8th Album 『Butterflies』歌詞・楽曲解説

楽曲解説:Butterfly EDMサウンドとバンドサウンドの融合

8th Album 『Butterflies』

BUMP OF CHICKENの楽曲「Butterfly」の歌詞の意味と制作背景について解説します。

 

エレクトロなEDMサウンドとバンドサウンドを融合させた「Butterfly」。作詞作曲を手掛けたボーカルの藤原基央さんとプロデューサーが試行錯誤した結果辿り着いたアレンジです。

 

「Butterfly」に込めた思いとは何か、どのようなレコーディングで生まれたのか。そのエピソードを解説していきます。



「Butterfly」基本情報

Butterflies BUMP OF CHICKEN8th Album「Butterflies」(2016年2月)

 

Butterfly:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2015年4月
録音時期:2015年
リリース:2016年2月10日 「Butterflies」 M-03
ライブ初披露:2015年12月31日「COUNTDOWN JAPAN 15/16」

短期集中的に生まれた「Butterflies」アルバム曲

アルバム『Butterflies』に収録されている11曲のうち、アルバム曲6曲は3ヶ月という短期間で藤原さんによって書かれました。「Butterfly」は最初に書かれたアルバム曲です。

 

 

制作の大きな流れは、藤原さんとプロデューサー・MOR氏の2人でアレンジを決めていき、打ち込みなどによるアレンジバージョンのデモ音源をつくります。それを直井さん、増川さん、升さんの3人に渡してそれぞれの楽器の形に落とし込んでもらいます。

 

“もっさい感じ”のギターの原型

「Butterfly」は完成音源とデモ音源でギターの演奏が異なります。完成版は16分音符の細かいリズムで楽曲のノリを高めていますが、もともとは8分音符のストロークでした。

 

藤原 – 僕が録った最初のアコースティックギターのデモテープは、8分音符だけで構成されていて。(中略) 最初はもっさい感じの演奏だったんですよね(笑)

出典:ROCKIN’ON JAPAN vol.495

 

ということでイントロのアコースティックギターを8分音符、16分音符の2種類でリズムの違いを再現してみました。どちらも同じテンポ(BPM132)で演奏していますが、全く違う印象を与えます。

 

8分音符(藤原さんが最初に弾いたアイデア)

 

16分音符(アレンジ後)

 

ギターの細かなストロークやアクセントの強弱によって単調なコード進行を特徴的にしています。藤原さんはアコースティックギターをパーカッション楽器的な捉え方をしており、ギター1本で楽曲を印象付ける演出は天才的な才能を感じます。

 

EDMサウンドに至った理由

藤原基央 ピアノ鍵盤を弾く藤原基央 embedded photo from Twitter@boc_chama

同時期に書かれた「GO」や「宝石になった日」は一度3人のメンバーで分解され、細かなアレンジを再構築しました。一方で「Butterfly」は藤原さんとMOR氏の2人で決めたデモアレンジの形で本番レコーディングに臨みます。

プロデューサー・MOR氏によるシンセサイザーの演奏

「Butterfly」のサウンドを特徴付けているのはEDM(エレクトロダンスミュージック)を彷彿とさせるシンセサウンドです。しかし最初からEDMサウンドの楽曲を作ろうとしたわけではなかったといいます。

 

藤原 結果的にいわゆるEDM的な音選びになりましたけど、必ずああいう音で入れたかったわけではなかったんです。まずはあのフレーズを入れたくて、どの音で入れるのが一番効果的なのかを選んでいった結果という。

出典:音楽ナタリー

 

このEDMサウンドのアレンジに至りました。シンセサイザーのフレーズはプロデューサー・MOR氏が弾いています。



バンド感のあるエレクトロ

EDMサウンドが楽曲の中心となっている一方で、メンバー自身は”バンドらしさ”が溢れている楽曲だと自評しています。

 

増川 – 表面的にはビートとエレクトロなノリだったりするかもしれないけど、ものすごく肉体的な音が後ろには流れていて

出典:MUSICA vol.106 p.32

 

ベーシストの直井由文さんは当初シンセベースでの演奏を検討しましたが、試行錯誤を経て自身のエレキベースでの録音に至ります

 

エレクトロなフレーズと生楽器の融合により、EDM系のミュージシャンには出せない、BUMP OF CHICKENならではの音楽が出来上がりました。

 

「Butterfly」の歌詞の意味

BUMP OF CHICKEN Butterfly MV2016年1月10日 MV撮影にて蝶を彷彿とさせるポーズを取る藤原基央。画像埋込 Twitter@boc_chama

butterfly [bˈʌṭɚflὰɪ]
名詞:蝶

Butterflyは英語で蝶を意味します。firefly(2012年) に続いて2曲目の昆虫に因んだ曲名です。「Butterfly」のタイトルに関しては、藤原さんは蛹(サナギ)から羽根の生えた蝶に変態する過程に興味を持ったのだと考えられます。

 

発売当時の雑誌のインタビューで、藤原さんはほとんど「Butterfly」の歌詞に関する発言はしていません。唯一ラジオ番組「PONTSUKA!!」で以下のように語っています。

 

直井 – 「Butterfly」はどんなメッセージが込められた曲なんですか?

藤原 – もう、感じて!!!

bay-fm「PONTSUKA!!」2016年01月24日 O.A.

 

折に触れてBUMP OF CHICKENのメンバーは歌詞の解釈については、聴く人が受け取ったものが全てだと語っています。

「愛されたかった量産型」

「自分の曲は同じことを歌っている」という藤原さん。「Butterfly」の歌詞で他の楽曲に通じる部分を紹介します。

 

Butterfly  1:42〜
明日生まれ変わったって
結局は自分の生まれ変わり
全部嫌いなままで
愛されたかった量産型

引用元:Butterfly/ 藤原基央 (2016年)

 

<結局は自分の生まれ変わり>は「ディアマン」の<何を着ようと中身自分自身>に通じます。さらに<愛されたかった量産型>は、愛に渇望する描写は「ギルド」の一節を彷彿とさせます。

ギルド  3:32〜
愛されたくて吠えて
愛されることに怯えて

引用元:ギルド/ 藤原基央 (2004年)

「誰かの掲げた旗を目印にして」

Butterfly  2:25〜
誰かの掲げた旗を目印にして
大人しく歩くけど作った旗を隠している

引用元:Butterfly/ 藤原基央 (2016年)

<旗を目印にして>という一節は「メロディーフラッグ」を彷彿とさせます。

 

メロディーフラッグ  5:10〜
ここで今 君の手を
掴むためのメロディーフラッグ
遠い約束の歌 深く突き刺した旗

引用元:メロディーフラッグ/ 藤原基央 (2002年)

 



「Butterfly」MV

MV監督 東市篤憲
撮影日 2016年1月10日

「Butterfly」のPVは「ray」に続いてデジタルアーティストの東市篤憲氏のディレクションよって制作されました。2016年の全国ツアー「BFLY」の演出もすでに同氏に決定しており、ライブステージの演出とコンセプトがつながる形で制作されています。

 

「Butterfly」ライブ演奏記録

2019年9月「aurora ark」名古屋ドーム公演での「Butterfly」 (写真:古溪一道氏) *Twitter@boc_chamaより画像埋込

演奏回数 40回  (発表後59公演のうち)
演奏頻度 ★★★★
初披露 2015年12月31日「COUNTDOWN JAPAN 15/16」幕張メッセ
最終演奏 2019年11月04日「TOUR 2019 aurora ark」福岡マリンメッセ
演奏ツアー 2016年 結成20周年記念ライブ「20」
2016年「BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY”
2017-18年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER
2019年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark

演奏機材

藤原基央 – Martin 00-15M
増川弘明 – Gibson Les Paul Standard 
直井由文 – Fender Jazz Bass



「Butterfly」は2015年12月31日の「COUNTDOWN JAPAN 15/16」で初披露されました。「第66回 NHK紅白歌合戦」で「ray」を生中継披露したステージでの演奏でした。2019年の全国ツアー「aurora ark」では巨大スクリーンに巨大な蝶のイメージが映し出され、幻想的な世界観が演出がほどこされています。

 

演奏機材では藤原基央さんがMartin製アコースティックギターを使用している点が特徴的です。これまで黒のGibson製J-45を使用してきましたが「GO」と「Butterfly」ではMartin 00-15Mを弾いています。

ライブでのロングバージョン

バージョン 演奏時間
アルバム「Butterflies」 5分57秒
ライブ「BFLY」 8分43秒
ライブ「aurora ark」 8分43秒

 

2016年、2019年の全国ツアーではアウトロが原曲よりも長く演奏されています。2016年「BFLY」の時はコード進行をなぞるだけのシンプルな延長でしたが、2019年「aurora ark」では増川弘明さんのギタースクラッチやハンマリングなど、アドリブ感の強いライブアレンジとなっています。

 

ライブでロングバージョンを演奏する楽曲として「fire sign」「同じドアをくぐれたら」「supernova」などがあります。

「Butterfly」ライブ映像

映像作品「BUMP OF CHICKEN 結成20周年記念Special Live 「20」」 
映像作品「BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY” NISSAN STADIUM 2016/7/16,17」 BFLY BUMP OF CHICKEN 動画
映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark TOKYO DOME」

 

「Butterfly」のライブ映像は上記作品の他にいくつかのニュース番組や音楽番組で放送されたものもあります。

  • 2016年2月13日放送 NHK「SONGS」(フル演奏)
  • 「BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY”」2016年4月10日大阪KYOCERA DOME公演(一部) (日本テレビ系列「ZIP」、テレビ東京「COUNTDOWN JAPAN」他)

 

以上、BUMP OF CHICKENの「Butterfly」の歌詞の意味と制作エピソードについて解説しました。この記事を読んで新しい聴き方を見つけていただければ幸いです。ありがとうございました。