楽曲解説:Ever lasting lie vol.1 とある「嘘」の物語とゴスペル

Ever lasting lie
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:1999年末~2000年初頭
2nd Album「THE LIVING DEAD」収録 M-08 
ライブ初披露:2002年12月3日 LOVE&PORKIN 名古屋クラブダイヤモンドホール

BUMP OF CHICKENの「Ever lasting lie」は2枚目のインディーズアルバム「THE LIVING DEAD」に収録されている曲です。

8分37秒という収録時間はBUMP OF CHICKENの中で最も長い楽曲になります。「嘘」に振り回される切ない男女の物語の歌詞と、時間の経過を表現した長い間奏が特徴的なアルバムの屈指の名曲です。今回はEver lasting lieの意味や歌詞、解釈を紹介します。


「Ever lasting lie」の意味

ever lasting [èvərlǽstiŋ]
形容詞: 永遠に続く、いつまでも続く

「Ever lasting lie」とは「永遠に続く嘘」という意味です。歌詞の主題となっている「嘘」をめぐる男女の物語を表しているタイトルになっています。

ゴスペルをイメージした楽曲

2000年1月、BUMP OF CHICKENは『THE LIVING DEAD』の制作のために新曲を用意する必要がありました。作詞作曲担当の藤原基央さんは作曲効率を上げるため、テーマ性のある楽曲を多く生み出します。

そんな中で「Ever lasting lie」は「ゴスペル(キリスト教黒人宗教音楽)」をテーマに作曲されました。

藤原さんは「supernova」「angel fall」などゴスペルを意識した楽曲を他にも書いています。

ゴスペルをテーマにした楽曲「Ever lasting lie」 (2000年)
supernova」 (2005年)
angel fall」(2010年)
spica」 (2018年)

「Ever lasting lie」に影響を与えた洋楽

「Ever lasting lie」は The Rolling Stonesの「Saint Of Me」と Simon & Garfunkelの「明日に架ける橋」の影響を受けたと明かしています。

藤原さんは「Ever lasting lie」をピアノで表現したい曲だと述べており、「明日にかける橋」のようなピアノのイメージだったと思われます。

THE ROLLING STONES – 「SAINT OF ME」 

Simon & Garfunkel – 「明日にかける橋」

歌詞の意味と解釈

愛する人の優しい「嘘」


「Ever lasting lie」の歌詞は、とある男の人と、女の人の人生の物語が描れています。

愛する人の命に値が付いた
そこら中に頭を下げても足りなくて
「石油でも掘る以外ないんじゃないの?」って
皮肉を本気にして飛び出した

人買いに売られて<愛する人の命に値がついた>女性は遠くに飛ばされます。男性は女性を取り戻すために<「石油でも掘るしかないんじゃないの?」>という皮肉に、微かな希望を信じて砂漠でシャベルを持って掘り続けます。

その甲斐虚しく、女性は<死んだ街で夜のドレス纏って 作り話のような愛を売らされる人>になります。かつての男性の言葉<「二人は大丈夫、明日を信じて待っていてくれ」>という嘘を信じて待ち続けて、教会で命を引き取ります。

とある街の小さな教会で
優しい長生きおばあさんが眠りについた
ろくに動けなくなってからも
毎朝何かを呟いて微笑んだ

男性は、なぜ自分が掘っているのかも、自分の夢さえも忘れながら、砂漠でシャベルを握り続けるというエンディングです。

「信じられる要素なんて」に隠されたダブルミーニング

Ever lasting lie 歌詞

歌詞には隠された意味があるといわれています。男性の「明日を信じていて待っていてくれ」という優しくついた「嘘」に対する女性の台詞です。

Ever lasting lie  2:27〜
「信じられる要素なんて どこにあるの?」って
思いながらも その言葉を まじないのように

引用元:Ever lasting lie / 作詞作曲 藤原基央 (2000年)

信じられる要素なんて どこにあるの?
→ 疑っている
信じられるよ 「嘘」なんて どこにあるの?
→ 信じている

歌詞カードの文面通りに読むと女性の疑っている気持ちに受け取れますが、後者の読みかたでは男性を信じているというダブルミーニング(二重の意味)になります。

この解釈は藤原基央さん本人は触れていないものの、(1) 「K」「アルエ 」の歌詞で同様の仕掛けをしていること、(2) 「定めよりも互いを信じていたーーー」という一節が後に出てくることから、あながち間違っていないと思っています。狙って書いたとしたら、藤原さんの凄さを感じますね。

こんな悲しい唄ですが、藤原さんは決して悲劇を描いたわけではないといいます。

藤原 – 「THE LIVING DEAD」で悲しい歌は歌ってないんですよ。作曲家・藤原基央が誕生した時から、僕は悲しい歌を一度も歌ったことがないんですよ。全てハッピーエンドにしてます。 

さらに「人それぞれの人生はどれも泣けてどれも感動する、たとえ本人が意識していなくてもそうである、と歌った曲」だといいます。

確かにこの曲の登場人物は、夜のドレスを纏うくらいですからきっと若娘と青年だったのだと思います。その若い娘がおばあさんになるまで、青年がおじいさん(歌詞カードの絵の老人)になるまで、長い長い時間が経っています。それぞれの人生は本人が意識していなくても、意図せずとも感動的な物語であるということでしょうか。

アコースティックアレンジで再録

この曲は2004年に期間限定リリースされた「アルエ」のカップリング曲としてアコースティックバージョンで再収録されています。

この曲が再収録される経緯として、バンプのインディーズ時代のデモテープやアルバムを販売していたHiLine Records(ハイラインレコーズ)というレコードレーベルが経営危機になり、メジャーレーベルのトイズファクトリーから再販しようという動きになりました。

そこで再販版アルバムのリードシングルとして「アルエ」をシングルカットすることが決まります。これはメンバーの意見ではなくスタッフ側による選曲でした。スタッフはメンバーに「カップリング曲は何かある?」と尋ねると、せっかくなのでカップリングも昔の曲、それも再録にしよういう話になりました。

そこで”アンプラグド(アコースティック)”はバンド側、”Ever lasting lie”の選曲はスタッフ側から意見が出て “Ever lasting lie”をアコースティックアレンジにして録音することに決まりました。藤原さんは、THE LIVING DEAD制作時を思い出し、音楽に集中できる環境で録音したかったアルバムの曲なので、今信頼しているスタッフ達(トイズファクトリー)と再録することができて嬉しいと述べています。

アコースティックギターの間奏はオープンEチューニングが使われ、民族的でトラディショナルなギターインストゥルメンタルが魅力的です。藤原さんのギタリストとしての才能が感じられる1曲なので是非聴いてみてください。

以上、Ever lasting lieについて紹介しました。この曲は2004年以降ライブでは13年間演奏されていません。またいつか、ライブで聴ける日が来るといいですね。

2nd Album「THE LIVING DEAD」2000年3月25日 ハイラインレコードより発売。2004年4月28日にトイズファクトリーより再販。

2018/08/11 追記

2017-2018年のPATHFINDERツアーで13年ぶりに演奏されました。2004年以前のダイナミックでエモーショナルな歌唱と違い、落ち着きのある語り口調のような藤原さんのボーカルが印象的です。


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