2nd Album 『THE LIVING DEAD』

BUMP OF CHICKEN「Ever lasting lie」とある「嘘」の物語とゴスペル

2nd Album 『THE LIVING DEAD』

BUMP OF CHICKENの「Ever lasting lie」はアルバム「THE LIVING DEAD」収録曲です。

8分37秒という収録時間はBUMP OF CHICKENの中で最も長い楽曲です。「嘘」に振り回される切ない男女の物語の歌詞と、時間の経過を表現した長い間奏が特徴的なアルバムの屈指の名曲です。

今回は「Ever lasting lie」の意味や歌詞、解釈を紹介します。


「Ever lasting lie」基本情報

2nd Album「THE LIVING DEAD」(2000年3月)

曲名 Ever lasting lie
収録時間 8分37秒
作詞・作曲 MOTOO FUJIWARA
作曲時期 1999年末
収録作品 2000年3月25日「THE LIVING DEAD」
ライブ初披露 2002年12月3日「LOVE & PORKIN」名古屋クラブダイアモンドホール

 

「Ever lasting lie」作曲エピソード

1999年12月〜2000年1月、BUMP OF CHICKENは2枚目のインディーズ・アルバム制作に臨みます。

「THE LIVING DEAD」のレコーディングが行われたaLIVE RECORDING STUDIO(東京都世田谷区)

特殊な状況で制作された「THE LIVING DEAD」

世田谷区のレコーディングスタジオを1〜2週間押さえられたものの、BUMP OF CHICKENの4人は歌詞まで出来た新曲を用意できていませんでした。

そのため『オケ(演奏)を先に録って後から歌のメロディや歌詞をつける』という強硬手段でアルバム制作を行います。

アルバム「THE LIVING DEAD」

藤原 – だからこの時は歌詞をとりあえず後回しにして、(中略)まずはとにかくカッコいいオケだけ考えて。

引用:「MUSICA」2024年10月号 vol.210

作曲担当であるボーカル・ギターの藤原基央さんがコード進行を決め、メンバー全員でアレンジをして、録音した演奏に歌とメロディをつけてアルバム曲を制作します。

ゴスペルをイメージした「Ever lasting lie」

藤原基央さんは1曲1曲に音楽面のテーマを持たせ、「ゴスペル」をテーマに「Ever lasting lie」を作曲します。

ゴスペルとはアメリカ黒人教会にルーツを持つ宗教音楽で、藤原さんが好きなジャンルの音楽のひとつです。

BUMP OF CHICKENの楽曲には幾つか「ゴスペル」をテーマに制作された楽曲が存在します。

“ゴスペル”をテーマにして書いた曲
「THE LIVING DEAD」(2000年)
「Ever lasting lie」
「orbital period」(2007年)
supernova
「COSMONAUT」(2010年)
angel fall
「aurora arc」(2019年)
spica

「Ever lasting lie」はゴスペルをイメージしたBUMP OF CHICKENの楽曲の始まりと位置付けることができます。

「Ever lasting lie」に影響を与えた洋楽

藤原基央さんは「Ever lasting lie」を作曲する際に洋楽の「Saint Of Me」「明日に架ける橋」の影響を受けたとインタビューで明かしてます。

  • 「Saint Of Me」The Rolling Stones(1998年)
  • 「明日に架ける橋」 Simon & Garfunkel(1970年)

藤原基央さんは活動初期のインタビューでは、作曲に影響を与えた楽曲を明かすことがあります。『FLAME VEIN』収録曲である「ナイフ」の歌詞の一節は《Radioheadから影響を受けた》と語っています。

藤原さんは「Ever lasting lie」をピアノで表現したい曲と述べており、「明日にかける橋」のようなピアノのイメージだと考えられます。

 

「Ever lasting lie」の意味

everlasting [èvərlǽstiŋ]
形容詞: 永遠に続く、いつまでも続く

「Ever lasting lie」とは「永遠に続く嘘」という意味です。歌詞の主題となっている「嘘」をめぐる男女の物語を表しているタイトルになっています。

「Ever lasting lie」歌詞の意味と解釈

愛する人の優しい「嘘」


「Ever lasting lie」の歌詞は、とある男の人と、女の人の人生の物語が描れています。

Ever lasting lie  0:39〜
愛する人の命に値がついた
そこら中に頭を下げても足りなくて
「石油でも掘る以外ないんじゃないの?」って
皮肉を本気にして飛び出した

引用元:Ever lasting lie / 作詞作曲 藤原基央 (2000年)

人買いに売られて<愛する人の命に値がついた>女性は遠くに飛ばされます。男性は女性を取り戻すために<「石油でも掘るしかないんじゃないの?」>という皮肉に、微かな希望を信じて砂漠でシャベルを持って掘り続けます。

その甲斐虚しく、女性は<死んだ街で夜のドレス纏って 作り話のような愛を売らされる人>になります。かつての男性の言葉<「二人は大丈夫、明日を信じて待っていてくれ」>という嘘を信じて待ち続けて、教会で命を引き取ります。

 

Ever lasting lie  5:40〜
とある街の小さな教会で
優しい長生きおばあさんが眠りについた
ろくに動けなくなってからも
毎朝何かを呟いて微笑んだ

引用元:Ever lasting lie / 作詞作曲 藤原基央 (2000年)

男性は、なぜ自分が掘っているのかも、自分の夢さえも忘れながら、砂漠でシャベルを握り続けるというエンディングです。

「信じられる要素なんて」に隠されたダブルミーニング

Ever lasting lie 歌詞

歌詞には隠された意味があるといわれています。男性の「明日を信じていて待っていてくれ」という優しくついた「嘘」に対する女性の台詞です。

 

Ever lasting lie  2:27〜
「信じられる要素なんて どこにあるの?」って
思いながらも その言葉を まじないのように

引用元:Ever lasting lie / 作詞作曲 藤原基央 (2000年)

 

信じられる要素なんて どこにあるの?
→ 疑っている
信じられるよ 「嘘」なんて どこにあるの?
→ 信じている

 

歌詞カードの文面通りに読むと女性の疑っている気持ちに受け取れますが、後者の読みかたでは男性を信じているというダブルミーニング(二重の意味)になります。

 

この解釈は藤原基央さん本人は触れていないものの、(1) 「K」「アルエ 」の歌詞で同様の仕掛けをしていること、(2) 「定めよりも互いを信じていたーーー」という一節が後に出てくることから、あながち間違っていないと思います。狙って書いたとしたら、藤原さんの凄さを感じますね。

 

 

こんな悲しい唄ですが、藤原さんは決して悲劇を描いたわけではないといいます。

 

藤原 – 「THE LIVING DEAD」で悲しい歌は歌ってないんですよ。作曲家・藤原基央が誕生した時から、僕は悲しい歌を一度も歌ったことがないんですよ。全てハッピーエンドにしてます。

 

さらに「人それぞれの人生はどれも泣けてどれも感動する、たとえ本人が意識していなくてもそうである、と歌った曲」だといいます。

確かにこの曲の登場人物は、夜のドレスを纏うくらいですからきっと若娘と青年だったのだと思います。その若い娘がおばあさんになるまで、青年がおじいさん(歌詞カードの絵の老人)になるまで、長い長い時間が経っています。それぞれの人生は本人が意識していなくても、意図せずとも感動的な物語であるということでしょうか。

 

アコースティックアレンジで再録

「Ever lasting lie」は2004年リリースの期間限定シングル「アルエ」のカップリング曲としてアコースティックバージョン「Ever lasting lie (Acoustic Version)」として再収録されています。

 

当時、バンプのインディーズ時代のデモテープやアルバムを販売していたHiLine Records(ハイラインレコーズ)というレコードレーベルが経営危機になり、インディーズ時代のアルバム2枚とシングル「アルエ」のトイズファクトリーからの再販が決まりました。

これはメンバーの意見ではなくスタッフ側による選曲でした。スタッフはメンバーに「カップリング曲は何かある?」と尋ねると、せっかくなのでカップリングも昔の曲、それも再録にしよういう話になりました。

そこで”アンプラグド(アコースティック)”はバンド側、”Ever lasting lie”の選曲はスタッフ側から意見が出て “Ever lasting lie”をアコースティックアレンジにして録音することに決まりました。藤原さんは、THE LIVING DEAD制作時を思い出し、音楽に集中できる環境で録音したかったアルバムの曲なので、今信頼しているスタッフ達(トイズファクトリー)と再録することができて嬉しいと述べています。

アコースティックギターの間奏はオープンEチューニングが使われ、民族的でトラディショナルなギターインストゥルメンタルが魅力的です。藤原さんのギタリストとしての才能が感じられる1曲なので是非聴いてみてください。

 

「Ever lasting lie」ライブ演奏記録

演奏回数 61公演 (発表後 362公演のうち)
演奏頻度 ★★☆☆
初披露 2002年12月03日「LOVE & PORKIN」名古屋クラブダイアモンドホール
最終演奏 2018年03月18日「PATHFINDER」マリンメッセ福岡
演奏ツアー 2002年「LOVE & PORKIN」*全公演演奏
2003年「NINJA PORKIN」*全公演演奏
2004年「MY PEGASUS
2004年「PEGASUS YOU
2017-18年「PATHFINDER」*全公演演



最初は演奏力が足りずライブ未演奏だった

2000年に発表された「Ever lasting lie」は、ステージでの初披露は2年後の2002年12月の全国ツアー「LOVE & PORKIN」となりました。インディーズ時代にもリハーサルで演奏を試みたものの演奏力不足からお蔵入りになっていました。

 

藤原 – 下北でやってた頃は、演奏力が追いついてなくて出来なかった曲(「Ever lasting lie」)です。

2002.12.28 下北沢CLUB QUE

同ツアーでは演奏前に曲紹介を行っており、メンバーも待ち望んだライブ演奏であることがわかります。

直井 – 「LOVE & PORKIN」というからには “LOVE” が必要だっていう感じで。今回のツアーからやっている曲をやります、「Ever lasting lie」。

2002.12.18ZEPP SAPPORO公演 MC

 

直井さんの曲紹介からも「愛」に関する要素が楽曲に込められていることが伝わります。その後、堰を切ったように2003〜2004年の全国ツアーと夏フェスなどのイベント出演で演奏されました。

13年ぶりに「PATHFINDER」で演奏

映像作品「PATHFINDER」ティザー映像 (0:38〜)

 

2004年韓国ソウル公演を最後に演奏されてこなかった「Ever lasting lie」ですが、2017-2018年に開催された「PATHFINDER」ツアーで13年ぶりのライブ演奏されました。

「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」

以上、BUMP OF CHICKENの「Ever lasting lie」の歌詞の意味や制作エピソードについて紹介しました。