楽曲解説:Ever lasting lie vol.1 とある「嘘」の物語とゴスペル *8/11更新

Ever lasting lie
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:1999年末~2000年初頭
2nd Album「THE LIVING DEAD」収録 M-08 
ライブ初披露:2002年12月3日 LOVE&PORKIN 名古屋クラブダイヤモンドホール

Ever lasting lieは2枚目のインディーズアルバム「THE LIVING DEAD」に収録されている曲です。8分37秒という収録時間はBUMP OF CHICKENの中で最も長い楽曲になります。「嘘」に振り回される切ない男女の物語の歌詞と、時間の経過を表現した長い間奏が特徴的なアルバムの屈指の名曲です。

今回はEver lasting lieの意味や歌詞、解釈を紹介します。




ゴスペルをイメージした曲

2nd Album「THE LIVING DEAD」2000年3月25日 ハイラインレコードより発売。2004年4月28日にトイズファクトリーより再販。


THE LIVING DEADは持ち曲がないままレコーディング作業に入ったアルバムです。レコーディングを進めながら同時に他のアルバム曲を書くという考えられないような状況での制作でした。

曲数を用意する必要があったボーカルの藤原基央さんは「K」を皮切りに物語調でテーマを決めて作曲します。藤原さんはゴスペル調の曲を1曲書こうとしました。

藤原 – ゴスペル書きたかったんですね。詞はあとから付いたんですけど。 

藤原さんはメジャーデビュー以降もsupernovaやangel fallなどで度々ゴスペルをイメージしている楽曲を書き上げます。

ゴスペルを意識した作曲
Ever lasting lie (2000)
supernova (2005)
angel fall (2010)
spica (2018)

影響を受けた洋楽

藤原さんの音楽ルーツはブラックミュージックやゴスペルの曲の影響を受けています。実際、Ever lasting lieのメロディや構成和音を考える上でSimon & Garfunkelの「明日に架ける橋」The Rolling Stonesの「Saint Of Me」などの楽曲に影響を受けたことを述べています。

THE ROLLING STONES – SAINT OF ME – *OFFICIAL PROMO

2000年当時から「いつかピアノでやりたい曲」と表現しており、様々なアレンジのアイデアを考えていました。シングル版「アルエ」のカップリングとして藤原さんのアコースティックギターによる「Ever lasting lie ~ Acoustic version~」が発表されています。




「生きてることの奇蹟」を歌う *解釈


とある男の人と、女の人の人生を物語を描いた歌詞。女の人が売られてしまう物語です。

愛する人の命に値が付いた
そこら中に頭を下げても足りなくて
「石油でも掘る以外ないんじゃないの?」って
皮肉を本気にして飛び出した

人買いに売られて<愛する人の命に値がついた>女性は遠くに飛ばされて、男性は女性を取り戻すために<「石油でも掘るしかないんじゃないの?」>という嘘に、微かな希望を信じて砂漠でシャベルを持って掘り続けます。

その甲斐虚しく、女性は<死んだ街で夜のドレス纏って 作り話のような愛を売らされる人>になってしまいます。かつての男性の言葉<「二人は大丈夫、明日を信じて待っていてくれ」>という嘘を信じて待ち続けて、教会で命を引き取ります。

とある街の小さな教会で
優しい長生きおばあさんが眠りについた
ろくに動けなくなってからも
毎朝何かを呟いて微笑んだ

こんな悲しい唄ですが、藤原さんは決して悲劇を描いたわけではないといいます。

藤原 – 「THE LIVING DEAD」で悲しい歌は歌ってないんですよ。作曲家・藤原基央が誕生した時から、僕は悲しい歌を一度も歌ったことがないんですよ。全てハッピーエンドにしてます。 

さらに「人それぞれの人生はどれも泣けてどれも感動する、たとえ本人が意識していなくてもそうである、と歌った曲」だといいます。

確かにこの曲の登場人物は、夜のドレスを纏うくらいですからきっと若娘と青年だったのだと思います。その若い娘がおばあさんになるまで、青年がおじいさん(歌詞カードの絵の老人)になるまで、長い長い時間が経っています。それぞれの人生は本人が意識していなくても、意図せずとも感動的な物語であるということでしょうか。(個人的感想を言えば、普通に悲しい話にしか聞こえませんが 笑)

アコースティックアレンジで再録

この曲は2004年に期間限定リリースされた「アルエ」のカップリング曲としてアコースティックバージョンで再収録されています。

この曲が再収録される経緯として、バンプのインディーズ時代のデモテープやアルバムを販売していたHiLine Records(ハイラインレコーズ)というレコードレーベルが経営危機になり、メジャーレーベルのトイズファクトリーから再販しようという動きになりました。

そこで再販版アルバムのリードシングルとして「アルエ」をシングルカットすることが決まります。これはメンバーの意見ではなくスタッフ側による選曲でした。スタッフはメンバーに「カップリング曲は何かある?」と尋ねると、せっかくなのでカップリングも昔の曲、それも再録にしよういう話になりました。

そこで”アンプラグド(アコースティック)”はバンド側、”Ever lasting lie”の選曲はスタッフ側から意見が出て “Ever lasting lie”をアコースティックアレンジにして録音することに決まりました。藤原さんは、THE LIVING DEAD制作時を思い出し、音楽に集中できる環境で録音したかったアルバムの曲なので、今信頼しているスタッフ達(トイズファクトリー)と再録することができて嬉しいと述べています。

アコースティックギターの間奏はオープンEチューニングが使われ、民族的でトラディショナルなギターインストゥルメンタルが魅力的です。藤原さんのギタリストとしての才能が感じられる1曲なので是非聴いてみてください。

以上、Ever lasting lieについて紹介しました。この曲は2004年以降ライブでは13年間演奏されていません。またいつか、ライブで聴ける日が来るといいですね。

2018/08/11 追記

2017-2018年のPATHFINDERツアーで13年ぶりに演奏されました。2004年以前のダイナミックでエモーショナルな歌唱と違い、落ち着きのある語り口調のような藤原さんのボーカルが印象的です。