みなさんこんにちは。BUMP OF CHICKENの「月虹」という曲をご存知でしょうか。
「月虹」は2019年に発表したアルバム「aurora arc」に収録されている楽曲で、疾走感溢れるメロディが特徴になっています。
ボーカルの藤原基央さんは「月虹」にどのような意味を込めて作詞したのでしょうか?
この記事では「月虹」の歌詞の意味や解釈、制作エピソードを解説します。
「月虹」基本情報
作詞・作曲 | 藤原基央 |
編曲 | BUMP OF CHICKEN & MOR |
作曲時期 | 2018年 |
レコーディング | 2018年夏(8月頃) |
収録アルバム | 2019年7月10日「aurora arc」M-02 |
ライブ初披露 | 2019年7月12日 BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark 埼玉メットライフドーム |
「月虹」の意味
「月虹」https://pbs.twimg.com/media/BkC5U2fCEAA_woO.jpg
月虹
月虹(げっこう)は、夜間に月の光により生じる虹。光が弱いために色彩が淡く、虹が七色ではなく白く見えることから、白虹(はっこう)とも呼ばれる。月虹の見える原理は、昼間の虹と同じである。 引用元:wikipedia 月虹
「月虹」は、一般的に馴染みの薄い言葉ではありますが、藤原基央さんの造語ではなくて単語として実在するタイトルです。
非常に明るい満月の際に、円環状に架かる月の光の虹を意味します。「月虹」はBUMP OF CHICKEN初となるタイトルに「月」を使用した楽曲です。
「月虹」制作エピソード
アニメ『からくりサーカス』主題歌オファー
『からくりサーカス』アニメ化にともない、BUMP OF CHICKENに主題歌書き下ろしのオファーが来ます。
藤原基央さん、直井由文さん、増川弘明さんはラジオ番組「PONTSUKA!!」でも以前から同作品に言及するほどの『からくりサーカス』のファンでした。
詳しくは別記事「新曲「月虹」発表 – 「からくりサーカス」とバンプの関係」で紹介しています。
楽曲の疾走感は「からくりサーカス」の世界観
「月虹」はBUMP OF CHICKEN屈指のスピード感のある楽曲で、曲の速さはBPM200に達します。
「月虹」のスピード感は「からくりサーカス」の世界観を知っているからこそ生まれた曲調であると、インタビューで明かしています。
藤原 – やっぱりそのシーンにふさわしい音って必ずあるじゃないですか。日常を描いているようなシーンに闘ってるときに流す曲が流れてたらそれは違うじゃないですか。逆に最後の敵と闘ってるシーンでほんわかした曲もハマらないじゃないですか。
出典:MUSICA 2019.08 p.33
原作を読んできた藤原さんは「からくりサーカス」を演出する上で「月虹」は速い曲調がふさわしいと考えたようです。
作詞面では「BUMP OF CHICKENの歌詞」であることを意識する一方、サウンド面では藤原さんの個人的な趣味や作品の世界観に影響を受けることがあります。
ケルト調のフレーズとブズーキ
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2018年10月28日投稿、民族楽器「ブズーキ」を弾く藤原基央。録音スタジオは早稲田にあるAvaco Studio。
「月虹」のイントロではブズーキの音がレコーディングされています。この土着的なメロディは『からくりサーカス』の世界観に影響を受けて生み出されました。
藤原 – 状況が音に影響してくる必然性って言うのもすごくあると思ってる。で、俺は『からくりサーカス』すっげぇ大好きだから、そう言うところからイントロのああ言う楽器のチョイスになったんだと思う。
出典:MUSICA 2019.08 p.33
ブズーキはコードとフレーズの両方で弾かれており、他にマンドリンとアコースティックギターをミックスした音が使用されてます。
Aメロの裏に流れるアコーディオン
「月虹」にはアコーディオンが使用されています。パーカッションとギターの音に消されそうなほど微かですが、Aメロの裏に「パッパッ」と鳴っている音です。
中世ヨーロッパのジプシー楽団のようなイメージが藤原さんには合ったのでしょうか。
5弦ベースを録音したCHAMA
「月虹」のベースには5弦ベースが使用されています。
2018年8月30日投稿。embedded from Twitter@boc_chama
『aurora arc』では「シリウス」と「月虹」の2曲で5弦ベースがレコーディングに使われています。今まで半音下げCキーでのみ5弦ベースを使用していましたが、「月虹」では初めて半音下げC以外(レギュラーFキー)での使用となりました。
「モーターサイクル」 (2010年) *半音下げCキー
「パレード」 (2014年) *半音下げA,Cキー
「シリウス」 (2019年) *半音下げA,Cキー
「月虹」 (2019年) *レギュラーFキー
具体的に使われている場所は2番Aメロとアウトロの「ドッドッドドッ」と鳴っている低音です。升秀夫さんのパーカッションとMixされてわかりづらいですが、重厚感のある低音を鳴らしています。
CHAMAさんの凄さはせっかくの5弦ベースなのに全然5弦の音を出していない点です。逆にサビではハイフレット(高音)を動き回るように弾いています。高低音を縦横無尽に動き回るベースラインのセンスが光ります。
2018年7月、制作作業
2018年7月には「月虹」のリズム録りと思われる画像が投稿されています。
Rec🥁 pic.twitter.com/hE3RbmvKi2
— CHAMA (@boc_chama) July 11, 2018
2018年7月11日投稿、リズム録りを行う藤原基央と升秀夫。録音場所スタジオは世田谷Sound City
「月虹」のAメロで叩かれているリズムパターンの録音と思われます。(「Aurora」もタムを重ねている可能性がありますが「Aurora」の作曲は2018年末のため違います。)
参考までに「ファイター」(2014年) の2:48〜から入る特徴的なパーカッションも同じような手法(Twitter@boc_chama 2014年10月17日投稿)で録音されています。
スタジオはNHK「SONGS」でインタビュー撮影された世田谷Sound Cityです。
ライブ演奏記録
歴代最高に難しい増川のパート
増川弘明:Gibson製 Les Paul *レギュラーチューニング+3カポ
直井由文:Sadowsky 5弦ベース *レギュラーチューニング
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写真2枚目 2019年7月11日 aurora ark 埼玉メットライフドーム1日目にて「月虹」を演奏する増川弘明
「月虹」は全国ツアー「aurora ark」のAセトリで演奏されています。BUMP OF CHICKENでは初めて火炎の演出が使用された楽曲です。
この楽曲はギターリフが難しいだけでなく、BPMの速さCメロの変拍子などバンプの楽曲屈指の難易度を誇ります。増川さんは非常に忙しいパートを弾いており、相当な量の練習をしてライブに臨みました。
「からくりサーカス」原作者の藤田和日郎氏がライブに招待され、楽屋での裏話をTwitterにて書いています。
増川さんは
「『月虹』は歴代最高にギターが難しいんです。たくさん練習してライブに臨んだんですよ。」と、こちらがビックリするようなことを言って微笑んだ。
— 藤田和日郎 (@Ufujitakazuhiro) July 15, 2019
以上、「月虹」の解説やエピソードについて紹介しました。この記事を読んで「月虹」の新たな聴こえ方ができたら嬉しく思います。