6th Album 『COSMONAUT』

楽曲解説「66号線」プロデューサーMORヘ贈った曲

6th Album 『COSMONAUT』

「66号線」はBUMP OF CHICKENの6枚目のアルバム『COSMONAUT』の収録曲です。

 

「66号線」はBUMP OF CHICKENのプロデューサーMOR(森徹也さん)に贈られた曲と言われています。

 

MOR氏に宛てたと云われる根拠は何か。また藤原さんが歌詞に込めた意味とは何か。この記事では「66号線」の歌詞の意味や、MOR氏とBUMP OF CHICKENの関係のエピソードを紹介します。



 

「66号線」基本情報

6th Album「COSMONAUT」(2010年12月)

作詞・作曲藤原基央
編曲BUMP OF CHICKEN & MOR
作曲時期2008年11〜12月
収録作品2010年12月15日 アルバム「COSMONAUT」
ライブ初披露2011年12月05日 「GOOD GLIDER TOUR」SHIBUYA-AX公演

「66号線」は2010年にリリースされたアルバム「COSMONAUT」に収録されています。アルバム曲ながらメロディの美しさからリスナーに人気の高い楽曲になっています。

「66号線」の意味

曲名の「66号線」とは、アメリカ合衆国にある「ルート66(Route 66)」に由来しています。「ルート66」はイリノイ州シカゴからカリフォルニア州サンタモニカまで横断する道路でアメリカのポップカルチャーの題材として映画や小説に登場する実在の道路です。

プロデューサー・MOR氏を象徴する数字が「66」であることから、プロデューサーと共に音楽活動していることの意味も含まれると言えます。

「66号線」作曲エピソード

2008年12月頃、「66号線」はボーカル・ギター藤原基央さんによって作曲されました。

2008年という年は、BUMP OF CHICKENとして全国ツアー「ホームシック衛星」「ホームシップ衛星」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2008」 計42本にのぼる精力的なライブ活動を行いました。

夏以降、4人のメンバーはそれぞれの時間を過ごします。ドラムの升秀夫さんとボーカル&ギター 藤原基央さんは富士山へ登ったりしました。

その年の終わり頃、藤原さんは升さんとの登山経験をもとに「セントエルモの火」、友人の悲しい出来事をもとに「HAPPY」を同時に書きます。

 

藤原さんは新曲「セントエルモの火」「HAPPY」をメンバーに早く聴かせたいと思う中、スタジオに集まるまでのわずかな期間に新たに「66号線」を作曲します。

 

藤原 – それから、スタジオの予約は取れたんだけど、まだ1週間くらい時間があると。もう1曲書けるなと思って書いたのが『66号線』だったんです。

引用元:音楽ナタリー

藤原さん以外のメンバーが新曲を3つ同時に聴いたのは「HAPPY」「セントエルモの火」「66号線」が初めてだったため、画期的な出来事だったといいます。



プロデューサー・MORに向けた歌詞と言われる理由

「66号線」はプロデューサーのMOR(本名:森徹也)さんに向けて歌った曲と云われている理由について説明します。

「66」= MORのラッキー・ナンバー

藤原さんは曲名「66号線」の由来について、友人の縁深い数字が「66」であり、その友人に贈った歌だと公表しています。

 

藤原 – これはある親友に向けて歌った唄なんですけど、その親友に縁の深い数字が『66』だから。

出典:「MUSICA」2011年1月号

 

そして次に、2006年の映像作品『人形劇GUILD』に登場する炭鉱 “ギルド66 “は、MOR(森徹也)氏に由来していると発売時のインタビューで発言しています。

 

――“66ギルド”をヘブン(天国)にしたことに、意味はあるのでしょうか?

藤原:ディレクターのラッキー・ナンバーです(笑)

出典:BARKS

 

森徹也(MOR)さんのラッキー・ナンバー =「66」であり、藤原さんの友人の縁深い数字 =「66」であることから、2つの発言を照合すると「66号線」はプロデューサー・MOR氏へ贈った曲となります。

BUMP OF CHICKENと出会った頃、森徹也さんはトイズファクトリーのレコーディングディレクターとして雇われていたため、その名残でメディアによっては呼称が”ディレクター”だったりします。また総合プロデュースを努める野村達矢氏(インディーズ時代のバンプを発掘した初期関係者の1人)と区別するために森氏を”ディレクター”と呼んでいたりします。

“MOR Tシャツ” にも「66」

2001年8月3日 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001にて

2001年8月、初出演となった「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001」でオープニングアクトを務めたBUMP OF CHICKEN。

メンバーの4人が出演者スペースで着用していたTシャツにはハッキリと「MOR 66」と印字されており、MOR氏と出会った頃から「66」という数字を認識していたことがわかります。

※あくまでインタビューから推測された内容であり、現在までに藤原さん本人が「『66号線』はプロデューサーに贈った曲です」と発言していない点は注意が必要です。

「66号線」の歌詞の意味

藤原基央の大切な人へ向けた唄

藤原さんは「66号線」を書いたきっかけとして、大切な人の涙を見た姿がありました。

藤原 – 凄い大事な友達がいて、俺、その人に何回も助けられて。その人が号泣した時があってさ。その人が泣くのをみたのはそれが2回目だったんですけど・・・そういうことがあったんですねって話です。

出典:「MUSICA」2011年1月号 vol.45 

 

インタビューで語った大切な人が涙した場面は、そのまま歌詞に表れています。

 

66号線 (0:25~)
僕の知らない記憶に襲われて
泣いちゃった大切な人
近くにいられて嬉しかった
肩に溢してくれた涙で出来た
音符を繋いで 盾を作ろう

引用元:「66号線」/ BUMP OF CHICKEN

この一節だけで大切な人に対する一際強い思いを感じ取ることができます。辛いときにそっと隣にいてくれる心強さを感じさせます。

BUMP OF CHICKENのテーマ」の《寂しい雨の日には 君の横で うるさい音を優しく鳴らす》 に近いなと思いました。

共同作業者であり”友人”である

66号線 (0:25~)
声をなくしたら僕じゃなくなる
それでも好きだと言ってくれますか
ただ一言だけ誉めてください
それだけで全てを信じる

引用元:「66号線」/ BUMP OF CHICKEN

サビの歌詞では、藤原さんのプロデューサーに対する想いが歌われています。たとえ自分が唄を歌えなくなっても自分の存在を好きでいてほしい、という願いです。

藤原さんは関係者を”友人” と呼ぶことがあります。メロディーフラッグ」ではスタッフが記憶喪失になったこと、「Stage of the ground」ではトイズファクトリー社員に子供が生まれたことがきっかけで作詞をしていますが、対外的なインタビューではどちらも「友人」と呼んでいます。

ビジネスだけの関係性ではなく、友人としてとして向き合う藤原さんのこだわりが読み取れます。

レコーディングエピソード

テキーラで焼けた歌声の幻のテイク

「66号線」のレコーディングでは、藤原さんは歌入れの前日にテキーラを飲み、喉が焼けた状態で歌入れをしました。

藤原 – 1回目はその翌日に歌入れしたんだけど、結局改めて歌い直しました。最初に歌ったテイクも全然これでいいかなっていうくらいのものではあるんですけど・・・・でもやっぱり気持ちの問題なんです。

 

この時のテイクも悪くなかったといいますが、歌う時の気持ちの問題で録り直すことにしました。

 

藤原 – 解釈度が全然変わって。1回歌った上でもう1回歌ったから、よりよくその曲のことをわかった上で歌ったんだよね。だから単純に喉の調子がどうこうではなく、違うテイクになっています。歌い直して本当に良かった

 

私たちが聴いている「66号線」は歌い直したテイクを聴いているんですね。いつかビートルズみたいにボツレコーディング集を出してほしいですね。

「66号線」ライブ演奏記録

演奏回数25回  
演奏頻度★★☆☆
初披露2011年12月05日「GOOD GLIDER TOUR」渋谷AX
演奏ライブ2011-2012年「GOOD GLIDER TOUR
2012年「GOLD GLIDER TOUR
2016年  BUMP OF CHICKEN 結成二十周年記念ライブ「20」
2022年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee
2023年「BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there

演奏機材

藤原基央 – Sonic Stratocaster
増川弘明 – Gibson Les Paul Standard 
直井由文 – Sonic Precision Bass (Chama Pink)

「66号線」はこれまでに25回演奏されています。2011-2012年に開催したライブハウスツアー「GOOD GLIDER TOUR」、アリーナツアー「GOLD GLIDER TOUR」では2DAYSのAセトリ(1日目)に入っています。2016年のSpecial Live『20』では4年ぶりに披露されました。

2012年、2016年ともに藤原さんはローズウッド指板のSONIC製ストラトキャスター、増川はGibson製レスポールで演奏しています。ライブの様子はBlu-ray/DVD映像作品「20」で確認することができます。

「66号線」ライブ映像作品

映像作品「BUMP OF CHICKEN 結成20周年記念Special Live 「20」」 

LIVE Blu-ray「BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee at Zepp Haneda(TOKYO)」

 

原曲はレギュラーチューニングの2カポですが、ライブでは藤原・増川ともに半音下げチューニングの2カポになっています。ちなみに増川さんが2カポを付けるのは「ホリデイ」に続き「66号線」が2曲目でした。

 

以上、BUMP OF CHICKEN「66号線」の歌詞の意味、制作エピソードについて紹介しました。



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