楽曲解説「サザンクロス」目印となる4つの恒星

「サザンクロス」はBUMP OF CHICKENの7枚目のアルバム「RAY」(2014年)に収録されている楽曲です。「サザンクロス」の意味は英語で「南十字星」を指します。

星空をイメージさせる透き通った音色のアルペジオが印象的なナンバーを紹介します。


「サザンクロス」基本情報

7thアルバム「RAY」(2014年3月)

作詞/作曲 藤原基央
作曲時期 2010年12月28日
リリース 2014年3月12日
収録作品 アルバム「RAY」
ライブ初披露 2014年4月05日「WILLPOLIS 2014」幕張メッセ公演

「サザンクロス」の意味

南十字星(みなみじゅうじせい)または英語での通称サザンクロス(Southern Cross)としても知られる。現在、天の南極には南極星に当たる目立った星がないため、大航海時代以来おもにみなみじゅうじ座が天の南極を測るために使われた

Wikipedia – みなみじゅうじ座

サザンクロスとは英語で南十字星を意味します。南十字星は大昔の航海術で方角を知る恒星として目印にされてきた星です。

それではなぜ藤原基央さんは「サザンクロス」というタイトルを付けたのでしょうか。

リクエストされた「FF零式」主題歌ではなく別の曲を書く藤原基央

2010年「COSMONAUT」のプロモーションポスター。この写真の少し後に「サザンクロス」は作曲された。  Embedded image from tower.jp

2010年12月、新作アルバム「COSMONAUT」のプロモーション活動の傍ら、藤原基央さんはスタッフから「FINAL FANTASY 零式」の主題歌を書き下ろすようにせがまれていました。

12月28日、「2010年のうちに1曲書いておきたい」という気持ちの中で曲が完成します。しかしそれは「FF零式」主題歌の書き下ろし曲ではなく、ナチュラルな形で生まれた楽曲、「サザンクロス」でした。

直前に書いた「友達の唄」に通じる歌詞の意味

2010年 秋~冬 藤原、「三ツ星カルテット」を書く
秋〜冬 藤原、「友達の唄」を書く
12/15  6th Album「COSMONAUT」リリース
12/28 藤原、「サザンクロス」を書く
2011年    1/20頃 藤原、「ゼロ」を書く

書かなければならない曲(=主題歌)があるにも関わらず「サザンクロス」を書いた藤原さん。「三ツ星カルテット」や「友達の唄」では書ききれなかった想いが、心の内側から湧き出てきているようです。

藤原 – もうね、これは12月28日の俺に訊かなきゃわからないことですね。でもすっと出てきたよ。“友達の唄”とかに近いですよね。(中略)まぁ不安だったり、でも勇気を出そうとしていたり、そういう感じなんでしょうね。

musica vol.84

「友達の唄」と歌詞の内容を聴き比べて見るのも面白いですね。

北極星でなく南十字星を選んだ理由

南十字星は基本的に南半球でしか観測できず、北半球には北極星という同じ役割を果たす恒星があります。

なぜ「北極星」ではなく「サザンクロス」をタイトルにしたのか、それは北極星が一つの恒星に対して、南十字星(みなみじゅうじ座)は4つの恒星から成り立っているからです。

「4つの星」はBUMP OF CHICKENのエンブレムでも使われている藤原さんにとって大事なモチーフです。

関連記事:メンバーvol.3 BUMP OF CHICKENのロゴの秘密

さらに「サザンクロス」のすぐ前には「三ツ星カルテット」を書いています。自分を星になぞらえて他の3人を三ツ星に喩えたタイトルです。

関連記事:三ツ星カルテット vol.1メンバーへ向けた唄

この様に「目印になる星」であり「4つの恒星」というモチーフを使うべく、北極星でなく、南十字星をタイトルにつけたと考えると納得がいきます。



「COSMONAUT」から「RAY」への過渡期のサウンド

Embedded image from Twitter@boc_chama

「サザンクロス」はバンド内のブームがCOSMONAUT期から新しい趣向に変わっていくまさに過度期の作品です。

直井 – 「サザンクロス」は、その流れ(2拍目と4拍目を鳴らす)と『COSMONAUT』がミックスした曲なのかな。たぶん一番如実に出ているのは、2番のAメロ。

直井さんは”ベースとギターが会話するイメージ”を持ってAメロのベースラインを付けました。これはセントエルモの火」のアプローチをさらに深化させたものだといいます。

BUMP OF CHICKENのバンド内にはある程度の流行があります。トリッキーなリズム手法を用いたCOSMONAUT期に対し、別の趣向が生まれていました。

直井 – 今はどちらかというと、“もっとしっかりニーヨン (2拍目と4拍目) が鳴っても良くない?”って思っていて。(中略) バンドの中での流行りみたいなものですよね。

藤原 -リズムで仕掛けを作って表現していってますね。だけど、2拍目、4拍目のアクセントで聴かせていこうっていう気持ちも少し出始めてる。流行が移り変わる狭間にいる楽曲っていうか。

musica vol.84

BUMP OF CHICKENのRAY期の特徴となる新たなリズム解釈が意識された始まりが「サザンクロス」です。

参考:2枚のアルバムのリズム特徴

COSMONAUT期 (2008-2010年) の特徴
モーターサイクル」や「透明飛行船」のようにキメ細かいリズムアレンジ、トリッキーなリズム(直井談)が特徴で、リズムというものに対してバンド全体で理解を深めた作品が多い。

RAY期 (2010-2014年) の特徴
基本に立ち返り「firefly」「サザンクロス」のように2拍目と4拍目にアクセントをつける”ニーヨン”や、「ラストワン」のようにトリッキーに半拍(16分の1泊)ずらす手法などリズムアプローチをさらに深化させている。

直井のベースのグリッサンドに合わせて生まれた間奏のチョーキング

Embedded image from Twitter@boc_chama

間奏とアウトロで鳴るギュイーンというギターの音は直井さんのベースのグリッサンドフレーズから着想を得ました。

藤原 – あそこはベースを聴いてから作ったフレーズだったんで、ベースありきだったよね。

Musica vol.84

直井 – 毎回同じタイミングでちゃんと上がらないと、リズムに置いてかれてしまう。だからすっごく難しいんですけど。

ハイフレットへ上がるとい手法は「morning glow」のイントロと同じですが「morning glow」は色気を意識したのに対し「サザンクロス」は無機質なグルーブを意識しました。

アルペジオのギターはジャガーを演奏

Aメロで流れる繊細なアルペジオの音色はフェンダー製ジャガーを使用してレコーディングしました。レコーディングで演奏しているのは藤原さんですが、ライブでは増川さんが緑のフェンダー製ジャガーを使用しています。



Fender Custom Jaguar 1962を持つ増川さん

一口坂スタジオで最後にレコーディングしたバンド楽曲

一口坂スタジオ Image embedded from Wikipedia (photo by Jaco Ten)

BUMP OF CHICKENは『jupiter』制作後半から一口坂スタジオをレコーディング場所として使用していました。メンバーのお気に入りの場所ととして『ユグドラシル』『orbital period』『COSMONAUT』の全ての音源がここで録音されました。

2012年の営業停止が決まり、BUMP OF CHICKENのバンド楽曲のレコーディングとしては「サザンクロス」が最後のレコーディングになりました。

本当の最後のレコーディング曲実は「サザンクロス」の後に全国ツアー「GOLD GLIDER TOUR」のオープニングSE用楽曲「GOLD」のレコーディングが行われている。

「サザンクロス」ライブ演奏記録

演奏回数 23回
演奏頻度 ★★☆☆☆
初披露 2014年4月5日「WILLPOLIS 2014」幕張メッセ
最終演奏 2021年11月14日「BUMP OF CHICKEN Studio Live Silver Jubilee」
演奏ツアー 2014年「WILLPOLIS 2014
2014年「BUMP OF CHICKEN Live at Studio Coast」
2014年「BUMP OF CHICKEN Live at Taiwan」
2021年「BUMP OF CHICKEN Studio Live Silver Jubilee

「サザンクロス」は2014年全国ツアー「WILLPOLIS 2014」全公演で演奏されています。2021年11月に開催された配信ライブ「BUMP OF CHICKEN Studio Live Silver Jubilee」で演奏されました。

ライブ使用機材

増川さんは緑色のジャズマスターを使用しています。バンプの場合、レコーディングでシングルコイルのギターで弾いていてもライブでは増川さんがハムバッカー(主にレスポール)で弾いているのがほとんどです。レコーディングで使用したものと同じ楽器をライブでも演奏するというはなかなか珍しいです。

「サザンクロス」ライブ映像

「サザンクロス」のLive映像は映像作品『BUMP OF CHICKEN WILLPOLIS 2014』に収録されています。

直井さんが紡ぎ出すリズミカルで動きの早いベースライン、増川さんのアルペジオ、升さんのトリッキーなドラム、それぞれが有機的に結びついてとてもかっこいいライブバージョンになっています。

以上、「サザンクロス」についての紹介でした。




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