カップリング曲

楽曲解説:「Opening」「Ending」「プレゼント」 (前編)

カップリング曲

BUMP OF CHICKENの「Opening」と「Ending」はインディーズアルバム『THE LIVING DEAD』の収録曲です。

「Opening」「Ending」はアルバムの表紙と背表紙を担う役割として書かれた、藤原基央さんによる短い弾き語り曲です。

さらにこの2曲が1つに繋がった「プレゼント」という曲が存在します。この記事ではどうやって「Opening」「Ending」「プレゼント」が生まれたのか、3曲の関係を解説します。




「プレゼント」「Opening」「Ending」の関係性

「プレゼント」「Opening」「Ending」の関係性

「Opening」「Ending」「プレゼント」の関係を整理すると図のようになります。

作詞・作曲をした藤原さんは「プレゼント」を書いた後、それを「Opening」「Ending」の2曲に分けて「THE LIVING DEAD」に収録しました。

前編(この記事)では「Opening」「Ending」収録時のエピソードを中心に紹介します。

8年後、カップリングアルバム「present from you」にフルサイズ曲「プレゼント」が収録された時のエピソードは後編(楽曲解説:「プレゼント」「Opening」「Ending」(後編))に書いています。




「Opening」「Ending」基本情報

「THE LIVING DEAD」(2000年3月)

作詞・作曲 藤原基央
作曲時期 1999年12月〜2000年1月
録音時期 2000年1月
録音場所 aLIVE RECORDING STUDIO 世田谷 
収録作品 2000年3月25日「THE LIVING DEAD」
ライブ初披露(Opening) 2003年6月1日 BUMP OF CHICKEN 2003 TOUR “NINJA PORKING” 青森クォーター公演

「プレゼント」作曲エピソード

短期間での「THE LIVING DEAD」レコーディング

1999年秋から年末にかけて、バンプオブチキンの4人はインディーズ・アルバム「THE LIVING DEAD」のレコーディングをします。

大学生だったドラムス・升秀夫さん、ギタリスト・増川弘明さんの冬休みを利用して行われ、制作期間はわずか1ヶ月でした。(後年では”2週間程度”と話しています)

急いで曲を揃える必要から、ボーカル・藤原基央さんは物語形式の作曲という新しい挑戦をおこない「グングニル」「K」「Ever lasting lie」などを生み出します。

「8つの物語」への手応えと不安

藤原さんは架空の物語と実体験の融合に手応えを感じる一方で、歌詞に「自分」が登場しないことに対して、詩人としての不安があったといいます。

 

藤原 – どうやら語り部は俺らしいんですけど。だからどの曲も僕は満足できるとこまで引っ張ってきたつもりなんですけど、どうも今一歩踏み込めないとこがあって。

 

そしてストーリー・テラーとしての曲を作ることで、アルバム8曲を1つの作品として繋げられるのではないかというアイデアが浮かびます。

 

藤原 – ずっと漠然と「Opening」と「Ending」をつけるだけでだいぶ違うんじゃねえかなって思ってたんですよ。

ROCK’IN ON JAPAN VOl.182

 

こうして藤原さんはメンバーが仮眠する中でひとりアコースティックギターで「プレゼント」という曲を書きます。

まさにレコーディング最終日の朝のことでした。

 

「Opening」「Ending」制作エピソード

「プレゼント」を2曲に分けて収録

藤原さんは「プレゼント」の全てを収録せず、アルバムの表紙・背表紙としての役割を持たせるために「Opening」「Ending」として別のタイトルをつけてレコーディングします。

 

藤原 – ド頭の部分をOpeningにしちゃって、一番うしろのおしりの部分をEndingにしてあって。それはだからボツにしたとかじゃなくて、オープニングとエンディングの役割としてそうなった、そいつが。

出典:MUSICA 2008年6月号




せっかく作曲した素晴らしい歌詞でクオリティの高い楽曲を惜しげも無く未発表にしてしまう。このような考え方からしてBUMP OF CHICKENは並みのバンドではないです。

普段とチューニングが異なるギターを使用

BUMP OF CHICKENの全楽曲で「Opening」「Ending」の2曲だけが全音下げチューニングのギターで録音されています。

後年のインタビューでは「1音下げも気づかないほどの精神状態だった」とも述べています。現実的には楽器上の視点からキーの問題があったと推測されます。

 

THE LIVING DEAD時代にライブでやろうとした

BUMP OF CHICKEN ドラム

「Opening」「Ending」ではなく、藤原さんは「プレゼント」としてライブでやりたいと考えてリハーサルスタジオで演奏を試みたことがありました。

 

藤原 – 一度リハーサルで一緒に合わせたことがあって。そん時僕は歌詞カード家から持ってきてなかったので、歌はなかったんですけどね。そん時も今のアレンジみたいなものをやろうとしてた(笑)

出典:MUSICA 2008年6月号

 

2番Aメロのギターとベースのリズムはバンプの楽曲では珍しく、パワーコード主体のインディーズ時代の流れを汲むアレンジです。

こうして演奏を試みた「プレゼント」ですが、最終的にライブで披露されることはありませんでした。しかし、「Opening」は1度だけ披露されたことがあったのです・・・

「Opening」ライブ演奏記録

「Opening」が突然演奏された青森クォーター(画像埋込元:青森クォーター様

演奏回数 1回
演奏頻度 ☆☆☆☆☆
初披露 2003年6月8日「NINJA PORKIN」青森クォーター
演奏ツアー 2003年「NINJA PORKIN」

青森のライブで突然のOpening演奏!

「Opening」はBUMP OF CHICKENのライブで1度だけ演奏が確認されています。

2003年6月8日、全国ツアー「NINJA PORKIN」青森クォーター公演の10曲目に突然演奏されました。このツアーの他の公演では演奏しておらず、なぜ青森公演のみ演奏したのか詳細は謎のままです。当時、藤原さんが弾き語りすること自体が珍しく、それもアンコールなどの特別ではないタイミングで演奏したのか、詳細は不明です。

青森のみなさんはとても貴重な体験をされたと思います。引き続き情報お待ちしております。

 

そしてまたお蔵入りへ・・・

「Opening」としては1度披露されたものの、「プレゼント」というフルバージョンの存在はお蔵入りになりました。

そして曲を書いてから8年の歳月が経った2008年にカップリングアルバム制作の話になり、ようやく陽の目を見るようになります。続きは後編(楽曲解説:「プレゼント」「Opening」「Ending」(後編))で。

以上、BUMP OF CHICKENの「Opening」「Ending」「プレゼント」の歌詞の意味と制作エピソードについて紹介しました。