楽曲解説:ウェザーリポート vol.1 – 「天気」と浮かばれない気持ちの唄 – 解釈*

ウェザーリポートはBUMP OF CHICKENのアルバム「COSMONAUT」に収録されているアルバム曲です。タイトルは英語で「Weather Report」 =「天気予報」のことを意味します。

バンプの得意とする疾走感のある曲で、サウンド面では前作orbital periodよりも昇華された音作りが魅力的なCOSMONAUT期を代表する1曲です。




升が「R.I.P」のドラムをアレンジする日に藤原が曲作りにやってきた

COSMONAUT曲で最初のシングル「R.I.P」(2009年11月)のプリプロ音源をレコーディングした翌日、ドラムの升秀夫さんはアレンジを修正するために一人で一口坂スタジオに来てリズムパターンを機材で打ち込んでいました。

一方でボーカル・ギターの藤原基央さんも小さな録音ブースでの作曲作業のためにスタジオにやってきます。

藤原 – 俺はレコーディングブースでギター弾きがなら曲作ってて、升くんはミキシング・ルームで打ち込み作ってて。 – MUSICA vol.45

升さんはR.I.Pの修正アレンジを、藤原さんは作曲したばかり曲のワンコーラスを互いに聴かせながら意見を言い合いました。

先日書いた記事でも紹介したように、バンプは藤原さん単独によるデモテープを作成してからバンドのデモテープを制作するのが基本的な流れです。

しかし、ウェザーリポートは作曲時は升さんが隣にいたため、デモテープの段階から升さんにドラムの打ち込みを任せることにします。

藤原 – 別に最初から升くんに打ち込んでもらう曲があってもいいんじゃないかなぁって思ったんだとね。それで、俺が2番を書いている間に升くんに好きなように打ち込んでおいてもらって出来た曲です。

ほとんどの曲は藤原さんが大まかに入れたアイデアを、升さんがアレンジして膨らましていくという形態で決めてきました。つまりウェザーリポートは数少ない升さんの純度100%のリズムアイデアが聴ける曲ということです。




バンプの曲で最速のベース

直井 – 実は、この曲ってベースを弾くスピードが今までで一番速いんだよね。

インタビューの発言通り、ウェザーリポートのベースはバンプ最速の速さです。厳密には曲の全体の速さは最速ではないものの、ベースラインは16分音符で細かく刻まれているためベースはものすごく高速弾きされているんですね。

直井 – 最初はエモーショナルに弾けばいいかと思ったんだけど、それはやめてタイトに弾いているんですよ。音を止めて、ひとつひとつの音を繋げずに弾いていったんですけど。

一番の速さにもかかわらずベースラインの音は安定していて、やはりチャマさんのベース演奏技術は本当に上手いなぁと思います。こんなに早く刻んでいて、なおかつ部分的に動きを見せるベースラインを弾きこなすには相当な練習が必要ですよね。

浮かばれない気持ちの唄

@Tuncay

最速のベースラインと心地よいアルペジオが響く疾走感たっぷりで明るいイメージの曲調と裏腹に、歌詞は晴れ渡っていない心の描写を表しています。

藤原 – ・・・でも歌詞は全く浮かばれない気持ちを唄ってるんだよね。(中略) こういうじめじめしたことを考えてたのが自然と出たとしか言えない(笑) 

さらに藤原さんは歌詞の主題を「天気」というモチーフを使って表現したかったとのことで、得意のデフォルメの曲のひとつですね。

あなたのその笑顔が 誰かの心を許すなら
せめて傘の内側は あなたを許して どうか見せて欲しい

なんだか私には、アルエに似ているなあと感じました。

「傘」は本心を隠す防御の盾であり、そしてこの曲の「傘」は「笑顔」と同義です。笑顔って人と人とがコミュニケーションする上で円滑にする便利な道具ですよね。本当は辛かったり、嫌だったりしても「笑顔」で隠してる人ってたくさんいると思います。

天体観測の予報外れの「雨」のように、降りかかる”嫌なこと”に対して「笑顔」で心を隠すこと、そして強がりだったり、恥ずかしさから内側(本心)を決して見せないと決めている人。そんな人に対して自分を許して心を見せて欲しい、あなたの心が見たいと唄っているのではないでしょうか。

アルエの「ハートに巻いた包帯を 僕がゆっくり解くから」の歌詞が意味する「怖」から「包帯=布」をとって心を取り戻すというとテーマとすごく似ている曲だと感じました。

ライブ演奏

演奏回数:6回
演奏日時:2011 – 2012年 (GOOD GLIDER TOUR)

ウェザーリポートはライブでは2011〜12年に行われたライブハウスツアー GOOD GLIDER TOURでのみ演奏されました。SEを同期せず4人のみのシンプルなバンドサウンドで演奏しています。

しかしどういうわけか、直後のアリーナツアー(GOLD GLIDER TOUR)では新たに分別奮闘記がセットリストに入った代わりに、ウェザーリポートは外れてしまいました。もしかしたら直井さんの演奏の負担が大きいという理由から、交替する曲としてウェザーリポートが選ばれたのかもしれませんね。

結果的に6回しか演奏されていないレアな曲となっています。ライブでノリやすい曲ですので、またいつかライブで演奏してくれるといいですね。

以上、ウェザーリポートについての歌詞解釈と解説でした。升さんのドラムパターンに耳を傾けて、この曲を聴いて見るのもいいですね。