楽曲解説:ギルド 藤原はなぜ人間を「仕事」と書いたのか 解釈と歌詞の意味

「ギルド」はBUMP OF CHICKENの『ユグドラシル』に収録されている楽曲です。

「ギルド」の意味は中世ヨーロッパの同業者組合で、ボーカル・ギターの藤原基央さんは「人間」を「仕事」になぞらえて作曲しました。

藤原さんは「ギルド」でなぜ「人間という仕事」を歌ったのでしょうか。この記事では「ギルド」の歌詞の意味と考察について、メンバー本人のインタビューを紹介します。



BUMP OF CHICKEN「ギルド」基本情報

ギルド:基本情報作詞作曲:藤原基央
作詞時期:2003年12月
作曲時期:2003年12月
リリース:2004年8月25日 『ユグドラシル』
ライブ初披露:2004年9月17日 「MY PEGASUS」 ZEPP TOKYO

「ギルド」の意味

guild [gíld]
名詞:(中世ヨーロッパの)同業者組合、商工組合、(近代の)組合、会

「ギルド」とは英語で「同業者組合」を意味します。特に中世ヨーロッパの同業組合として一般的に知られています。藤原さんが好きなゲーム「FINAL FANTASY」シリーズにも用語のひとつとして「ギルド」が登場します。

「ギルド」誕生のきっかけ

embedded from Pinterest

「ギルド」は2003年12月にボーカル・ギターの藤原基央さんによって作曲されました。「太陽」のレコーディング作業をしている間、ギターの弦を張り替えながら最初の歌詞が頭に浮かびます。

「ギルド」
人間という仕事を クビになってどれくらいだ

引用:「ギルド」/ 藤原基央 (2004年)

藤原さんはそのまま紙とペンで続きを書き、30分で「ギルド」の歌詞を書き上げました。この日取材に訪れていた音楽ライター・鹿野淳氏は一連の様子を目撃しています。

BUMP OF CHICKEN「ギルド」歌詞の意味

「ギルド」の歌詞の出発点

藤原 – 僕らは今存在している人は、みんな、存在することを選んだ人だと思います。でもなんか、最早ね、あてがわれたのか望んだのか、生きてるのか生かされてるのか、っていう解釈を待たずに呼吸が続いていることがね、少し怖くなったんですよね。そいいうとこからできた曲です。 

私たちは自分の意志で生きようとしているのか、それとも日常生活の流れに取り込まれて生かされているのか、考える余地もなく呼吸をしています。思考ではなく、生理的反応で、身体が呼吸を必要としているからです。

ただ単に「呼吸をしている」という事実、ただそれのみ。その事象について恐怖を藤原さんは覚えたといいます。

<それでも呼吸が続くことは 許されるだろうか>の部分で、思考的な解釈よりもプリミティブな部分(本能や運命)に対して藤原さんは問うています。

なぜ人間を「仕事」と書いたのか

藤原 – 「仕事」っていうキーワードは、何か向かいたい部分があって、そのためには、人間でいるという作業を・・・ちょっとデフォルメする必要があったのかもしれないですね。

藤原さんの心理状態・人生観を「別のもの、行為」になぞらえるデフォルメを手法は『ユグドラシル期』の特徴です。「太陽」や「乗車権」も見られます。

「当然」は保証されていない

いきなりですが、質問です。

あなたは、人間ですか?

こんなことを街で聞いたら逆に心配をされてしまうかもしれません。私たちは人間ですし、みんな生きています。当然です。でもこの”当然”が当然でないかもしれないと思い出したら、すごく不安になりますよね。

藤原さんは、当たり前に存在していること、呼吸していること、生きているという<当然>を<当然ではない>のかもしれないと表現します。

「人間という仕事」に必要なアイテムは何でしょうか。アイテムの前にライセンスが必要だったりして。こんなことを考えながら昨日の昼下がりに川沿いの桜並木を散歩しました。- 3.30 藤原基央の手紙 – 

私たちは人間でいることが当たり前ですよね?でも、もしかすると人間でいるためには<ライセンス>が必要なのかもしれません。そしてその人間であるための<ライセンス>を奪われたら、一体私たちは何なのでしょうか。

現実世界でも、道を踏み外してしまった人、友人の輪から外れた人、家庭が崩れてしまった人、それまで当たり前だったことがそう出なくなることがあると思います。その結果に自分の意思があるにせよないにせよ、それでも呼吸はつづくのです。

藤原 – 自分自身の意思とは関係なく自分自身を続けていかなきゃいけない時もあるんですよね。ということを淡々と歌ってるんでしょうけれども、歌にするということによって少しでも温度が出た気がします。歌うことの意味はひょっとしたらそこにあるのかもしれないです。

BUMP OF CHICKEN「ギルド」制作エピソード

ツルハシで掘る音をイメージしたリズムギター

「ギルド」は”タタッタ タタッタ”というリズムギターが特徴的です。この独特のリズムは炭鉱を「ツルハシで掘りすすめる音」をイメージして弾きました。

「ユグドラシル」で一番話し合った楽曲

直井 – この曲が一番、その瞬間を話し合ったと思う。いっぱいCDを持ち寄って聴いてみたり。(embraceのレコーディング後に時間が空いたため練習時間に費やしていたので)引き出しも増えてて、だから”ギルド”の時にはある程度揃ってたんじゃないかな。

ベース・直井由文さんとドラム・升秀夫さんは、そのギターに合わせて「ドドッド ドドッド」というリズムの演奏をしましたが、藤原さんから単純すぎるとNGをもらい、改めてメンバー全員で曲の表現方法について考えることにします。

「人形劇 ギルド」の制作

DVD映像作品「人形劇 ギルド」(2006年)

「ギルド」はDVD映像作品『人形劇ギルド』として2006年にリリースされました。PV・ビデオクリップ集以外では初めての映像作品となりました。「ユグドラシル」リリース時に「ギルド」のPVを制作予定でしたが、アイデア構想が膨らんだ結果、人形劇の物語になりました。

BUMP OF CHICKEN「ギルド」PV

撮影日 2006年3月5日 
PV監督 番場秀一
ロケ地 国立代々木第一体育館(全国ツアー「run rabbit run」)

「ギルド」のPVは番場秀一監督によって「run rabbit run」代々木第一体育館公演のライブ映像と『人形劇 ギルド』の映像をミックスして制作されました。全国ツアー「run rabbit run」では生活困窮者・ホームレス支援の一環として「BIG ISSUE(生活困窮者が販売権を持つ雑誌)」とのコラボを行っており、PVの中にも招待された「BIG ISSUE」販売スタッフの方達が映っています。

「ギルド」ライブ演奏記録

BUMP OF CHICKEN GUILD(画像埋込元:Twitter@boc_chama

「ギルド」演奏回数

演奏回数 113回  (発表後254公演のうち)
演奏頻度 ★★★★
初披露 2004年9月17日「MY PEGASUS」ZEPP TOKYO
最終演奏 2018年12月31日「COUNTDOWN JAPAN 18/19」千葉幕張メッセ
演奏ツアー 2004年「MY PEGASUS
2005年  夏のイベント
2006年「run rabbit run
2007年  夏のイベント
2008年「ホームシック衛星
2008年「ホームシップ衛星
2008年「ROCK IN JAPAN FESTIVSL 2008
2011-12年「GOOD GLIDER TOUR
2012年「GOLD GLIDER TOUR
2013年「WILLPOLIS
2015年「BUMP OF CHICKEN Special Live
2018年「COUNTDOWN JAPAN 18/19

「ギルド」ライブ演奏機材


演奏機材

藤原基央 – Sonic Stratocaster (黒/ローズウッド指板)
増川弘明 – Gibson Les Paul Standard 1958
直井由文 – Sonic Jazz Bass (初号機) / Fender Jazz Bass

「ギルド」と「車輪の唄」は藤原基央さんがライブでSONIC製ストラトキャスターを使用した最初の楽曲です。2004年全国ツアー「MY PEGASUS」のリハーサルで当初黄色のレスポール・スペシャルを使用していましたが、音のニュアンスを表現できないため当機を導入しました。

ギタリスト・増川弘明さんはメイン機となるレスポール・スタンダードではなく、敢えてサブ機を使用しています。増川さんなりの音作りのこだわりを感じます。

BUMP OF CHICKEN「ギルド」ライブ映像作品

映像作品「BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012」
アルバム「Butterflies」初回限定版特典DVD(2015年8月4日「Special Live 2015」収録) Butterflies BUMP OF CHICKEN
アルバム「aurora arc」*特典Blu-ray/DVD(2018年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 18/19」収録)

上記の他に「ギルド」のライブ映像は複数回放映されています。

  • 2004年12月11日「PEGASUS YOU」千葉幕張メッセ (NHK「スーパーライブ」)
  • 2008年5月17日「ホームシップ衛星」さいたまスーパーアリーナ(NHK「スーパーライブ」)

以上、BUMP OF CHICKEN「ギルド」の歌詞の意味と制作エピソードを解説しました。こんなエピソードがあったと思い出してもらえれば、きっと新たな曲の一面が垣間見えるのではないでしょうか。



(Visited 3,705 times, 1 visits today)