楽曲解説:ダンデライオン vol.1 趣味のインスト曲から生まれたライオンの物語

ダンデライオン:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2001年秋〜2002年初頭
録音時期:2001年秋〜2002年初頭
リリース:3rd Album「jupiter」収録 M-10
ライブ初披露:2002年4月13日

「ダンデライオン」はBUMP OF CHICKENの『jupiter』(2002年)に収録されているアルバム曲です。バンジョーを彷彿とさせるカントリー調のイントロとライオンを主人公にした歌詞が印象的な楽曲になっています。

この記事では「ダンデライオン 」の歌詞の意味や制作背景を解説します。



元ネタは藤原基央の趣味のインスト曲

2001年秋、『jupiter』制作後半に入ります。BUMP OF CHICKENの4人は収録曲用に3曲書かなければならない状況になりました。

そこでボーカル・ギターの藤原基央さんが個人的な趣味で録音していたインストゥルメンタル楽曲をに歌詞をつけ「ダンデライオン」にします。

『jupiter』収録曲の中では一番最後に書かれた楽曲です。

イントロのバンジョーリフから作った

バンジョーの音色が印象的なアメリカ伝統音楽

ボーカル・ギターの藤原基央さんは4トラック入りのMTRを購入し、ギターのインスト曲を録音します。バンドのためではなく個人的な趣味での音源としての作曲でした。

藤原 – 趣味だったんですよ。タララランっていう速弾きと、ジャーツクジャーツクみたいな感じのコードのカッティングと。ただのインストを作って一人で楽しもうとしてたの。

2002.02.17 O.A.「SSS SPACE SHOWER SPECIAL」

趣味の音源を作り込むうちに楽しくなり歌いたくなった藤原さん。先ほどの曲数が足りない状況もあり、大好きなライオンの歌詞を付け足して「ダンデライオン」という楽曲にします。

「カウパンク」と信じて叩いた升秀夫

「ダンデライオン」のドラムはドコスコ叩く激しいリズムが特徴的です。もともと藤原さんにはそのようなアイデアはなく、ドラムの升秀夫さんによる解釈でした。



藤原 – 俺は実はカントリーとかそういうつもりで書いたわけではなくて、トラッドのつもりで書いたんですけど。升君がカントリーと信じて疑わなかったというか、カウパンクだと信じて疑わなかったというか。あとですげぇ謝ってきたけどあいつ(笑)

2002.02.17 O.A.「SSS SPACE SHOWER SPECIAL」

初期衝動の最終盤の楽曲 – BUMP OF CHICKENの音楽哲学

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『jupiter』発売時のBUMP OF CHICKEN

『jupiter』の頃は「メンバーそれぞれが鳴らしたい音を鳴らす」という方針で作られていました。『ユグドラシル』以降の基本理念となる「曲の求める音」とは異なります。

現在のように藤原さんとプロデューサーMOR氏の2人でアレンジの原型を決め、直井さん、升さん、増川さんの3人がそれを再構築するというやり方ではないのが特徴的です。

「コピー曲よりオリジナル曲の方が楽しい」というBUMP OF CHICKENの初期衝動が詰まった最終盤の楽曲といえます。

歌詞の意味 

ライオンの一方的な想いの唄

タンポポを見つけたライオンがタンポポに対しての思いを語る内容の歌詞ですが、藤原さん本人は「ライオンの一方的な想いの歌」だと説明しています。



藤原 – タンポポは別に意思を持ってないというか、喋りもしないというか。<一度だけ頷いた>とありますが、あれも風に揺れただけで。だって花なんだから、喋るわけないじゃないですか。ライオンが一方的に、タンポポに対して喜んで、ヘコんで、という歌。

さらに「ドン・キホーテのような空回りの物語」で、「その中で何かを見つけてしまった物語」と位置づけています。

主観的に書いた「俺」

客観的な物語形式の歌に見えますが、藤原さんによる説明ではライオンの一人称の「俺」は「藤原基央の『俺』」であり主観的な歌だとしています。

藤原 – こういうのってすごい主観的なんだなって。『Title of mine』の「俺」は藤原基央の「俺」だけど、その場合の方がパーソナルになるのかなって思ったら、そうでもなかった。でもライオンの「俺」は全然俺の「俺」なんだなっていう。『K』の中での「俺」も藤原基央の「俺」なんだなと。結局物語形式で書いてみて、視点は客観的な部分には行かないということがわかって。で歌う時はもう、ボロボロ泣いてしまうんじゃないかというような、そんな感覚でね。

『jupiter』期の藤原さんは歌詞の「主観」と「客観」をしきりに説明しており、その違いについて非常にセンシティブな区別をつけていたことがわかります。

「天体観測」でも「主観」と「客観」について長く語っています。

一発録りのレコーディング

「ダンデライオン」の制作の様子はSPACE SHOWER TVで放送され、藤原さんのコーラス録りや楽器隊のリハ風景が映っています。

BUMP OF CHICKENの楽曲では珍しく一発録りで制作されています。一発録りとは楽器を全員で鳴らしレコーディングする方法です。通常バンプはリズム隊(ドラム+ベース)とギターは別録りされることが一般的です。

一発録りの楽曲ダンデライオン、虹を待つ人 etc.

BUMP OF CHICKENによる自己評価

藤原 – 『DANNY』みたいな存在になりえるし。でも1曲目でも誇れる曲だと思う。

この発言通り、「ダンデライオン」はNINJA PORKINGツアー(2003年)では本編セトリのラスト曲として定位置で演奏され、MY PEGASUS(2004年)ホームシップ衛星(2008年)ではアンコール曲として演奏されました。



ライブ演奏記録

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当初はライブで演奏出来なかった

『jupiter』のレコ発ツアーとなった「POKISTA 21」では最初セットリストに入っていませんでした。

ツアー終盤のZEPP大阪公演のアンコールで初披露されます。直井さんはMCで「やろうとしたけどできなかった」旨をMCで話しています。

直井 – みんなで盛り上がって帰ろうか。初めてやるね、ツアーで。「ダンデライオン」

 2002.04.13 POKISTA21 ZEPP OSAKA MC



直井 – 色々改良したんですけど出来ない曲があって。で、大阪から演奏出来るようになったんですわ。あんまり聴いたことないみたいですよ、このツアーで。なのでやりたいんでやらせてください。ってか、やらせろ!

2002.04.20 POKISTA21 ZEPP TOKYO MC

BPMの早いドラム、ランニングベース、速弾きのギターリフ、全員がバラバラの動きをする楽曲です。確かに当時のBUMP OF CHICKENの演奏力ではきちんと表現するには難しかったかもしれません。

単純に3分間演奏するのではなく、きちんと「聴かせられる音」でなければ披露しないというプロとしてのこだわりを確認できます。インディーズ時代に明らかな練習不足でめちゃくちゃに演奏してたのとは対照的です。

イントロのアレンジ

2003年の夏フェスからはイントロへ入る前にベースがグリッサンド(スライド)をして、さらに4人がスローテンポから段々原曲のスピードへ向けて速くなっていく、というアレンジがされています。2002年のPOKISTA21では原曲通り弾かれていました。

アコースティックバージョンの映像化

2016年7月16-17日 BFLY at 横浜日産アリーナ

2016年に開催されたスタジアムツアー「BFLY」ではサブステージで演奏されています。その模様は映像作品化されお茶の間でも鑑賞することができます。

映像作品「BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY”」

ギターパート

【2002〜2008年】
◆藤原 イントロ・間奏:リフ、Aメロ:なし、Bメロ:コード弾き、サビ:コード弾き
◆増川 イントロ〜ラスト:コード弾き

【2016年】(アコースティックアレンジ)
◆藤原 イントロ・間奏:リフ、Aメロ〜サビ:コード弾き
◆増川 イントロ:コード弾き、Bメロ:リフ

初披露以来、増川は終始コードを弾いていたが、2016年のアコースティックアレンジではBメロのリフを演奏している。