6th Album 『COSMONAUT』

楽曲解説「三ツ星カルテット」藤原基央がメンバーに向けた唄

6th Album 『COSMONAUT』
アルバム「COSMONAUT」

「三ツ星カルテット」はBUMP OF CHICKENのアルバム「COSMONAUT」収録曲です。

「三ツ星カルテット」とは作詞作曲の藤原基央さんが作り出した造語で、「三ツ星」とは「藤原さんから見た3人のメンバー」を意味します

なぜ藤原さんは楽曲のタイトルに「三ツ星カルテット」と名付けたのでしょうか。歌詞の意味や制作エピソードを解説します。



「三ツ星カルテット」基本情報

6th Album「COSMONAUT」(2010年12月)

作詞・作曲 藤原基央
編曲 BUMP OF CHICKEN & MOR
作曲時期 2010年秋頃
録音場所 東京都千代田区一口坂スタジオ
収録アルバム 2010年12月15日「COSMONAUT」M-01
ライブ初披露 2011年12月05日 GOLD GLIDER TOUR 2012 ZEPP TOKYO公演

「三ツ星カルテット」の意味

BUMP OF CHICKENのロゴマーク

藤原- 3つの星は俺から見たバンドなんです

BUMP OF CHICKENのロゴマークにある4つの赤い星は4人のメンバーを表していて、ひとつの星からは他の3人の星が見えているのだと藤原さんは語ります。

さらに藤原さんは自分自身も他のメンバーにとって「三ツ星」の一つでありたいと願います。

藤原 – 願わくは、他のメンバーがこのバンドを見た時に、3つの星のなかに俺がいられたらいいなぁって思ってやったことなんです。だからね、”三ツ星カルテット”もこのカルテットは俺とっては三ツ星なんですっていう意味なんです。

「三ツ星カルテット」は「藤原基央さんとBUMP OF CHICKEN」の関係性が表現されている曲名だといえるのではないでしょうか。

「三ツ星カルテット」作曲エピソード

6th Album『COSMONAUT』制作史。「三ツ星カルテット」は『COSMONAUT』制作の最終盤に生まれた。

「三ツ星カルテット」は2010年秋頃、ボーカル・藤原基央さんによって作曲されました。アルバム『COSMONAUT』収録曲で最後に書かれた楽曲です。

「COSMONAUT」は藤原基央さんが次々と新曲を書き、BUMP OF CHICKENにとっては異例の制作スピードとなったアルバムです。

増川弘明とギターの話をしながら生まれた「三ツ星カルテット」

2010年秋、BUMP OF CHICKENはアルバム制作の終盤のある日、ドラム・升秀夫さんのレコーディングが予定通りに進まない日がありました。

その日の作業がなくなった藤原さんにギタリスト・増川弘明さんが”別の曲”のギターについて相談をします。そして「三ツ星カルテット」の原型が生まれます。

増川 – 最初は俺が他の曲のギターについて相談してたんですけど、そのうちなんかフレーズ弾き始めて

ギターフレーズを弾き始めた藤原さんを見て、増川さんは曲を書き始める雰囲気を察知したといいます。

増川 – で、さらにそのうち、紙とペンを探し始めて。それで何か書き始めたから「ああ、これは曲を書き始めたんだなぁ」と思って俺は席を立ったんですけど(笑)

増川さんとの会話の中で「三ツ星カルテット」が生まれ始め、藤原さんの作曲を邪魔しないように席を立つ増川さんの優しさを感じる印象的なエピソードです。

「三ツ星カルテット」歌詞の意味

上記のBUMP OF CHICKENの微笑ましいエピソードとは裏腹に、歌詞の内容は「イヤなこと」がきっけけでした。

“イヤな話し合い”から生まれた歌詞

「三ツ星カルテット」がスタジオで生まれる前日、試行錯誤している升さんの演奏についてBUMP OF CHICKENで話し合いが持たれました。

その話し合いについて藤原さんは良い印象を持っていなかったといいます。

藤原 – その前日の話し合いが、俺はなんかイヤだったんだよね(中略)そうやって前日のことをずっと考えながら、なんとなくギターを弾いていたら生まれた曲なんだけど。

何が”イヤだったのか”について明言は避けつつ、解決方法は言葉や理屈ではなく音の中で解決すべきと考えており、隔たりがあったと語っています。

三ツ星カルテット 
喉震わせ繋がって
何にも解らなくなった

引用元:三ツ星カルテット / 作詞作曲 藤原基央

「三ツ星カルテット」1番サビの《何にも解らなくなった》という歌詞はこのような葛藤が現れていると読み取れます。

藤原基央が大切にする「理屈じゃない」という気持ち

藤原さんは”イヤな話し合い”の問題解決には、互いの音を出し合うことだと考えました。

藤原 – でもバンドの解決方法っていうのはそういうものではないんじゃないか?もっと音の中でって思ってて・・・

最終的に”バンドが続くかどうか”まで考えたという藤原さん、升さんのドラムプレイひとつからシリアスな会話がBUMP OF CHICKENとして交わされていました。

藤原 – 音楽をやることって、理屈じゃないから。それ(言葉)では絶対に解決できないことも音楽にはあって。

藤原さんは「バンド」という形態、概念にこだわりを持っています。以前、個人練習をしすぎてメンバーとの食事を断った升さんに対して、藤原さんはラジオ番組の収録中に叱ったことがありました。

「PONTSUKA!!」での発言

藤原 – 練習、大事ですよ・・・。そりゃそうでしょうよ・・・。でもね、スタジオで顔見合って練習するってのは、メシの時間とかを通じてね、育まれていくわけですよ。それをお前はね、クリック(リズムキープの電子音)を聞いて練習してるんですからね、お前のバンドのメンバーはクリックなんですかって話ですよ。

藤原さんは、演奏技術の話よりも感情や楽しさが音楽では最優先されるとインタビューで話しています。

このように「三ツ星カルテット」は音楽における藤原さん自身とバンドの関係性、他のメンバーとの関係性を歌った歌詞だといえるのではないでしょうか。

『ユグドラシル』の頃に遡るサビの歌詞

「三ツ星カルテット」のサビの歌詞は『ユグドラシル』(2004年)の頃から藤原さんの中にありました。

三ツ星カルテット 
僕らはずっと呼び合って
音符という記号になった

引用元:三ツ星カルテット / 作詞作曲 藤原基央 (2010年)

前日のことを思い出しながら書いた「三ツ星カルテット」の中で、この言葉がピタリだと思ったようです。

 

「三ツ星カルテット」制作エピソード

増川さんとの会話の中で書き始めた「三ツ星カルテット」。藤原さんはその日のうちに簡易なデモ音源を制作します。

直井 – しばらくして(藤原が)戻って来て「秀ちゃん悪ぃ、ちょっと録らしてくれる?」って行って、俺らのことをブースの外に出して、鶴の恩返し状態で藤くんが何かを録り出したんです。それでできた曲が、これ。

名曲「ギルド」も同じように藤原さんがスタジオで書いた楽曲です。短時間で名曲を書いてしまう藤原さんの才能には脱帽です。

珍しい変拍子の楽曲

「三ツ星カルテット」は変拍子が使用されている楽曲です。イントロと間奏では《5/8拍子+6/8拍子》、それ以外は《5/8拍子》で演奏されています。

藤原基央と三ツ星のマーク

藤原さんがこの「三つ星」というモチーフをいかに大切にしているか、所有のギターを見ればわかります。2011年の「BUMP OF CHICKEN TOUR 2011-2012 GOOD GLIDER」の頃からメインのレスポールスペシャルのシールドを指すジャック部分に3つの十字のシールを貼っています。さらに2015年頃からアコースティックギターのジャック部分にも貼っており、すごく大切にしている様子がわかります。

「三ツ星カルテット」PV

PV監督 番場秀一
撮影場所 都内スタジオ
収録作品 Blu-ray「COSMONAUT

「三ツ星カルテット」ライブ演奏記録

演奏回数 50回
演奏頻度 ★★★☆☆
初披露 2011年12月05日「GOOD GLIDER TOUR」SHIBUYA-AX公演
最終演奏 2018年3月17日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」福岡マリンメッセ
演奏ツアー 2011-2012年「GOOD GLIDER TOUR
2012年「GOLD GLIDER TOUR
2017-2018年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER

「三ツ星カルテット」はライブで50回で演奏されています。「GOOD GLIDER TOUR」「GOLD GLIDER TOUR」ではセットリスト1曲目に披露されました。

「三ツ星カルテット」ライブ映像

映像作品「BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012

映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」(初回限定版BONUS TRACK)

イントロのギターはライブでもボーカルの藤原さんが演奏しています。藤原さんがイントロのリフを弾く数少ない楽曲です。

以上、BUMP OF CHICKENの「三ツ星カルテット」の意味と制作エピソードについて解説しました。