「新世界」はBUMP OF CHICKENの「aurora arc」に収録されているアルバム曲です。
《ベイビーアイラブユーだぜ》というフレーズが繰り返される「新世界」は「aurora arc」期を代表する楽曲です。
「新世界」は一体どのようにして作曲されたのでしょうか。この記事では「新世界」の歌詞の意味、制作エピソードを紹介ます。
「新世界」基本情報
作詞・作曲 | 藤原基央 |
作曲時期 | 2018年 |
録音時期 | 2018年11月 |
録音場所 | 渋谷Bunkamura Studio |
収録作品 | 2019年7月10日 アルバム「aurora arc」 |
ライブ初披露 | 2019年7月11日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 “aurora ark” 埼玉メッツライフドーム |
「新世界」制作エピソード
ロッテ70周年CMタイアップのオファー
2018年、菓子メーカー・LOTTEのCMタイアップ曲として藤原基央さんは「新世界」を書き下ろします。
川村元気氏がプロデューサーを務めるロッテ創業70周年記念アニメーション『ベイビーアイラビューだぜ』の主題歌です。
ロッテ創業70周年特別映像「ベイビーアイラブユーだぜ」予告編 (30秒)
第1弾の30秒CMがオンエアされた後、SNS上では「BUMP OF CHICKENの楽曲ではないか!?」と話題となり、当サイトの考察記事もかなりのアクセスを頂きました。
「新世界」の歌詞の意味
話題を呼ぶ「ベイビーアイラブユーだぜ」のフレーズ
embedded from https://www.lotte.co.jp/entertainment/70th/
「新世界」で印象的なのは「ベイビーアイラブユーだぜ」というフレーズです。
新世界 0:50〜
なんだよそんな汚れくらい丸ごと抱きしめるよ
ベイビーアイラブユーだぜ ベイビーアイラブユーだ
引用元:新世界 / 作詞作曲 藤原基央 (2019年)
SNSで大きな話題となったこのフレーズ、藤原さん自身もメンバーや友人、ラジオのリスナからリアクションをもらいました。
藤原 – すっげ言われたんです!『バンプが《ベイビーアイラブユーだぜ》ってびっくりしました』ってラジオにもお便りがきたし、友達にも、メンバーにも言われて。
引用:CUT 2019年7月号 p.27
これ以上ない斬新さ感じさせるフレーズ。そのフレーズも藤原さんにとっては特別なものではないといいます。一体どのようにして生まれたのでしょうか。
藤原基央にとってはいつもの歌詞
《ベイビーアイラブユーだぜ》は藤原基央さんにとっては普段と変わりない作詞作業から生まれたものだといいます。
藤原 – 特別だと思ってるわけでもないですけど、今まで書いてきた曲と同じ流れで書いているだけで。
引用:CUT 2019年7月号 p.28
「涙のふるさと」(2006年)の歌詞 <会いに来たよ 会いに来たよ 君に会いに来たんだよ>が生まれた時にも同じ話をしています。
藤原 – ほんとに歌いたいことなんだからしょうがねえじゃん、ていうしかないんだよな。疑問もなければ躊躇もないんだよね、うん、<会いに来たよ>の連呼でいいのか?みたいなこともないし
ROCKIN’ ON JAPAN 2006.12
藤原さんは、自然発生的に生まれて来た言葉に「恥ずかしさは感じない」といいます。そう思えば「ベイビーアイラブユーだぜ」も不思議ではないのかもしれませんね。
「ベイビーアイラブユーだぜ」へのこだわり
embedded from https://www.lotte.co.jp/entertainment/70th/
藤原さんは「ベイビーアイラブユーだぜ」でひとつの単語と捉えています。
藤原 – アイラブユーって単語だけを歌うとしたら、また違うニュアンスなんですよね。(中略) 『ベイビー』がついて『だぜ』がつくと自分の表現になるんですよね。
ROCKIN’ ON JAPAN 2019.07
「I LOVE YOU」「アイラブユー」「I ♡U」・・・世の中には色々な表現がありますが、藤原さんは「ベイビーアイラブユーだぜ」という表現を選びました。
ベイビーアイラブユーの元ネタアメリカ出身のコーラスグループ The Ronetts のシングル『Baby, I Love You』(1963年) に遡る。くるりや他の邦楽アーティストも同名の楽曲を書いている。
Baby, I Love You – The Ronetts
Baby I Love You – くるり
「新世界」の根底にある部分
藤原 – 歌ってる内容は要するに・・・もう一度寝たら起きられないかもってとこから来てる歌だから。
ROCKIN’ ON JAPAN 2019.07
この部分はCメロで歌われています。
新世界 1:02〜
もう一度眠ったら 起きられないかも
今が輝くのは きっと そういう仕掛け
引用元:新世界 / 作詞作曲 藤原基央 (2019年)
眠ったらいずれ起きる、そんな当たり前の事象を疑う着眼点は藤原さんらしいと言えます。《「人間」であるためにライセンスが必要なのか》と疑った「ギルド」を思い出します。
レコーディング風景がInstagramに掲載
ベーシストの直井さんのInstagram (@boc_chama_9) には渋谷Bunkamura Studioでのレコーディング風景がアップロードされました。撮影時期や内容から「新世界」と推測されます。
紙鉄砲によるパーカッション
この投稿をInstagramで見る
ドラムケースや機材ケースを叩きパーカッションを試す藤原
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増川弘明とギターを打ち合わせる藤原基央
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他にも8ビットサウンドに似せた音が入るなど、隠しトラックを彷彿とさせるような部分もあります。BUMP OF CHICKENとMOR氏のアレンジの広さが伺えます。
藤原基央の得意な同一コード楽曲
「新世界」は基本的に同じコード進行(コード縛り)が続きます。「宝石になった日」や「プラネタリウム」と同じように耳が馴染みやすくキャッチーな印象を与える効果があります。
(フルを聞いてないので未確定ですが)ABパターンで書かれています。「Aメロ」と「Bメロ」(+Cメロ)のみで構成される楽曲で「コード縛り」と同じくキャッチーな印象を与えます。「リリィ」「グッドラック」「ハンマーソングと痛みの塔」がこれに当たります。
同一コードを聞き飽きさせないための工夫
[3x023x] → [2x023] → [x0223x] → [x0223x]
*レギュラー3カポ
赤字:ルート音
青字:コード構成音
1番はループするリフのみで和音が構成されています。このリフは上記のコードを分解したリフで曲を通して(Cメロを除く)で鳴っています。
[xx0x(3)x] → [xx0x(3)x] → [xx2x(3)x] → [xx2x(3)x]
*レギュラー3カポ
赤字:ルート音
1番はこの音が代理の基幹音(ルート)となることで微妙に印象を変えています。「66号線」の導入弾き語り部分とバンド演奏部分のルート音を変えている技法と同じです。(大サビのアクセントとしてコード変えするのとは意味が異なります。)
以上、「新世界」について解説しました。新ツアー「aurora arc」では披露されるのでしょう。楽しみですね!