2nd Album 『THE LIVING DEAD』歌詞・楽曲解説

楽曲解説:リリィ 藤原基央の私小説的ラブソング

藤原基央 彼女 2nd Album 『THE LIVING DEAD』

BUMP OF CHICKENの楽曲「リリィ」の歌詞の意味と制作背景について解説します。

 

「リリィ」とは日本語で花のユリを意味を意味します。作詞作曲をした藤原基央さんは「リリィのモデルは実在する」と話しています。

 

20歳当時の藤原基央さんの淡い感情とはどんなものだったのか、「リリィ」にまつわるエピソードを解説していきます。


「リリィ」基本情報

THE LIVING DEAD『THE LIVING DEAD』(2000年3月)

作詞・作曲 藤原基央
編曲 BUMP OF CHICKEN
作曲時期 1999年末〜2000年1月
録音時期 2000年1月
録音場所 aLIVE RECORDING STUDIO 世田谷
収録作品 2000年3月25日 アルバム『THE LIVING DEAD』
ライブ初披露 2000年3月27日「ツアーポキール」千葉LOOK公演

「リリィ」の意味

リリィ 藤原 彼女

Lily  [líli]
ユリ、ユリの花 純潔な人

「リリィ」とは英語でユリ科の植物を意味します。百合の花言葉は花弁の色によって「純粋」「威厳」「虚栄心」など様々な意味を持っています。

 

実在する「リリィ」のモデル

藤原 – リリィはね、実在するんですよ…僕はリリィが大好きです(笑)

出典:ROCKIN’ ON JAPAN 2000年6月号

 

タイトルになっている「リリィ」は実在すると音楽雑誌で明かしており、「リリィ」は人物名、すなわち歌詞に出てくる「最初で最後の恋人」といわれています。このことから「リリィ」は藤原基央さんの当時の彼女を登場させた曲といわれるようになりました。

 

ーーー では一体、リリィはどんな人なのでしょうか?



リリィ= 百合(ゆり)、すなわち名前が「ユリ」さんだという説があります。「アルエ」で “綾波レイ=R.A=アルエ” という婉曲表現をしたことにも似ていますね。ただしBUMP OF CHICKENのメンバーが公式に言及したことはない、噂にすぎません。歌詞の内容から私は年上なのかな、なんて思いました。

 

果たしてリリィは藤原の彼女なのか「最初で最後の恋人」と歌っており家族や友人ではない。「アルエ」の綾波レイのように、熱中していたアニメキャラクターの可能性もあるが、「実在する」と敢えて発言していることから現実世界の彼女と考えた方が整合性が高い。

 

リリィの歌詞の意味

藤原基央の私小説のようなラブソング

2000年4月「ツアーポキール」での写真 

藤原 – 私小説みたいな感じですね。わがままな僕のラヴ・ソングですけど。 

出典:ROCKIN’ ON JAPAN 2000年6月号

 

「リリィ」が書かれた1999年終わりのBUMP OF CHICKENは飛ぶ鳥を落とす勢いでインディーズシーンを駆け抜けていました。MCで説教したり、演奏を中断したり、イベントライブで「俺たちのライブへようこそ!」と言ったり、メンバーが尖っている時期です。

 

リリィ  1:50〜
低いステージの上 必死でカッコつけた
自分とヒトを上手に騙し 夢を見て 夢見せた
「大言壮語を吐いてやろう」 そういう唄も歌った

引用元:リリィ / MOTOO FUJIWARA (2000年)

後年、過激な発言は振る舞いは虚栄だったと述懐しています。「リリィ」の歌詞は取り巻く環境が変わりつつある中での藤原さんの本音が謳われた曲といえます。



昔、BUMP OF CHICKENが「リリィ」を演奏しなくなった理由は、低いステージの上ではなくなったからーーーという噂がありました。根拠のない噂ですが、藤原さんの嘘偽りを歌わない性格や人間性が呼んだ噂ですね。

 

藤原基央が語った彼女のエピソード

藤原さんはインディーズ時代に高校時代の彼女について語ったエピソードがあります。

 

藤原 – 昔、高校の時、俺が初めて女の子と付き合ったときによ、自分の気持ちをどうやって伝えたらいいかわかんなくてさ、で、俺、思いっきり抱きしめたんだよ。ほんと渾身の力を込めて、ギュッとさ、そしたらー”痛い!”って言われてさ、その子に。でもさ、そんときその子に”そんなに強く抱きしめなくても、目を見ればどれだけ好きでいてくれてるかわかるから”って言われてさ。

2000.09.30 下北沢club251 MCにて

 

藤原さんのストレートな愛情表現もすごいですが、”目を見ればどれだけ好きでいてくれるかわかる”と返す彼女さんの考え方も素敵です。

 

「とっておきの唄」より大人になったラブソング

藤原さんは別のインタビュー で「リリィ」と「とっておきの唄」は対(つい)であると明かしています。

 

藤原 – 「とっておきの唄」に対する「リリィ」、「ナイフ」に対する「Ever lasting lie」。今言ったのは全部対をなしてる曲なんですよ

 

歌詞を読むと「とっておきの唄」は純真無垢なラブソングに対し「リリィ」は少し大人になったほろ苦いラブソングという印象があります。

 

FLAME VEIN(左) とTHE LIVING DEAD (右)

 

「FLAME VEIN」は「陽」、「THE LIVING DEAD」は「陰」のイメージだったという藤原さん。「リリィ」の歌詞に苦しさを匂わせているのも意図的なのかもとしれません。

 

確かにCDジャケットの文字、帯、盤面も赤と青の対照的な色遣いになっていますね。

黎明期のABパターン

「リリィ」はABパターンの楽曲としては一番古い楽曲です。ABパターンとはAメロとBメロ(多くがサビ)の2つのメロディ構成で成立する楽曲で藤原さんの得意とする作曲法です。なかでも「リリィ」は「新世界」と同じでAメロがサビも兼ねているタイプに分類されます。

ABパターンの楽曲「ラフメイカー」「プラネタリウム」「レム」「ハンマーソングと痛みの塔」「グッドラック」「宝石になった日」「新世界」

ちなみに本当の最古の楽曲は未発表曲「香港スター」という英語詞曲である

ライブ演奏記録

BUMP OF CHICKEN 千葉LOOK「リリィ」が初披露された千葉LOOKのステージ *Photo embedded from natalie.mu



演奏回数 41回
演奏頻度 ★★☆☆☆
ライブ初披露 2000年3月27日「ツアーポキール」千葉LOOK公演 5曲目
最終演奏 2014年6月25日「WILLPOLIS 2014」インデックス大阪公演
演奏ツアー 2000年「ツアーポキール」*全公演演奏
2000年「サマーポキール2」*全公演演奏
2002年「POKISTA21
2002年「LOVE & PORKIN
2006年「run rabbit run
2013年「WILLPOLIS」*1公演のみ
2014年「WILLPOLIS 2014」*2公演のみ
使用機材


藤原基央 – Gibson Les Paul Special TV Yellow 
増川弘明 – Gibson Les Paul Standard Historic Collection 1958
直井由文 – Fender Jazz Bass ’65 (黒) 
ギターソロ

藤原基央:初披露〜2002年「POKISTA 21」
増川弘明:2002年「LOVE & PORKIN」〜 現在まで

「リリィ」はBUMP OF CHICKENの全楽曲の中では演奏回数の少ない楽曲です。「THE LIVING DEAD」の中では「ベストピクチャー」(20年間で40回演奏)と同程度といえます。

 

ただし他のアルバム曲に比べて、数年に何度か演奏されるペースであり、中級程度のレア曲と言えます。

ライブバージョンの終わり方

「リリィ」をライブ演奏では藤原さんと増川さんの2人のギターによる演奏で終わります。

 

ということで再現してみました!

演奏・編集 by 管理人  (ベースのリフも弾いてます) 
L側に藤原、R側が増川のパートです。

 

これは2000年の初披露時から2013年までマイナーチェンジがありつつこのスタイルで披露されています。

日本武道館での久しぶりの生演奏!

2013年10月28日、全国ツアー「WILLPOLIS」日本武道館公演で7年半ぶりに「リリィ」を披露しました。CHAMAさんが涙ぐみながらインディーズ時代の思い出を語り、「聴いてください、”リリィ”」と告げた瞬間、大歓声が湧き上がりました。

 

武道館で特別に演奏されたインディーズ楽曲は「とっておきの唄」と「リリィ」です。藤原基央さんが「対になっている」と説明した2曲なのは偶然ではないのかも?

 

Rockin’on Japan 2000年6月号 THE  LIVING  DEADのインタビューが掲載されている

 

以上、BUMP OF CHICKENの「リリィ」に関する歌詞考察・楽曲解説でした。この記事を読んで「リリィ」の聴き方に新しい発見があれば嬉しいです。