楽曲解説:white note vol.1 – “note” = “ノート” と “音符”

white note はBUMP OF CHICKENのアルバム「RAY」に収録されている楽曲です。アコースティックなサウンドと明るい曲調が印象的なアンセムナンバーで、ライブでは観客が全身を使って楽曲に参加する珍しい曲です。この記事では white note について解説します。




うまく作曲できないある日

7th Album 「RAY」収録 M-11 white note

プロデューサーMOR氏の発案で “曲作りのためのスタジオ” に入るようになり、ギター・ボーカルの藤原基央さんはコンスタントに曲を書くようになります。しかし、作曲ペースが上がったといえ作業が進まない日もありました。

藤原 – ちょくちょくあるんですよ。今日ダメだな、みたいな日は。そのたまーにある日の1日だったんですね、この “white note” を書いた日は。

MUSICA 2014.04

藤原さんは、曲が書けない時でも夜8時 – 9時まで粘るそうです。やっとアイデアが少し浮かんでもピンと来なかったり、この日もそれを夜10時まで繰り返していました。いつも終了時にスタッフ数人が集まるのですが、この日はひとり用事で遅れていました。

藤原 – 『彼はどうしたの?』って訊いたら、『別件でどこそこ行ってるけど、そろそろくるみたいだよ』っていうのを聞いたんですね。じゃあ彼が来るまではもう少し頑張って見ようかなって。『きっと新曲ができたかな?』って期待して来てくれるわけだから、それに応えたいなと思ってやってたら、これが書けたんです。

MUSICA 2014.04

“note” = “ノート” と “音符”

藤原 – “white note”のノートは、ものを書くためのノートっていう意味もあるし、音符の方のノートっていう意味もあって、つけたタイトルです。

MUSICA 2014.04

「真っ白なノート」

タイトルの “white note” には2つの意味があります。1つは文字通り「真っ白のノート」という意味。曲が書けない藤原さんの心理状態が率直に描かれています。

色々書いたノート 真っ黒で真っ白
デジタル時計が チクタク鳴ってる
大声で叫びたい 叫びたい事が解んない
へろへろ 疲労だけが確かなもの

white note / BUMP OF CHICKEN (2014年)

「全音符」

そして“note”のもう1つの意味は「音符」です。ベースを触る方は「ゴーストノート」なんて言葉を聞いたことがあると思います。その “note” です。直訳すると「白い音符」ですがそんな言葉は歌詞は出て来ません。でも藤原さんは曲の中で「白い音符」をきちんと登場させています。

楽譜上の全音符のことを、音楽業界の一部界隈では ”白玉” と呼んだりします。理由は一目瞭然、白玉みたいだからです。white note ではこの “白玉” がサビでギター、ベースでたくさん登場します。おそらくバンプの楽曲の中でも一番多く登場するのではないでしょうか。

ちなみに藤原さん曰く「サビの白玉は増川君がギターで弾いている」(ギター・マガジン2014年4月号)だそうです。




2つのコードで書いた曲

この曲は終始「G」と「Gsus4」の2コードだけで書かれています。ブリッジ(Cメロ)の<何も言わないで 言えないままで〜> (1:31~) 以外は全てこの2コードです。

藤原 – 音楽的に言うと、最初はコード縛りで書いてたんですよ。コード2つだけでずーっと展開していく。もっと思い切って言っちゃえば、これをコード1個って言う人もいますね。

MUSICA – 2014.04 

藤原さんがAメロとサビを同じコード進行にすることが多いです。また曲の構成でもABパターン(BメロがなくAメロとサビだけの曲)をよく作ります。ABパターンでもラフメイカー、リリィ、宝石になった日、プラネタリウム、ハンマーソングと痛みの塔などはAとB同じコード進行です。pinkieや宇宙飛行士への手紙についてはコード縛りの曲を書いたと自ら発言しています。

ABパターン / Aメロ・サビが同じコード進行の楽曲
・(とっておきの唄)・・・ABパターン/ 一部同一コード
・リリィ・・・ABパターン/ 同一コード
・ラフメイカー・・・ABパターン/ 同一コード
・(title of mine) ・・・Aメロ・サビが同一(Bメロは違う)
・(ロストマン)・・・Aメロ・サビが同一(Bメロは違う)
・レム・・・ABパターン/ 同一コード
・プラネタリウム・・・ABパターン/ 同一コード
・ハンマーソングと痛みの塔・・・ABパターン/ 同一コード
・(voyager)・・・ABパターン/ 同一コード
・(flyby)・・・ABパターン/ 同一コード
・宇宙飛行士への手紙・・・AメロBメロサビパターン / 同一コード
・angel fall・・・ABパターン/ 同一コード
・pinkie・・・AメロBメロサビパターン / 同一コード
・(please) forgive Aメロ・サビが一部同一(Bメロは違う)
・white note・・・ABパターン/ 同一コード
・宝石になった日・・・ABパターン/ 同一コード

※厳密にはオンコードで変化をつけているもの、一部進行が違うものも含んでいます。

たった2つのコードだけであれだけの抑揚のあるメロディーラインをつけられる藤原さんの作曲センスは本当にすごいですね。

笑いがこぼれる雰囲気でのレコーディング

この曲のレコーディングはトーチやmorning glowと比べてスムーズに進みました。コード付けがシンプルな分、サウンドメイキングではたくさんの音が入っており、メンバー4人で足踏みしたり、口笛を吹いたりしています。

メンバー全員でスネアを叩き合う

升さんと藤原さんは難しいパターン、増川さんと直井さんは簡単なパターン、さらにプロデューサーMOR氏も加わり5つのスネアを同時に叩いている音がはいっています。

増川 – フジくんとヒデちゃんがちょっと複雑なパターンで、チャマと俺はもっと単純なパターンで。

升 – リアルタイムで、プロデューサー含めて5つで同時に叩いて何回かやったりしてて。

MUSICA 2014.04

寝そべりながらレコーディングする増川

増川さんはサビ頭や小節頭のジャーーーーンという白玉(全音符)の歪みギターを演奏しました。1種類のギターだけでなく重厚感を出すため何本かのテイクを重ねて、さらにフィードバック成分を出すためにあえてハウリングをさせるような音も入れています。

増川 – フィードバックのギターを録音してた時に、どこでノイズが出てくるかって探るじゃないですか。部屋のドアを開けたり閉めたりして、アンプと僕の位置関係でいい音が鳴ったり、鳴らなかったりするので。最終的に、寝てやったんだよな(笑)

MUSICA 2014.04

増川さんの口からレコーディングエピソードが語れるのはかなり貴重です(!)フィードバック音を録音するだけでも色々な試行錯誤があるのですね。ギタリストとしての増川さんのこだわりが垣間見れます。

ライブでの演出

white noteはライブでは2014年のWILLPOLIS 2014ツアーで演奏されています。増川さんはフェスタレッドのストラトキャスター、藤原さんはGibsonの黒いアコースティックギターを使用しています。

ステージモニターにの某音ゲーのような図が現れ(笑)、<LA LA LA>、<HAND CRAP>、<STOMP>、<OH YEAH>に落ちてくるのに合わせて体を動かしたり声を出したりします。最初は簡単ですが、途中から結構難しくなり(笑)、みんな笑顔になる1曲です。私自身の思い出としては、会場がすごく盛り上がっていたと思います。

LIVE Blu-ray「WILLPOLIS 2014」には広島公演の様子が収録されています。

アンセムを合唱する曲もいくつかありますが、こんなように体を使って遊べる楽曲があるのはいいですね。またいつかライブで観てみたいです。以上、white note について解説しました。