楽曲解説:K vol.1 – 苦しみの中の喜びを歌った曲 – *2/20更新

2nd Album「THE LIVING DEAD」収録
作詞作曲:藤原基央
制作時期:THE LIVING DEADの中でも初期の曲

Kは、BUMP OF CHICKENの楽曲の中でも特にファンに人気のある1曲です。疾走感のある曲調と力強い歌声、そして黒猫が登場する物語調の歌詞が印象的な楽曲で、2000年にHiLine Records (ハイラインレコーズ)から発売された2nd アルバム「THE LIVING DEAD」に収録されています。今回は藤原さん自身が語ったKの意味と解釈について紹介します。




「THE LIVING DEAD」物語の始まりの曲


Kはシングル曲「ランプ」を除けば、アルバムの最初の方に完成した曲です。THE LIVING DEADは2週間という短期間で制作しなければならず、さらに持ち曲がない状態の藤原基央さんは焦ってしまい曲が書けない状態でした。詞が書けないピークに達した藤原基央さんは、物語形式で作曲することに決めたそうです。

現実世界では自分は猫ではないし、絵描きでもない。この曲まで実体験に基づいてない歌詞は本来書きたくなかった。– 藤原 – 

それまでくだらない唄やガラスのブルースなど等身大の歌を歌ってきた藤原さんにとって、自分が体験していないことを想像しながら綴ることは本来したくなかったと言います(でもノーヒットノーランで既に書いてるような…)。

Kをきっかけに物語調の曲を制作することに手応えを感じた藤原さんは、続く他のアルバム曲の歌詞も物語調にしていきます。そしてひとつひとつの曲の物語を紡いで「THE LIVING DEAD」という架空の物語のコンセプトアルバムにすることに決めました。Kがなかったら、THE LIVING DEADは全く違うアルバムになっていたと思うと大きな意味が感じられますね。





「K」の意味

アルファベット1文字「K」という曲名はそれまでのBUMP OF CHICKENの楽曲にはなかった斬新なアイデアで、Kが何を意味するか正しく伝わりませんでした。

「K」に関してめっちゃくちゃ誤解があって、『Kは黒猫のKですか』って、ファンレターもらっちゃって。俺は黒猫のKってタイトル付けるような浅はかな人間に見えるのかって、すごいショックだったんですけど。もっと詞読んでください。詞読んで英語勉強してください(笑) – 藤原 – 

本当の意味は、拾った絵描きに「聖なる夜 (Holly Night)」と名付けられた黒猫が、死んだ後に アルファベットひとつ(K)付け足して「聖なる騎士 (Holly Knight) 」になったことを示しています。アルエの歌詞 “ハートに巻いた包帯” という言葉で「怖」(=「心」+「布」)を表していた藤原さんならではの歌詞のトリックですね。

苦しみの中を歌った曲

藤原 いろんな人から忌み嫌われてみたいな。色んな苦しみがあって、色んなーーー。人生ってヤなことの方が多いと思うんですよ。でも、そん中でひとりだけ自分のことを愛してくれる人がいたらねぇ。1回だけ良いことあったら、その1回で全て帳消しに出来るぐらい喜べる素晴らしいことだと思うんですよ。なんかそういう瞬間を切り取りたかったですね。

ユグドラシルあたりのインタビューで「自分が書く曲はすべて前向きな曲なんです」という言葉の通りの発言ですね。悲劇的な曲、ドロドロした曲、凶暴な詞の曲でもすべて前向きな意味が込められてる、と。そういった深層的な歌詞の意味を表現した初期の曲と位置づけられるかもしれません。

ライブ演奏記録

Kは2000年のツアーポキールから2016年のBFLYまでコンスタント(5~6割のペース)に演奏されています。ファンの人気が高いということを藤原さん自身も認識しており、また同期SEを流す必要がないためセットリスト本編やアンコール曲として色々な場面で演奏されています。

ギターソロは藤原さんが演奏していた

この曲に限らずですが、THE LIVING DEAD楽曲のギターソロの全てを藤原さんが演奏していました。理由は増川さんの技術不足とレコーディングした藤原本人の方が弾いたほうが早かったからです。メジャーデビュー後、少しずつ増川パートに移行していきますが、Kのギターソロは比較的遅く(2003年)まで藤原が弾いていました。

*ギターソロは初期は藤原が全16小節演奏していたが、途中からに増川と半々になり、現在では増川が全て演奏している。
2000~2001年 ▶︎全16小節 藤原演奏
2001-2003年 ▶︎前半8小節→藤原 後半8小節→増川
2004-2016年 ▶︎全16小節 増川演奏

アンコールと本編セットリストでは演奏が違う!?

 実はアンコールで演奏される時はコーラスが入っていません (♪ Holly night〜huh〜の部分)。これはアンコールはその場で決めているので(といってもパターン化していますが)、『K』のコーラスの練習をしていないからです。実際には出来るはずですが、”その場で決めていますよ、準備していませんでしたよ”という心の態度のためだと思われます。

以上、Kについて紹介記事でした。これからもライブで演奏されるであろうこの曲を聴くときにふとこのエピソードを思い出していただければ、また違った聴き方ができるのではないでしょうか。



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