7th Album『RAY』歌詞・楽曲解説

楽曲解説「morning glow」出会った事実と別れるわけではないという意味

7th Album『RAY』

BUMP OF CHICKENの楽曲「morning glow」の歌詞の意味と制作背景について解説します。

 

「morning glow」とは英語で「朝焼け」を意味します。この曲は一度制作を中断し、3年後にレコーディングされることとなったエピソードがあります。

 

メンバーはなぜ制作を中断したのか、「morning glow」の歌詞に込めた思いとは何か、その背景を解説します。



「morning glow」基本情報

6th Album「RAY」(2014年3月発売) 

トーチ:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2010年7月上旬〜中旬
録音時期:2013年
リリース:2014年3月12日 アルバム「RAY」 
収録時間:4:44
ライブ初披露:2015年7月31日 「BUMP OF CHICKEN Special Live 2015」
ライブ演奏回数:2回

 

ギターフレーズから作った実験的な曲

作詞作曲した藤原基央さんは「morning glow」のイントロのフレーズを最初に作り、構成を膨らませていきました。

 

藤原 – ギターの冒頭のリフから作ったっていうのは覚えているんですけど。

出典:MUSICA 2014年4月号

 

藤原さんの言うフレーズがこちらです。セブンスの音、得意のハンマリングとリズムトリックを組み合わせたフレージングです。

 

 

推敲に推敲を重ねる作詞とは対照的に、音楽(メロディ・コード)やフレーズは藤原さんのギタリストとしての趣味趣向が反映されることが多いです。「ダンデライオン」「スノースマイル」「花の名」「同じドアをくぐれたら」もギターのフレーズから生まれています。

 

 

さらに実験的アプローチをした曲と明かしています。具体的には言及されていませんが、変拍子 (厳密には変拍子に聞こえさせる譜割り) 、Bメロのオンコードの連続(DonF#→ConG→DonA→GonB…)、半音下げGキーにおけるG#コードの使用などが挙げられます。

 

「morning glow」の意味

morning glow  [mˈɔːnɪŋ glˈəʊ]
朝焼け

morning glow(モーニンググロウ)は英語で「朝焼け」を意味します。これまでも夜と朝の境界線は藤原さんの書く歌詞には多く登場しています。後述の通り、「モーニング・グロウ (Morning glow) 」という楽曲がインディーズ時代の未発表曲として存在します。

 

続けてきたことを辞める友人を思い浮かべていた曲

藤原基央さんは「morning glow」を書きながら “ずっと続けてきた大事なことをやめなければいけなくなった友人”のことを思い浮かべました。



morning glow  1:34〜
いくつのさよならと出会っても 初めましてとは別れないよ
あなたが変えようとしたあなたを きっと覚えているから

引用元:morning glow / 藤原基央 (2014年)

 

「さよなら」と「初めまして」、「出会い」と「別れ」、対照的な言葉を羅列させているサビの歌詞について、藤原さんはポジティブな意味を込めています。

 

藤原 – 出会った事実と別れるわけではないという意味でこのフレーズはあって。未来を想起させるようなものでもありはするんですけど

出典:MUSICA 2014年4月号

 

藤原さんは決して友人に向けたメッセージだったり、決め打ちした価値観を提示するつもりはなかったといい、心の内側から自然発生的に出てきた言葉をふるいにかけて紡いだ歌詞になりました。

 

「RAY」全曲解説「MUSICA」2014年4月号

 

レコーディングまで3年かかった楽曲

「morning glow」は『RAY』(2014年3月) に収録されていますが、ひとつ前のアルバム『COSMONAUT』(2010年12月) までに作曲されています。

 

藤原さんにる作曲は2010年7月でしたが、バンドとして納得のいくアンサンブルを表現できず、制作休止することにします。

 

6th Album「COSMONAUT」(2010年12月)

 

増川 – 前に一度録ったけど1年後くらいに録り直した曲もあったし。それは「morning glow」なんですけど。

升 – (中略) 例えば「morning glow」は年表を見ると2010年7月には曲があったんですけど、当時は自分の納得いくテイクが録れなくて。ああでもない、こうでもないって何回もプリプロを重ねて、去年ようやく録れたんですね。

出典:音楽ナタリー

 

同様のことを升さんはドラム専門誌でも語っています。

 

升 – 前のアルバム(※『COSMONAUT』)の制作時点であった曲なんですけど、表現したいことに自分が追いついていなかったので録れなかったんです。

出典:Rhythm & Drum Magazine 2014年4月号

 

『COSMONAUT』期の「morning glow」では、藤原さんの大きなアイデアを4人が解釈し、個別に考えたフレーズを合わせるという制作形態でした。『RAY』期の「morning glow」では、ドラムとベースのフレーズを2人で一緒に構築し、一体感のあるサウンドをつくることを意識しています。

 

「morning glow」はレコーディングまで3年間を要したことにより、デモ段階より全体的な音数を見直してエッセンシャルなパートのみが採用されています。特にAメロ、Bメロのギターはコード弾きではなく分散和音で構成し、無駄のない洗練され、有機的に絡み合うサウンドとなりました。

 

ドラムとベースの一体化を強く意識した曲

「morning glow」のアレンジは藤原さんが打ち込みで作ったデモテープの雰囲気をもとに制作されました。

 

升 – ベースとドラムとがリズムセクションとして、しっかりどういう音をどう鳴らすのかっていうのを一緒になってひとつ答えを出そうってなった曲ですね。

出典:MUSICA 2014年4月号

 

この曲のレコーディングに臨むために、升さんはドラムの講師にアドバイスをもらったり、直井さんはボイストレーニングのコーチにデモを聴かせて感想を聞いたり、外部の客観的なアドバイスを求めてグルーヴを高めて行きました。

ドラム:升秀夫の意識

プレイに繊細なこだわりを持つドラムの升秀夫さんは、パターン構成やフレーズ、あるいは精神的な部分まで見つめ直しました。

 

升 – ドラムで後ろに引っ張ってしまっているような感じがすると気づいて、もっと”牽引していくドラム”の感じを出そうとしました。

出典:Rhythm & Drum Magazine 2014年4月号

 

こういう話を知って曲を聴くと、ドラムの音に込められた升さんの意識を感じて聴くことが

できますね。

ベース:チャマの意識

 

ベーシストの直井由文さんは「morning glow」のレコーディングでは新機材を使用しています。黒色のSonic製TJB-373Cのベース(通称7号機) で、2013年5月に完成したカスタムモデルです。3年レコーディングを休止したことで巡り逢えたベースサウンドだといえます。



直井さんは同曲のプレイについて色気が足りないと分析し、「色気」を意識したのプレイをしました。イントロのグリッサンド技法が使われていますが、「サザンクロス」の間奏のような機械的なものではなく、0.1秒以下の”タメ”や”揺らぎ”を意識したプレイを意識したと明かしています。ちなみに藤原さんは『RAY』における最も好きなベース・プレイとして「morning glow」を挙げています。

 

アマチュア時代の「モーニング・グロウ」

「RAY」収録曲が発表された当時、「morning glow」はBUMP OF CHICKENファンにとって憶測を呼ぶタイトルとなりました。インディーズで活躍する前、アマチュア時代の1996年〜1997年にかけて演奏していた曲のひとつに「モーニング・グロウ」があったからです。

 

「BUMP OF CHICKEN ヒストリーブック」

この曲は「BUMP OF CHICKEN ヒストリーブック」の中で当時の英語詞曲として存在が明かされています。

 

直井  – 「18 years story」っていう英語の曲やってたよね
藤原  – あと「ワースト・ライフ」(笑)
直井  -「トランス・ライフ」ってのもあった(笑)」
藤原  –「モーニング・グロウ」ってのもあったし「サンシャイン」ってのもあった
直井  -「ほんと英語ばっか(笑)」

出典:BUMP OF CHICKEN ヒストリーブック

 

かつて英語詞だった「グロリアスレボリューション」を日本語で『THE LIVING DEAD』に収録したことがあり、「モーニンググロウ」も同様の扱いではないかとリリース前に憶測されました。しかし「RAY」発売時のインタビューでは英語詞曲との関係性などについては全く触れられていません。

 

「morning glow」ライブ演奏記録

2015年8月4日「BUMP OF CHICKEN Special Live 2015」横浜アリーナ公演の遠景  画像引用:音楽ナタリー

演奏回数 2回
演奏頻度 ★☆☆☆
初披露 2015年07月30日「BUMP OF CHICKEN Special Live 2015」インテックス大阪
最終演奏 2015年08月04日「BUMP OF CHICKEN Special Live 2015」横浜アリーナ
演奏ツアー 2015年「BUMP OF CHICKEN Special Live 2015」*全公演演奏
演奏機材


藤原基央 – Les Paul Special TV Yellow
増川弘明 – Gibson Les Paul Standard 1959 Historic Collection
直井由文 – Fender Jazz Bass 

「morning glow」はライブで2回だけ演奏されています。2015年の「BUMP OF CHICKEN Special Live 2015」の大阪公演、横浜公演で、「モーニンググロウ」=「朝焼け」を想起させる黄色味がかったライトアップが印象的な演出になっています。

 

「morning glow」ライブ映像

 

アルバム 「Butterflies」(2016年2月発売)

「morning glow」はのライブ演奏は2回だけですが、『Butterflies』の初回限定盤特典として収録されています。「BUMP OF CHICKEN Special Live 2015」の8月4日横浜アリーナ公演が全曲収録されており、「太陽」「morning glow」「乗車権」など貴重な映像が沢山入った作品となっています。

 

 

以上、BUMP OF CHICKENの「morning glow」の歌詞の意味と楽曲構成について解説しました。この記事を読んで新たな発見があれば幸いです。