BUMP OF CHICKENの「アルエ」はアルバム『FLAME VEIN』の収録曲です。
「アルエ」はメンバーが高校生の時に夢中になっていたアニメ『エヴァンゲリオン』の登場人物「綾波レイ」をモチーフにした曲です。
この記事では「アルエ」が生まれた時の背景や雰囲気について過去のインタビューを交えながら紹介します。
「アルエ」基本情報

「FLAME VEIN」(1999年3月)
作詞・作曲 | 藤原基央 |
編曲 | BUMP OF CHICKEN |
作曲時期 | 1997年10月以前 |
録音時期 | 1998年夏頃 |
制作場所 | 東京都渋谷区代々木の地下スタジオ |
収録作品 |
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「アルエ」には複数のデモテープ、インディーズ版シングル、廃盤アルバムなどが存在します。BUMP OF CHICKENの楽曲として最も多く12作品(映像作品特典を含めると14作品)に収録されており、現在は再販版「FLAME VEIN+1」が入手可能です。
「アルエ」作曲エピソード
BUMP OF CHICKENの高校時代の楽曲
BUMP OF CHICKENのメンバーが利用した京成臼井駅(千葉県佐倉市)
藤原基央:フリーター (千葉時代)
直井由文:調理師専門学校+厨房業務
増川弘明:千葉県立佐倉高校2年生
升秀夫:千葉県立佐倉高校2年生
1996-1997年、藤原基央さんはフリーター、直井由文さんは調理師専門学校生、増川さんと升さんは千葉県立佐倉高等学校の2年生でした。中学卒業後、異なる進学先を歩んだメンバーでしたが、4人はいつも地元の佐倉市臼井で一緒に遊んでいました。
藤原 – 自転車に乗って、どっかの本屋さんに行って、あとは公園にって喋るなりして、おもしろい漫画とかゲームとかアニメとかがあると、そのことだけをずっと喋ってるんです。その中から出てきた曲(「アルエ」)なんですよね。
メンバーが自認する通り、佐倉市臼井周辺は何もなく住宅街とわずかな個人商店が並ぶのどかな町です。居酒屋おおいわに行く時に街の雰囲気を感じてみるのも面白いともいます。
漫画版「新世紀エヴァンゲリオン」の話題で盛り上がる
地元の遊び仲間たちの間では『新世紀エヴァンゲリオン』の話題で盛り上がっていました。
藤原 – 当時は「エヴァンゲリオン」で僕らは盛り上がって心を熱くさせてましたね。
2021年3月28日、ラジオ番組「PONTSUKA!!」にて「アルエ」作曲のエピソードが明かされました。
藤原 – エヴァの漫画をヒロから薦められて。俺とヒロはもう厨二心がもうビンビン響いちゃって。すっごい自転車で走るみたいな(笑)
(中略)
増川 – (「アルエ」に)すっげぇ詰まってる、衝動的なものが(笑)
出典:2021.03.28 O.A. bay-fm「PONTSUKA!!」
「エヴァンゲリオン」には当時テレビ版と漫画版が同時期に連載されていましたが、上記発言から藤原さんと増川さんは貞本義行氏による漫画版「エヴァンゲリオン」を読んでいたことがわかります。
「アルエ」の意味 =「R・A(綾波レイ)」
曲名の「アルエ」の意味は綾波レイのイニシャル《R・A(アールエー)》を意味します。BUMP OF CHICKENのメンバーは、登場キャラクター「綾波レイ」への愛情で話題が盛り上がります。
エヴァの登場キャラクター・綾波レイ(画像引用元:Amazon Prime Video Character Promotion Reel)
増川 – 恋してたんだよね。
藤原 – ・・・2次元のキャラクターに恋をしてて。そのイニシャルがRAだったんですよ(笑)。ホント好きで、「彼女のためになんか書きてー!」とか思って。
タイトルの「アルエ」は綾波レイのイニシャル「R・A」《アール・エー》をもじって付けられました。
藤原 – 綾波すげぇ可愛いじゃんってなって。「じゃあもう曲作ろうぜ!」って書いたのが「アルエ」です。
増川 – ほんとすげぇって思ったもん、こいつ。
出典:2021.03.28 O.A. bay-fm「PONTSUKA!!」
こうして藤原さんが書いた曲が「アルエ」です。当時、藤原さんはBUMP OF CHICKENを「4人の遊びの延長」として考えていました。バンドが中心なのではなく、4人で遊ぶ手段のひとつがたまたま音楽だったとインタビューなどで語っています。
藤原 – その時はすごいテンション上がったんですよ。『よし。じゃあ俺曲作るわ』『おっ、作れ作れ』みたいな(笑)
「アルエ」は「カッコいいから」とか「好きだから」といった初期衝動に満ち溢れた楽曲で、4人の遊びの延長という「BMP OF CHICKENの原点」を体現している楽曲といえます。高校生の日常の中から、20年後もライブで演奏される曲を書いてしまう藤原さんの才能はすごいですね。
「アルエ」歌詞の意味
ハートに巻いた包帯 = 「怖」

ハートに巻いた包帯を
僕がゆっくり解くから
日向に続くブリッジを探しておいで
サビの歌詞にある“ハートに巻いた包帯”とは「りっしん偏」+「布」(*立心偏は「心」の意)で「怖」という漢字を表しています。綾波レイの心から「怖」を取り除いてあげたい、という藤原さんの熱き厨二魂(!)を感じます。
この漢字を分解するトリックを藤原さんが考えたのか、参考にしたものがあったのかは不明ですが、当時17歳の高校生が考えたすると藤原さんの人とは違う独特の視点が伺い知れます。
古い日本語詞の曲のひとつ
2021年3月の「PONTSUKA!!」では作曲時期について明かし、初めて日本語で書いた「ガラスのブルース」「BUMP OF CHICKENのテーマ」の次だったと明かしています。
藤原 – ほんとに覚えてないなぁ・・・。確実に言えるのは「ガラスのブルース」の次の次ぐらいなんです。「ガラスのブルース」が出来て、「BUMP OF CHICKENのテーマ」が出来て。たぶん、その次に出来たのが「アルエ」だったと思うんですよ。
出典:2021.03.28 O.A. bay-fm「PONTSUKA!!」
一方で、「BUMP OF CHICKEN HISTORY BOOK」には「くだらない唄」の方が先に出来ていると思われる記述があります。
藤原 – そん時は英語のオリジナル曲と何曲かの日本語の曲をやってたんだけど。……”くだらない唄”があったかな。”アルエ”はギリギリなかったかも」
出典:BUMP OF CHICKEN HISTORY BOOK
1997年初頭に配布された「7曲入りデモテープ」に「くだらない唄」が収録され「アルエ」が収録されていないことを踏まえると、PONTSUKA!!の発言と矛盾しますが「くだらない唄」の方が先に作曲された可能性が高いと個人的には思います。
「アルエ」はデモテープ含めて14作品に収録
「アルエ」は14作品に収録されており、BUMP OF CHICKENの楽曲としては圧倒的に最多です。
タイトル | リリース年 | 備考 |
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不明 | 「NO REASON」制作前の配布とされるデモテープ。Cメロの”She can get all, she can love all”のメロディはなく英語の語りが入っている |
![]() タイトルなしデモテープ |
不明 | 音源は上記と同じ。ジャケットのイラストは1999年配布のフライヤーでも使用されているが、配布年との関係は不明 |
![]() 4曲入りデモテープ |
不明 | プロモーション用デモテープとして配布。音源は上記と同じ。英語詩曲「Pocket Rock」「Trans Life」「Sunshine」とともに収録 |
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1997年10月 | 下北沢ハイラインレコーズストアに50本限定で販売されたデモテープ。1998年3月に再販し1000本限定で販売 |
![]() 「BOC-000」 |
1998年10月 | 1st CDリリースとLONGFELLO事務所設立にあたり初期音源全12曲収録したデモテープ。初期版の「アルエ」とNO REASON版の「アルエ」を2曲収録。 |
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1998年10月 | 500枚限定リリース。「FLAME VEIN」で使用されている音源はこの音源のテイクを移したもの |
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1998〜1999年? | 1998年10月24日本八幡ルート14公演を収録したライブテイクのデモテープ。”She can get all〜”の部分を歌っていない。 |
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1999年 | 1999年に音楽誌「QUIP MAGAZINE」で配布されたサンプラー。デモテープ「NO REASON」音源がCD収録。 |
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1999年3月 | 初のインディーズアルバム。音源は1st CD「BUMP OF CHCKEN」のテイクを使用 |
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2004年3月 | 2004年に期間限定販売されたシングル。音源は1st CD「BUMP OF CHCKEN」のテイクをリマスタリングして使用 |
![]() アルバム「FLAME VEIN+1」 |
2004年4月 | 再発版としてリリース。音源は1st CD「BUMP OF CHCKEN」のテイクをリマスタリングして使用 |
![]() ベストアルバム「BUMP OF CHICKEN BEST [1999-2004]」 |
2013年7月 | 音源は1st CD「BUMP OF CHCKEN」のテイクをリマスタリングして使用。 |
![]() LIVE CD「Silver Jubilee at Zepp Haneda(TOKYO)」 |
2023年4月 | 2022年12月13日「Silver Jubilee」Zepp Haneda(Tokyo)公演を収録 |
![]() LIVE CD「ホームシック衛星 2024 at ARIAKE ARENA DAY2」 |
2024年9月 | 2024年4月25日「ホームシック衛星 2024」有明アリーナ公演を収録 |
BUMP OF CHICKENの結成黎明期から存在する「アルエ」は、「ガラスのブルース」「くだらない唄」と並んでバンドの歴史とともに歩んだ楽曲ともいえます。
その中でも最多収録数を誇る「アルエ」は、BUMP OF CHICKENのメンバーにとって特に自信のあったオリジナル曲であったといえます。
「アルエ」PV
監督 | 番場秀一 |
撮影日 | 2004年(現代パート) |
ロケ地 | 不明 |
2004年シングルカット版「アルエ」のリリースに合わせて番場秀一監督によって製作されました。1999〜2004年の歴史を振り返るパッチワークのように繋ぎ合わせた映像です。ラストシーンでヒゲを伸ばした藤原さんが映る貴重な映像です。
幻のインディーズ時代の「アルエ」PV
アルエのPVは2種類存在します。厳密には1種類は公開されもう一つはお蔵入りになりました。
黒田智行氏 embedded from Twitter@locusandwonders
1999年「ガラスのブルース」「リトルブレイバー」と同時期に黒田智之監督によって製作されました。編集に4年を費やしたPVでしたが内容が過激すぎたためお蔵入りになったとラジオにて明かしています。
直井 – オンエアーしなかったPVも撮ったじゃん俺ら(笑)
藤原 – 「アルエ」のPVがあるんすよ
直井 – 地獄のようだったよね?
藤原 – 地獄のようだった(笑)出典:Bay-FM「PONTSUKA!!」2003.09.07 ON-AIR
内容は天井の低いトンネルの中で、道路の真ん中に楽器セットを置いて演奏するシーンを撮るというものでした。普通、公道上で撮影するには車通りの少ない道路を選びますが、「アルエ」の撮影地は車通りの多く車が通るたびに演奏を止めるという果てしない撮影でした・・・。
4年後、編集が終わり完成しますがメンバー達の判断でお蔵入りすることにします。
直井 – 当時の俺らだったらバーンって(公開)やってたけど、流石に俺らちょっと知恵ついてさ、この俺らを見せたら売り上げ落ちるなって(笑)
出典:Bay-FM「PONTSUKA!!」2003.09.07 ON-AIR
他にお蔵入りになったPVとしては「歩く幽霊」(「友達の唄」のカップリング)が存在します。両方ともいつか陽の目を見ることを祈ります。
「アルエ」ライブ演奏記録
演奏回数 | 136回(2000年以降) |
演奏頻度 | ★★★★☆ |
演奏ツアー | 1999年「HANSO-DE TOUR ’99」 2000年「ツアーポキール」 2000年「プロポキール秋」 2001年「スターポーキングツアーズ 2001」 2001年「Surf Porkin’」 2002年「LOVE & PORKIN」 2003年「NINJA PORKIN」 2004年「MY PEGASUS」 2006年「run rabbit run」 2008年「ホームシック衛星」 2008年「ホームシップ衛星」 2013年「WILLPOLIS」 2014年「BUMP OF CHICKEN Live in Taiwan」 2017-2018年「TOUR 2017-2018 PATHFINDER」 2022年「Silver Jubilee 2022」 2024年「ホームシック衛星2024」 |
「アルエ」はBUMP OF CHICKENの長い歴史とともに演奏され、集計が難しい1997〜1999年にかけても多くの演奏回数をこなしてきたことが伺えます。
近年演奏されなくなった「ナイフ」とは対照的に、「アルエ」は2024年の「ホームシック衛星2024」までコンスタントに披露されています。
近年はアンコールとしての演奏が多い
「アルエ」は同期SEを必要としないサウンドのため、「ランプ」「グロリアスレボリューション」などと同じくアンコールでの演奏が多いインディーズ曲です。
「アルエ」ライブ映像作品
映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee at Zepp Haneda(TOKYO)」 (2022年12月13日 Zepp Haneda(TOKYO)公演収録) |
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アルバム「Iris」(初回限定盤) (初回特典映像 2024年4月25日「BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024」有明アリーナ公演 DAY2 収録) |
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以上、BUMP OF CHICKENの楽曲「アルエ」の歌詞の意味と制作エピソードについて紹介しました。