楽曲解説:voyager & flyby – 28年周期の物語と4人で歩いた散歩の記憶

BUMP OF CHICKENの「voyager」「flyby」歌詞の意味と制作エピソードを紹介します。

「voyager」と「flyby」はアルバム『orbital period』の1曲目と17曲目に収録されている楽曲です。

ボーカルの藤原基央さんはひとつのストーリーとして「voyager」「flyby」の2曲を書きました。2曲の歌詞解釈とレコーディングについて解説します。



「voyager」「flyby」基本情報

5th Album「orbital period」(2007年12月)

飴玉の唄:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2007年夏〜秋
録音時期:2007年秋
リリース:2007年12月19日 「orbital period」 
ライブ初披露:「flyby」2008年1月10日 ホームシック衛星 at ZEPP TOKYO ※「voyager」は演奏なし

「voyager」「flyby」の意味

「voyager」は1977年NASAによって打ち上げられた惑星探査機「ボイジャー1号」を意味します。1979年に木星に接近通過(flyby=フライバイ)を行い、木星での重力アシストを使って土星に向かいました。「voyager」「flyby」の曲名はこの出来事に由来しています。

ボイジャーは藤原さんのお気に入りのモチーフのようで「話がしたいよ」(2018年)の歌詞にも登場しています。

アルバムの表紙・背表紙として書かれた2曲

2007年、ディレクターからアルバムの表紙と背表紙となる2曲をリクエストされます。実際に書き始めたのは夏〜秋頃に1日スタジオを押さえて作曲・録音されました。書く前は重たい気持ちながらも、作曲をはじめたらサラッと書き上げました。

作曲した藤原基央さんの心境は、自身の誕生日にメンバー4人で集まり「僕ら28年目(28年周期 = orbital period)だ!」と盛り上がった出来事、明け方4人で散歩した記憶が「voyager」「flyby」の2曲に繋がったといいます。

BUMP OF CHICKENらしい曲のきっかけ

藤原 – それ(28年周期) をメンバーに話した時に、僕と同じかそれ以上に食らいついてきて。その、感動してるのが、嫌ぁなくらいに伝わってきて(笑)「だからバンプ・オブ・チキンやってんだろうなあ」と思ったんですけど。

2008.01 MUSICA vol.9

直井さんは28歳の友人に28年周期のエピソードを紹介したところ、予想とは逆に「君ら4人で良かったね(笑)」と一歩引いたリアクションをされました。「voyager」「flyby」はBUMP OF CHICKENの4人だから盛り上がった内輪ネタであり、そこから生まれた楽曲なのです。何だか4人の仲良しぶりを感じますね。



藤原がよく弾いていたフレーズ

直井 – 「何だ?この懐かしい気持ちは?」と思ったら、フジ君がずうっと弾いていたものだったんですよね。すごいメロディアスなフレーズなんですよ。ソロでいいじゃんっていうくらいのね。

2008.01 MUSICA vol.9

ギタリストやベーシストには”手グセのフレーズ”というものがあります。無意識に弾いてるフレーズ、お気に入りのフレーズです。四六時中ギターを触れている藤原さんは手グセのフレーズがいくつもあり、「voyager」「flyby」のギター・フレーズはそのひとつから生まれました。

私も好きなフレーズでよく何気なく弾いてしまいます・・・ということで下手くそですが弾いてみました。

(演奏 by管理人)

演奏だけでも楽曲として成立してしまうくらい素敵なメロディですね。

2種類のアコースティックギターを使い分けたレコーディング

曲名 使用楽器(藤原) 演奏部分
「voyager」 Martin D-45 1968 全編
「flyby」
Martin O-18 1943 冒頭 (0:00~)と終盤(1:05~)
Martin D-45 1968 終盤(1:05~)

「voyager」使用機材

「voyager」ではMartin D-45を低音域・中音域・高音域の3つに分けて別録りしています。よりステレオ的に響かせる録音方法で、この凝り方は藤原さんらしさが感じられます。

上記で藤原さんが弾いているのが「voyager」で使用されたMartin O-18です。

「flyby」使用機材

「flyby」の冒頭部分はMartin D-45 1968を使用しています。「プラネタリウム」から使用しているこのギターで繊細で指の押弦の強さの影響を受けやすいながらも、低音の鳴りが良いというのが藤原さんの評価です。




上記で演奏しているのが「flyby」で使用されたMartin D-45です。こちらに加え、終盤部分では「voyager」で使用したMarting O-18もミックスされています。

10代から使用しているエフェクターを使用

「flyby」のバンド演奏部分ではギターにBOSS OS-2を繋いで音作りがされました。このエフェクターは藤原さんが10代の頃から使用しているもので、長年使っていたこれを掘り起こし、電池を入れてライトが点いた瞬間感動したといいます。1997年頃にはOS-2を使用していたことが確認できるので、16-17歳の頃のバンプの音が蘇っていると思うと感慨深いですね。

リリースから8年後にCHAMAさんがTwitterで解説しています。

直井はFender Precision Bassを使用

曲名 使用楽器(直井) 演奏部分
「flyby」 Fender Precision Bass 1959 (白) 中盤 (0:27~)

ベーシストの直井由文さんは「flyby」のレコーディングではFender製プレジションベースを使用しています。stage of the gruond」「ベンチとコーヒー」で使用しており粗く太い音を出したい時に使われる傾向が多かった・・・が近年ではそれがSonic製プレベ(ピンク)にポジションを奪われているためレアな感じです。アンプはホンダサウンドワークスの本多氏に買わされた?(本人談)ホンダマンを使用し、”シビア”な感じで弾いたと明かしています。

「smile (Band ver.)」のMVで直井さんが弾いているのがFender Precision Bass 1959です。(※実際のレコーディングではSonic製PB Chama Pinkを使用)

ライブ演奏記録



演奏回数 7回
演奏頻度 ★☆☆☆☆
ライブ初披露 2008年5月17日「ホームシップ衛星」さいたまスーパーアリーナ公演
最終演奏 2017年11月27日「PATHFINDER」Zepp Osaka Bayside公演
演奏ツアー 2008年「ホームシップ衛星」*5公演
2014年「WILLPOLIS 2014」*1公演
2017年「PATHFINDER」*1公演
使用機材
藤原基央 – Gibson Les Paul Special TV Yellow 
増川弘明 – Gibson Les Paul Standard Historic Collection 1958

非常にレアなライブ演奏曲

「flyby」は「ホームシップ衛星」から7回演奏されています。1分55秒はライブ演奏曲としては最短クラスです(厳密には英語詞未発表曲に2分未満の楽曲がありました)。演奏は本編ラスト、あるいはアンコール(ラスト曲)で6回披露されており、特別な位置付けであることがわかります。

全7回のうち4回が大阪公演の謎

「flyby」の演奏7回のうち4回が大阪で披露されています。「ホームシップ衛星」の追加公演5回は不思議ではありませんが、直近2回「WILLPOLIS 2014」「PATHFINDER」がどちらも大阪公演、ライブハウス公演であることが特徴的です。

特に2017年11月27日のPATHFINDER ZEPP OSAKA BAYSIDE公演ではダブルアンコール曲として演奏されています。ダブルアンコールは会場の盛り上がりにメンバーが応え、演奏しやすい「ガラスのブルース」「DANNY」「ダイヤモンド」がセオリーです。ダブルアンコールでなぜ演奏回数の低い曲なのか、しかも同ツアーでは一切演奏していない楽曲であり、短い曲である「flyby」なのかBUMP OF CHICKENのセオリーから外れています。

以前から大阪公演では珍しい楽曲を演奏することが多く、これはプライベートな交友関係によるものと推測しています。特に直井さんの親戚はインディーズ時代から大阪のライブハウスに見にきており、メンバー側がチケットを用意していました。

MUSICA vol.9 「orbital period」全曲解説

以上、「voyager」「flyby」の楽曲解説とエピソードを紹介しました。またいつかライブで披露されるといいですね。



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