの曲を演っていくわけですよ。でもね、お客さんの中には、この曲知らないなって人もいてね。「新曲ですか?」って聞かれたり(笑)。まぁ、そういうこともあって、いつかカップリングの曲たちを日の当たる場所に出してあげたいな、という気持ちがあったわけですよ。そして、このタイミングでちょうどアルバムになるくらいの数がたまった。

そしてカップリングアルバムのリリースが決まり、タイトルは藤原基央さんが一人で決めました。「present from you」です。タイトルとしては「これしかない」という感じだったそうです。

タイトルから未発表曲を思い出す

アルバム名を「present from you」にしようと決めた藤原さん。メンバーに伝える前に自分が昔書いた「プレゼント」を思い出します。同時に録り直すのは今しかないと考えました。

藤原 – このタイトルで行こうと思って、メンバーに確認取る前だったんですけど、「あれ?確か”プレゼント”っていう曲書いたぞ!」ってなって、俺の頭の中のパズルがはまって。今しかないと思ったんです。

musica – 2008.06

もともとずっとやりたいと思っていた(ライブリハまでした)プレゼント。また別の機会に録音するとなると「なぜ今なのか」という意味が余計に強くなります。カップリング集という昔の楽曲を再発売するアルバムだからこそ、うまく馴染むのだと藤原さんは考えました。


なにひとつ変えていない歌詞

こうして「present from you」に収録されることになった「プレゼント」。藤原基央さんは自宅にあった当時の古い作曲ノートを引っ張り出します。レコーディングにあたっても、藤原さんは歌詞は全く変えませんでした。

藤原 – そのときのノートが残ってたんですけど、「K」とか「リリィ」とかも、同じノートに書かれてましたね。

SCHOOL OF LOCKインタビュー

表紙の人物(=ラフメイカー)の視点で書かれた歌詞

お訪ねします この辺りでついさっき
涙の落ちると音が 聴こえた気がして
かけつけたんだけど 誰の涙かな
そういや君は ずいぶん赤い目をしてるね

Opening・プレゼント / BUMP OF CHICKEN

この歌詞はTHE LIVING DEADのジャケットと歌詞カードに登場するヒゲの生えて帽子をかぶった男性の視点で書かれた歌詞です。藤原さんはこの男性の職業に、次のような裏設定をつけていました。

藤原 – 涙落ちる音を聞き取ることに卓越した人なんですよ。その才能を見込まれて、凄いデカイ組織から『お前は涙が落ちるところ一杯物語を持っていく役』とか言われて。

ROCKIN’ON JAPAN

この人物はすごく優しい人物で、物語を売らなきゃいけない立場で家を訪問するのに、泣いている相手にタダで物語を渡してしまう性格で、人に優しくしすぎて家に帰ると奥さんに怒られてしまう、という中々細かい設定がついています(笑)

スタジオでひとり夜通し起きていた藤原基央の実体験を物語形式に込める

世界に誰もいない 気がした夜があって

自分がいない 気分に浸った朝があって

プレゼント/BUMP OF CHICKEN

スタジオ最終日の朝、他のメンバーが寝ている間も藤原さんはひとりだけ起きていたというエピソードを、前回の記事でお伝えしましたが、これはそのままそっくりの歌詞ですよね。実体験に基づかない物語形式のアルバム曲には「自分がいない」と感じ、それを悩んだ藤原さんが、「表表紙と裏表紙」を書こうとして握ったギターで書いたのがプレゼントです。

「物語形式」のプレゼントの中に、しっかりと藤原基央の「実体験」を書こうとしていることが読み取れます。当時のインタビューで「物語形式と実体験を融合した」と発言していた裏には、こういう事実が隠されていたんですね。

「プレゼント」と「ラフ・メイカー」

そうやって作った頑丈な扉 

この世で一番固い壁で作った部屋

ところが孤独を望んだはずの 両耳が待つのは

この世で一番柔らかいノックの音

プレゼント / BUMP OF CHICKEN (2008年) 

そして4〜5ヵ月後、藤原さんは「ラフメイカー」という曲を書きます。プレゼントが「外からドアを叩く人」の曲だとしたら、ラフメイカーの詞は「部屋の中で泣いている人」の視点で書かれています。

涙で濡れた部屋に ノックの音が転がった

誰にも会えない顔なのに もう なんだよ どちら様?

ラフ・メイカー/ BUMP OF CHICKEN (2000年) 

お蔵入りさせたプレゼントの歌詞の内容とリンクさせて、ラフメイカーを書き上げた藤原さん。普通だったら、未発表の部分を転用して別の曲を書いたりしそうですが、そういうことはしなかったんですね。自称天才詩人・藤原さんなりのこだわりを感じます。

扉・部屋・鍵

数年後に制作される作品、オンリーロンリーグローリ、太陽、虹を待つ人、トーチなどにも出てくるキーワード「扉」、「部屋」、「鍵」といったモチーフがすでに登場しています。藤原さんの中ではずっと変わらないモチーフであるようです。




バンドアレンジも当時のまま

藤原 – これアレンジとかも当時、寝てない状態の頭で30ぐらいでバーっと書いたんですよ。もう同時にバンドサウンドがなってたと思うんだけど、Aメロのギャンギャンっていうギターの刻みも、ソロのツインリードもそうだし、こういうことしようって思ってたのは全部当時のアイデアで。

Musica – 2008.06 

初めてプレゼントを聴いた時、AメロのリズムがすごくBUMPの中で斬新で新鮮でした。この頃はまだメンバー全員が洋楽に影響を受けていたので、その名残なのかなと思います。

THE LIVING DEAD期の特徴である転調が使われている

藤原 – あのブリッジ(Cメロ)は、当時まだ転調を覚えたてで、さっそく使われてるんだよね。

SCHOOL OF LOCK インタビュー

THE LIVING DEADの頃は、藤原さんは転調(途中でキーが変わること)を覚えた頃でした。

全体の楽曲の中で、藤原さんが作曲する楽曲はほとんど転調しません。そのようなスタイルの中で、リビングデッドでは多く転調が使われており、一つのアルバムの特徴を成しています。

BUMP 転調曲一覧

曲名 転調前 転調後
デザートカントリー G A
BOCのテーマ E F
グングニル A C
ランプ A C
Ever lasting lie F D
プレゼント G E
Stage of the ground E G
星のアルペジオ G E
飴玉の唄 F D
HAPPY A C
友達の唄 A C
パレード A C
Hello, world!! E G
流れ星の正体 A# G
リボン G A#

ちなみに藤原さんが使う転調にはいくつかのパターンがあります。いつかまとめてみますね。

ライブ演奏記録

プレゼントのライブ演奏回数とギターパート

2008年 ホームシップ衛星 (3) 藤原:アコギ(Gibson:J-45) 6回
増川:エレキ(Gibson Les Paul)*ギターソロも片方のパートのみ演奏
2014年 WILLPOLIS 2014 (3) 藤原:エレキ(Gibson Les Paul Special)*増川とギターソロを演奏
増川:エレキ( Gibson Les Paul)

2008年、2014年ともにアンコールでのみ演奏されています。2008では藤原さんはアコギでしたが2014にエレキを全編弾いてよりロックな雰囲気になっています。増川さんとのツインリードは「くだらない唄」や「リトリブレイバー」「Ever lasting lie」以来の演奏です(!)

さて、以上2回にわたりプレゼントを紹介しました。次のツアーでは演奏されることはあるのでしょうか。個人的に大好きなきょくなので演奏してほしいとです!