楽曲解説:分別奮闘記 vol.1 捨てたくない「夢」

分別奮闘記:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2009年夏
録音時期:2009年
録音場所:一口坂スタジオ
リリース:2010年12月15日 6th Album『COSMONAUT』
ライブ初披露:2012年4月8日 GOLD GLIDER TOUR 2012 千葉幕張メッセ公演

BUMP OF CHICKENの分別奮闘記は6枚目のアルバム『COSMONAUT』に収録されている楽曲です。ケルト的フレーズのイントロと「夢」について歌った歌詞が印象的な曲です。

6th Album『COSMONAUT』(2010年)

今回は分別奮闘記の作曲背景や解釈について紹介します。



テーマ「シングル曲」(1曲目)

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2009年、プロデューサーのMOR(森徹也)さんがテーマを与え、藤原さんはそれを基に書くという新しい作曲方法をはじめます

テーマ作曲

・自宅作曲時代 (〜2009年)
・テーマ作曲時代 (2009年夏)
・スタジオ作曲時代 (2009年夏〜現在)
自宅時代後期の藤原は推敲に推敲を重ね、ほとんど曲が書けなかった。それを見かねたMOR氏が藤原に「お題」を与えて曲を作らせるようになる。その後、「曲作りのためのスタジオ」をとり、現在(スタジオ作曲時代)の量産体制へと移行していく。

藤原さんがこの時与えられたテーマは「シングル曲」でした。しかしそれまで自分の曲に対してシングルっぽい、アルバム曲っぽい、カップリングっぽいと区別したことはなく悩みます。

藤原 – 「シングルとは何ぞや!?」って悩んでしまって。それから「今、俺がやりたいことが答えだ!」と思って「分別奮闘記」が出来て。

引用:excite music 

藤原 – 『シングルってなんだよ?』って考えても全っ然わかんなくて(笑)。で、『わからんけど、とにかくなんか書こう!』と思って書いた曲って言い方が正しいかな。

引用:MUSICA 2011.01

シングルとはほど遠い曲に・・・

こうして「分別奮闘記」が作曲されますが、シングルっぽくないという理由で分別奮闘記とは別の曲をリクエストされます。

藤原 – ただ、この曲は自分でもシングルとはほど遠いなと思ったんですけど(苦笑)。

引用:excite music 

増川 – 今までの経験上、これはシングルにならない曲だなと思った(笑)

引用:MUSICA 2011.01

区別はしないながらもメンバー本人達もシングル、カップリングなどイメージはあるようです。ちなみにこの流れで再度「シングル」をテーマにして書いた曲が「R.I.P.」です。

15th maxi single「R.I.P.」(2009年11月25日)



暇なときに面白おかしく書いていた詞

藤原さんは詞とメロディーを同時に書く場合もありますが、別々の詞のアイデアと曲のアイデアを組み合わせて作ることも多いです。もともと分別奮闘記の詞はまるまるストックしてありました。

藤原 – 最初はほんと、暇な時に面白おかしい気分で書いてただけだったんだけどさ。なんでも歌詞になるよなぁて思いながら・・・ひとり大喜利みたいな感じで作ったよ(笑)

引用:MUSICA 2011.01

捨てられない「夢」

自分の「夢」を放置したまま、捨てることもできない人の心理や情景をごみの分別に例えてうまく描写しています。

ゴミですよ それ邪魔ですよ
放っておいたら もはや公害
捨てないのなら 違いますよ
持ち主がいるのなら 夢ですよ

あの日からずっとずっと 夢のままですよ 

1番サビ終わりの<あなたが捨てたくないだけなのでは>の言葉が刺さりますね。藤原さんは夢と人との関係性を描くのがうまいなと思います。

藤原さんは「夢」に対する考え方は非常にシビアです。

藤原 – そもそもその『夢を持つ』っていう感覚がわかんないからなぁ。持とうと決めて持った夢なんて意味がわかんないし。

引用:MUSICA 2011.01

2004年に発表した「夢の飼い主」という曲のインタビューでも藤原さんは「夢」に対する考え方を述べています。

藤原 – 『これが夢なんだよね』っていうのをよく聞きました、子供の頃から。でも簡単に諦めたりするんだもんな(笑)。笑っちまうよ、ほんとに。そういうもんじゃねえだろと思うんです。

ROCKIN’ ON JAPAN 2004.12

夢の飼い主についてはこちらの記事で詳しく書いています。当時のキレッキレモードの藤原さんの考えをまとめています。



レコーディング

ギター:ケルト調フレーズ

分別奮闘記の音楽的な特徴は、6/8拍子のリズムに合わせて鳴らされるケルト調のフレーズです。

このフレーズは最初からイメージしていたのではなく、イントロ用に長く録音していた部分に1発目で入れたフレーズでした。

藤原 – ブースに入って1発目に弾いたのがケルト的なイントロだったの。

参考:MUSICA 2011.01

ケルト・アイリッシュ風のフレーズが使用されている楽曲DVD「人形劇 ギルド」BGM
分別奮闘記
Merry Christmas
月虹

自身もアイルランドへの旅行経験をもつ藤原さん。ケルティックな音の響きが好きなんですね。ライブでは増川さんがギターで弾いています。

リズム:色々なものを叩く升と藤原

ドラムの升秀夫さんはドラムセット以外に音を重ねるため、スタジオの床や食器のスプーンを叩いたりして軽快ながら多層的なサウンドを作り出しています。

升 – 打ち込みもあるけど、俺と藤くんとふたりでフロア叩いたり、カスタネット叩いたり、スプーンみたいなもの使って音を出したり

引用:MUSICA 2011.01

「ギルド」ではレコーディングで鉄アレイを叩いたり、「HAPPY」はゴミ箱を試したり、「supernova」ではカホンを使用したりと、藤原さんと升さんのふたりは本当にリズムに対して試行錯誤を繰り返しています。



ライブ演奏記録

2カポのギターを弾く増川弘明 (2017年)

使用機材

2012, 2017年
藤原基央 Gibson Les Paul Special (2カポ) 
増川弘明 Gibson Les Paul Standard (2カポ)

演奏ツアー

GOLD GLIDER TOUR 2012 (2012年)
TOUR PATHFINDER (2017-2018年)

分別奮闘記は2012年、2017-18年の2本のツアーで披露されています。アルバム曲なので演奏回数は多くないものの映像作品『TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA』(2018年)に収録されています。

アウトロのアレンジ

原曲ではケルト調のリフと藤原さんのコーラスが続いていきながらフェードアウトしていきます。ライブではリフが続いたあとに藤原さんのコードストロークだけが一瞬鳴り響き、ダダダンとバンド4人でフィニッシュします。2012年も2017年も変わらないアレンジです。

The Beatles「ノルウェーの森」ver. イントロ

2018年3月18日のPATHFINDER at 福岡マリンメッセ(追加公演)では前奏(シンセサイザーのSE)中に藤原さんがギターでThe Beatlesの「Norwegian wood」のイントロを弾くというアレンジが披露されました。他のアーティストのリフを入れるというのはかなり特殊で、藤原さんならではの遊び心です。

以上、「分別奮闘記」の解説です。閲覧ありがとうございました。