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BUMP OF CHICKEN 歴代隠しトラック一覧&全曲解説【CD編】

コラム

BUMP OF CHCKENの隠しトラック(隠し曲)とは、CDケースに曲名がクレジットされていない収録曲のことで全47曲存在します(2025年現在)。

メンバー本人は「シークレット・トラック」と呼んでおり、寸劇から合唱、崇高なギャグといった笑わせる歌詞が特徴です。バンドサウンドからアコースティック、打ち込み、EDMまで作り込みの幅も広いです。

この記事ではBUMP OF CHICKENの歴代隠し曲を一覧化し、全曲解説します。




歴代隠し曲(トラック)一覧

収録作品 タイトル

「BUMP OF CHICKEN」
「邦題18歳」/「BUMP OF CHICKEN」(1998年)
BUMP OF CHICKEN初となる自主制作CDに収録されている最古の隠しトラック。藤原のアコースティックギターとメンバー全員の合唱でカノンコードに近いコード進行が使われている。「ポイサ」という掛け声は当時メンバー内で流行っていた言葉で「リトルブレイバー」のカウント(ツーの裏)でも使っている。歌の裏で行われる寸劇に当時のバンドの状況や影響を感じさせる一幕がある。例えば途中でラジオDJのような語り口の藤原が現れるが、同時期にラジオパーソナリティを務める予定であったことから予行演習をしていたのではないかと考えられる。途中で「君が好きだ!」と藤原や増川が演劇口調の寸劇が始まるが、同年6月に劇団すいっち「はしるおんな」の稽古に連日参加し朝から晩まで劇団員と時間を過ごしたことを印象に残っていると後年のラジオで明かし、その影響を感じさせる。タイトルの「邦題18歳」は英語詞曲「18 years story」の存在があったためと考えられる(もともと同曲収録も可能性があった可能性すら感じさせる)。

「FLAME VEIN」
「ドッキング」/「FLAME VEIN」(1999年)
約1分間の短い曲でバンドサウンドで録音されている。歌詞は「おっぱいがドッキング」というド下ネタを歌っている。他に「Danny」「My Best Friends」が隠し曲として収録されているにも関わらず、カオス感あるショートソングを入れ込むあたり、初のアルバムに対する熱い思い入れ(?)を感じ取ることができる。
「DANNY」/「FLAME VEIN」(1999年)
言わずもがなBUMP OF CHICKENの名曲のひとつ。藤原基央がひとりで作詞作曲をした最初の楽曲であり、4人体制になり初めて音楽コンテストに出場し、関東大会まで進んだ記念すべき楽曲である。デモテープ時代と同じくイントロ前に「ダニー!ダニー!」「ワンワンワン!」など賑やかしが入っている。
MY BEST FRIENDS
「グッドマナーズ」という架空のバンドが歌っている設定の曲。「ドッキング」と異なり、わりと長い曲(歌詞)の中でしっかりふざけている曲。CDケースを外すと若かりし19歳のメンバーが佇んでいるが、藤原と増川がワイシャツにネクタイを締め、直井は裸でアコースティックギターを握り、升は小人になっているカオスな雰囲気が醸しでている。

LAMP
「さよならナイ」/「LAMP」(1999年)
1曲目を巻き戻すと再生される隠し曲。「激しぶBOYS」という架空のグループが歌っている設定。この寸劇設定は「JOY」「ラッキー落花生」「はてなっちクエスチョンズ」などに引き継がれることになる。メンバーはもったい(升)ドッジ(直井)ポッケ(増川)吉岡(藤原)の4人。バンドセッションの上に「さよならナイ」「ジパングジパング」の2つの言葉を連呼しているだけでの楽曲だが中毒性がある。この曲の一部が「THE LIVING DEAD」の隠し曲(アルバムと同名)にサンプリングされている。
「さよならナイ」(Instrumental)
上記のインストゥルメンタル。

「THE LIVING DEAD」
「THE LIVING DEAD」/「THE LIVING DEAD」(2000年)
アルバムタイトルと同名の隠しトラック。バンド演奏の上に藤原、直井、升の3人が増川をひたすらいじるやりとりが続く。演奏は展開とコード進行だけを決めたのジャムセッションのような形でインストゥルメンタルとして成立しており、同アルバム収録曲のほとんどがオケを先に作ってから歌詞やメロディをつけた流れを汲んでいると思われる。微かな情報が残る先着配布デモテープのジャムセッションを彷彿とさせる。(批判ではなく)藤原と増川のギターの演奏スキルの差は当時歴然で、R側のギターは増川、L側のギターが藤原の演奏であることがわかる。
ダイヤモンド
「オゴマメ」/「ダイヤモンド」(2000年)
謎の呪文が終始歌われている。実態はナニヲクリポリ、マスカキーン、シコリアーンヌなどお察しの通り下ネタである。裏で弾かれている1本のエレキギターは藤原と思われる。

天体観測
「H・I・R・O・W・A・K・I」/「天体観測」(2001年)
大ヒットシングル「天体観測」に入っている隠し曲。メンバーの増川弘明(ヒロアキ)とマネージャーの髙橋浩章(ヒロアキ)の二人のヒロアキについて歌った曲。エレキギター2本、ベース、ドラムという4人編成でしっかり演奏されている。ギターはL側を増川、R側を藤原が弾いている。アウトロで流れるギター(R側)で藤原が珍しく速弾きをしている。

ハルジオン
「LOVE」/「ハルジオン」(2002年)
Radioheadを彷彿させるエッジの聴いた演奏の上にメンバーの裏声の歌が乗る。インディーズから続くジャムセッション録音を基盤にした制作で、バンド演奏を録ってからメロディや歌を乗せていると思われる。コード進行も破滅的で藤原のように音楽理論に精通していると逆に作れない代物である。演奏は3拍子でBUMP OF CHICKENの楽曲としては2曲目(「バイバイサンキュー」の次)である。3曲目の3拍子曲である「同じドアをくぐれたら」ライブバージョン後半のロングセッションで直井が弾くベースラインを彷彿とさせるフレージングが「LOVE」ですでに弾かれており、3拍子曲の演奏の流れを汲み取ることができる。

「jupiter」
IN MY HEART/「jupiter」(2002年)
謎のバンド「JOY」のライブ中という設定で歌われる。終始裏声で歌われているがトラックはちゃんとバンドサウンドで録音されておりギターソロも入っている。途中でテンポアップし、転調して音階がどんどん上がっていくなどカオスな形で終えていく。
「IN MY NIKKE」「jupiter」(2002年)
「IN MY HEART」の次の曲という設定で演奏される。俺とヒロの関係が歌われている。「IN MY HEART」と異なり裏声ではなく聴きやすい声で歌われている。こちらもバンドサウンドで録られており、ギターソロも入っている。途中で観客とのコール&レスポンスの様子が入っておりライブ感の演出を出している。ちなみにこのJOYというバンドは「シャドー」も歌っている。

スノースマイル
「Tinpost*Uncle on」/「スノースマイル」(2002年)
ジャムセッションを中心としたサウンドの楽曲。最後の方はがっつり「チンp(略)」と言っている。当時のマネージャー日記(髙橋ダイアリー)には”集まったメンバーからジャムセッションがはじまる”と紹介されている記事があり、同曲もそんな中から生まれたのではないかと彷彿とさせる。ジミヘンドリクスのコードと呼ばれるEm7[x7678x]を弾いているが、このコードは藤原が現在のリハでも弾いていることから主に藤原が構成を考えたのではないかと考えられる。カッティング技術など演奏レベルの違いからL側のギターを増川、R側のギターを藤原が弾いていると思われる。ジャムセッション曲「LOVE」に比べて展開と構成がカチっと決められており、かつ増川のギターのボリュームを大きくしメインテーマとなるリフを弾いていることから、バンド全体でがっつり練習したこと(即興で録ったわけではない)を感じさせる。通常のレコーディングと異なり増川の方がボリュームが大きくなっているのはリードギターとしての自覚を持たせようとしていたのではないかと個人的には思っている。途中でメンバーがそれぞれ目立つパートがあるが、増川が音階を無視したリフを弾いているのが意図的なのか天然なのかは不明。増川のギターに重ねる藤原のハモリパートや細かいカッティングはギタリストとしてのセンスを感じさせる。

ロストマン/sailing day
「おもち」/「ロストマン/sailing day」(2003年)
藤原が演奏するギターの上にメンバーが歌う楽曲。ピッキングニュアンスから藤原がアコースティックギター、エレキギターの全てを演奏している。マイナー調をトニックとしたコード進行が後半の増川の呪文パートでメジャーコード進行に変化する展開を作っており、のちの「シャドー」と共通する部分を感じさせる。

アルエ
「喝采〜花になれ〜」/「アルエ」(2004年)
和を感じさせるアコースティックギター主体の楽曲。歌の部分ではギターが2本弾かれているが、ピッキングニュアンス的にL側のアコースティックギターを増川が弾いている可能性がある(R側とイントロのテーマリフは藤原)。LR両方とも藤原の可能性もあるが、仮に増川が弾いている場合は作曲者である可能性を示唆している。

オンリーロンリーグローリー
「シャドー」/「オンリーロンリーグローリー」(2004年)
JOYのラストシングル。巷で増川作曲説が流れているが、ギターコードの観点から論じると藤原と思われる。ピッキングニュアンスから藤原がアコースティックギターを弾いている。この曲はAmキーとしつつ、イントロではAmの特殊なオンコードを使用しており完全に「乗車権」の作曲との関連性がある。さらに打ち込みで入っているドドサッドドサッというスクラッチリズムの音源(音色)は「乗車権」の間奏でも別リズムで入っており、「乗車権」セッションの続きで制作されたと思われる。鉄琴の音など「オンリーロンリーグローリー」のセッションを彷彿とさせ「ユグドラシル」期ならではの作り込みのある隠し曲である。

「ユグドラシル」
「O-TO-GA-ME はーと」/「ユグドラシル」(2004年)
かつて「さよならナイ」を歌った「激しぶBOYS」が音楽番組(Mステ?)に出演し、スタジオライブを行うという体裁で進む。番組MC役の直井、ナレーター役の藤原、激しぶBOYSのリーダー・もったい(升)による寸劇が入る。曲自体は打ち込み主体で隠しトラックのみならずBUMP OF CHICKENとしてもひとつのターニングポイントと言える。打ち込みだがシンセベースやオケヒットなど細かい作りになっており、普段曲作りで藤原が作る打ち込みのシーケンサーでデモはこんな感じなのかもしれない。BメロではPPPH(当時オタクカルチャーで流れる楽曲の定番リズム、パンッパパン、ヒュー!)が入っておりネタの細かさを感じさせる。この打ち込みサウンドは音色も含めて「いか」に繋がる。

車輪の唄
「星のアルペジオ」/「夢の飼い主」(2004年)
クリスマス当日の夜に相手が来ない男のひとり寂しい様子を歌う曲。途中で名優・増川による寸劇が入り、この一人芝居が名曲たらしめていると言っても過言ではない。アコースティックギターの演奏は藤原。「ユグドラシル」収録曲は転調するのは「乗車権」「シャドー」「星のアルペジオ」の3曲のみで「乗車権」は特殊な構成のため転調といえるか議論が分かれるが「シャドー」「星のアルペジオ」は純粋な転調曲。

プラネタリウム
「いか」/「プラネタリウム」(2005年)
イカについて歌った曲。イカを美女に見立てて歌われるギャグセンスが高い歌詞が特徴。「O-TO-GA-ME-はーと」の打ち込みサウンドの流れを組む。髙橋ダイアリーにはいかについてMacで調べる升秀夫の姿がアップされた。曲中に「イカッ!イカッ!」とコールが入る。終盤に入るにつれてこのコールが入る感覚が狭くなるという中毒性イカッ!イカッ!を感じさせるアレンジが仕込まれており、テレビ番組のイカッ!イカッ!いか特集のBGイカッ!イカッ!Mとして流れイカッ!イカッ!…

supernova/カルマ」
「わっしょい」/「supernova/カルマ」(2005年)
和太鼓や和笛など民謡を彷彿とさせる隠し曲。歌詞の中身は祭りの日を歌っているが中身は「ブリーフ脱ぎな、あの娘に見せろよオケツ」「最初の脇毛、恥ずかしがるな」と相変わらずのバンプ節である。最初はアコースティックギターとパーカッションのみだが、途中からドラム、ベース、エレキギターの演奏が始まったりと相変わらず細かい作り込みをしている。

カルマ/supernova」
「どすこい」/「カルマ/supernova」(2005年)
学校で習う童謡のような曲調でふんどしについて歌った曲。同時にリリースされた「わっしょい」との歌詞の関連性を感じさせる。メンバー4人のソロパートで藤原だけレベルの違いを見せつける。リバーブの効いたアコースティックギター1本で演奏されるシンプルな曲。・・・で終わりかと思いきやクライマックスに謎の呪文が始まり、しかもL側からR側に位相していきまるで自分の横を通り過ぎていくような錯覚を覚えさえる芸の細かさが仕込まれている。

涙のふるさと
「おるすばん」/「涙のふるさと」(2006年)
隠しトラックとしては珍しく藤原がメインボーカルを升と務める曲。サビのシャウトも遜色なく本意気で歌い「藤原の無駄遣い」のタグがニコニコ動画で流行る。升の独特の声とのツインボーカルが面白さを際立たせる。サウンドはエレキギター1本を主体としつつ、サビではフロアタムやリバーブの効いたスネア、シンセサイザーのウワモノが入り壮大な感じをさせるアレンジが仕込まれている。後半でAh〜Ahと増川の高音コーラスが入る。ちなみにサビで「Everybody, everybody has a dream」と英語詞が入る珍しい曲でもある。

「花の名」
「柿」/「花の名」(2007年)
柿について歌った曲。インタビューなどでドラム・升秀夫が作曲したと明かされている曲の1つ。隠し曲が枯渇したためメンバー4人で30分で作曲することに。藤原作曲の「かさぶたぶたぶ」は「orbital period」アルバム曲に格上げされ、直井作曲の「スターダストダンスホール」は「メーデー」収録された。升は「おてんばタヅコ」という狂気の作品を描くもボツになり、2曲目に「柿」を書いた。増川は「ござる ござるよ」は未完のまま終わる。

メーデー
「スターダストダンスホール」/「メーデー」(2007年)
直井作曲の隠し曲。レゲエ特有のベースリズムと裏打ちのギターでレゲエ感満載の楽曲になっている。直井がソロでリードボーカルを取り、後半でメンバー3人とのコール&レスポンスが行われる。最後にはグダって終わり、藤原からまさかのツッコミが入り終了する。

「orbital period」
「BELIEVE」/「orbital period」(2007年)
レッサー(升)、チョキオ(増川)、はてなっち(藤原)、アンディーヌ(直井)の4人による寸劇風の隠しトラック。バンドを組み始めたばかりのようでバンド初のオリジナル曲を作ろうとする話。レッサー(升)の家に集まった4人がちょきお(増川)が持ってきた元ネタ「BELIEVE」の曲を広げていく。はてなっち(藤原)のセリフ「レッサーのことレッサーって言うな!」は、後年ライブ会場で観客に升をレッサー呼びされた際に藤原自身が言い返したことがある。トラックはMV集のDVD「orbital period」で映像化されている。ここから数年に亘り、この4人(セブンクエスチョンズ)の寸劇が続くことになる・・・。

「present from you」
「BELIEVE デモテープ編」/「present from you」(2008年)
セブンクエスチョンズが登場。前回作った「BELIEVE」のデモテープ作りの話。作られたデモテープは8bitサウンドの打ち込みを主体としている。ボーカルを務めたいレッサー(升)と暗にレッサーをボーカルから外そうとする3人の寸劇。楽器決めも行われ、はてなっち(藤原)がベース、ちょきお(増川)がドラム、アンディーヌ(直井)がギターボーカルを務めることになり、ギターを辞退したレッサー(升)はきまづい雰囲気のままツインボーカルを維持しようとする。

R.I.P./Merry Christmas
「new world サミット」/「R.I.P./Merry Christmas」(2009年)
壮大な歌詞とサウンドが特徴的ながっつり作りこみ系の隠し曲。タイトル通り世界各地域に因んだ哲学を歌っている。アコースティックギターを主体にパーカッション(カホン)、シンセサイザー(ホーン、ホーンベースなど)も入り壮大なテーマ音楽となっており、「藤原の無駄遣い」を聴くことができる曲の1つ。2008年から2010年にかけてC♭キーの曲(「魔法の料理〜君から君へ〜」「モーターサイクル」「透明飛行線」など多数)が極端に増加するが、「new world サミット」もC♭キー書かれている。本編曲(非隠し曲?)さながら複雑なコードが使用されており、作りこみされているサウンドが魅力。作曲は藤原の可能性が高い(作詞は不明)

HAPPY
「ラブ・トライアングル 僕と君と委員長 ver.」/「HAPPY」(2010年)
三角関係の恋愛を描いた物語形式の曲。打ち込み系のサウンドが主体。コード進行もシンプルかつリズムも単一的で、藤原以外の誰かが作曲したのではないかと思われる。

魔法の料理〜君から君へ〜
「三人のおじさん」/「魔法の料理〜君から君へ〜」(2010年)
タイトル通り三人のおじさん(賢いおじさん、強いおじさん、すばやいおじさん)がそれぞれの特徴を活かして人生を突き進む曲。歌詞の世界観は「new world サミット」に似ており、ナナメ上の空想の物語系であるが同一人物かは不明である(誰がこんな詞を書くのだろうか一体・・・)。ストーリーの内容がウケたのかYouTubeやニコニコ動画でパロディ動画を見ることができる。

宇宙飛行士への手紙/モーターサイクル
「油」/「宇宙飛行士への手紙/モーターサイクル」(2010年)
水が弾かれる様子を歌った曲。アコースティックギター1本でメンバーが歌う。葉っぱや水鳥、防水スプレーをした靴など水を弾く物に対してあーだこーだ歌っている。途中からメンバー各自がアドリブでアンセムを歌い出すが全く統率のとれていないどころが笑いどころ。途中で升は「会いた〜くて」とGLAYの名曲「Way of Defference」のメロディーで歌いメンバーが笑いを我慢する感じが出ている。

「COSMONAUT」
「OF COURSE」/「COSMONAUT」(2010年)
寸劇系の隠し曲。直井が演じる友人の家に藤原、升(藤原のいとこ)、増川(藤原の先輩=升のいとこ)がバンドを組んでおり、作った曲をラジカセで聴かせる(しかし途中で止められる)という内容。隠しトラックはなぜかマイナー調の曲が多く作曲者が同じなのかもしれない。

友達の唄
「仕事〜job〜」/「友達の唄」(2011年)
色々な仕事について歌った隠し曲。「OF COURSE」「三人のおじさん」と同じくマイナー調のコードを主体とした構成で作曲者の類似を匂わせる。バンドサウンドであり、L側のギターを増川、R側のギターを藤原が弾いてる。そしてバウンドサウンドと思わせて展開部でエキセントリックなテクノサウンドが混ざるカオス。

「ゼロ」(限定盤)
「新鮮・お野菜王国のテーマ」/「ゼロ」(限定盤)(2011年)
色々な種類の野菜を羅列してひたすら紹介する曲。藤原が弾くエレキギター1本のカッティングとコードストロークの上に歌を乗せているが4人で一発録りしている可能性がある(中盤の歌のソロパートは別撮り)。この曲はFFのキャラクター原画を手がける天野喜孝氏の「やさいのようせい」という作品をモチーフとしている指摘がある(「地球飛行士への航海日誌 – 音楽をめぐる覚え書き」様より)

「ゼロ」(通常盤)
「恋の陰陽師」/「ゼロ」(通常盤)(2011年)
古めかしい言葉遣いで歌われるラブソング。サビで「LOVE でござるか LOVEでござるよ」と歌っており、2007年に未完に終わった増川作曲の隠し曲「ござる、ござるよ」を原型に作った可能性が高い。また「お主が作った恋の式神 くるしゅうない くるしゅうない」と2回繰り返すフレーズは「BELIEVE」の「チワワのように震えてる プルップルっ」とリズムや譜割りが近いため同一人物の作曲を感じさせる。

「グッドラック」(限定盤)
BURA-BURA BOY
男の子が街をぶらぶらする曲。構成は「BURA-BURA GIRL」と同じで歩く街が異なる。アコースティックギターとパーカッションのみの簡単な演奏の上にメンバーが歌う。

グッドラック」(通常盤)
「BURA-BURA GIRL」/「グッドラック」(通常盤)(2012年)
女の子が街をぶらぶらする曲。構成は「BURA-BURA BOY」と同じで歩く街が異なる。アコースティックギターとパーカッションのみの簡単な演奏の上にメンバーが歌う。

「firefly」
「play sports」/「firefly」(2012年)
ドラム・升秀夫がリードボーカルを務める隠しトラック。「play sports」は2007年10月「花の名」「メーデー」の際に制作、録音していた音源で5年の月日を超えて陽の目を見る。その理由は、CDリリースが決まっていたが時間的にシークレットトラックを録る余裕がなかったため、かつての未発表曲を収録することになったとラジオ番組「PONTSUKA!!」で明かしている。バンド初となるライブ映像作品「BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012」の隠し映像として「play sports」のバンドアレンジ生演奏の様子が収録されている。

「BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]」
「faraway」/「BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]」(2013年)
卒業式に流れるような男声四部合唱で歌われている曲。BUMP OF CHICKENの隠し曲の中では比較的まともな(?)歌詞で、アカペラで追っかけコーラスやハモリなど学校間を感じさせる。

「BUMP OF CHICKEN Ⅱ[2005-2010]」
「くちびる」/ 「BUMP OF CHICKEN Ⅱ[2005-2010]」(2013年)
マイナー調のシンプルなコード進行と妖艶な歌い方が特徴的な隠し曲。歌のメロディの譜割りに直井作曲の「スターダストダンスホール」を感じさせる(直井の作曲と個人的に思う)。ベストアルバムとあって多くの人に手に取ってもらう可能性があるためか、上記の「faraway」と合わせて比較的守りに徹している感がある。

「RAY」
「SHODO〜書道〜」/ 「RAY」(2014年)
ブルージーなギターとベースとパーカーションの上にメンバーの合唱が入る。前半の歌詞は倒置法が入り、なかなかの作詞テクを感じさせる。そして「美しい朝」や「初日の出」といった書道で書きそうな句を連想ゲームのように歌い、いつの間にか曲のBPMが上がりフェードアウトしていく・・・一体誰がこんなアレンジを考えるのだろうか。

Hello, world!/コロニー」(通常盤)
「オマール」/「Hello, world!/コロニー」(通常盤)(2015年)
「BELIEVE デモテープ編」(「present from you」)以来7年ぶりにはてなっちクエスチョンズの4人による寸劇。ちょきお(増川)が書いてきた曲だが途中でレッサー(升)の書いた「BELIEVE」に似ていってしまう。2018年発売のライブ映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 “PATHFINDER”」に隠し映像として「オマール」のMVがエヴァンゲリオンのOP風に収録されており、しかも作詞・作曲のクレジットがレッサー(升)とすり替えられている。

「Butterflies」
「TO.I.KI」/「Butterflies」(2016年)
いわゆる「藤原の無駄遣い」が聴ける隠し曲のひとつ。打ち込みサウンドの上に意味不明な歌詞が羅列されており、最初に金魚やネズミについて歌ったかと思えば「都会で握ったサビ抜き寿司 ヤングポニー」という意味不明な歌詞が入る。途中SEのような早口が流れているが逆再生すると「みんなかわいい金魚 飼えばいいのになあ」と歌っている。


「話がしたいよ/シリウス/Spica」
「山よ」/「話がしたいよ/シリウス/Spica」(2018年)
大正ロマンを感じさせるレトロな曲調が印象的な合唱曲。アコーディオンやベースというレトロ感を醸し出すアレンジを仕立てており、メンバーの音楽への造詣の深さ、研究熱心さを感じ取ることができる。歌詞の内容は登山をテーマにしているが「一度しか着ないウェアを買って」という自虐が入っており、なかなかの文才を感じさせる。登山好きといえば升秀夫だが・・・

「アカシア/Gravity」
「鋼鉄のバロング」/「アカシア/Gravity」(2020年)
ブルドーザーをテーマにした曲。サウンドは打ち込み主体。隠しなのに語りパートやCメロやDメロまであり、曲調に展開を持たせている謎の作り込みである。「押せ押せ」「いけいけ」と言った子供(女性?)たちの掛け声が入っており、スタッフのなのか誰が声を入れているのかは謎である。

「なないろ」(通常盤)
「やさしごん」/「なないろ」(通常盤)(2021年)
童謡のような歌詞が特徴的な曲。隠し曲の中ではストーリー性があり歌詞が非常に長い曲である。途中から霊の如く呪文パートが始まり隠しらしさを出している。

「SOUVENIR」
「大地」/「SOUVENIR」(2023年)
メンバーが低い声で歌う男性的なボーカルが特徴の隠し曲。昭和歌謡、ヒーロー戦隊ものの主題歌感を感じさせる。バッティングセンター、猫カフェ、スーパー銭湯など戦士を労る場所が登場する。フィジカルリリースが減り隠し曲を発表する機会が減っているが、今でも手を抜かずシークレットトラックを作る気構えに敬意を表したい。

「Iris」
「朝焼け」/「Iris」(2024年)
9年ぶりとなる寸劇系の隠し曲。元ネタは古く、藤原が中学生時代に初めてできた彼女にフラれた際に増川と2人で作った曲である。音楽好きの後輩(直井)に、先輩(升)が音楽やってる友達(後輩?)である藤原、増川を連れてくる場面から始まる。アコースティックギター1本に藤原と増川(と途中から升)が歌う。途中からバージョン変えや歌詞変えを披露し、3拍子バージョン、、ブルースバージョン、合唱っぽバージョンを披露する。

ちなみに升秀夫さんが歌う「やどかり」という未発表曲も存在します。

フィジカルリリースが減少する中で、BUMP OF CHICKENは隠し曲のリリース自体が少なくなっています。音楽配信では一切配信していない隠しトラックを聴くにはCDを購入するしか方法はなく、メンバーの隠しトラックに対する熱い思い入れを感じ取ることができます。

以上、BUMP OF CHICKENの隠しトラック(隠し曲)一覧でした。