楽曲解説:ベル vol.1 – 藤原の携帯電話への着信

ベル:基本情報作詞作曲:藤原基央
作曲時期:2001年春-夏
録音時期:2001年春-夏
リリース:2002年2月20日 3rd Album 『jupiter』
ライブ初披露:2016年2月11日

「ベル」はBUMP OF CHICKENの『jupiter』に収録されている楽曲です。ゆったりとしたテンポと優しい歌詞が特徴的な日本語詞最初のバラード曲です。

発表から14年後の2016年の20周年記念ライブ「20」にて初めて演奏されました。今回はこのベルの作曲背景や歌詞の解釈・意味について紹介します。



「天体観測」のヒットと環境の変化

2001年3月14日発売 3rd Maxi Single「天体観測」

2001年、「天体観測」がノンタイアップで60万枚を売り上げる大ヒットを記録し、BUMP OF CHICKENの名前が世間に爆発的に認知されました。

知名度が上がるにつれて、激しくなるファンの追っかけや、急に親しくなる業界人たちが増え、メンバーの携帯電話にも沢山の人から連絡が相次いだそうです。

多忙なスケジュール、消耗品として使われる音楽

ボーカル・ギターの藤原さんは、ヒットによる変化や楽曲の扱われ方に対して複雑な感情を持っていました。

藤原 – 「天体観測」がヒットして、忙しくなってきて・・・、その状況が素直に喜べなかったのね。自分達の歌がどんどん消耗品として扱われているような気になってきて。

出典:TALKIN’ ROCK #25

当時のプロモーションは、地上波番組に出演せず、雑誌・ラジオのみ取材を受けていました。持ち上げようとする世間に対して「BUMP OF CHICKEN」や「歌」のあり方を守ろうとする藤原の冷静さはさすがです。

携帯電話への着信

春のツアー「スターポーキングツアーズ 2001」を終えた頃のある日、時期的に「メロディーフラッグ」と「キャッチボール」の作業をしていた頃でしょうか、藤原さんはスタジオ作業に疲れて帰宅します。

自宅で寝っ転がりながらギターを弾いていると携帯電話に着信が入ります。周囲の変化などで辛い思いをしているなかでの、相手の「元気?」という声に藤原さんの心が動きました。

藤原 – そんな時に友達から、全く責任感のない電話がかかってくるわけですよ(笑) なんかあっけらかんと”元気?”というひとことで始まって

出典:TALKIN’ ROCK #25

藤原さんは “自分のことなんか 知らないくせに” という気持ちになりながら、その言葉に救われる思いをしました。そしてそのままその気持ちを曲にします。

藤原 - その電話も実際あった電話なんだけど、家帰ってギター弾こうと思って弾いていて。それで出て来たコード進行にそのまま歌をつけたっていう、自然の流れで。

出典:ROCKIN’ ON JAPAN vol.217 2002.03

ベルの歌詞にはそっくりそのままの気持ちを読み取ることができますね。

耳障りな電話のベル
元気ってたずねる 君の声

僕の事なんか ひとつも知らないくせに
僕の事なんか 明日は忘れるくせに
そのひと言が 温かかった

引用:「ベル」作詞・作曲:藤原基央 (2002年)

「内に向けた歌」であり、聴き手によってはイタいと思われる曲だと自覚しながらも、出来た瞬間は “また良い曲つくっちゃった” と自画自賛だったそうです。



脱力的なサウンドを覚えた曲

藤原 - ある意味、脱力もあるじゃないですか。脱力感。その上手い方法を覚えたのかも知んないですね。

出典:ROCKIN’ ON JAPAN vol.217 2002.03

当時のBUMP OF CHICKENの楽曲の中では、『くだらない唄』や『バイバイサンキュー』など、ゆったりした曲もありましたが、そのサウンドは歪んだギターの音が中心でかなり力強い響きでした。

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それに対し「ベル」では、アコースティックギターを基調とした脱力的なサウンドになっています。アレンジは4人で自然に決めていき、升さんのドラムに対しては「スネアだけ鳴らす」というイメージを伝えます。

「ベル」でのサウンドメイキングの成功は『embrace』や『プラネタリウム』、『ほんとのほんと』といったBUMP OF CHICKENのミドルテンポの名曲の礎になっていると言えます。

フォークソングの要素

藤原 – あぁフォークだなって自分で思いながら歌ってたっていう実感はあった。ただ実際出来上がったら単純にフォークではないし、やっぱメロなんかはクラシックになってるし。

出典:ROCKIN’ ON JAPAN vol.217 2002.03

ここでいうフォークの要素はAメロのコード進行(トニック→2度→3度→完全4度)のことだと思われます。

藤原さんの作曲センスのすごさは、多くの音楽ジャンルの引き出しを持っていることです。具体的にはメロディの引き出し、サウンドの引き出し、そしてリズムの引き出しの数。

“ゴスペル”をテーマに『Everlasting lie』や『supernova』を書き、”ハネモノ”をテーマに『バイバイサンキュー』やangel fallを書きました。そして『車輪の唄』や『東京賛歌』のカントリーサウンドも表現しています。

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感覚的に弾いた直井由文のベースライン

直井 – 俺の中では、このアルバムの中で一番スケールが小さい曲だと思う。なんかこじんまりした部屋で、座りながら一人、藤原を見て軽くほくそ笑みながらベースを弾くイメージ。

出典:ROCKIN’ ON JAPAN vol.217 2002.03

直井さんはイメージを大切にしてベースラインをつけています。『太陽』Aメロでも心臓のイメージをした演奏をしたりしていました。

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『jupiter』時代の直井さんは、自分の意見をハッキリ言っています。現在は藤原さんに全て同意している感がありますが、この頃は自分の感性を主張しています。

アップライトベースでも弾いてみたい曲

直井由文氏所有と同型のアップライトベース(Carruthers Gutar SUB-1)。この機材はGOLD GLIDER TOUR (2012年)からWILLPOLIS 2014まで使用された。STADIUM TOUR “BFLY” (2016年)からはサブとして使用。「銀河鉄道」「embrace」「睡眠時間」「プラネタリウム」「ホリデイ」「fire sign」「車輪の唄」などのアコースティックバージョンで使用された。

2002〜2003年頃にレンタル品でアップライトベースを借りた直井さんは「ベル」「Everlasting lie」などで使用したいと語っています。

2012年のライブではじまったサブステージ(通称「恥ずかし島」)では、アップライトベースを使用したアレンジ曲もあります。いつか「ベル」もアップライトベースバージョンで聴いてみたいですね。

ライブ演奏記録

2016年に初めて演奏!キーが変更されていた

2016年2月11日 20周年記念ライブ『20』で初めて演奏されました。

原曲の半音下げGキーでしたが、ライブでは半音下げEキーになっており、コーラスもされていません。初回限定Blu-rayに付属しているLIVE音源を聴くと、キーが♭Eになっているためベースの最低音が下がり、よりズッシリとした曲の印象を与えています。

以上、ベルの楽曲紹介でした。