1990年代1st Album『FLAMEVEIN』インディーズ期カップリング曲

BUMP OF CHICKEN「バトルクライ」歌詞の意味と制作エピソード

1990年代
「FLAME VEIN」(1999年3月)

「バトルクライ」はBUMP OF CHICKENのインディーズ曲です。

「バトルクライ」は1999年11月に発売された初のシングル『LAMP』収録曲で、BUMP OF CHICKEN初のカップリング曲です。

インタビュー等では多くを語られていない「バトルクライ」とはどのような楽曲か、エピソードを解説していきます。



「バトルクライ」基本情報

作詞・作曲 藤原基央
作曲時期 1999年8月以前
収録作品 1999年11月24日 マキシシングル「LAMP」
2004年5月 アルバム「FLAME VEIN+1」(再販版)
ライブ初披露  1999年8月以前 

BUMP OF CHICKEN初のカップリング曲

1999年11月、BUMP OF CHICKENは下北沢のインディーズ・レーベル「ハイラインレコード」よりバンド初のMaxi Single『LAMP』をリリースします。

1999年11月25日
1st Maxi Single「LAMP」
01. 「LAMP」
02. 「バトルクライ」
03. 「リトルブレイバー」
隠しトラック「邦題18歳」

このCDの2曲目に収録されている「バトルクライ」はBUMP OF CHICKEN初のカップリング曲と位置付けられます。

シングル「LAMP」は廃盤となり、2004年に再販された「FLAME VEIN+1」にリマスタリング収録されてます。

余談ですが、もうひとつのカップリング曲「リトルブレイバー」は当初ライブ音源を収録予定でした。あまりの演奏の下手さのためメンバー自らNG判断し、リリース済みのレコーディング音源を収録することとなったエピソードが残っています。



999年夏のリリース前のセットリスト用紙には「バトル」の略称でカナ表記で記載されています。

「バトルクライ」作曲エピソード

BUMP OF CHICKENのメンバーによる「バトルクライ」のインタビューは少なく、作曲時期やエピソードについては謎に包まれています。

「バトルクライ」は1999年の夏頃には当時ライブハウスで披露していたことが判明しており、表題曲の「ランプ」よりも先に作られていたことがわかっています。

1999年5月20日 渋谷・屋根裏のライブハウスに出演するBUMP OF CHICKE。この頃に「バトルクライ」が書かれたと推察される(画像埋込元:youtube.com

情報収集の結果を総合すると、「バトルクライ」は1999年春〜夏に作曲され、バンド演奏としての完成は夏頃と推察されます。

1999年8月のライブ演奏記録

1999年8月26日に下北沢CLUB251で出演したイベント「綜合科学研究所 Vol.8」において「バトルクライ」の演奏記録が残っています。

1999年8月26日「総合科学研究所 vol,8」チラシ (画像埋込元:X@masa16310様

2008年にカップリング・アルバム『present from you』リリース時のインタビューにおいても、藤原さんは「バトルクライ」がライブ披露済みの曲であると答えてます。

藤原 – “バトルクライ”はカップリングなわけですよ。それで『ランプ』っていうCDを出した時に、それまで僕らのことを応援してくれてた人たちは聴いてくれてて。

引用元:「MUSICA」2008年7月号

ライブ活動がメインだったインディーズ時代のBUMP OF CHICKENは、新曲をリリースよりも先にライブで演奏するのが基本でした。

「シングルLAMP」はライブ演奏曲中心の1stアルバムから未発表新曲中心の2ndアルバムになるまでの過渡期の作品といえる

アマチュア期(1996〜1998年)の日本語曲の集大成が『FLAME VEIN』であり、続く『THE LIVING DEAD』では「ランプ」「グロリアスレボリューション」以外全て新曲で構成されているアルバムとなります。

シングル『LAMP』はその過渡期の1枚といえます。

「バトルクライ」作曲時期

前述の通り「バトルクライ」の作曲時期は1999年春〜夏、遅くとも夏には完成していたと考えられます。理由は以下の2点です。

(1)1999年3月の最新曲が「ノーヒットノーラン」
(2)1999年8月「バトルクライ」ライブで1曲目に演奏

(1)1999年3月にリリースした『FLAME VEIN』の最新曲が「ノーヒットノーラン」でした。

藤原 – 曲は当時あったもので、一番新しかった曲が“ノーヒット・ノーラン”

出典:BUMP OF CHICKEN ヒストリーブック

『FLAME VEIN』リリース直後のライブでは「ノーヒットノーラン」が演奏されているが「バトルクライ」が演奏されていないセトリ記録が残っています。このことから「バトルクライ」が「ノーヒットノーラン」より新しい曲であることは間違いないと言えます。

(2)前述の1999年8月のライブ「綜合科学研究所」で1曲目に演奏し、直後の全国ツアー「HANSO-DE TOUR’99」でも1〜2曲目に演奏していたことがわかっています。

1999年夏のライブスケジュール

(必ずすもではないですが)“最新曲を1曲目に披露する” というBUMP OF CHICKENのセオリー・傾向を踏まえると、当時の最新曲が「バトルクライ」であったことは疑いなく、8月のライブ演奏から逆算して1999年6〜8月頃が作曲時期と推定されます。

「バトルクライ」の曲名の意味

battle cry
noun 
:a word or phrase shouted by soldiers going into battle to express solidarity and intimidate the enemy.

出典:BATTLE CRY | Oxford Language

「BATTLE CRY」は「戦場での咆哮・咆声」という意味になります。戦場において敵に立ち向かう、自分を奮い立たせる時の雄叫びという語義になり、少し歴史用語に近く一般生活では使用しない単語になります。

バトルクライ
捧げよう 誓いの唄
Shout a battle cry

引用元:バトルクライ(1999年)

英語辞書には、”battle cry”に紐づく動詞として”shout”を伴う限定用法の言葉だと記載されています。藤原さんは限定用法も守っていることから、おそらく”Shout a battle cry”というフレーズが使われている作品の影響を受けて覚えた言葉だと推測されます。

インディーズ時代の楽曲は藤原さんは身近なものをテーマとして借用することがありました。「ナイフ」の歌詞の一節はRadioheadの楽曲「Prove yourself」を引用したこと、「グングニル」はRPGゲーム・『ファイナルファンタジー』シリーズの武器名から名付けたことをインタビューで明かしています。

「バトルクライ」の元ネタは不明ですが、藤原さんの幼少期である1991年当時に流行したアーケードゲーム「バトルクライ」、藤原さんも聴いたであろうLA発のギターロックバンド OMENが1984年にリリースした「バトルクライ」などではないかと想像します。

「バトルクライ」の歌詞の意味

「バトルクライ」の歌詞は、勇気、希望、生きる理由などBUMP OF CHICKENの楽曲に共通する根源的なテーマを謳っています。

結成初期の英語詞曲を彷彿とさせる<SHOUT A BATTLE CRY>という英語の歌詞や、ストーリーが進行してゆく漫画的な歌詞は初期楽曲の特徴を体現しています。

インディーズ時代の強がり

「バトルクライ」の歌詞は、当時の藤原基央さんの言動が色濃く反映された部分があります。

バトルクライ
本当強がってんだ
強がって また嘘ついて

引用元:バトルクライ(1999年)

若い頃、特にインディーズ時代の藤原さんは尖っていたことで有名です。それはMCや雑誌のインタビューに表れています。

藤原さんは強気のMCをする理由について「強気でなければステージに立つ資格がない」と当時説明しており、最高の音楽を届けるために必要であったと話しています。

バトルクライ
ただの強がりも嘘さえも
願いを込めれば誇れるだろう

引用元:バトルクライ(1999年)

「バトルクライ」はまさにインディーズシーンを駆け上っている途中の楽曲であり、藤原基央さんの当時の心境が反映されている歌詞だと言えます。

またネガティブなものである「嘘」を、願いを込めてポジティブなものとして捉える逆説的な構図は『THE LIVING DEAD』収録曲の「Everlasting lie」への布石を感じさせます。

歌詞の一節が「リリィ」に登場

バトルクライ  1:46〜
日ごと生意気になってやろう
大言壮語も吐いてやろう

引用元:バトルクライ / MOTOO FUJIWARA (1999年)

「バトルクライ」に登場するこの歌詞は「リリィ」(『THE LIVING DEAD』収録曲)に登場します。

リリィ  1:50〜
「大言壮語を吐いてやろう」
そういう唄も歌った

引用元:リリィ / MOTOO FUJIWARA (2000年)

「バトルクライ」と「リリィ」はキーが異なるものの〈大言壮語も吐いてやろう〉のメロディはどちらもキーに対して同じ音階(度数)で歌われており、藤原さんの遊び心が伺えます。

BUMP OF CHICKENの楽曲の中には、劇中劇のように別の曲の歌詞、場面を引用する楽曲があり、有名なものでは「リトルブレイバー」「銀河鉄道」が挙げられます。

「バトルクライ」制作エピソード

1999年9月4日および翌5日、BUMP OF CHICKENのメンバーは「バトルクライ」「LAMP」の2曲を世田谷区にあるaLIVE RECORDING STUDIOでレコーディングします。

制作場所 aLIVE Recording Studio

東京都世田谷区にあるaLIVE RECORDING STUDIO。「LAMP」「バトルクライ」『THE LIVING DEAD』収録曲は全てここでレコーディングされた。

aLIVE Recording Studioのスタジオ。画像引用元(Musicman様

このaLIVE Recording Studioは2000年1月に『THE LIVING DEAD』制作でも使用されています。

レコーディング明けで福岡に向かうメンバー

1999年9月の制作セッションのエピソードが残っています。

藤原さんは自宅からスタジオに向かう路線バスに乗っている間、ギターパートをどうするか考えていました。しかし途中激しい腹痛に襲われ、それどころではなかったといいいます。



さらにレコーディング2日目は朝方までレコーディングをこなし、そのまま全国ツアー「HANSO-DE TOUR’99」に向けてハイエースで福岡に向かいます。そんな慌ただしい生活の中の音が「バトルクライ」には入っています。

藤原基央の手グセフレーズ

「バトルクライ」では藤原基央さんがリードギターを演奏しており、ギターソロは藤原さんの手グセのフレーズが弾かれています。

このフレージング(指の動き)は「ランプ」のギターソロでも一部同じ部分があり「ランプ」「バトルクライ」が同時にレコーディングされたことによる影響が垣間見えます(キーは異なります)。

サビ終わりにボーカルとユニゾンしているギターパートが入っているのも、BUMP OF CHICKENの楽曲としては珍しいです。

増川弘明のサイドギター

CD音源では、増川弘明さんはL側の微かに鳴っているバッキングギターを演奏しています。基本的にはパワーコードで弾いており、1:43〜の間奏ではリードが抜けていて増川さんの演奏がクリアに聴こえます。

曲の開始から増川さんのギターは鳴っているものの、L側には藤原さんのリードギターも入っていますが意識を集中すると聴こえてきます。

Bメロをイントロにする曲

「バトルクライ」はBメロのコード進行をイントロとして使用しています。

この方法はBUMP OF CHICKENの楽曲全体でも「バトルクライ」「夢の飼い主」「なないろ」の3曲のみで、「バトルクライ」は初めての楽曲です。

Bメロのコードをイントロに使用する楽曲
「バトルクライ」(1999年)
夢の飼い主」(2004年)
なないろ」(2021年)

「BATTLE CRY」「バトルクライ」の表記

「LAMP」プロモ用デモテープ

JASRAC登録はカナ表記で「バトルクライ」ですが、「BATTLE CRY」の英語表記も一部存在します。

プロモ用デモテープ
(1999年)
「BATTLE CRY」
シングル『LAMP』歌詞カード
(1999年)
「BATTLE CRY」「バトルクライ」併記
シングル『LAMP』帯
(1999年)
「バトルクライ」
メンバー直筆セットリスト
(1999年)
「バトル」*略称と思われる
アルバム『FLAME VEIN+1』
(2004年)
「バトルクライ」

藤原基央さん直筆の歌詞カードには英語とカナ表記が併記されている一方、デモテープ、CDのタイトル表記は英語に統一されています。

「バトルクライ」ライブ演奏記録

BUMP OF CHICKENが出演していた下北沢のライブハウス CLUB251(筆者撮影)

演奏回数 63回
初披露 不明
最終演奏 2022年12月12日「Silver Jubilee」ZEPP HANEDA (TOKYO)
演奏ツアー 1999年「HANSO-DE TOUR’99」全公演演奏(?)
2000年「ツアーポキール」*全公演演奏
2000年「サマーポキール2」*全公演演奏
2000年「プロポキール秋」*全公演演奏
2001年「スターポーキングツアーズ 2001」*全公演演奏
2001年「surf porkin’」*全公演演奏
2002年「POKISTA 21」*全公演演奏
2002年「LOVE & PORKIN」*全公演演奏
2012年「GOLD GLIDER TOUR
2016年「20」
2022年「Silver Jubilee

「バトルクライ」はインディーズ後半からメジャー初期までのBUMP OF CHICKENのライブを支えた楽曲です。

1999年〜2001年までのライブではほぼ毎回演奏されていましたが、現在では演奏されることは非常に珍しいレア曲となっています。

インディーズ時代のトップナンバー

「バトルクライ」はライブで主に1〜2曲目で演奏されていました。

  • 1999年「HANSO-DE  TOUR’99」1〜2曲目
  • 2000年「ツアーポキール」2曲目
  • 2000年「サマーポキール2」2曲目
  • 2000年「プロポキール秋」2曲目
  • 2001年「Surf’ porkin」1曲目

爆発的なイントロがオーディエンスを盛り上げる役割があると、BUMP OF CHICKENのメンバーも意識していたことがわかります。

「バトルクライ」ライブ映像作品

映像作品「BUMP OF CHICKEN 結成20周年記念Special Live 「20」」 

「バトルクライ」は20周年記念ライブ「20」(2016年)の模様が収録されています。10代の激しい音づくりではなく30代の洗練された音で表現された「バトルクライ」を観ることができます。

以上、BUMP OF CHICKENの「バトルクライ」の歌詞の意味と制作エピソードについて解説しました。この記事を読んで新しい聴き方を見つけていただければ幸いです。ありがとうございました。