楽曲解説:supernova vol.1 – なくなった後に知る大切さ –

11th Single 「supernova/カルマ」
2005年11月27日発売
作詞:作曲 藤原基央
作曲時期:2005年
レコーディング時期:2005年夏〜秋

supernovaは2005年に両A面シングル「supernova / カルマ」として発表されたBUMP OF CHICKEN屈指のバラードソングです。力強さを感じさせる大陸的なリズムと藤原基央さんの優しい歌い出しから始まり、終盤に連れてゴスペル調のコーラスが入りダイナミックになっていきます。またこの曲はサビの歌詞がなく「ラララ」で歌われ、ライブでのファンとの大合唱が定番の曲となっています。




「カルマ」のカップリング曲として書く

11th Single「カルマ/supernova」(3ヶ月限定生産版)トイズファクトリー

supernovaは何かテーマを持って書いたわけではなく、PS2ソフト「テイルズオブジアビス」の主題歌として11月の発売が決まっていた「カルマ」のカップリングとして書かれた曲でした。

”カルマ”がシングルって確か決まっていて、そのカップリングの曲を書かなきゃ見たいな感じで書いたのがこの曲だったんです。だから”ロストマン”の時みたいに、そんなに一生懸命ああでもないくでもないとやったわけでなく、わりとサラっとできて。- 藤原 –

藤原さんは「カップリング用」としてスタッフに発注されて曲を書くことがこれまでにもありました。睡眠時間、乗車権、銀河鉄道などがそれにあたります。(乗車権は完成後に曲調を考えてアルバム収録にされました。)

参考:藤原基央がカップリング用に書いた曲
睡眠時間(2004年) 「オンリーロンリーグローリー」のカップリングとして
乗車権(2004年)  「オンリーロンリーグローリー」のカップリングとして
銀河鉄道(2005年) 「プラネタリウム」のカップリングとして

「カルマ」の制作現場でメンバーへ初披露

カルマのレコーディング終盤、藤原さんのボーカル録りをしていたものの喉の調子がよくなく、その日の歌録りを中止する日がありました。supernovaはその際に、藤原さんからメンバーへデモ音源を渡されました。

升 – デモテープを作ってるレコーディングスタジオですね。そこで俺たち藤原の歌入れを見てたんですよ。

藤原 – あっ、思い出した。「カルマ」の歌入れのときに、まったく声出なくて、「駄目だ、今日歌えねえや」ってなって。でも、せっかくスタジオ取ってるし、時間もったいないし、「あぁ、もう一曲 (supernova) 出来てるよ」って。「それのデモを今録っちゃおうよ」ってことでやったんです。

excite music インタビュー 2005.11

カップリング用として書かれたsupernovaですが、レコーディングを経て曲の持つ大きな意味に気付いたメンバーは両A面シングルとして発表することにしました。

supernova = 超新星爆発

supernovaとは超新星爆発のことを意味します。宇宙にある星の寿命が尽きる際に、大きなエネルギーを放出してしばらく発光し続けながら最期を遂げることが超新星爆発です。ただ地球から観測される超新星爆発の光は何万光年、何億光年と離れた位置のものであるため、実際に私たちが爆発の光を目にしている時には既に星は消滅しているのです。

カニ星雲の超新星爆発 フリー素材より<http://www.h6.dion.ne.jp/~thousand/sub6.html>

藤原さんはこの「見えているものが既にない」「いなくなった後に気付くこと」に対して切なさや強い思い入れがあると語っています。

この”supernova”の感覚は、もうちっちゃい頃からあるんです、ほんとに。なくなった時に絶対大事だって思うんだから、そういうものに気付いていきたいんだっていう切ない気持が、ほんとにちっちゃい頃からあります。- 藤原 –




消えたあとに知る大切さを、今知る

supernovaの歌詞では消えたあと、変わったあとに気付くsupernovaの概念を説明的に歌っています。

熱が出たりすると 気付くんだ 僕には体があるってこと
鼻が詰まったりすると 解るんだ 今まで呼吸をしていたこと

君を忘れた後で 思い出すんだ 君との歴史を持っていた事
君を失くした後で 見つけ出すんだ 君との出会いがあった事

-supernova / 藤原基央 –

そして藤原さんが言いたいことは次の歌詞に集約されています。

君の存在だって いつでも思い出せるけど
本当に欲しいのは 思い出じゃない今なんだ

– supernova / 藤原基央 –

藤原さんは、「なくしたあとに後悔しないために」という予防策ではなく、「なくした後に感じる大切さを、なくす前に気付いてあげよう」と歌っています。

ライブで歌うことについて

supernovaは2006年の初披露以降、主にライブの終盤で演奏されてきました。これは本人たちも自覚してセットリストの位置を決めているようです。

ライブでは割と終盤の肝になってくる曲ですね。 – 藤原 –

ライブが終わるかも知れない、家に帰って明日になれば「もっと楽しめばよかったな」とか「もっと声を出せばよかったな」とか思ってしまう人もいるかもしれません。そんな人に向けて、藤原さんは最近のライブでは次の歌詞を付けたします。

君の存在だって いつでも思い出せるけど
本当に欲しいのは 思い出じゃない今なんだ + 今日なんだ

この瞬間が大切だということに今気付こう、というこの歌のメッセージはライブ終盤に演奏することで説得力が増し、さらに会場全体で「ラララ」を歌うことで濃密に共有されます。

もともと「カップリング用」として書いたsupernovaでしたが、こんなにも大きな意味を持つ曲を書いてしまうなんて、藤原さんの作詞の才能にただただ驚かされるばかりです。もしライブでsupernovaの合唱に参加する際に、今回の記事のことを少しでも思い出せばまた違った聴き方(歌い方)が出てくるかもしれませんね。