5th Album『orbital period』歌詞・楽曲解説

楽曲解説:supernova vol.1 なくなった後に知る大切さ

5th Album『orbital period』

「supernova」はBUMP OF CHICKCENの11枚目のシングルCD『supernova / カルマ』として発表された楽曲です。

藤原基央さんがゴスペルを意識して書いた曲で、歌詞のないサビ「ラララ」の大合唱が定番となっているバラードです。今回は「supernova」の解釈・考察について紹介します。

11th maxi single「カルマ/supernova」(3ヶ月限定生産版)



「supernova」基本情報

supernova:基本情報作曲時期:2005年春〜夏
録音時期:2005年夏〜秋
録音場所:東京都一口坂スタジオ
リリース日:
2005年11月23日 「supernova/カルマ 」
2005年12月14日 「カルマ/supernova」
2007年12月19日 「orbital period」
2013年07月03日 「BUMP OF CHICKEN Ⅱ」

「カルマ」のカップリング曲として書く

BUMP OF CHICKENは「カルマ」のCDリリースが決定しており、藤原基央さんは「カルマ」のカップリングとして「supernova」を作曲します。

 

藤原 – ”カルマ”がシングルって確か決まっていて、そのカップリングの曲を書かなきゃ見たいな感じで書いたのがこの曲だったんです。だから”ロストマン”の時みたいに、そんなに一生懸命ああでもないくでもないとやったわけでなく、わりとサラっとできて。

 

 

藤原さんは「カップリング用」としてスタッフに依頼されて書いた曲が過去にもありました。「睡眠時間」「乗車権」「銀河鉄道」などがそれにあたります。(「乗車権」は完成後に曲調を考えてアルバム収録にされました。)

参考:藤原基央がカップリング用に書いた曲

カップリング曲シングル曲
「乗車権」オンリーロンリーグローリー
睡眠時間「オンリーロンリーグローリー」
「supernova」カルマ
銀河鉄道プラネタリウム
ほんとのほんとfirefly

 

「カルマ」の制作現場でメンバーへ初披露

「カルマ」のレコーディング終盤の日、藤原さんの喉の調子がよくなくボーカル録りを中止する日がありました。代わりに「supernova」のデモ音源をメンバーに聴かせます。

 

藤原 – 「カルマ」の歌入れのときに、まったく声出なくて、「駄目だ、今日歌えねえや」ってなって。でも、せっかくスタジオ取ってるし、時間もったいないし、「あぁ、もう一曲出来てるよ」って。「それのデモを今録っちゃおうよ」ってことでやったんです。

出典:excite music インタビュー 2005.11

 

カップリング用として書かれた「supernova」ですが、レコーディングを経て曲の持つ大きな意味に気付いたメンバーは両A面シングルとして発表することにします。


supernovaの意味 = 超新星爆発

supernovaとは「超新星爆発」を意味する英語の天文学用語です。超新星爆発とは、星の寿命が尽きる際に、大きなエネルギーを放出してしばらく発光し続けながら最期を遂げることを指します。

 

ただ地球から観測される超新星爆発の光は何万光年、何億光年と離れた位置のものであるため、実際に私たちが爆発の光を目にしている時には既に星は消滅しているのです。

 

カニ星雲の超新星爆発

 

藤原さんはこの「見えているものが既にない」「いなくなった後に気付くこと」に対して切なさや強い思い入れがあると語っています。

 

藤原 – この”supernova”の感覚は、もうちっちゃい頃からあるんです、ほんとに。なくなった時に絶対大事だって思うんだから、そういうものに気付いていきたいんだっていう切ない気持が、ほんとにちっちゃい頃からあります。

 

消えたあとに知る大切さを、今知る

「supernova」の歌詞では、消えたあと、変わったあとに気付く超新星爆発の概念を説明的に歌っています。

 

君を忘れた後で 思い出すんだ 君との歴史を持っていた事
君を失くした後で 見つけ出すんだ 君との出会いがあった事

引用元:「supernova」詞:藤原基央 

 

そして藤原さんが言いたいことは次の歌詞に集約されています。

 

君の存在だって いつでも思い出せるけど
本当に欲しいのは 思い出じゃない今なんだ

引用元:「supernova」詞:藤原基央 

 

藤原さんは、「なくしたあとに後悔しないために」という予防策ではなく、「なくした後に感じる大切さを、なくす前に気付いてあげよう」と歌っています。この哲学的発想は「supernova」以降のBUMP OF CHICKEN楽曲の歌詞にたくさん現れています。

PV 六本木ヒルズでシークレット撮影

2005年10月14日、六本木ヒルズけやき坂広場でゲリラ撮影するBUMP OF CHICKEN Embedded image from excite,jp

「supernova」のMVは六本木ヒルズ・けやき坂広場ステージで撮影されました。2005年7月に公式ホームページでエキストラ募集を行い、直前まで場所が教えられない厳密な大勢で撮影されました。

韓国俳優と間違えられる…

リハーサル中、けやき坂からステージに入るところで通りがけのおばさん集団に「あの人、俳優じゃない!?ほら韓国の…」と当時韓流ブームだった韓国人俳優と勘違いされました。

 

ライブ演奏記録

supernova ライブ2019年10月26日 aurora ark ZEPP SAPPORO公演で「supernova」を演奏する4人。image embbeded from Twitter@boc_chama

演奏回数139回
演奏頻度★★★★★
ライブ初披露2006年1月13日 「run rabbit run」ZEPP SAPPORO公演
最終演奏2019年11月04日「aurora ark」東京ドーム公演 
演奏ツアー2006年「run rabbit run
2008年「ホームシック衛星
2008年「ホームシップ衛星
2011年「GOOD GLIDER TOUR
2012年「GOLD GLIDER TOUR
2013年「WILLPOLIS
2019年「aurora ark
使用機材


藤原基央 – Gibson J-45 (2012年), 
増川弘明 – Gibson Historic Collection ’59 
直井由文 – Sonic Jazz Bass Model (初号機)

意図的にステージ終盤で演奏している

BUMP OF CHICKENのメンバーは「supernova」のライブの重要性を考え、必ずセットリスト終盤で演奏しています。

 

藤原 – ライブでは割と終盤の肝になってくる曲ですね。

 

即興の歌詞変え

ライブが終わるかも知れない、家に帰って明日になれば「もっと楽しめばよかったな」とか「もっと声を出せばよかったな」とか思ってしまう人もいるかもしれません。そんな人に向けて、藤原さんは最近のライブでは次の歌詞を付けたします。

 

君の存在だって いつでも思い出せるけど
本当に欲しいのは 思い出じゃない今なんだ
今日なんだ

出典:「supernova」詞:藤原基央 

 

この瞬間が大切だということに今気付こう、というこの歌のメッセージはライブ終盤に演奏することで説得力が増し、さらに会場全体で「ラララ」を歌うことで濃密に共有されます。

 

もともと「カップリング用」として書いた「supernova」でしたが、こんなにも大きな意味を持つ曲を書いてしまうなんて、藤原さんの作詞の才能にただただ驚かされるばかりです。

 

もしライブでsupernovaの合唱に参加する際に、今回の記事のことを少しでも思い出せばまた違った聴き方が出てくるかもしれませんね。以上、supernovaの紹介でした。



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