楽曲解説:ベル vol.1 – 藤原の携帯電話への着信 – *2/25更新

2nd Album「jupiter」 収録 / M-08
作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2001年夏〜冬

ベルはBUMP OF CHICKENの3枚目のアルバム「jupiter」(2002年)に収録されているアルバム曲です。ゆったりとしたテンポと優しい歌詞が特徴的な、日本語詞最初のバラードといえる曲です。アルバム発売から14年間、一度もライブ演奏されたことのない曲でしたが、2016年の20周年記念ライブ「20」にて初めて演奏されました。今回はこのベルの作曲背景や歌詞の解釈・意味について紹介します。




携帯電話への着信

耳障りな電話のベル
元気ってたずねる 君の声

僕の事なんか ひとつも知らないくせに
僕の事なんか 明日は忘れるくせに
そのひと言が 温かかった
僕の事なんか 知らないくせに

ベル / 作詞作曲 藤原基央

ベルはボーカルギター藤原基央さんの実体験から生まれた曲です。2001年のある日、藤原さんはスタジオ作業に疲れて帰宅しました。自宅で寝っ転がりながらギターを弾いていると、藤原さんのもとに携帯電話に着信がありました。

藤原 - その電話も実際あった電話なんだけど、家帰ってギター弾こうと思って弾いていて。それで出て来たコード進行にそのまま歌をつけたっていう、自然の流れで(生まれた曲)。

当時メジャー2枚目のシングル曲「天体観測」がノンタイアップながら60万枚を売り上げる大ヒットを記録し、BUMP OF CHICKENのメンバーの環境が急激に変わりました。激しくなるファンの追っかけや、急に親しくなる業界人たちの存在は、素朴なメンバーたちは急に有名人になるということへの不安を感じました。ボーカルの藤原さんのもとにも近しい人あまり関わってこなかった人、沢山の人から連絡が相次いだそうです。

ほとんどの人が天体観測に関する話、お祝いだったそうですが、売れた途端に急に電話してきたことに本人は複雑な感情があったそうです。しかしこの日電話をくれた友人は天体観測のヒットには触れず、ただただ藤原さんが元気がどうかを尋ねて来ただけでした。

藤原さんはこの時のありのままの心境ででベルを書きました。藤原さん曰く、”内に向けた歌“であり、聴き手によってはイタいと思われる曲だと自覚しながらも、出来た瞬間は “また良い曲つくっちゃった” と自画自賛だったそうです。

脱力的なサウンドを覚えた曲

藤原 - ある意味、脱力もあるじゃないですか。脱力感。その上手い方法を覚えたのかも知んないですね”

当時発表されていたBUMP OF CHICKENの楽曲の中では、『くだらない唄』や『バイバイサンキュー』など、ゆったりした曲もありましたが、そのサウンドは歪んだギターの音が中心でかなり力強い響きでした。それに比べて『ベル』では、アコースティックギターをメインとして、ディレイがかかったクリーンのリフが印象的な、“脱力的”なサウンドを初めて体現することができたそうです。この曲は『embrace』や『プラネタリウム』、『ほんとのほんと』といったBUMP OF CHICKENのミドルテンポの名曲の礎になっていると言えます。


藤原 - 壮大なものではなく、4人で、自然に。升はスネアだけ鳴らせたらな”っていうイメージはありましたよ –

ウッドベースを入れようとした

直井由文氏所有と同型のアップライトベース(Carruthers Gutar SUB-1)。この機材はGOLD GLIDER TOUR (2012年)からWILLPOLIS 2014まで使用された。STADIUM TOUR “BFLY” (2016年)からはサブとして使用。「銀河鉄道」「embrace」「睡眠時間」「プラネタリウム」「ホリデイ」「fire sign」「車輪の唄」などのアコースティックバージョンで使用された。

ベーシストの直井さんは当初この曲にウッドベースを入れようとしていたそうです。しかし当時の直井さんの演奏技術ではウッドベースで弾きこなすことができず、エレキベースで演奏したとベースマガジンで語っています。

近年の直井さんはアコースティックステージ(恥ずかし島)や『孤独の合唱』のレコーディングでアップライトベース(ウッドベース)を使用しており、今のスキルであれば弾きこなすことができるはずです。

アップライトベースのフレットレス感と温もりのあるベースでのアレンジを聴いてみたいですね。個人的にはembraceや『睡眠時間』アコースティックアレンジのような、きっと大化けする曲になると思います。


フォークとクラシカルの要素

藤原 – フォークとクラシカルの間というか、フォークとクラシカルの結婚というか…そういう気分だったんですけどね、サウンド的には – 

ベルではフォークソングとクラッシックの要素を取り入れました。藤原さんの作曲センスのすごさは、多くの音楽ジャンルの引き出しを持っていることです。具体的にはメロディの引き出し、サウンドの引き出し、そしてリズムの引き出しの数。過去にも”ゴスペル”をテーマに『Everlasting lie』や『supernova』を書き、”ハネモノ”をテーマに『バイバイサンキュー』やangel fallを書きました。そして『車輪の唄』や『東京賛歌』のカントリーサウンドも表現しています。

藤原 ”あぁフォークだなって自分で思いながら歌ってたっていう実感はあった。ただ実際出来上がったら単純にフォークではないし、やっぱメロ(メロディ)なんかはクラシックになってるし。最後はなんちゃって管弦楽団みたいになってるし(笑)。スケールが大きいのかちっちゃいのかわからない曲です” 

直井 “俺の中では、このアルバムの中で一番スケールが小さい曲だと思う。なんかこじんまりした部屋で、座りながら一人、藤原を見て軽くほくそ笑みながらベースを弾くイメージ”

直井さんはイメージを大切にしてベースラインをつけています。『太陽』のAメロが心臓のイメージをしているのと同じ発想ですね。そしてjupiter時代の直井さんは、自分の意見をハッキリ言っています。現在のインタビューでは、ひたすら藤原に同意しているイメージですが、『スノースマイル』のインタビューで “jupiterまでは人の話を聴いていなかった” というように、自分の感じたことははっきりと述べていました。


ライブ演奏記録

2016年に初めて演奏!キーが変更されていた。

2016年2月11日 20周年記念ライブ『20』で初めて演奏されました。発表から15年目で初めての演奏である。原曲のキーはGでしたが、ライブでは (◆藤原2カポ Dフォーム) Eキーになっており、コーラスもされていません。初回限定Blu-rayに付属しているLIVE音源を聴くと、キーがEになっているためベースの最低音が下がり、よりズッシリとした曲の印象を与えています。

以上、簡単ですが、ベルの楽曲紹介でした。

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