「ダンデライオン」はBUMP OF CHICKENのアルバム「jupiter」の収録曲です。
「ダンデライオン」の歌詞の意味について、作曲した藤原基央さんは “単にライオンがたんぽぽと出会う物語ではない” とインタビューで語っています。
藤原さんが「ダンデライオン」の歌詞に込めた意味は何か、この記事では制作エピソードを解説します。
「ダンデライオン」基本情報
作詞・作曲 | 藤原基央 |
編曲 | BUMP OF CHICKEN |
作曲時期 | 2001年 |
収録作品 | 2002年2月20日 アルバム「jupiter」 |
ライブ初披露 | 2002年4月13日 全国ツアー「POKISTA 21」Zepp Osaka公演 |
「ダンデライオン」は2002年にリリースされたアルバム「jupiter」の一番最後に収録されていて、そして一番最後に制作された楽曲です。
「ダンデライオン」の意味
「ダンデライオン」(dandelion)は英語で「タンポポ」を意味します。
BUMP OF CHICKENの楽曲には「ダンデライオン」の他にも「ハルジオン」「花の名」「アカシア」といった植物に関する曲名が存在しています。
「ダンデライオン」制作エピソード
「jupiter」制作終盤に楽曲が足りない事態に・・・
あまり知られていませんが、もともとBUMP OF CHICKENは2001年の夏にアルバムを出す予定でした。
しかし秋になってもアルバム収録曲が3曲足りず、リリースどころか制作すら進まない状態であったため、曲をどう揃えるかメンバーは考えます。
その結果、藤原さんがひとりで作っていた趣味のインスト曲をBUMP OF CHICKENの楽曲にすることに決まります。
藤原基央の個人的な趣味のインスト曲
バンジョーの音色が印象的なアメリカ伝統音楽
藤原さんは自宅にレコーダーを所有しており、個人的な趣味のインスト曲を自宅で録音していました。
藤原 – 最初のバンジョーみたいな音入っているでしょ(中略)趣味だったんですよ。タララランっていう速弾きと、ジャーツクジャーツクみたいな感じのコードのカッティングと。ただのインストを作って一人で楽しもうとしてたの。
2002.02.17 O.A.「SSS SPACE SHOWER SPECIAL」
「ダンデライオン」のイントロの速弾きフレーズは、このインスト曲が元ネタになっています。
「ダンデライオン」の歌詞の意味
大好きなライオンを歌った曲
藤原基央の描くライオン(画像埋込元:Pinterest.com)
インスト曲に歌詞をつけるにあたり、藤原基央さんは大好きな動物のライオンのことを書きました。
藤原 – 詞は大好きなライオンのことを書きました。
2002.02.17 O.A.「SSS SPACE SHOWER SPECIAL」
「ライオンの一方的な想い、そこにドラマがある」
「ダンデライオン」の歌詞は、寂しがり屋のライオンがたんぽぽに出会うストーリーですが、藤原さんは単純に友情を描いた曲ではないと明かしています。
藤原 – 大好きなライオンのことを書いたけど、たんぽぽとライオンは仲良しなんだね、というような歌ではないんですね。
2002.02.17 O.A.「SSS SPACE SHOWER SPECIAL」
藤原さんは「ライオンの一方的な想いの歌であり、そこにドラマがある」といい、「ドン・キホーテのような空回りの物語の中で、何かを見つけてしまった物語」と明かしています。
藤原基央の主観と客観
藤原 – こういうのってすごい主観的なんだなって。『Title of mine』の「俺」は藤原基央の「俺」だけど、その場合の方がパーソナルになるのかなって思ったら、そうでもなかった。でもライオンの「俺」は全然俺の「俺」なんだなっていう。『K』の中での「俺」も藤原基央の「俺」なんだなと。結局物語形式で書いてみて、視点は客観的な部分には行かないということがわかって。で歌う時はもう、ボロボロ泣いてしまうんじゃないかというような、そんな感覚でね。
「jupiter」期のインタビューでは、歌詞における「主観」「客観」の違いについて非常にセンシティブに区別していたことがわかります。
「天体観測」でも「主観」と「客観」について長く語っています。
「ダンデライオン」のレコーディング
升秀夫のドラムによって曲調が変わる
「ダンデライオン」のドラムはドコスコ叩く激しいリズムが特徴的です。もともと藤原さんにはそのようなアイデアはなく、ドラムの升秀夫さんによる解釈でした。
藤原 – 俺は実はカントリーとかそういうつもりで書いたわけではなくて、トラッドのつもりで書いたんですけど。升君がカントリーと信じて疑わなかったというか、カウパンクだと信じて疑わなかったというか。あとですげぇ謝ってきたけどあいつ(笑)
2002.02.17 O.A.「SSS SPACE SHOWER SPECIAL」
後述の通り、やがてBUMP OF CHICKENの楽曲は「ユグドラシル」期に入ると、藤原さんが綿密にアレンジを決める曲が多くなります。
初期衝動の最終盤の楽曲 – BUMP OF CHICKENの音楽哲学
『ユグドラシル』以降の基本理念となる「曲の求める音」とは異なり、『jupiter』の頃は「メンバーそれぞれが鳴らしたい音を鳴らす」というスタイルでした。
「コピー曲よりオリジナル曲の方が楽しい」というBUMP OF CHICKENの初期衝動が詰まった最終盤の楽曲といえます。
「ダンデライオン」ライブ演奏記録
演奏回数 | 75回 |
演奏頻度 | ★★★★☆ |
初披露 | 2002年4月13日「POKISTA 21」ZEPP OSAKA |
最終演奏 | 2019年10月16日「aurora ark」ZEPP SAPPORO |
演奏ツアー | 2002年「POKISTA 21」 2002年「LOVE & PORKIN」 2003年「NINJA PORKIN」 2004年「MY PEGASUS」 2006年「run rabbit run」 2008年「ホームシップ衛星」 2011-2012年「GOOD GLIDER TOUR」 2014年「WILLPOLIS 2014」 2016年「BFLY」 2019年「aurora ark」 |
“お祭り曲”としての演奏
藤原 – 『DANNY』みたいな存在になりえるし。でも1曲目でも誇れる曲だと思う。
「DANNY」は隠しトラックの英語詞曲で、稀にアンコール最終盤またはダブルアンコールとして演奏される楽曲です。
藤原さんの発言通り、「ダンデライオン」は観客を盛り上げる曲として演奏されています。「NINJA PORKING」では本編ラストの曲として、また「MY PEGASUS」「run rabbit run」「ホームシップ衛星」ではアンコール曲として演奏されています。
「ダンデライオン」ライブ映像作品
2016年7月16-17日 BFLY at 横浜日産アリーナ
2016年に開催されたスタジアムツアー「BFLY」ではサブステージで演奏されています。その模様は映像作品化されお茶の間でも鑑賞することができます。
映像作品「BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY” NISSAN STADIUM 2016/7/16,17」 |
以上、BUMP OF CHICKENの「ダンデライオン」の歌詞の意味について紹介しました。またライブで演奏してくれるといいですね。