6th Album 『COSMONAUT』

楽曲解説「HAPPY」曲名に秘められた意味と藤原の思い

6th Album 『COSMONAUT』
「キャラバン」(カップリング曲)

「HAPPY」はBUMP OF CHICKENの通算16枚目のシングル曲です。

2010年4月、バンド初の2週連続シングルリリースとして「魔法の料理〜君から君へ〜」に先立ち発売されました。

「HAPPY」は藤原基央さんが友達の誕生日に贈る曲として書かれました。《HAPPY BIRTHDAY》のコーラスが印象的ですが、実はとても悲しい出来事が裏に起きていました。

藤原さんはなぜ悲しい出来事に対して「HAPPY」という曲名を付けたのでしょうか。この記事では「HAPPY」の楽曲解説や歌詞について紹介していきます。



「HAPPY」基本情報

シングル「HAPPY」(2010年4月14日発売)

作詞・作曲 藤原基央
編曲 BUMP OF CHICKEN & MOR
作曲時期 2008年12月
レコーディング 2009年秋〜冬
収録シングル 2010年4月14日「HAPPY」
収録アルバム 2010年12月15日「COSMONAUT」
ライブ初披露 2010年4月10日 BUMP OF CHICKEN SECRET 六本木ヒルズアリーナ

「HAPPY」の歌詞の意味

実在する「少年」と「少女」

HAPPYの解釈

「HAPPY」の歌詞には「少年」と「少女」という2人の人物が登場します。この2人は藤原基央さんの同世代の友達でした。

HAPPY  0:39〜
少年はまだ生きていて 命の値段を測っている
色々どうにか受け止めて 落書きのような夢を見る

引用元:HAPPY / 作詞作曲 藤原基央 (2010年)

HAPPY  2:07〜
少女はまだ生きていて 本当のことだけ探している
笑うことより大切な 誰かの手を強く握って

引用元:HAPPY / 作詞作曲 藤原基央 (2010年)

藤原 – 登場する少年も少女も、僕の友達なんですけど。「少年」「少女」と表現してますが、僕と同世代の友達で。その2人に対しての、僕なりの思いを書いたんです。

出典:natalie Power Push BUMP OF CHICKEN

不幸がふりかかった2人の友人に贈った曲

HAPPY 歌詞の意味

2008年末、藤原基央さんは誕生日を迎える友人のために「HAPPY」を書きます。その友人達には「ハッピーでない出来事」が降りかかっていました。憶測で述べることは憚られますが、前述の歌詞からして誰かの命に関わるような出来事だった事が推し測られます。

 

藤原 – いてもたってもいられない、っていう感じはありました。僕の中では。でも贈るっていうか……勝手に書いた感じですね。僕が歌いたかった、それだけです。

出典:natalie Power Push BUMP OF CHICKEN

 

ひとつ一つ精査するような言葉でインタビューに答える藤原さんは久しぶりです。

 

藤原 – その人の人生に起きたことは、他者がどうこう言ったからって決着がつくことではないじゃん? (中略) でも我慢できなくて・・・・・それで、この曲を作ったの。

引用:MUSICA vol.45 2011.01

 

「ハッピーでないこと」を体験した友人に対して「HAPPY」という曲を贈るのは相当な覚悟が要り、藤原さんと友人の厚い信頼関係が伺えます。

 

「HAPPY」という曲名には友人の悲しみと藤原さんの優しさが隠されています。

 

補足:記憶喪失の友人に作った曲記憶喪失になった友人に対して、自分たちができる事は「目印になる音の旗を振る事だ」と考え、「メロディーフラッグ」を書いた事がある。

 

“HAPPY BIRTHDAY”という事実と向き合う

藤原 – 「Happy」と「Birthday」がセットになってひとつの単語になっている、というところからまず始まりました。

引用元:natalie Power Push BUMP OF CHICKEN

 

「ハッピーバースデー」という言葉。「どうしてハッピーなんだろう?」なんて普通は思わないですよね。

 

藤原さんは当たり前にあるこの言葉に対して一考します。

 

藤原 – 誰もHappy Birthdayって言う時に、「なんでHappyなんだろう?」とは考えないと思うんだよ。(中略) だから考える前にその事実はあって。だから、悲しいほどそれはセットなんだよね。Birthday自体はHappyとセットなんだって……それを、一人でも多くの人に言いたかった

引用元:excite Interview with BUMP OF CHICKEN

 

生まれてくることがハッピーな出来事である、というのはすごく普遍的なことだと思います。それを疑う、向き合うということをどれほどの人間ができるでしょうか。

補足:当然を疑う藤原の着眼点かつて「人間」であるという当然を疑い、必要なライセンスやアイテムは何かを問うて「ギルド」の作曲につなげた。




「楽しもうぜ」と話したレコーディング


歌詞の内容は悲しみに向けられた唄ですが、レコーディングでは一転して「楽しもう」という意思を持って臨みました。

 

藤原 – 音だけのことで言えば「イエーイ!」っていう感じです(笑)。ロック寄りな気分だった、というか。

引用元:natalie Power Push BUMP OF CHICKEN

 

イントロではA♭キーに対してG♭やC♭の音を入れており、藤原さんの手グセであるブルージー感のあるサウンドを作っています。

 

イントロのリズムはプロデューサーのアイデア

イントロに流れる”ドッドッドドド・・・”という分厚いリズムサウンドはプロデューサーのMOR氏による発案で、オケヒットと呼ばれるアレンジです。

・歪ませたギター
・歪ませたベース
・壁を叩くパーカッション
・床を叩くパーカッション
・ゴミ箱を叩くパーカッション

上記のような音をサンプリングして構成された音になっています。あの短く太い音にはこんなにも沢山の音が入ってるのですね。



「HAPPY」ライブ演奏記録

演奏回数 24回  
演奏頻度 ★☆☆☆
初披露 2011年12月05日「GOOD GLIDER TOUR」渋谷AX
演奏ライブ 2010年「BUMP OF CHICKEN SECRET」六本木ヒルズアリーナ
2011-2012年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2011-2012 GOOD GLIDER
2012年「BUMP OF CHICKEN TOUE 2012 GOLD GLIDER
2023年「BUMP OF CHICKEN TOUE 2023 be there

演奏機材 (2012年)

藤原基央 – Gibson Les Paul Special
増川弘明 – Gibson Les Paul Standard 
直井由文 – Sonic Precision Bass (Chama Yellow)

シークレットライブで初披露

2010年4月10日 六本木アリーナで撮影

2010年4月10日に招待制ライブ「BUMP OF CHICKEN SECRET」にて初披露されました。

MV撮影も兼ねていましたが、現場ではアテフリはせずにきちんと生演奏をしていました。

「HAPPY」ライブ映像作品

映像作品「BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012」
映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there at SAITAMA SUPER ARENA」

「HAPPY」のライブの模様は映像作品『BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012』に収録されています。

増川弘明のギターソロアレンジ

2012年の「GOLD GLIDER TOUR」では、増川さんはギターソロにアレンジを加えています。

ということで再現してみました!

 

インディーズ〜メジャー初期にも増川さん独自のアレンジをしてたものの、諸事情により原曲通りに戻りました。「HAPPY」や「ゼロ」では増川さん自身が考案した見事なギターアレンジを披露しています。

以上、「HAPPY」の歌詞解釈と楽曲解説でした。