BUMP OF CHICKENの楽曲「飴玉の唄」の歌詞の意味と制作背景について解説します。
「飴玉の唄」は「信じるとはどういうことか」という思いから生まれた楽曲です。
ボーカルの藤原基央さんは何を信じているのか、どのように書いたのか。「飴玉の唄」に関するエピソードを紹介します。
「飴玉の唄」基本情報
作詞・作曲 | 藤原基央 |
編曲 | BUMP OF CHICKEN & MOR |
作曲時期 | 2006年12月 |
デモ制作 | 2007年2月22日 |
本番REC | 2007年3月6日 |
収録作品 | 2007年12月19日「orbital period」 |
ライブ初披露 | 2008年1月10日 「ホームシック衛星」ZEPP TOKYO |
「飴玉の唄」の意味
藤原さんは「飴玉の唄」に出てくる「飴玉」= “自分の好きなもの” の喩えとして書いています。
藤原 – 僕は飴が好きなんですけど、特に飴玉と呼ばれる (中略) わからんけど、自分が好きなものだからあげたいんですよ。とことん勝手だなぁと思いますけどね。
2008.01.22 TFM 「航海日誌 orbital period」 より
自分の好きなものを相手にあげる、勝手にあげるということ。これが「飴玉の唄」の解釈の鍵になります。
藤原 – (相手も自分を信じているか)全く自信がないんですけど、それでも勝手に『信じてる』って言えちゃうのは、この説明が理由なんだと思う。”飴玉の唄”なんだと思う。答えになるかな?
出典:「MUSICA」vol.9 p.52
「飴玉の唄」作詞エピソード
「本気で信じるということ」とは何か
藤原 – ほんとに信じるってどういうことなのかな?って思い始めて書いた曲ですね。
出典:「MUSICA」 vol.9 p.52
藤原 – 信じる、信じた、信じてくれ、信じろ、いろいろありますけど。信じたい。『信じるって行為そのものの究極ってなんだと思う?』ってことですよ、要は。
出典:「ROCKIN’ON JAPAN」2008年2月号
「飴玉の唄」は《信じる》をテーマに書かれた曲です。「ギルド」の《人間としてのライセンス》は何か、「ひとりごと」の《優しさ》とは何か、藤原基央さんの書く歌詞はいつも根源的なことを問うています。
藤原 – お前の何を信じてるんだろう?魂だろうか?存在だろうか?ーーーそれが全然わかんないじゃないですか。
出典:「MUSICA」vol.9 p.52
「信じる」とは何か、それを信じる根拠は何か。藤原さんはそれを敢え定義する必要はないといいます。
藤原 – 理解しないままでいいと思う。その対象ははっきりしてないけど、確かに存在はしていて。
出典:「MUSICA」 vol.9 p.52
何を信じてるのかわからないけれど、確かに信じる根拠が存在するということ。
「(相手の)熱に触れてーー」という歌詞が2度出てきます。「embrace」では《確かなものは温もりだけ》と歌ったことがあります。切り口が似ています。
《裏切られても気づかない》ということ
ROCKIN’ON JAPAN 2008年2月号 「orbital period」全曲解説
藤原 – ほんとに信じるっていうのは、片思いの一方通行に似ているんですけども、裏切りという行為に全く気付かないということですね。
出典:「ROCKIN’ON JAPAN」 2008年2月号
藤原 – 本気で信じるっていうのは、裏切られた時の恐怖を知らない・・・っていうか気付かないわけですから、裏切るわけないって思ってるから。本気で信じるっていうのは、そういうことですよね。
2008.01.22 TFM 「航海日誌 orbital period」 より
この部分は「飴玉の唄」の1行目の歌詞に反映されています。
飴玉の唄 0:18〜
僕は君を 信じたから もう裏切られることはない
だってもし裏切られても それが解らないから
引用元:飴玉の唄 / 藤原基央 (2007年)
歌詞と同じ言葉が出てくるくらい、心からそう思ってることがわかります。
藤原基央が信じているもの
Photo by Yoshie Tominaga, embedded from Twitter@boc_chama
藤原 – 僕はメンバーに裏切られてもわかんないと思うし、それは信じているからで。
出典:「MUSICA」vol.9 p.52
藤原 – たぶん、俺にとっては音楽だと思う。わかんないけど・・・っていうか、それ以上は言葉にはしたくないんだ(笑)
出典:「MUSICA」vol.9 p.52
高校を中退し、音楽とBUMP OF CHICKENが世界の全てだった藤原さんにとって、この2つは信じるもの以外の何ものでもないのだと思います。
MUSICA vol.9 「orbital period」全曲解説
「銀河鉄道」との世界観のリンク
「銀河鉄道」(2005年) の歌詞に「真っ赤なキャンディ」を渡す女の子が登場します。ファンの間ではこの2曲が繋がっているのでは?というリスナーの噂があります。
銀河鉄道 1:50〜
真っ赤なキャンディが差し出されている
驚いたけど貰ってみる 笑った女の子が席に戻る
誰にも知られずひとり泣く
引用元:銀河鉄道 / 藤原基央 (2005年)
この2曲の関係性に関して、藤原さんやメンバー本人が言及した事実はありません。ただ、藤原基央さんの詞の世界は繋がっていることが多いです。
「飴玉の唄」制作エピソード
自宅でポロポロ弾きながら書いた「飴玉の唄」
2006年12月、藤原基央さんは自宅で「飴玉の唄」を作曲します。『orbital period』の中では「ハンマーソングと痛みの塔」の次に書かれました。
直井 – 年末ですね。ほんとに年越し直前です。
出典:「MUSICA」vol.9 p.52
作曲後、最初はアコースティックギター2本だけのデモテープを作ります。最初のデモの段階でアルペジオ主体となり《あんなにジャカジャカとコードが弾けないのは初めてだった》と藤原さんは語っています。
ちなみに「飴玉の唄」は「orbital period」期では珍しく転調させています。Aメロになった瞬間に雰囲気が変わるのは転調による効果です。
バンドアレンジのイメージが湧かなかった「飴玉の唄」
藤原 – これをバンドでどうやるのかなとホント思いました。全然イメージがなかった。あんまりないんですけど、そういう曲。みんなで曲を聴いて「どうするこれ?」みたいになって。
引用元:「What’s IN?」2008年1月号
アコースティックギター2本で作られた「飴玉の唄」からバンドでの演奏が全く湧かなかったと言います。珍しくメンバー4人で試行錯誤しながらアレンジをまとめてバンドバージョンを作って行きました。
藤原の仮ベースを大切にしたチャマ
レコーディング使用機材 | Sonic製 Stingray Bass |
2007年2月22日に「飴玉の唄」のプリプロ音源を録りました。この時、急性胃腸炎で入院した直井由文さんに代わりに藤原さんがベースを弾いています。
この時に入れた藤原さんのベースをもとに、3月に行われた本番レコーディングでは直井さんが弾き直しました。
直井 – フジ君がベース弾いてたんだけど、それが超カッコよくって。この雰囲気は絶対大事にしたいと思ったんだよね。
「飴玉の唄」ではBUMP OF CHICKENの楽曲で初めて*ドラムロールが使われています。升さんのバリエーションが豊かになったことを感じさせる曲です。*厳密には「花の名」と同時期
「飴玉の唄」ライブ演奏記録
2007年 1月11日 ホームシック衛星 at ZEPP TOKYO (Photo by Kazumichi Kokei, embedded from Barks.jp)
演奏回数 | 63回 |
演奏頻度 | ★★☆☆☆ |
初披露 | 2007年1月10日「ホームシック衛星」ZEPP TOKYO公演 |
最終演奏 | 2024年12月7日「Sphery Rendezvous」東京ドーム |
演奏ツアー | 2008年「ホームシック衛星」*全公演演奏 2008年「ホームシップ衛星」*全公演演奏 2013年「WILLPOLIS」*3公演のみ (アコースティック) 2024年「ホームシック衛星2024」 2024年「Sphery Rendezvous」 |
演奏機材 |
藤原基央 – Gibson Les Paul Special TV Yellow |
増川弘明 – Gibson Les Paul Standard Historic Collection 1958 | |
直井由文 – Sonic Stingray Bass Matt Black | |
アコースティック *3公演のみ |
藤原基央 – Gibson J-45 |
増川弘明 – Martin D-28 | |
直井由文 – |
ライブでは 僕はやだお!(´・ω・`) 君がいいお!(´・ω・`) って歌ってます。
2013年「WILLPOLIS」で3回のみ「飴玉の唄」アコースティックバージョンとして披露されています。
「飴玉の唄」ライブ版ギターソロ
藤原さんのギターアドリブはこんな感じ
「飴玉の唄」ライブ映像作品
10th Album「Iris」初回限定版特典Blu-ray 2024年4月25日「ホームシック衛星2024」Ariake Arena – Day 2 収録 |
- TVオンエア映像
2007年2月6日 | ホームシック衛星 鹿児島CAPARVOホール (*一部) |
2008年5月18日 | ホームシップ衛星 さいたまスーパーアリーナ |
以上、「飴玉の唄」の歌詞の意味・解釈について紹介しました!このエピソードを知って新しい聴き方が生まれたら嬉しいです。ご覧頂きありがとうございました。