5th Album『orbital period』

楽曲解説「涙のふるさと」 制作エピソード

5th Album『orbital period』

「涙のふるさと」はBUMP OF CHICKENが2006年に発売したシングル曲です。

ボーカル・ギター藤原基央さんの書く比喩的な詞の世界観が魅力的な「orbital period」期を代表する楽曲です。

この記事では「涙のふるさと」の歌詞の意味と制作エピソードについて解説します。



「涙のふるさと」基本情報

作詞・作曲 藤原基央
編曲 BUMP OF CHICKEN & MOR
作曲時期 2006年春〜夏
リリース 2006年11月22日 シングル「涙のふるさと」
2007年12月19日 アルバム「orbital period」
2013年7月3日 ベストアルバム「BUMP OF CHICKEN Ⅱ<2005-2010>」
ライブ初披露 2007年7月22日「SET STOCK FESTIVAL’07」広島県国営備北丘陵公演
ライブ最新披露 2024年4月24日 BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 “Sphery Rendezvous” 有明アリーナ公演

 

「涙のふるさと」作曲エピソード

2006年9月「人形劇ギルド」プロモーション時のBUMP OF CHICKEN。新譜リリースは1作品のみでほとんどメディアに登場しなかった。(画像埋込元:Barks

「涙のふるさと」は2006年にボーカル・ギター藤原基央さんによって作曲されました。最初にAメロが出来上がり、時間が空いてから曲全体を完成させました。

Aメロだけで完成していた「涙のふるさと」

涙のふるさと  0:18〜
探さなきゃね 君の涙のふるさと
頬を伝って落ちた雫が どこから来たのかを
出かけるんだね それじゃここで見送るよ
ついていけたら嬉しいんだけど 一人で行かなきゃね

引用元:涙のふるさと / 藤原基央 (2006年)

4行の言葉とメロディ、別々にあったこの2つを合わせてAメロを作ります。この時点で歌詞の “涙のふるさと” という言葉をタイトルにすることは決めていたといいます。

 

藤原 – Aメロができて-その時にもう”涙のふるさと”っていうタイトルは付いてたんですけどーしばらく経過した後に『これを曲にしよう』ってなった時、Aメロだけで完結してると思っていたので

引用元:「MUSICA」 vol.9

しかし、Bメロやサビは一緒に作られることはありませんでした。Aメロそれ自体で完結していると考えていたからです。



藤原 – ただ、それはAメロだけで完結したものだったので、そこから先を作る気が起きなくて。

引用元:excite music INTERVIEW with BUMP OF CHICKEN

藤原さんは「orbital period」期(2005〜2007年)は作曲の所要日数が長くなりました。サウンド面で「曲が求める音」を追求したように、作詞面でも推敲に推敲を重ねて、真に伝えたい言葉だけを詞にするようにしていたからです。

 

地震が起きた会議室で「涙のふるさと」を歌う

2006年4月、関東地方で大きな地震が起きます。この日トイズファクトリーの会議室で打ち合わせをしていたメンバーは、その揺れの大きさに身の危険を感じたほどです。

スタッフの勧めで藤原さんは「涙のふるさと」をギターで全員に弾き語りをします。これがメンバーに聴かせた最初のタイミングでした。

直井 – とりあえず楽しいことがまだ少し残ってんだったら全部やっとけって感じで、藤君が唄ってくれて、地震のことなんて忘れて。『お前ソレすげーいい曲じゃん!!』てなって…『お前ソレ早くやらしてくれー!!』みたいな

引用元:音 涙のふるさとPVインタビュー

この日以後、少しずつ曲を書き足していき夏頃に「涙のふるさと」フルコーラスが完成します。

「会いに来たよ」というリフレイン

涙のふるさと  1:06〜
「会いに来たよ 会いに来たよ
君に会いに来たんだよ
君の心の内側から 外側の世界まで
僕を知って欲しくて 来たんだよ」

引用元:涙のふるさと / 藤原基央 (2006年)

<会いに来たよ 会いに来たよ 君に会いに来たんだよ>と繰り返されるサビのフレーズ、藤原さんは”恥ずかしさは感じない言葉だった”と言います。

藤原 – ほんとに歌いたいことなんだからしょうがねえじゃん、ていうしかないんだよな。疑問もなければ躊躇もないんだよね、うん、<会いに来たよ>の連呼でいいのか?みたいなこともないし

引用元「ROCKIN’ ON JAPAN」2006年12月号

「ROCKIN’ON JAPAN」2006年12月号「涙のふるさと」インタビュー

サビの歌詞には鉤括弧「」が付いています。この「」の意味について涙の存在そのものが台詞であると語っています。

藤原 – 完全に涙が意思を持っているわけではないと僕は思います。そういうふうに言ってる気がする、そういう存在なんだろうなと、そのひとしずくがね。その存在自体がその台詞なんじゃねえかなって。

引用元「ROCKIN’ ON JAPAN」2006年12月号

 

「涙のふるさと」制作エピソード

「涙のふるさと」は2006年春〜秋にかけて制作・レコーディングされます。

実験曲としてデモテープを録る

藤原さんは「涙のふるさと」のデモテープ段階で実験をします。この”実験”の詳細は明かされていません。BUMP OF CHICKENの他楽曲と比較する中で「涙のふるさと」の音楽的特徴は2点あり、それに関するものではないかと分析します。



  1. 同じテーマリフを異なるコード進行で変化させる
    イントロ、間奏、ギターソロで同じテーマリフが弾かれていますが、全てコード進行が異なります。コードの違いによる音楽的表情の変化を意識しています。
  2. ベースとギターで意図的に1拍ズラす入り方
    サビの演奏はベースのは小節頭から入るシンプルな8ビートです。一方ギターは前の小節の8拍目から入るシンコペーションです。

そしてこのデモテープがスタッフから広告会社の手に渡され、映像監督・山崎貴氏の制作するコマーシャルに起用されることになります。

4人での”一発録り”によるレコーディング

「涙のふるさと」は一発録りを8回繰り返し、音をミックスすることで制作されました。

藤原 – 一発録りの雰囲気を活かしつつ、8回は録りました。

升 – 僕たちのレコーディングは、最初にギターを仮で入れて、次にドラムとベースを一緒に録るというのが基本パターンなんです。なので、4人全員で音を出して録るというのは珍しいですね。 

引用元:BARKS

一発録りとは4人で楽器を持ち演奏をすることです。BUMP OF CHICKENのレコーディングは別録りが基本のため、非常に珍しい手法です。他には「ダンデライオン」が一発録りで制作されています。

Fender Jazz Bass 1965年製

ベーシスト・直井由文さんはMVと同じ1965年製Fender Jazz Bassをレコーディングで使用しています。

ロッテ「Airs」CMにて先行解禁

2006年秋〜冬に放映されたCM

「涙のふるさと」は発売前にロッテ「Airs」のTVコマーシャルソングとして先行解禁されています。当時の大人気女優・堀北真希さんが主演し、曲名情報とBメロ〜サビ頭の15秒映像でしたが「BUMP OF CHICKENの歌ではないか?」という噂が広がります。

映画監督・山崎貴氏との出会い

このCMの監督を務めたのは山崎貴氏です。BUMP OF CHICKENのファンだった山崎氏は、CM制作にあたり広告会社が出したCM曲候補の中に「BUMP OF CHICKEN」の名前を見つけて迷わず選びました。

映画監督・山崎貴氏

これ以降「涙のふるさと」のPVに始まり、映画主題歌のタイアップとして「花の名」「グッドラック」「コロニー」「パレード」などのBUMP OF CHICKENの楽曲とのコラボが生まれます。

ジャケットは手作りの造形物

シングル「涙のふるさと」

ジャケットに映る謎の人型造形物はメンバー4人による手作りです。ホームセンターで材料を購入し、小学校の教室を借りて組み立てて海に飾りました。

直井 – 今回のジャケットは、4人で何かを作って、それを海に立てるという藤くんの案から、実現されたものなんです。それで、4人でホームセンターに材料を買いに行きました。

引用元:Barks

高橋マネージャーによる日記「Takahashi Diary」には当時の組み立ての様子などが映されていました。何気ないジャケット写真も、メンバーによるアイデアや考えが入っていることが伝わります。

「涙のふるさと」MV

監督 山崎貴
ロケ地 多摩市立西落合中学校

 

「涙のふるさと」ライブ演奏記録

2007年7月16日HiLine Records 10th Anniversary 〜10年目の夏〜にシークレット出演するBUMP OF CHICKEN(画像埋込元:Barks.jp

演奏回数 42回
演奏頻度 ★★☆☆
初披露 2007年7月16日「HiLine Records 10th Anniversary 〜10年目の夏〜」ZEPP TOKYO
最終演奏 2024年4月24日「BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024」 有明アリーナ
演奏ツアー 2008年「ホームシック衛星
2008年「ホームシップ衛星
2013年「WILLPOLIS
2017-2018年「PATHFINDER
2024年「ホームシック衛星2024

「涙のふるさと」は2007年7月16日 HiLine Recordsのイベントライブにシークレットゲストとして出演した際に初披露し、5本の全国ツアーで演奏されています。

藤原による「ワンツースリー」のカウントイン

2008年の「ホームシック衛星」「ホームシップ衛星」で披露された時は、ボーカルの藤原さんが原曲と同じく「ワン、ツー、スリー」というカウントをしてから演奏に入りました。カウントをしたのはこのツアーが最初で最後です。

「涙のふるさと」アコースティックバージョン

2017〜2018年に開催された「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」ではアコースティックバージョンで演奏されました。アコースティックなサウンドテイストに加え、大幅に異なるキーで演奏しています。

「涙のふるさと」ライブ映像作品

映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA
2018年2月11日「PATHFINDER」さいたまスーパーアリーナ DAY2 収録

ライブ映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024 at Ariake Arena
2024年4月24日「ホームシック衛星2024」Ariake Arena – Day1 収録

有料チャンネルでは下記のライブが放送されています。

  • 2007年7月22日「SETSTOCK ’07」広島国営備北丘陵公園
  • 2007年8月04日「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2007」国営ひたち海浜公園

以上、BUMP OF CHICKENの「涙のふるさと」の歌詞の意味と制作エピソードについて解説しました。