楽曲解説:アルエ vol.1 – “ハートに巻いた包帯”の意味 – *8/25 追記

アルエ
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:1997年10月以前
録音時期:1998年8-9月
リリース日:1998年10月24日 1st CD 『BUMP OF CHICKEN』収録

BUMP OF CHICKENの「アルエ」は1stアルバム『FLAMEVEIN』の収録曲です。この曲はメンバーが高校生の時に夢中になっていたアニメ『エヴァンゲリオン』の登場人物「綾波レイ」をモチーフにした曲です。

今回はアルエが生まれた時の背景や雰囲気について過去のインタビューを交えながら紹介します。




高校時代の日常から生まれた曲

embedded from Wikipedia-京成臼井駅

1997年
藤原基央:フリーター  (千葉時代)
直井由文:調理師専門学校+厨房業務
増川弘明:千葉県立佐倉高校2年生
 升秀夫:千葉県立佐倉高校2年生

1996〜1997年、藤原基央さんはフリーター、直井由文さんは調理師専門学校、増川さんと升さんは高校2~3年生でした。中学卒業後も佐倉市臼井で一緒に遊んでいました。

藤原 – 自転車に乗って、どっかの本屋さんに行って、あとは公園にって喋るなりして、おもしろい漫画とかゲームとかアニメとかがあると、そのことだけをずっと喋ってるんです。その中から出てきた曲なんですよね。

メンバーが自認する通り、佐倉市臼井周辺は何もなく住宅街とわずかな個人商店が並ぶのどかな町です。居酒屋おおいわに行く時に街の雰囲気を感じてみるのも面白いともいます。




新世紀エヴァンゲリオンの話題で盛り上がる

新世紀エヴァンゲリオン

当時、遊び仲間たちの間ではアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の話題で盛り上がっていました。

藤原 – 当時は「エヴァンゲリオン」で僕らは盛り上がって心を熱くさせてましたね。

「R・A(綾波レイ)」=「アルエ」


綾波レイ

その中でも作中のヒロイン「綾波レイ」への愛情で話題が盛り上がります。「○○をテーマに曲を書く!」という学生ノリで書かれた曲が「アルエ」として生まれます。

増川 – 恋してたんだよね。

藤原 – ・・・2次元のキャラクターに恋をしてて。そのイニシャルがRAだったんですよ(笑)。ホント好きで、「彼女のためになんか書きてー!」とか思って。

藤原さん、ピュア少年です。




作曲の原点

当時、藤原さんはBUMP OF CHICKENを「4人の遊びの延長」として考えていました。バンドが中心なのではなく、4人で遊ぶ手段のひとつがたまたま音楽でした。

藤原  – その時はすごいテンション上がったんですよ。『よし。じゃあ俺曲作るわ』『おっ、作れ作れ』みたいな(笑)

「アルエ」は「カッコいいから」とか「好きだから」といった初期衝動に満ち溢れた楽曲で、4人の遊びの延長という「BMP OF CHICKENの原点」を体現している楽曲といえます。高校生の日常の中から、20年後もライブで演奏される曲を書いてしまう藤原さんの才能はすごいですね。

ハートに巻いた包帯 = 「怖」

ハートに巻いた包帯を
僕がゆっくり解くから
日向に続くブリッジを探しておいで

サビの歌詞にある“ハートに巻いた包帯”とは「りっしん偏」+「布」(*立心偏は「心」の意)で「怖」という漢字を表しています。綾波レイの心から「怖」を取り除いてあげたい、という藤原さんの熱き厨二魂(!)を感じます。

この漢字を分解するトリックを藤原さんが考えたのか、それとも何か本で読んだのかはわかりませんが、当時17歳の高校生が考えたすると藤原さんの人とは違う独特の視点が伺い知れます。




デモテープ含めて7回作品に収録

「アルエ」リリース作品一覧
1.   BOC-001「NO REASON」(1997年10月)
2. 「HIGH LINE RECORDS FREE SAMPLER VOL.2」(1998年)
3.   BOC-002「※※※※※※」(1998年夏-秋)
4.   1st CD 「BUMP OF CHICKEN」(1998年10月)
5.   1st Album「FLAMEVEIN」(1999年3月)
6.   7th Single「アルエ」(2004年3月)
7. 再発盤「FLAMEVEIN+1」(2004年4月)
8.「BUMP OF CHICKEN Ⅰ [1999-2004]」(2013年7月)

アルエはこれまで6つの作品に収録されており、存在が確認されているものとしてはBUMP OF CHICKENの音源で単独最多(2番目は「ガラスのブルース」で5回)です。7回収録されていますが、実際に使用されているのは3種類の音源です。

「アルエ」(デモテープ) ・・・?

ネットオークションで見る「アルエ」1曲入りののデモテープ偽物です。以前YouTubeなどに上がっていた音源を確認しましたが、後述の「NO REASON」(BOC-001)に収録されているものを加工したものです。(ネットオークションで出回っているデモテープは、NO REASONの音源を加工したものが多く偽物を摑まされる事が多いので注意が必要です。)

1曲入りのコストの悪さ(他には3曲入りや7曲入りが多い)、この写真自体「18 years story / とっておきの唄」のデモテープの裏面として紹介しているものもあり信憑性がかなり低いです。

1997年:「NO REASON」(BOC-001)

「NO REASON」BOC-001 1997年10月発売

これは紛れもなく「本物」です。1997年10月発売のデモテープ「NO REASON (BOC-001)」の2曲目に収録されています。この事から作曲時期は遅くとも1997年10月以前(メンバー17-18歳 / 高校3年生)に遡る事がわかります。

1998年:HIGH LINE RECORDS FREE SAMPLER VOL.2

HIGH LINE RECORDS FREE SAMPLER VOL.2 

こちらはハイラインレコードが雑誌の付録として配布したサンプラーCDです。後述の1st CD「BUMP OF CHICKEN」よりも早く作成されており“裏の初CD音源”です!こちらには前述「NO REASON(BOC-001)」バージョンのアルエが収録されており、劣化もなくクリアな温室で当時の演奏を聴くことができます。

「FLAMEVEIN」のアルエとはテイクが異なり、当時の若々しい藤原さんのボーカルとギターアレンジが楽しめます。

1998年:「※※※※※※」 (BOC-002)


BOC-002 1998年9月23日

1998年:1st CD「BUMP OF CHICKEN」

1st CD「BUMP OF CHICKEN」1998年10月24日

1998年10月に発売されたバンド初のCD音源「BUMP OF CHICKEN」の1曲目として収録されています。デモテープの時とはテイクが異なり、CD化のために新規レコーディングされた音源が使われています。

1999年:1st Album「FLAMEVEIN」

1st Album「FLAMEVEIN」1999年3月18日発売

言わずと知れた名盤「FLAMEVEIN」です。この音源は1st CD「BUMP OF CHICKEN」のテイクがそのまま使われています。もともとは4曲入りのミニアルバムにする予定でしたが、最終的に前作の3曲も収録されることになりました。

2004年:7th Single「アルエ」

7th Single「アルエ」2004年4月発売

2004年、インディーズアルバム「FLAMEVEIN」と「THE LIVING DEAD」のトイズファクトリーからの再販売されるにあたり、「アルエ」がシングルカットされてリリースされました。ハイライン盤からトイズ盤へはリマスタリングされています

2004年:再発盤「FLAMEVEIN+1」

※画像省略

アルエ同様、他のFLAMEVEIN楽曲もハイライン盤から移植される際にリマスタリングされています。

2013年:「BUMP OF CHICKEN Ⅰ [1999-2004]

2013年7月発売「BUMP OF CHICKEN Ⅰ [1999-2004]

2013年にベスト盤に収録されます。この時もハイライン盤、シングルカット盤に続きリマスタリングされています。




PVは2種類

アルエのPVは2種類存在します。厳密には1種類は公開されもう一つはお蔵入りになりました。(Twitterシモの情報提供)

2004年:再発盤リリースバージョン

 DVD「ユグドラシル」

一般的に知られている「アルエ」のPVです。2004年にシングルカットされた際に番場秀一監督によって製作されました。映像の9割は過去のSPACE SHOWER TVの出演部分をパッチワークのように繋ぎ合わせた映像です一応時系列に最初の方が古い映像になっています)。

終盤に1999年に撮影された映像がブラウン管TVに流れ、その横に同じ姿勢の2004年の4人が座るという時間の流れを感じさせる構図に登場します(ヒゲ藤原が映る貴重な映像)

1998-1999年:お蔵入りバージョン

黒田智行氏 embedded from Twitter@locusandwonders

1998~1999年頃、「ガラスのブルース」や「リトルブレイバー」と同時期に黒田智之監督によって製作されました。編集に4年を費やした(?)PVでしたが内容が過激すぎたためお蔵入りになります。

直井 – オンエアーしなかったPVも撮ったじゃん俺ら(笑) 

藤原 – アルエのPVがあるんすよ

直井 – 地獄のようだったよね?(笑) 

藤原 – 地獄のようだった(笑)

2003.09.07 PONTSUKA!!

内容は天井の低いトンネルの中で、道路の真ん中に楽器セットを置いて演奏するシーンを撮るというものでした。普通、公道上で撮影するには車通りの少ない道路を選びますが、アルエの撮影地は車通りの多く車が通るたびに演奏を止めるという果てしない撮影でした・・・。

4年後、編集が終わり完成しますがメンバー達の判断でお蔵入りすることにします。

直井 – 当時の俺らだったらバーンって(公開)やってたけど、流石に俺らちょっと知恵ついてさ、この俺らを見せたら売り上げ落ちるなって(笑)

2003.09.07 PONTSUKA!! 

幻のPV気になりますね(笑) いつか陽の目を事を祈ります。




ライブ演奏記録

2004年10月29日 MY PEGASUS 長崎DRUM Be-1 embedded from excite

インディーズ〜OP期までの定番曲

アルエ演奏回数 
113回 

アルエは「インディーズ枠」の代表曲として頻繁に演奏されています。HANSO-DE TOUR’99(1999年)からホームシップ衛星(2008年)までほぼ全てのレギュラーセットリストに入っていますPOKISTA 21を除く)。2011年以降は主にアンコール枠での演奏です。

インディーズ枠で頻繁に演奏される曲
ガラスのブルース 220回
リトルブレイバー 127回
ランプ 110回
グロリアスレボリューション 107回

頻度でいうとランプ、グロリアスレボリューションと同クラスで、リトルブレイバーよりも少ないという位置付けです。アルエを含むインディーズ期の楽曲はSE同期が必要ないためアンコールでの演奏が多いです。

藤原基央のギターソロの変化

インディーズ期から藤原基央さんはアルエのギターソロを弾いています。藤原さんが弾いていたギターソロを増川さんが担当する流れが多くなっていますが、これは現在でも藤原さんが弾いています。特に難しくなく、増川さんも弾けるにも関わらず藤原さんが担当するのは明らかな「意図」が見えます。

以上、アルエの紹介をしました。またライブでも聞きたいですね。