楽曲解説:モーターサイクル vol.1

18th Single「宇宙飛行士への手紙/モーターサイクル」(2010年) 収録
作詞作曲:藤原基央
作曲時期: 2009年4月中旬〜下旬

「モーターサイクル」は2010年に発表した通算18枚目のシングル曲です。ギミックの効いたギター、ベース、ドラムのリズムが印象的な楽曲になっています。ボーカルの藤原基央さんが30歳になってから初めて書いた曲で、”心の中にあった嫌なこと”に対する気持ちを吐露した詞になっています。この記事ではモーターサイクルのレコーディング秘話と歌詞の解釈・意味を紹介します。




作曲 – 2009年4月

魔法の料理から気持ちを切り替えて書いた曲

4/10  魔法の料理〜君から君へ〜を作曲
1週間以内にモーターサイクルを作曲
キャラバン作曲
  藤原、プロデューサーに曲作りのためのスタジオに呼ばれる。前日に透明飛行船を書き上げる。

2009年4月、藤原さんは30歳の誕生日直前に「魔法の料理〜君から君へ〜」を作曲します。魔法の料理の作曲時は”過去との対話”の時間だったといい、自身のそれまでの経験を振り返りながらの作曲でした。それから1週間も経たないうちに、過去うんぬんではない全く新しい気持ちで書いた曲がモーターサイクルです。

藤原 – ずっと「魔法の料理」の濃厚な匂いの中にいた時期だったんですけど、一気に切り替わってそのときに思っていたことがポロポロと出てきて曲になったんだと思います。 

出典:音楽ナタリー http://natalie.mu/music/pp/bumpofchicken03

歌詞の意味・解釈

藤原 – 俺にとってこの曲はノンフィクションなんだよね。だからシングルになるとは思ってなかった(笑)

orbital period以降は「君」「二人」「光」「鏡」「痛み」などの抽象的な表現を多用して哲学的な本質や心理描写、人間の内面を描こうとする曲が多いのが特徴です。一方でモーターサイクルは非常にリアリスティックな表現で書かれています。歌い出しの<心とかじゃなく右側が>という歌詞がとても現実感のある言葉ですね。

本当に胸が痛かった日

起きたら胸が痛かった 

心とかじゃなく右側が

夜になったら治ってた 

痛かったことも忘れてた

モーターサイクル / BUMP OF CHICKEN

起きたら右胸に激痛を感じた朝がありました。藤原さん曰く、戦慄が走るほど苦しいものだったそうです。しかし、いつの間にかその痛みを忘れてしまい、ふと2日後に思い出します。その「戦慄を覚えるほどの痛みなのに、いつのまにか忘れてしまっていた」という感覚に恐怖を覚え、部屋でパンツ1枚になり飲まず喰わずで詞を書きました。それがモーターサイクルです。

嫌なことがきっかけで書きはじめた – HAPPYとの関連性 – 

魔法の料理を作曲していた時は幼少期のことを思い出していた藤原さんですが、モーターサイクルの時は「嫌な気持ち」を持った状態で作曲しました。

藤原 ーめちゃめちゃイヤなことがあって、めちゃめちゃ悲しくて。そういう時にそのまま書いた曲。そのイヤな気持ちは数ヶ月間あったんですよ。可哀想って気持ちになったり、『なんでだろう?』て気持ちになったり、いろいろあったんですけど・・・(時間とともに忘れるとおもってたけど)数ヶ月後にこの曲を書いて、ずっと覚えてることなんだなって。

MUSICA Vol.45

藤原さんは「嫌なことを消化する」ためにモーターサイクルを書きます。実はHAPPYという曲を作曲したきっかけも同じ「嫌なこと」でした。HAPPYを作曲した2008年の夏〜冬にかけて決定的な「イヤなこと」が起こり、藤原さんに大きな影響を与えたと推測できます。

イヤなこととは何でしょうか?”悲しい”、”なぜだろう”と語っていることから、原因不明の悲しい出来事であるようです。

実は同年の夏前に日本で大きな通り魔事件が起きており、その犯人がバンプファンで『ギルド』の歌詞をインターネット掲示板に書き込んでいたことが一部で話題になりました。一説にはこのことを藤原が知ったのではないか、と考察されています。

レコーディング

アレンジはほとんどデモテープと同じ

ギター2本、ベース、ドラムの間に隙間を作り、それぞれのリズムでおいしいところがある遊びをやってみようという考えで作曲しました。藤原個人の趣味によるアイデア。デモ音源と完成版の音源はほとんど音の構成が変わっておらず、ギターリフもデモテープの段階であったものを録り直しただけだそうです。

升 ”初めて聴いたときは「カッコいい!」のひとことでしたね。しばらくしてから「あ、このドラム、俺が叩くのか!」と(笑)”

増川、直井、升の3人はレコーディングにあたり曲の構成を理解するのに苦しみました。3人でスタジオ練習をしてもボーカルがないとどこを演奏しているか分からず、全く合わせることが出来ませんでした。

増川 ”デモを聴いて「カッコいいな。よし、やってみるか」って耳コピして、そのあとスタジオで藤くんを除いた3人で合わせる機会があって。そしたらまったくできなかった(笑)。なぜかというと、この曲って歌がないと自分がどこを弾いているかわからなくなるんですよ”

直井  “やっていること自体はすごくシンプル。変拍子があるわけでもないし、シンプルなコード進行なんだけど、それがここまで複雑に響くのって凄いなぁと思ったんですよね。ミュージシャンとしては、複雑なリズムの構築感がある曲だと思うし、そこを楽しめる曲だとも思うんだけど、歌詞と唄が入ってくる事によって、リズムが全然複雑に聴こえない。それって実はすごいことだと思うんですよね” (MUSICA Vol.45)

ライブ演奏記録

ライブ演奏には前向き

升 ”これを生で叩けたら絶対カッコいい曲になるなってデモの段階で確信した。歌えるビートだなって。ライブで演ったら僕らもお客さんも盛り上がれる曲だなと思います”(natalie)

升はライブでの演奏に前向きに応えているが、2010年のリリース以来ライブで披露されたことはない。