楽曲解説:プラネタリウム vol.1 – 四畳半の宇宙と『夢』『君』『光』『星』の物語 – *4/16更新

10th Single 「プラネタリウム」
5th Album 「orbital period」
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2005年4月

プラネタリウムは2005年に発売された、BUMP OF CHICKEN通算10枚目のシングル曲です。<バンプ= 疾走感のあるギターロック>というイメージを刷新する、繊細なギターアルペジオとe-bowの浮揚感あるサウンドが魅力的なミディアムナンバーです。




ユグドラシルの頃からあった断片的なアイデア


ギター・ボーカルの藤原基央さんの頭のなかには、2004年のユグドラシル制作の頃からプラネタリウムの歌のメロディ・コード進行・歌詞といった断片的なアイデアが思い浮かんでいました。1番の歌詞はまるまるユグドラシルの時のアイデアだといいます。

四畳半を広げたくて 閃いてからは速かった
次の日には出来上がった 手作りプラネタリウム

科学の本に書いてあった 作り方の他にアレンジ
実在しない穴を開けて 恥ずかしい名前付けた

消えそうなくらい 輝いてて
触れようと 手を伸ばしてみた
一番眩しい あの星の名前は
僕しか知らない

プラネタリム – BUMP OF CHICKEN

しかし断片的なアイデアは形にならず、バンプは先にユグドラシルを発表します。9月〜12月の3ヶ月間全国ツアーを行い、12月にツアーファイナルとして幕張メッセでバンド史上初の単独公演を行いました。そして2005年1月末まで4人は長い休暇を取りました。

この長い休みの間、藤原さんは増川さんと一緒に初詣に行ったり、家族と一緒に実家の秋田へ行ってなまはげを見たりするなどして過ごしたそうです。

2005年1月〜4月

秋田から帰京したある日、別々のアイデアだったメロディ・歌詞・コードの3つがひとつに合わさると気づき、自宅でアコースティックギター1本で書き上げたのが「プラネタリウム」になりました。

藤原 (プラネタリウムというイメージは)もう最初ですね。一番最初。だからもう、全部分かってたんですよ。何を書くのか、どういうものを掘り出すのか、もう何かわかっているというか。知ってる奴に会いに行く作業っていうか。

-Bridge 2005年7月号-

「何回も歌いたかった曲」だったらしく、自宅での作曲中に何度も声に出して弾き語ったり、ある日はディレクターの家に行き、ディレクターの弾くピアノ伴奏で歌ったりしたそうです。

歌詞の秘密

“早い”ではなく”速い”と書いたワケ

四畳半を広げたくて 

閃いてからは速かった

次の日には出来上がった 

手作りプラネタリウム

プラネタリウム – BUMP OF CHICKEN

1番の冒頭の歌詞で<早かった>ではなく、<速かった>と表現しています。普通の日本語では「早い」は時間や人の行動を表す時に使い、「速い」は新幹線やボールと行ったモノのスピードを表現する時に使います。

しかし藤原さんは、科学の本を読んですぐにプラネタリウムづくりをはじめる子どもの瞬発的な様子を表現するために、あえて<速かった>と書きました。詩人藤原さんならではのこだわりが感じられます。

藤原 – 感覚はこっちですね。こっちが優先。間違ってても正しくてもいいから、とにかくこの漢字が俺の感覚を正しく表してるんですね。あくまでも、感覚というか

-Bridge 2005年7月号-




消した歌詞の部分

消えそうなくらい 輝いてて
触れようと 手を伸ばしてみた
一番眩しい あの星の名前は
だけ しか知らない

プラネタリウム / BUMP OF CHICKEN

もともとは<僕だけしか知らない>というフレーズを<僕しか知らない>と変えました。特に意味はなく歌メロに文字数を合わせる必要が出たため、落としたそうです。

『夢』『君』『光』『星』の意味

藤原さんはインタビューでは極力歌詞の解釈については触れようとしません。リスナーそれぞれの解釈が、その人にとっての曲の解釈になればいいと事あるごとに発言しています。プラネタリウムでも<聴いてもらう人の真っさらなキャンバスを汚したくない>と前置きをしつつ、歌詞の中の単語の昨日や役割について説明しています。

藤原 – “プラネタリウム”に出てくる「夢」と「君」どっちも「光」だと思ってください。で、「夢」は思い描くものですね。「君」は現実だと思ってください。どちらも「光」ですね。「光」であり「星」ですね。「星」は、だから、見えるけど触われないものなんでしょうね。

このヒントを元にプラネタリウムの歌詞を読んでみると、藤原少年の心の気持ちが読み取れます。

ここからは私の個人的な解釈です。

藤原少年は、プラネタリウムで作った小さな宇宙の中に自分だけの星を作りました。そして、後悔します。やりますよね。小学生くらいの男の子は、勝手にカスタマイズ。ミニ四駆とかプラモデルとか、「改造!改造!」とかいいながらめちゃくちゃになって結局後悔するんです。説明書通りに作れば一番キレイなのに。

「四畳半の小さな宇宙」を現実の宇宙と信じて重ねている藤原少年にとって、「自分だけの星」は消えて欲しいと願うようになりました。そして本物だと信じている「四畳半の宇宙」の中で「自分だけの星」に手を伸ばします。本物の星は手なんか届かないはずなのに、触れてしまうのです。

やめとけば良かった 当たり前だけど

本当に届いてしまった

この星は君じゃない 僕の夢

本当に届くわけない光 でも消えてくれない光

ベーシストの直井さん曰く、この「やめとけばよかった〜」が曲の核心部分だといいます。

「夢」の中にいるはずなのなのに、「君」によって苦しい現実を呼び起こされる。子どもにとって夢と現実の境界は曖昧だと思います。ゲームの世界やアニメの世界に興味を示すのも、単純に夢の中に生きているからだと思います。私も小学生の頃は寝る前に「明日からポケモンの世界に行けたら・・・」なんて考えていました(笑)

そして「四畳半の宇宙」にある「自分だけの星」は消えて欲しいと思いながら、窓の外の本当の宇宙に「自分だけの星」の存在を信じて探すのです。矛盾してますよね、でもいいんです。

見えなくても輝いてて 

触れようと君の名前を呼ぶ

一番眩しいあの星の名前は

僕しか知らない

夢の中から現実に引き戻すのが「君」=「自分だけの星」でした。藤原少年にとっては消えて欲しいと思いながらも、生まれてきた「君」の悲痛な叫びと涙を知り、自分だけの中に「君」の居場所を作るのです。消えて欲しいと思いながら君を探す、この矛盾こそがこの曲の主題なのだと思います。

といいつつも、歌詞の解釈はみなさんの自由だと思いますので、「そんな解釈もあるのかー」程度で流してもらえればと思います。

こどもの頃の実体験

科学の本に書いてあった作り方

藤原さんが小学4年〜5年生の時、子供向けの科学雑誌に手作りプラネタリウムの作り方が書いてありました。

①料理用プラスチックボウルのようなものを2個用意し、緯度線、経度線を引く。
②星図を見ながら対応する部分に釘を打ち、錐でゴリゴリして穴を開ける。
③中に電球を仕込んで段ボールをかぶせて電気を消す。

ただし、電球が相当明るくないと部屋の壁や天井にはぼんやりと映ってしまうため、藤原さんは段ボールをかぶせてその中で見ていたそうです。寝る前にそれを眺めながら”すっごい拡がる”感覚を楽しんだといいます。

結局この手作りプラネタリウムは夏休みの自由研究として製作していましたが、完成前にタイムリミットが来たそうです・・・(笑)

実は四畳半ではない子供部屋

ちなみに藤原さんの実家の部屋は四畳半ではなく、六畳でした。それでも2番目のお姉さんとシェアしていたため、2段ベッドがあり狭かったそうです。上京後に住んだ家が四畳半で、その家で『ダイヤモンド』や『ラフメイカー』、『Stage of the ground』などを書き上げました。

以上、簡単にプラネタリウムの曲紹介です。

*今回のアップデートで、文量調整のためにレコーディングに関する話を一時的に削除しました。vol.2として再アップする予定です。