楽曲解説:記念撮影 vol.1 「写真」ではなく「撮影」に意味がある

「記念撮影」はBUMP OF CHICKENが2017年にリリースしたシングル曲です。ループするサウンドトラックとアンニュイな歌詞が印象的な楽曲です。この記事では「記念撮影」の制作背景と歌詞の意味を解説します。



記念撮影:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2017年1-2月
録音時期:2017年2-4月
リリース:2017年7月5日 9th Digital Release『記念撮影』

タイアップ 日清カップヌードルCM「HUNGRY DAYS アオハルかよ」

「記念撮影」は日清カップヌードル「HUNGRY DAYS アオハルかよ」のCM曲としてタイアップしています。「記念撮影」はCM用の書き下ろし楽曲ではなく、2017年1~2月頃に藤原さんが書いた楽曲です。

「記念撮影」のタイトルへのこだわり

2017年2月11日の記念撮影。バンド結成21周年をこの日はお祝いにメンバーで食事をして、さらに別の店でお酒を飲んだ。Photo embedded from Twitter@boc_chama

ボーカル・ギターの藤原基央さんは「記念写真」ではなく「記念撮影」という行為自体の意味や未来に残そうとしている物事を歌った曲だと述べています。

藤原 – この時は写真の歌を歌いたかったんじゃなくて、撮影するっていう行為のことを歌にしたんだよね。撮影するっていう行為の持つ意味というか、人をそうさせる理由みたいなもの?

引用元:MUSICA 2019年8月号 p.34

藤原 –  (写真を撮影する動機について)で、俺がこの曲で歌にしているのはそこなの。・・・きっと、未来の自分に何か残そうとしてるんだろうなって、そういう切実な思いがあるんだろうなって思うんだよ。

引用元:MUSICA 2019年8月号 p.34

写真(モノ)ではなく撮影(行動)にスポットライトを当てた藤原さん、着眼点がさすがです。未来の自分に見せたいのか、その瞬間を忘れたくないのか、撮影という行為の根源的な部分を藤原さんなりに解釈した歌詞が独特の世界観を作り出しています。

いつか終わる”魔法”の瞬間

記念撮影  1:10〜
ねえ きっと 迷子のままでも大丈夫 僕らはどこへでも行けると思う
君は知っていた 僕も気づいていた終わる魔法の中にいたこと

引用元:記念撮影 / 作詞作曲 藤原基央 (2017年)

撮影しようとしている瞬間を含めた一定の時間を”魔法”と表現しています。藤原さんの言葉のチョイスにセンスが光りますね。

“魔法”は色々な解釈ができると思います。連続的で区切りのない「時間」や「空間」が移りゆく様を”魔法”と表現しているとも、感情に訴えかける特別な「空気感」を”魔法”と比喩しているとも捉えられます。

記念撮影  3:28〜
君は笑っていた 僕だってそうだった 
終わる魔法の外に向けて
今僕がいる未来に向かって

引用元:記念撮影 / 作詞作曲 藤原基央 (2017年)

撮る瞬間、被写体は未来の自分と向き合っている、いつか今を見返す自分に向かって残そうとしている、そんな風に読み取れる歌詞です。*筆者の個人的な解釈です

ループするサウンドトラック




「記念撮影」は同じコード進行が繰り返されています。曲の始まりから終わりまで同じ進行なのは「レム」「voyager」「記念撮影」の3曲だけです。

ギターのアルペジオは2010年以降の楽曲で使用するようになったアルペジオで「キャラバン」(2010年)や「宝石になった日(2016年) で使用されています。

余談ですが「記念撮影」のイントロと浜崎あゆみさんの「July 1st」(2002年)にイントロが似ていると言われています。

類似箇所

コード進行:(Ⅳ) → (Ⅴ) → (Ⅲ) → (Ⅳ) / (Ⅳ) → (Ⅴ) → (Ⅲ)* → (Ⅵ)
*「July 1st」では5度のシャープ
アクセント:4拍目を伸ばす

作曲したのは元Do As Infinityの長尾大氏です。長尾さんの作る楽曲はこのアルペジオがよく使われています。二人とも同じ音楽的ルーツから影響を受けたのかもしれませんね。

レコーディング 2017年2月-4月

2017年2月25日 ドラム録りを行う升秀夫。時期的に「記念撮影」のプリプロ制作、デモ作成だと思われる。Photo embedded from Twitter@boc_chama

「記念撮影」のレコーディングをする増川弘明

ギターにカポタストを着用していることから「記念撮影」だと推測されます(同時期にカポをつける楽曲がないため)。ただし投稿日はすでにTVCMで「記念撮影」が放送されている時期のため、直井さんが過去の写真を投稿した、CM用の別録り音源を放送したと考えられます。

ライブ演奏解説

3人のチューニングが異なる不思議な組み合わせ

公式動画YouTube「記念撮影」3:09〜 レ3弦5フレット(D) → 7フレット(E) を弾いた後(左図)に3弦4フレット(C#)を弾いている(右図)ことからレギュラーチューニングであることがわかる。



2019年8月20日 3カポをつけて「記念撮影」を演奏する増川弘明 。こちらはハーフダウンチューニング。aurora ark at 新木場STUDIO COAST公演 Photo embedded from Twitter@spice_mu

「記念撮影」は増川さんが半音下げチューニング、藤原さんと直井さんがレギュラーチューニングという異なる調律の楽器を演奏しています。
使用機材藤原基央:Gibson製 Les Paul Special *レギュラーチューニング カポなし
増川弘明:Fender製 Stratcaster *半音下げチューニング+3カポ
直井由文:Fender製 4弦ベース *レギュラーチューニング

弦のテンションの問題、ハイフレットの弾きやすさ、指板の見やすさなど色々な理由がありますが、異なるチューニング楽器を同時演奏するというBUMP OF CHICKEN史上初めての楽曲です。

フロントピックアップを使用する藤原基央

「記念撮影」での藤原基央さんのギターはフロントピックアップを使用しています。アルバム『aurora arc』初回限定版特典収録の「COUNTDOWN JAPAN 18/19」の記念撮影では16:01〜にセンターからフロントに切り替えている藤原さんの手元が映ります。

aurora ark ツアーの記念撮影2019年7月12日埼玉メットライフドーム1日目はフロントピックアップで演奏されたが2日目はセンターで演奏された。セッティングの忘れではなく意図的にセンターで演奏されている。
以上、「記念撮影」の歌詞の意味と楽曲解説でした。この記事を読んで「記念撮影」に新たな発見があれば嬉しいです。ありがとうございました。